EURO2020とは、2021年に欧州11か国で分散開催された16回目のUEFA欧州選手権であり、ヨーロッパ24か国の代表チームによって争われるサッカーの大会である。
当初は2020年6月に開催されるはずだったが、新型コロナウィルスの世界的な流行によって2021年6月に開催が延期されることとなった。
今大会は出場枠こそ前回のEURO2018と同じ24か国だが、UEFA創設60周年記念の特別大会として欧州各国での複数都市で次の表のとおり分散開催されることになる。
グループA | ![]() |
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グループB | ![]() |
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グループC | ![]() |
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グループD | ![]() |
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グループE | ![]() |
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グループF | ![]() |
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ラウンド16 | ![]() |
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準々決勝 | ![]() |
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準決勝・決勝 | ![]() |
なお、通常であれば開催国は予選を免除され、自動的に本大会に出場することができるが、今大会はその制度が導入されず、開催国であっても予選を通過しなければ本大会に出場することができない。そのため、アゼルバイジャンとルーマニアは開催地でありながら予選で敗れたため、本大会に出場することができない。
一方、開催国のチームが本大会に出場する場合は、グループステージのうち2試合は必ずその国の都市で試合が開催される。
今大会の予選では、2018年に新設されたUEFAネーションズリーグの総合順位によってポット分けがおこなわれ、グループAからグループJの10グループの中で各グループの1位と2位の合計20チームは本大会出場権を獲得。
残り4つの枠をプレーオフで争うことになるが、ここで考慮されるのがネーションズリーグ2018-2019の成績である。予選で出場権を得られなかったチームの中からネーションズリーグの上から8チームによって4グループによるトーナメントをおこない、勝ちあがった4チームが残りの出場権を獲得できる。
前回はオランダが予選で敗退するという波乱があったが、今大会の予選ではそのような波乱は見られず、いわゆる強豪国、常連国が順当に出場権を獲得している。プレーオフではハンガリー、スロバキア、スコットランド、北マケドニアが勝ち抜いている。このうち、フィンランドと北マケドニアが本大会初出場国となった。
グループA | グループB | グループC | グループD | グループE | グループF |
---|---|---|---|---|---|
![]() イタリア (7位) |
![]() ベルギー (1位) |
![]() ウクライナ (24位) |
![]() イングランド (4位) |
![]() スペイン (6位) |
![]() ドイツ (12位) |
![]() スイス (13位) |
![]() ロシア (38位) |
![]() オランダ (16位) |
![]() クロアチア (14位) |
![]() ポーランド (20位) |
![]() フランス (2位) |
![]() トルコ (29位) |
![]() デンマーク (10位) |
![]() オーストリア (23位) |
![]() チェコ (40位) |
![]() スウェーデン (18位) |
![]() ポルトガル (5位) |
![]() ウェールズ (17位) |
![]() フィンランド (54位) |
![]() 北マケドニア (62位) |
![]() スコットランド (44位) |
![]() スロバキア (36位) |
![]() ハンガリー (37位) |
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() イタリア |
― | ○ 1-0 |
○ 3-0 |
○ 3-0 |
9 | 7 | 7 | 0 |
2 | ![]() ウェールズ |
● 0-1 |
― | △ 1-1 |
○ 2‐0 |
4 | 1 | 3 | 2 |
3 | ![]() スイス |
● 0‐3 |
△ 1-1 |
― | ○ 3-1 |
4 | -1 | 4 | 5 |
4 | ![]() トルコ |
● 0-3 |
● 0‐2 |
● 1-3 |
― | 2 | -7 | 1 | 8 |
同勝ち点のウェールズとスイスは、直接対決が引き分けだったため、得失点差で順位を決定。
