オリンピックのサッカー競技とは、夏季オリンピックで開催されるサッカー競技である。
男子は1900年のパリオリンピックから開始され、1908年のロンドンオリンピックから正式種目となった。
女子は1996年のアトランタオリンピックから実施されている。
|
||||||||||||||||||||
男子サッカーは、国際サッカー連盟(FIFA)がFIFAワールドカップこそサッカーでもっとも権威のある大会であると位置づけていることもあり、23歳以下の選手による年齢制限のある大会となっている。厳密にいうと、オリンピックの開催年の12月31日までに23歳以下の選手に出場資格がある。ただし、各チーム3名まではオーバーエイジ枠(OA枠)として24歳以上の選手を出場させることができる。
本大会では、1次ラウンドはグループリーグ方式で実施され、出場16チームを4チームずつ4組に分けて1回総当りのリーグ戦を行い、各組2位までの8チームでノックアウト方式の決勝トーナメントを行う。
かつてはアマチュアのみが出場可能で、プロは参加できなかった。そのため、世界的に見てもオリンピックではソ連を筆頭として東側諸国がA代表とほぼ変わらないメンバーで出場できたこともあってメダルを独占するようになっていた。当時、プロリーグが存在しなかった日本もアマチュア選抜として出場を目指しており、ワールドカップよりもオリンピックを最大の目的に代表チームが選抜されていた。
しかし、1984年のロサンゼルスオリンピックからプロのオリンピック出場が可能となり、世界一のメジャースポーツであるサッカーの商業的価値を手に入れたいIOCとワールドカップの権威にこだわるFIFAの間で綱引きが続いたが、1992年のバルセロナオリンピックから現在のU-23の世界大会としてプロが出場するようになった。さらに少しでもスター選手を出場させたいIOC側の意向から、4年後のアトランタオリンピックから前述したOA枠が創設された。
もっとも、サッカーがもっとも盛んな地域である欧州では、オリンピックの開催年がUEFA欧州選手権の開催年と重なっていることもあって、年齢制限の大会であるオリンピックのサッカーへの関心度は低く、シーズン開幕直後の時期のケガや疲労を恐れ、所属する選手を五輪に出場させることに消極的なクラブも多い。特に優秀な若手選手を抱える欧州のビッグクラブではそれが顕著であり、欧州各国はもちろん、非欧州各国においても欧州クラブ側の抵抗によってベストメンバーを揃えるのに苦慮している[1]。むしろ、オリンピックの予選を兼ねているUEFA U-21欧州選手権のほうがメンバーが揃うほどである。一方、スペインのように法律でオリンピックの出場要請に応じる義務がある国もある。
日本は1992年以前は4回出場しており、1968年のメキシコオリンピックで銅メダルを獲得。このときの記録が現在に至るまで日本のオリンピックにおける最高成績となっている。プロが参加できるU-23の大会となってからは、1996年のアトランタオリンピック以降7大会連続で出場しており、メダル獲得は逃したものの二度ベスト4まで進出。
また、1936年のベルリンオリンピックでは強豪スウェーデンを破る歴史的な金星を挙げた「ベルリンの奇跡」を起こし、1996年のアトランタオリンピックでは初戦で世界王者のブラジルから歴史的大金星を挙げる「マイアミの奇跡」と呼ばれるサプライズを起こしている。
予選の方式は各大陸のサッカー連盟に方法が一任されているが、オリンピックの出場国の枠は少ないため、各大陸とも非常に狭き門となっている。また、開催国は予選免除で本大会出場が決まっている。
| 大陸名 | 加盟連盟 | 出場枠 | 選出大会 | 本大会出場条件 |
|---|---|---|---|---|
| アジア | AFC | 3.5※ | AFC U23アジアカップ2024 | トップ3 ※ |
| アフリカ | CAF | 3.5※ | アフリカ U-23ネイションズカップ2023 | トップ3 ※ |
| 北中米カリブ海 | CONCACAF | 2 | CONCACAF U-20選手権2022 | トップ2 |
| 南米 | CONMEBOL | 2 | 南米予選 | 2位以内 |
| オセアニア | OFC | 1 | オセアニア予選 | 1位のみ |
| ヨーロッパ | UEFA | 4 | UEFA U-21欧州選手権2023 | トップ3+開催国 |
※アジア4位とアフリカ4位のチームでプレーオフを戦い、勝者が出場権を獲得。
※個別記事のある大会は上記表の太字の開催年からリンク先へ飛べるようになっている。
| 開催年 | 開催地 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル | 出場国数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1900 | 3 | ||||
| 1904 | 3 | ||||
| 1908 | 6 | ||||
| 1912 | 11 | ||||
| 1920 | 14 | ||||
| 1924 | スイス
|
22 | |||
| 1928 | 17 | ||||
| 1936 | 16 | ||||
| 1948 | 18 | ||||
| 1952 | 25 | ||||
| 1956 | 11 | ||||