予選を全勝という好成績で通過した最有力候補のイタリアが、攻守の隙の無い盤石の戦いぶりを見せて他の3チームを圧倒。2試合目のスイス戦で楽々とグループステージ突破を決め、3戦全勝というアズーリらしくない余裕の首位通過を決める。
横一線という下馬評だったイタリア以外の3チームの争いは、前回大会で躍進したウェールズがガレス・ベイルの活躍に加え、3試合目で当たったイタリア戦のダメージを最小限に抑えられたということもあり、2位で突破。初戦ウェールズと引き分け、2戦目でイタリアに大敗したスイスだったが、最終戦のトルコ戦に快勝したことで何とか3位で通過を決める。
ハカン・チャルハノールやブラク・ユルマズといったタレントを擁し、ダークホースと見る声もあったトルコだったが、初戦でイタリアに粉砕されたことが尾を引き、3戦全敗で最下位に終わる。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() ベルギー |
― | ○ 2-1 |
○ 3-0 |
○ 2-0 |
9 | 6 | 7 | 1 |
2 | ![]() デンマーク |
● 1-2 |
― | ● 0-1 |
○ 4‐1 |
3 | 1 | 5 | 4 |
3 | ![]() フィンランド |
● 0‐2 |
○ 1-0 |
― | ● 1-0 |
3 | -2 | 1 | 3 |
4 | ![]() ロシア |
● 0-3 |
● 1‐4 |
○ 1-0 |
― | 3 | -5 | 2 | 7 |
同勝ち点のデンマーク、フィンランド、ロシアは直接対決がそれぞれ1勝1敗だったため、得失点差で順位を決定。
ベルギーの1強という見方が強かったグループは、そのベルギーがFIFAランキング1位の実力を見せつけ、ロメル・ルカク、2戦目から合流したケビン・デ・ブライネといったタレントが結果を出し、3連勝でグループステージを突破。悲願のメジャータイトル獲得へ期待が膨らんだ。
初戦のフィンランド戦で絶対的エースのクリスティアン・エリクセンが試合中に心肺停止で倒れるアクシデントに襲われたデンマークは、その影響もあったのかフィンランド戦、ベルギー戦を落とし、開幕2連敗と崖っぷちに立たされる。しかし、ロシア戦では気持ちの入った戦いを披露して快勝。不屈の精神力で危機を乗り切り、2位で決勝ラウンドへと駒を進める。ちなみに開幕2連敗からのグループステージ突破はEURO史上初の快挙となった。
初出場のフィンランドは堅守で強豪相手に挑み、初戦のデンマーク戦に勝利し、ベルギー、ロシア相手にも善戦したが及ばず。自国開催の2018年W杯でベスト8入りと躍進したロシアだったが、前時代的なサッカーに終始し、インパクトを残せないまま敗退となった。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() オランダ |
― | ○ 2-0 |
○ 3-2 |
○ 3-0 |
9 | 6 | 8 | 2 |
2 | ![]() オーストリア |
● 0-2 |
― | ○ 1-0 |
○ 3‐1 |
6 | 1 | 4 | 3 |
3 | ![]() ウクライナ |
● 2‐3 |
● 0-1 |
― | ○ 2-1 |
3 | -1 | 4 | 5 |
4 | ![]() 北マケドニア |
● 0-3 |
● 1‐3 |
● 1-2 |
― | 0 | -6 | 2 | 8 |
守備の要のフィルジル・ファン・ダイクが欠場、フランク・デ・ブール監督の手腕など不安材料の多かった本命のオランダだったが、3-5-2のフォーメーションを採用したことで守備が安定。中盤のフレンキー・デ・ヨングやジョルジニオ・ワイナルドゥムが中盤で大車輪の活躍を見せ、伏兵デンセル・ダンフリースの活躍もあって3連勝で首位通過を決める。
予想通りオーストリアとウクライナが争うこととなった2位争いは、リベロ、左WG、左SBと複数のポジションをハイレベルでこなしたダビド・アラバの活躍もあって北マケドニアとウクライナを相手に勝利したオーストリアが2位での突破を決める。オーストリアにとっては3度目の出場で初のグループステージ突破となった。英雄アンドレイ・シェフチェンコが監督を務めるウクライナも内容そのものは悪くなく、格下の北マケドニアにきっちり勝利したこともあり、3位で突破を果たす。
初出場の北マケドニアは、国際舞台での経験不足は否めず、勝ち点をあげられないまま最下位での敗退となった。それでも、今大会を最後に代表を引退するエースのゴラン・パンデフが初戦のオーストリア戦でゴールを決めるなど、爪痕は残している。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() イングランド |
― | ○ 1-0 |
○ 1-0 |
△ 0-0 |
7 | 2 | 2 | 0 |
2 | ![]() クロアチア |
● 0-1 |
― | △ 1-1 |
○ 3‐1 |
4 | 1 | 4 | 3 |
3 | ![]() チェコ |
● 0‐1 |
△ 1-1 |
― | ○ 2-0 |
4 | 1 | 3 | 2 |
4 | ![]() スコットランド |
△ 0-0 |
● 1‐3 |
● 0-2 |
― | 1 | -4 | 1 | 5 |
同勝ち点のクロアチアとチェコは直接対決が引き分けだったため、得失点差で順位を決定。
プレミアリーグで活躍する若いタレントを揃え、優勝候補に挙げられるイングランドが下馬評通りに首位で突破。しかし、攻撃のプレーモデルが確立されていない完成度の低いサッカーは批判を集め、試合内容も塩試合ばかりと不満の残る戦いぶりだったことは否めない。それでも3試合無失点と守備の堅実さは際立っていた。
2018年W杯準優勝のクロアチアは、当時のメンバーが数名抜けたこともあってピークを過ぎた感は否めず、初戦のイングランド戦を落とし、2試合目もチェコと引き分けに終わっていた。しかし、崖っぷちに立たされた3試合目のチェコ戦で大黒柱のルカ・モドリッチが1ゴール1アシストの活躍で勝利に導き、2位で突破を決める。クロアチアとの2位争いに敗れる形となったチェコだが、守護神トマーシュ・ヴァツリークのビッグセーブ連発とパトリック・シックの3得点の活躍で堂々とした戦いぶりを見せ、3位で通過。
6大会ぶりのEURO出場となり、久々に国際舞台に立ったスコットランドだったが、宿敵イングランド相手に引き分けたものの、攻撃陣のタレント不足は否めず、最下位で姿を消すことに。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() スウェーデン |
― | △ 0-0 |
○ 1-0 |
○ 3-2 |
7 | 2 | 4 | 2 |
2 | ![]() スペイン |
△ 0-0 |
― | ○ 5-0 |
△ 1‐1 |
5 | 5 | 6 | 1 |
3 | ![]() スロバキア |
● 0‐1 |
● 1-5 |
― | ○ 2-1 |
3 | -5 | 2 | 7 |
4 | ![]() ポーランド |
● 2-3 |
△ 1‐1 |
● 1-2 |
― | 1 | -2 | 4 | 6 |
スペインが本命と見られていたグループだが、セルヒオ・ラモスの落選問題や新型コロナウィルスの影響など大会前からゴダゴダのあったスペインがスウェーデン戦、ポーランド戦と連続ドローと低調な出来が続き、ルイス・エンリケ監督の起用法とチャンスをことごとく決めきれなかったアルバロ・モラタに批判が集まる。初戦でポーランド相手に勝利したスロバキア、2試合目でそのスロバキア相手に勝利したスウェーデン、そしてスペインと引き分けたポーランドと最終節を前に4チームに突破の可能性が十分にある混戦模様となった。
伝統の4-4-2をベースとした手堅いサッカーのスウェーデンは、10番エミル・フォルスベリがポーランド戦で2ゴールの活躍と試合終了間際の劇的なビクトル・クラーソンの決勝ゴールで勝利し、スペインを出し抜いての首位通過に成功。バロンドール候補にも挙げられるロベルト・レヴァンドフスキを擁するポーランドだったが、レヴァンドフスキの意地の2ゴールも実らず、最下位でグループステージ敗退となった。
スペインとスロバキアの戦いは、コロナ陽性によって欠場していたセルヒオ・ブスケツの復帰によって中盤のクオリティが蘇ったスペインが大量5ゴールを決めて大勝。これまでの鬱憤を晴らすゴールラッシュで2位通過を決める。スロバキアはGKマルティン・ドゥブラフカの信じられないオウンゴール献上でリズムが狂い、守備が崩壊しての大敗となり、3位ながらも残ることはできなかった。
順 位 |
国名 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
勝点 | 得失 点差 |
得 点 |
失 点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() フランス |
― | ○ 1-0 |
△ 2-2 |
△ 1-1 |
5 | 1 | 4 | 3 |
2 | ![]() ドイツ |
● 0-1 |
― | ○ 4-2 |
△ 2‐2 |
4 | 1 | 6 | 5 |
3 | ![]() ポルトガル |
△ 2‐2 |
● 2-4 |
― | ○ 3-0 |
4 | 1 | 7 | 6 |
4 | ![]() ハンガリー |
△ 1-1 |
△ 2‐2 |
● 0-3 |
― | 2 | -3 | 3 | 6 |
ドイツとポルトガルは両チームの直接対決の結果によって順位を決定。
2018年W杯優勝のフランス、前回優勝のポルトガル、大会最多優勝回数を持つドイツという優勝候補の3チームが顔を揃える死のグループとしてもっとも注目されたグループ。
第1節では、優勝候補の筆頭に挙げられるフランスがマッツ・フンメルスのオウンゴールによってドイツとの直接対決を制し、まず頭一つ抜け出す結果となる。一方、ポルトガルはハンガリーを相手に3-0と順当に勝利。しかし、この死のグループをかき回したのは前回EUROでも躍進したハンガリーだった。
第2節圧倒的優位と見られたフランスがハンガリー相手に先制点を決められ、苦戦。アントワーヌ・グリーズマンのゴールで追いついたものの、粘り強い戦いぶりでそれ以上のゴールを許さなかったハンガリーがフランス相手に引き分けに持ち込む大番狂わせを演じる。ポルトガルvsドイツでは、先制点を許し崖っぷちに立たされたドイツだったが、左ウイングバックのロビン・ゴゼンスが何度もサイドを突破し、大量4ゴールを奪っての逆転勝利。死のグループは4チームに2位通過の可能性を残したまま最終節を迎える。