| 1960 | 16 | ||||
| 1964 | 13 | ||||
| 1968 | 16 | ||||
| 1972 | 16 | ||||
| 1976 | 13 | ||||
| 1980 | 16 | ||||
| 1984 | 16 | ||||
| 1988 | 16 | ||||
| U-23 | |||||
| 1992 | 16 | ||||
| 1996 | 16 | ||||
| 2000 | 16 | ||||
| 2004 | 16 | ||||
| 2008 | 16 | ||||
| 2012 | 16 | ||||
| 2016 | 16 | ||||
| 2021 | 16 | ||||
| 2024 | 16 | ||||
| 2028 | |||||
| 順位 | 国 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 2 | 1 | 2 | 5 | |
| 2位 | 2 | 2 | 0 | 4 | |
| 2位 | 2 | 1 | 0 | 3 | |
| 4位 | 1 | 1 | 1 | 3 | |
| 5位 | 1 | 0 | 1 | 2 | |
| 6位 | 1 | 0 | 0 | 1 | |
| 7位 | 0 | 1 | 0 | 1 | |
| 7位 | 0 | 1 | 0 | 1 | |
| 7位 | 0 | 1 | 0 | 1 | |
| 7位 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 開催年 | 開催地 | 成績 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 代表監督 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1900 | 不参加 | |||||||
| 1904 | 不参加 | |||||||
| 1908 | 不参加 | |||||||
| 1912 | 不参加 | |||||||
| 1920 | 不参加 | |||||||
| 1924 | 不参加 | |||||||
| 1928 | 不参加 | |||||||
| 1936 | ベスト8 | 1 | 0 | 1 | 3 | 10 | ||
| 1948 | 不参加 | |||||||
| 1952 | 不参加 | |||||||
| 1956 | 1回戦敗退 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | ||
| 1960 | 予選敗退 | |||||||
| 1964 | ベスト8 | 1 | 0 | 2 | 5 | 9 | ||
| 1968 | 銅メダル | 3 | 2 | 1 | 9 | 8 | ||
| 1972 | 予選敗退 | |||||||
| 1976 | 予選敗退 | |||||||
| 1980 | 不参加 | |||||||
| 1984 | 予選敗退 | |||||||
| 1988 | 予選敗退 |
| 開催年 | 開催地 | 成績 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 代表監督 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1992 | 予選敗退 | |||||||
| 1996 | グループリーグ敗退 | 2 | 0 | 1 | 4 | 4 | ||
| 2000 | ベスト8 | 2 | 1 | 1 | 6 | 5 | ||
| 2004 | グループリーグ敗退 | 2 | 0 | 1 | 4 | 4 | ||
| 2008 | グループリーグ敗退 | 0 | 0 | 3 | 1 | 4 | ||
| 2012 | 4位 | 3 | 1 | 2 | 6 | 5 | ||
| 2016 | グループリーグ敗退 | 1 | 1 | 1 | 7 | 7 | ||
| 2021 | 4位 | 3 | 1 | 2 | 8 | 5 | ||
| 2024 | ベスト8 | 3 | 0 | 1 | 7 | 3 |
|
||||||||||||||||||
女子サッカーは1996年のアトランタオリンピックから正式種目となり、男子と違って出場選手の年齢制限はなく、最初からプロが参加するA代表の大会となっている。そのため、FIFA女子ワールドカップと並んで女子サッカーのもっとも権威のある高いと位置づけられている。FIFAもまだマイナースポーツである女子サッカーの普及に力を入れており、男子のときとは違って大会に協力的な姿勢を見せている。
女子ワールドカップがオリンピックの前年に開催されることもあり、各国の女子代表チームはオリンピックを一つの区切りとしてチームを作っている。
出場チーム数は12チームと男子よりも少ない。大会は男子同様に4チームをグループに分けたグループリーグが1次ラウンドとなり、上位2チームに加え、女子の場合は3位の上位2チームもノックアウト方式の決勝トーナメントに進出できる。
現在、最多優勝はアメリカの4回。日本(なでしこジャパン)は2012年のロンドンオリンピックで銀メダルを獲得したのが最高成績となっている。
| 大陸名 | 加盟連盟 | 出場枠 | 選出大会 | 本大会出場条件 |