フランス相手にドローに持ち込んだハンガリーは、第3節のドイツ戦でも奮闘。ドイツは2度のリードを許す大苦戦を強いられる。それでも試合終盤のレオン・ゴレツカが同点ゴールを決め、辛うじて引き分けに持ち込み、2位での突破を決める。フランスvsポルトガルは、カリム・ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドというかつてレアル・マドリードでコンビを組んだ両チームのエースが2ゴールを奪い合う展開となり、引き分け。この結果、フランスが首位で突破し、ポルトガルは前回と同じく3位での突破となる。敗退となったハンガリーだが、強豪ぞろいの中で素晴らしい戦いぶりを見せたグッドルーザーとなった。
6月26日 アムステルダム
エースの離脱・連敗スタートから這い上がった不屈のデンマークが4ゴールを奪ってのベスト8入り。
序盤こそウェールズがペースを握り、ベイルがミドルシュートでゴールを脅かすが、前半27分体調不良で欠場したポウルセンに代わって初スタメンを飾ったドルベリの鮮やかなミドルシュートが決まり、デンマークが先制。試合はそのままデンマークが主導権を握るようになる。
後半3分には、相手DFのクリアミスに反応したドルベリがまたしてもゴールネットを揺らす。前がかりになるウェールズに対し、守勢に回るデンマークは後半29分に主将のケアがハムストリングを痛めてピッチを去るアクシデントに見舞われる。だが、後半43分にメーレ、アディショナルタイム5分にはブライスヴァイトがダメ押しのゴールを決めたデンマークが終わってみれば4-0の圧勝。
離脱したエース・エリクセンのためにチームが団結したことで勢いづいた感のあるデンマークがまたも苦境を乗り切り、ベスト8進出を果たす。前回4強入りのウェールズは、チャンスはあったがデンマークの気迫の守備をこじ開けることができず。ベイルの奮闘も報われなかった。
6月26日 ロンドン
120分間の激闘は、途中出場の若手2人が試合を決めたイタリアに軍配。
グループステージで圧倒的な強さを見せたイタリアが順当に勝つと予想された試合だったが、ブンデスリーガ連合軍のオーストリアが予想以上の抵抗を見せ、優位に試合を進める。徐々に盛り返してきたイタリアも左サイドのスピナッツォーラの攻め上がりを中心に反撃を見せ、一進一退の好ゲームとなる。後半も勢いが衰えないオーストリアは、後半20分にアルナウトビッチがヘディングシュートを決め、ついにゴールをこじ開けたかと思われたが、VARの判定によってオフサイドを取られ、ゴールを取り消される。判定に救われたイタリアは、ロカテッリ、ペッシーナ、ベロッティ、キエーザを次々と投入。総力戦に打って出るが、膠着状態が続き試合は延長戦に突入する。
すると、延長前半5分途中出場のキエーザがDFを一人かわして左足を振り抜いたシュートを決め、ようやくイタリアが先制。さらに、延長前半15分CKの流れからペッシーナがゴールを決め、リードを広げる。諦めないオーストリアも延長後半9分にCKからカライジッチがゴールを決め、食い下がる。今大会初失点を許したイタリアだが、その後のオーストリアの反撃を凌ぎ、辛くも逃げ切りに成功。
予想以上の大苦戦を強いられたイタリアだったが、最後は選手層の厚さで差を付け、国際Aマッチ31試合無敗という記録を樹立するとともに、4大会連続でのベスト8進出を果たす。敗れたオーストリアも強豪相手に互角以上の戦いを見せ、試合後主将のアラバが語ったように誇りにできるチームだった。
6月27日 ブダペスト
デ・リフトの退場が重くのしかかったオランダに対し、チェコが枠内シュート0本に抑える完勝。
立ち上がりからボールを保持して押し込もうとするオランダだったが、今大会で初めて地元以外の地でプレーする影響もあってか全体的に動きが重く、本来の怒涛のような波状攻撃が見られない。一方のチェコは、序盤こそ耐え凌いでいたが、徐々に組織的な守備でオランダの攻撃を狙いどころで抑え、カウンターから次々とチャンスを作り出し、試合の流れを引き寄せる。
後半立ち上がりの決定機を逃し、嫌なながれとなったオランダは後半7分デ・リフトが故意に手でボールを触って決定機を防いでしまい、一発退場になり、10人での戦いを強いられる。
数的優位となったことで攻勢を強めるチェコは、後半23分セットプレーの流れからホレシュが頭でゴールを決め先制する。攻撃の枚数を増やし、リスク覚悟で攻めようとするオランダだったが、後半35分ホレシュの折り返しをエースのシックがしっかりと決めたチェコがダメ押しとなる追加点を奪う。じり貧状態のオランダは、攻守ともに最後までチェコを上回ることができなかった。
チェコは相性の良いオランダを相手に最高のパフォーマンスを見せ、2大会ぶりのベスト8進出。オランダに退場者が出たことを差し引いても、試合内容で完全に上回っていた。
枠内シュート0本に終わったオランダは、確かにデ・リフトの退場は痛かったが、それ以上に負けるべくして負けたちぐはぐなパフォーマンスに終始した。
6月27日 セビージャ
アザール弟のゴラッソでポルトガルの連覇の夢を打ち破ったベルギーだが、高すぎる代償を支払うことに。
前評判通りの強さで順当に勝ち上がったベルギーと死のグループを3位で抜けてきた前回王者ポルトガルの強豪同士の注目の一戦。
お互いに中盤での激しい潰し合いを見せ、互いの長所を消し合う展開が続く中、ボールを保持するベルギーに対し、グループステージと中盤の顔ぶれを変えてきたポルトガルがカウンターで応戦する展開となる。
試合を動かしたのはエデン・アザールではなく、弟のトルガンだった。前半42分波状攻撃からT・アザールがPA手前左からアウトにかけたスーパーゴールを決め。ベルギーが先制する。
1点リードで後半に入ったベルギーだったが、開始早々に前半相手のタックルで左足首を負傷していたデ・ブライネがピッチを後にするアクシデントに見舞われる。大黒柱を失ったベルギーは次第に守勢に回るようになり、1点を追うポルトガルが猛攻を仕掛ける構図となる。
しかし、ポルトガルは3CB全員がオーバー30というベルギーの5バックの前に攻めあぐね、頼みのクリスティアーノ・ロナウドも沈黙。
ベルギーは今度はエデン・アザールがハムストリングを痛めてピッチを後にし、攻撃の二枚看板が揃って故障してしまう。シュート24本を浴びながら完封でベスト8進出を果たしたが、そのために高い代償を支払うこととなった。
敗れたポルトガルは、守備重視の戦い方によって前線のタレントたちがフルに力を発揮することができず、連覇の夢は途絶えることとなった。
6月28日 コペンハーゲン
延長戦までもつれ込んだ壮絶な乱打戦は、守護神のよもやのミスを乗り越えたスペインが制す。
ロブレンを出場停止で、ペリシッチをコロナ陽性で欠くクロアチアが自陣に引いてきたため、スペインが序盤から一方的に押し込む展開に。しかし、前半20分GKウナイ・シモンが何でもないバックパスをトラップミスし後逸する信じられないミスを犯し、オウンゴールとなる。
つまらないミスで自滅したスペインだったが、前半38分に分厚い波状攻撃からサラビアが決め、同点に追いつく。
後半も攻勢に出るスペインは、後半12分アスピリクエタのヘディングシュートで逆転。ブスケッツとペドリのバルサコンビを軸にスムーズにボールを動かすスペインは完全に主導権を握ると、後半32分にフェラン・トーレスがゴールを決め、リードを広げる。
だが、クロアチアもしぶとさを見せる。後半40分混戦の名からオルシッチが決めて1点を返すと、終了間際の土壇場でパシャリッチが決め、試合は延長戦に突入。
延長前半のピンチをウナイ・シモンが汚名返上のビッグセーブで凌いだスペインは、何かと批判の矛先となっていたモラタが延長前半10分に値千金の勝ち越しゴールを決める。その3分後にもオヤルサバルが5点目を決めたスペインが乱打戦を制し、2大会ぶりのベスト8進出を果たす。
6月28日 ブカレスト
敗色濃厚からミラクルを起こしたスイスが世界王者フランスを撃破する歴史的勝利。一夜にしてW杯ファイナリスト2チームが姿を消すことに。
リュカ、ディーニュと左SB二人を欠いたフランスは、ラビオを左WBに置いた3バックを採用。しかしこれが裏目に出て噛み合わず、低調な試合の入りとなる。前半15分にはセフェロビッチがヘディングシュートを決め、スイスが先制する。調子の上がらないフランスは後半から4バックに戻す。後半7分にスイスにPKを与えてしまうが、GKロリスがビッグセーブでピンチを凌ぐ。
すると、後半12分芸術的なトラップからベンゼマが2試合連続ゴールを決め、フランスが同点に追いつく。2分後にはグリーズマン、エムバペの連携で崩し、ベンゼマがまたもゴールを決める。後半30分にはポグバが完璧なミドルシュートを決め、このとき多くの人がフランスの勝利を確信しただろう。
しかし、終盤にスイスがミラクルを起こす。後半36分にまたもセフェロビッチがゴールを決め1点を返すと、後半45分にガブラノビッチがミドルシュートを決め、スイスが土壇場で同点に追いつく。
延長戦でスコアは動かず、決着はPK戦へ。5人全員が成功させたスイスに対し、フランスは5人目のエムバペがGKゾマーに止められ失敗。
2点差を劇的に追いついて世界王者を倒すジャイアントキリングに成功したスイスが初のベスト8進出を果たす歴史的な日となった。優勝候補筆頭と言われたタレント軍団フランスはまさかのベスト16で姿を消すことに。ノーゴールに終わった挙句最後にPKを失敗したエムバペにとっては失意の大会となってしまった。
6月29日 ロンドン
エース・ケインに待望の初ゴールが生まれたイングランドが天敵ドイツを破り、ベスト8進出。「最後にドイツが勝つ」に終止符を打つ。
ドイツのシステムに噛み合わせて3バックを採用したイングランドが、自慢の堅守によってドイツにボールを持たせつつ、ホームの声援を背に一進一退の展開へともつれさせる。押し込んでいたのはドイツのほうだったが、得意の塩試合に持ち込み、ドイツの長所を消していたイングランドがペースを握る試合展開となっていた。
後半に入っても膠着状態が続いていたが、後半25分素早いパス回しから左サイドのショーの折り返しをスターリングが押し込み、イングランドが先制する。
直後にドイツも決定機を迎えるが、名手ミュラーがGKと1対1のチャンスにシュートを枠の外に外してしまう。すると、後半42分ここまでノーゴールだったケインに待望の初ゴールが生まれ、イングランドが試合を決める。
1966年ワールドカップ決勝以降、タイトルのかかった試合で勝てなかった天敵ドイツを下したイングランドが4試合連続完封勝利でベスト8進出。ドイツはイングランドの堅守の前にらしさが出せず、16年続いたレーヴ体制はこれで終了となり、新たなサイクルに入ることに。