|---|---|---|---|---|
| アジア | AFC | 2 | アジア予選 | 2位以内 |
| アフリカ | CAF | 2 | アフリカ予選 | 2位以内 |
| 北中米カリブ海 | CONCACAF | 2 | 2022 CONCACAF Wチャンピオンシップ | 優勝 |
| プレーオフ | Wチャンピオンシップの2位チームと3位チームが対戦した勝者 | |||
| 南米 | CONMEBOL | 2 | 2022 コパ・アメリカ・フェメニーナ | トップ2 |
| オセアニア | OFC | 1 | オセアニア予選 | 1位のみ |
| ヨーロッパ | UEFA | 3 | UEFA女子ネーションズリーグ2023-24 | トップ3+開催国 |
※個別記事のある大会は上記表の太字の開催年からリンク先へ飛べるようになっている。
| 開催年 | 開催地 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル | 出場国数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1996 | 8 | ||||
| 2000 | 8 | ||||
| 2004 | 10 | ||||
| 2008 | 12 | ||||
| 2012 | 12 | ||||
| 2016 | 12 | ||||
| 2021 | 12 | ||||
| 2024 | 12 | ||||
| 2028 |
| 順位 | 国 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 5 | 1 | 1 | 6 | |
| 2位 | 1 | 0 | 4 | 5 | |
| 3位 | 1 | 2 | 0 | 3 | |
| 4位 | 1 | 1 | 0 | 2 | |
| 5位 | 0 | 3 | 0 | 3 | |
| 5位 | 0 | 2 | 0 | 2 | |
| 7位 | 0 | 1 | 0 | 1 | |
| 7位 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 開催年 | 開催地 | 成績 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 代表監督 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1996 | グループリーグ敗退 | 0 | 0 | 3 | 2 | 9 | ||
| 2000 | 予選敗退 | |||||||
| 2004 | ベスト8 | 1 | 0 | 2 | 2 | 3 | ||
| 2008 | 4位 | 2 | 1 | 3 | 11 | 10 | ||
| 2012 | 銀メダル | 3 | 2 | 1 | 7 | 4 | ||
| 2016 | 予選敗退 | |||||||
| 2021 | ベスト8 | 1 | 1 | 2 | 3 | 5 | ||
| 2024 | ベスト8 | 2 | 0 | 2 | 6 | 5 |
2000年のシドニーオリンピックから、五輪開会式の数日前にサッカー競技のグループリーグが開始されている。ただし、開会式に先行して試合が行われた期間は、公式なオリンピックの開催期間には入れられていない。また、日程と参加チーム数の関係から、試合会場は広域(主開催都市から数百キロ離れた都市)に渡る複数の会場で行われることも多い。
オリンピック憲章では「競技実施期間は16日を超えてはならない」とされていることから、選手たちは過酷な過密日程の中で試合に出場しなければならず、しかも本大会の登録人数もFIFA主催の大会と比べて少ないため、選手にかかる負担の大きさが問題となっている。2021年東京五輪では、男子のU-24スペイン代表で直前のEURO2020を主力として出場した選手たちに過度の負担がかかり、その後にコンディションを崩したり、大怪我をした選手も何人かいる。
IOCからの通達により、北京オリンピック以降はFIFAワールドカップやその予選、各大陸別選手権などで使う通常の代表用ユニフォームとは別のユニフォームを着用している。胸の各国サッカー協会・連盟マークやサプライヤーのデザインの使用は禁止され、多くは胸に各国旗マークを付けている。
イギリスはFIFAの管轄ではイギリス本土4協会(イングランド、スコットランド、北アイルランド、ウェールズ)およびイギリス海外領土6協会(モントセラト、イギリス領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、タークス・カイコス諸島、バミューダ諸島、アンギラ)の各代表をそれぞれ認可されているが、IOCが管轄するオリンピックでは国単位での参加しか認められないため[2]、イギリス代表として出場することになる。だが、それぞれの協会間の確執が絶えないこともあって近年は出場権を放棄している。
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/16(火) 09:00
最終更新:2025/12/16(火) 09:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。