かつて「最後にドイツが勝つ」という名言を残したゲーリー・リネカーは、自らこの発言に終止符を打ったと宣言した。
6月29日 グラスゴー
伏兵同士の死闘は、延長後半終了間際の劇的なゴールでウクライナが初のベスト8進出。
両チームともにリスク管理を最優先させ、バランスを崩そうとしなかったことでしばらくの間膠着した状態が続く。
だが、前半27分ヤルモレンコからの絶妙なパスを受けたジンチェンコがゴールを決め、ウクライナが先制。その後もウクライナの守備に手こずるスウェーデンだったが、前半43分フォルスベリのゴール目が決まり、同点に追いつく。
後半はお互いに前に出る意識を強めたことでオープンな展開となるが、どちらも決め手を欠き、次第に消耗戦へと突入したことで動きのないまま延長戦へと突入。
延長前半9分スウェーデンはセンターバックのダニエルソンが危険な足裏タックルによって一発退場となり、10人になる。数的優位を活かしたいウクライナだったが、専守防衛策に入ったスウェーデンの前に決定機は作れず。
しかし、このままPK戦突入かと思われた延長後半終了間際にドラマは待っていた。ジンチェンコのクロスを延長後半から投入された代表3キャップ目のドヴゼクが頭で合わせてゴールを決め、ウクライナが劇的な形で勝ち越し、初のベスト8進出。チェコ、スイスに続いて3位通過からの下克上を果たす。2018年に日本がウクライナとの親善試合で完敗した際、ウクライナを格下呼ばわりした日本の各メディアは反省したほうがいい。
7月2日 サンクトペテルブルク
2試合続けて120分を戦ったスペインがPK戦を制してベスト4進出。10人になりながら2試合続けてのPK戦に持ち込んだスイスだが、力尽きる。
前半8分ジョルディ・アルバのボレーシュートがザカリアのオウンゴールを誘い、スペインが早々と先制。先制後もスペインが一方的にボールを保持し、試合をコントロールする。自陣に構えるスイスは前半19分にエンボロが負傷交代したこともあり、攻撃のプラン変更を余儀なくされる。
後半に入り徐々に攻撃に出るようになったスイスは、後半23分スペイン守備陣の連携ミスを突いてシャキリが同点ゴールを決める。
ところが後半32分激しいタックルを見舞ったフロイラーが一発退場となり、スイスは10人で戦うことになる。守勢に回らざるを得なくなったスイスだったが、スペインも攻めきれず、両チームとも2試合連続で延長戦を戦うことに。
延長戦もスペインが一方的に攻め込むが、スイスはGKゾマーのビッグセーブ連発もあって耐え抜き、PK戦に突入。
PK戦では、スペインの守護神ウナイ・シモンが2人を止める大活躍を見せたのに対し、スイスもゾマーが1人止めたが、4人中3人が失敗。苦しんだスペインが守護神に救われ、ベスト4進出。
ジャカの出場停止、エンボロの負傷、フロイラーの退場と苦難が続きながらフランス戦に続くジャイアントキリングかと思われたスイスだったが、力尽きた。
7月2日 ミュンヘン
事実上の決勝戦とも言われた全勝同士の直接対決は、イタリアが制し、予選から15連勝の大会記録を樹立。19歳ドクが躍動したベルギーは及ばず。
ベルギーはポルトガル戦で負傷したエデン・アザールは欠場となったが、デ・ブライネは強行出場。一方のイタリアは開幕戦で負傷していた主将のキエッリーニが復帰。
立ち上がりから互いにハイレベルな攻防を繰り広げる。ボール保持で上回るイタリアに対し、カウンターで応戦するベルギーはデ・ブライネとルカクがゴールに迫るが、GKドンナルンマのビッグセーブに阻まれる。
すると、前半31分バレッラがドリブル突破からゴールをこじ開け、イタリアが先制。さらに、44分にもインシーニェのゴラッソが決まり、2点をリード。ベルギーも前半終了間際にドクがPKを得ると、ルカクがこれを決め、前半のうちに1点差に詰め寄る。
後半、ベルギーは19歳のドクが再三チャンスを作るが、イタリア伝統の守備をなかなかこじ開けることができない。イタリアは今大会キーマンとなっていたスピナッツォーラがアキレス腱断裂の大怪我を負ってしまうが、試合のコントロールを失うことなく逃げ切りに成功。大会新記録となる15連勝という記録を樹立し、2大会ぶりにベスト4進出。
ベルギーはドクが躍動したが、デ・ブライネが本調子ではなかったことが響き、またも悲願のビッグタイトル獲得ならず。
7月3日 バクー
今大会のダークホース同士の対決は、快進撃を続けるデンマークが29年ぶりのベスト4進出。
開始5分右CKからゴール前でマークを外したディレイニーがゴールを決め、デンマークが先制する。その後も勢いに乗るデンマークが攻勢を見せ、チェコの反撃もGKシュマイケルを中心とする守備陣が弾き返してみせる。
すると前半42分ラウンド16で2ゴールを奪ってヒーローとなったドルベリがまたしてもゴールを決め、デンマークが前半で2点をリードする。
後半から2選手を入れ替えたチェコも後半4分シックが得点ランクトップに並ぶ今大会5得点目となるゴールを決め、1点を返す。
追いすがるチェコに対し、デンマークは交代枠を使いながら逃げ切り策に出る。デンマークはチェコの攻撃をいなしながら追加点のチャンスも作り出し、そのまま2-1で逃げ切りに成功。エリクセンの離脱に始まった数々の苦難を乗り切り、優勝した92年大会以来29年ぶりとなるベスト4進出を果たす。
デンマーク同様旋風を起こしてきたチェコだったが、開始早々セットプレーでマークを外すミスを犯したことが最後まで響いた。
7月3日 ローマ
目を覚ましたケインの2ゴールでウクライナを粉砕したイングランドが25年ぶりのベスト4進出。隙の無い完勝で一気に優勝候補筆頭に躍り出る。
ドイツ戦から4バックに戻したイングランドは、開始4分エースのケインがGKとの1対1を冷静に決める2試合連続ゴールで早々と先制。出鼻を挫かれたウクライナは、明らかに硬さが見えミスを連発。堅実に戦いながらチャンスを生み出すイングランドに一方的に押し込まれる時間が続く。
後半開始早々、ショーのFKを合わせたマグワイアのゴールでイングランドが追加点を奪う。さらに後半5分またもショーのアシストからケインが2ゴール目を決め、ほぼ試合の行方を決してしまう。18分には、途中出場のヘンダーソンにもゴールが生まれ、大量4点をリード。
何もできないまま大炎上のウクライナに対し、準決勝を見据えた余裕を見せるイングランドは、全く付け入る隙を見せず大会新記録となる5試合連続での完封勝利を記録。
自国開催だった96年以来29年ぶりのベスト4進出を果たしたイングランドは、残り試合をホームのウェンブリーで戦えるアドバンテージもあり、優勝候補の筆頭に躍り出た。
7月6日 ロンドン
スペインのポゼッションに苦しみ、内容では負けながらPK戦を制したイタリアが2大会ぶりの決勝進出。
4大会連続で顔を合わせることになった因縁の両雄の対決は、劣勢が予想されたスペインが優位に試合を進める。ダニ・オルモを偽の9番で起用したことで中盤の支配力を強めたスペインは、ボールポゼッションで優位に立ち、ここまで完璧な勝ち上がりを見せてきたイタリアを苦しめる。
後半になると、ラインを下げて堅守速攻の戦術に代えてきたイタリアが盛り返してくる。後半15分カウンターからキエーザが技ありのコントロールシュートを決め、イタリアが先制。
両チームが死力を尽くした死闘は延長戦でも決着は付かず、試合はPK戦に突入。
両チーム1人が失敗した中、スペイン4人目のモラタのシュートをドンナルンマが見事セーブ。イタリアは5人目のジョルジーニョがコロコロPKを決め、2大会ぶりの決勝進出を果たす。
スペインのポゼッションに後手を踏んだイタリアだが、伝統の堅守という引き出しを使い、しぶとく勝負に勝った。内容で上回りながら決めきれず、惜しくも敗れたスペインだが、18歳ペドリの活躍など収穫の多い大会となった。
7月7日 ロンドン
ケインの決勝ゴールで延長戦を制したイングランドが初の決勝進出。快進撃を続けたデンマークは疑惑の判定に泣く。
立ち上がりから圧力をかけてくるイングランドに対し、完全アウェイという環境の中でデンマークも徐々にリズムを掴み、互角の戦いに持ち込む。すると、前半30分ダムスゴーが縦回転をかけたFKを直接決め、デンマークが先制する。今大会初失点を喫したイングランドだったが、前半38分サカの折り返しがケアのオウンゴールを誘い、早いうちに同点に追いつく。
後半も一進一退のギリギリの攻防が続くも、互いに決め手を欠き、試合は延長戦へ。
迎えた延長前半12分スターリングがPA内でメーレに倒され、イングランドがPKを獲得。スターリングのダイブにも見えたがなぜかVARは採用されず。ケインのPKはシュマイケルに止められるが、こぼれ球を自ら押し込み、ついにイングランドが先制する。残り時間を守り切ったイングランドは、初の決勝進出を果たし、1966年ワールドカップ以来のタイトル獲得へ王手をかけた。
エリクセンの悲劇を乗り越え、快進撃を続けた不屈のデンマークだったが、厳しい判定に泣かされ、躍進はついに終了となった。
7月11日 ロンドン
ベルギー、スペインと強豪との戦いを制し、今大会もっともクオリティの高いサッカーを見せて決勝へと辿りついたイタリア。台風の目となったデンマークを倒し、聖地ウェンブリーでの初優勝を目指すイングランド。共にサッカー大国としての復権を目指す戦いとなった。
ドイツ戦で採用した3バックで挑んだイングランドは開始2分ロングカウンターからショーがボレーシュートを叩き込み、早々に先制する。まさかの開始早々の失点となったイタリアだが、5バックで守りを固めるイングランドにボールを持たされ、攻めあぐねてしまう。前半はプラン通りの戦いを遂行したイングランドが主導権を握る形となった。
後半もイングランドの堅守の前に打開策の無いイタリアだったが、インシーニェを最前線にした布陣に変更してから攻勢に出るようになる。そして後半23分CKの流れから最後はボヌッチが押し込み、イタリアが同点に追いつく。その後は互いに譲らず、延長戦に突入。延長戦に入っても一進一退の激しい戦いが続くが、両チームの守備陣が最後まで集中を切らさなかったことで優勝の行方はPK戦に委ねられる。イングランドはPK要員として投入されたラッシュフォードとサンチョが立て続けに失敗。イタリアもPK職人ジョルジーニョがGKピックフォードに止められる。しかし、直後にサカのPKをイタリアの守護神ドンナルンマがストップし、激闘の続いた大会に終止符を打つ。
こうして今大会はイタリアが53年ぶり2度目の優勝を飾ることとなった。2018年ワールドカップではまさかの予選落ちを経験し、暗黒時代到来かと思われたが、その3年後どん底に落ちた大国の威信は見事に復活した。新たに取り入れた攻撃的なスタイルと伝統の守備の強さを融合させ、王者にふさわしい戦いを続けた。
EURO2020 大会結果 | |
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優勝 | ![]() |
準優勝 | ![]() |
3位 | ![]() |
3位 | ![]() |
個人表彰 | |
大会最優秀選手 | ![]() |
最優秀若手選手 | ![]() |
得点王 | ![]() ![]() |
大会ベストイレブン | |
GK | ![]() |
DF | ![]() ![]() ![]() ![]() |
MF | ![]() ![]() ![]() |
FW | ![]() ![]() ![]() |
欧州11か国での分散開催、新型コロナウィルスの影響で開催が1年延期と異例の状況で開催された大会は、2日目にデンマークのクリスティアン・エリクセンが心肺停止で試合中に突如倒れるという事件が世界中に衝撃を与えることとなった。グループステージの中でもフランス、ドイツ、ポルトガルという優勝候補に挙げられるチームが同じグループで顔を合わせることになり、3チームともが決勝トーナメントに進んだものの、ラウンド16でいずれも大会から姿を消すことになった。タレントが揃い、優勝候補の最右翼と見られていたフランスだったが、恒例のチーム内での内紛が大会前から話題になり、2018ワールドカップで見せた手堅さが失われていた。
大黒柱・エリクセンを失い、開幕から2連敗というピンチに陥りながら、史上初の連敗からのグループリーグ突破を決めてからは見事な快進撃を見せ、1992年大会以来のベスト4進出を果たすなど記憶に残るチームとなった。他にもフランスを破ったスイス、オランダを破ったチェコの躍進が目立つ大会となった。
準決勝以降は全ての試合が延長戦までもつれ込み、うち2試合がPK戦に突入するなど拮抗した試合が続いた。そんな中、まるでクラブチームが見せるような質の高いサッカーを披露し、日替わりでヒーローが現れ、終盤はジョルジョ・キエッリーニ、レオナルド・ボヌッチといったベテラン勢による老獪な守備が光ったイタリアが52年ぶり2度目の優勝を飾った。ホームアドバンテージとトーナメントの山に恵まれたこともあって勝ち進んだイングランドだったが、あと一歩のところで1966年ワールドカップ以来のタイトル獲得を逃す。PK戦での若手に命運を任せたガレス・サウスゲート監督の采配が物議を醸すこととなる。
大会最優秀選手には準決勝・決勝と共にPK戦でシュートストップを見せたイタリアの22歳の守護神ジャンルイジ・ドンナルンマ、最優秀若手選手には18歳ながら全試合にほぼフル出場し、アンドレス・イニエスタの再来とも言われたスペインのペドリが選ばれ、新時代の到来を予感させる選出となった。
史上初の試みとなった11か国・11都市での分散開催だが、ハンガリーなど国によっては6万人の観客が入り、決勝のウェンブリーでは67,137人を動員するなど、コロナ前の活気が戻ってきた感があり、長らくロックダウンが続いていた欧州に日常が戻ってきたことを告げる大会ともなった。その反面、チームによって移動距離に大きな差が出てしまい、コンディション面で不平等感が出てしまったことは否めなかった。このことを踏まえ、UEFAのチェフェリン会長は「もう二度とやらない」と明言している。
大会のゴール数は142ゴールとなり、前回の109を大きく上回り、過去最多記録となっている。これに出場チーム数が24に拡大されたことが大きいが、1試合あたりの平均ゴール数も2.47と実は過去最多の記録を更新している。ちなみにスコアレスで終わった試合はグループステージのイングランドvsスコットランド、スペインvsスウェーデンの2試合のみである。また、2018 FIFAワールドカップと同じくオウンゴールが非常に多いことが特徴的で、オウンゴールが10ゴール生まれたのは過去最多である。ちなみに今大会のファーストゴールもイタリアvsスイス戦のオウンゴールだった。
掲示板
3 ななしのよっしん
2021/07/01(木) 04:42:30 ID: z9tVgl9e2j
スマホだけでWOWOW見れるようになっちまったからまったくニコニコに人がいない
4 ななしのよっしん
2021/07/01(木) 21:24:36 ID: nY2xDpZdp6
流石にフランスとポルトガルがベスト16で消えたのは予想外だったが、フランスは家族が内紛を起こしていたとは
それより、スペインサッカー協会はペドリを過労死させるつもりか・・・
5 ななしのよっしん
2021/07/04(日) 13:27:43 ID: nSGHZSqRA7
ベスト4が出そろったけど、イングランドが最有力候補かな。ここにきてハリー・ケインが調子を上げてきたし、何よりも準決勝と決勝をウエンブリーで戦えるのが大きい
個人的にはフォーデンに活躍してもらいたいのだが
急上昇ワード改
最終更新:2023/06/03(土) 01:00
最終更新:2023/06/03(土) 01:00
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