クライムカイザー(Climb Kaiser)とは、1973年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。
馬名の意味は「登りつめる+皇帝(独)」。
しかし、後にこの名前が彼や関係者を苦しめ苛む一因ともなってしまった。
通算成績21戦5勝[5-4-3-9]
主な勝ち鞍
1976年:東京優駿(八大競走)、京成杯、弥生賞
父はイットーらを輩出し母の父としても優秀な*ヴェンチア、母クインアズマ、母父*シーフュリューという血統。
種牡馬として優秀な*ヴェンチア産駒ではあるが、総合的にはそこまで優れていると言える血統ではなかった。
デビューは早く、旧3歳の6月に当時ダート馬場しかなかった札幌でデビューするがそこでは3着。2戦めできっちり勝ち上がり、3戦目ではレコード勝ち。
自信を深めたものの、ここからいまいち勝ち切れないまま連敗街道を進んでしまう。ただ、4着以内には入線しており惨敗しているわけではない。
年が明けて旧4歳となって緒戦の京成杯を勝ち重賞馬となった。しかし次走では関西の期待を一身に背負い東上したテンポイントに軽くひねられてしまった。
弥生賞では朝日杯で完敗したボールドシンボリを打ち破って重賞二勝目を挙げる。これで主役級の一頭として関西馬テンポイントを迎え撃つ……はずだったのだが、1番人気となったテンポイントはともかく、重賞実績こそないものの年明けデビューから圧倒的スピードで圧勝を続けていたトウショウボーイがテンポイントに対抗する1番手として祭り上げられたのである。
クライムカイザーは一応3番人気とはなったものの、なんとなしに不憫さが感じられた。しかし、この世間の評価は間違ってはおらず、ストライキが絡み府中開催にずれ込んだこのレースをトウショウボーイは圧勝で飾ったのである。2着テンポイントとの着差5馬身はダイナナホウシュウの8馬身差ほどではないが、驚愕の大差である。
クライムカイザーは5着。前走で負かした朝日杯馬ボールドシンボリにも負けてしまうほどの完敗であった。
前走皐月賞ではトウショウボーイに叩き潰された形となった彼だが、ダービーではリベンジを誓い調教に励む。
対するトウショウボーイ陣営は若干舞い上がっていたのか、主戦騎手がまだ完成に至っていないボーイの弱点をポロッと漏らすというミスを犯す。
これを聞いたクライムカイザーの主戦騎手加賀武見は、とある策を練り上げる。ボーイに比べれば一枚落ちるかもしれない、しかし世代屈指の力を持つ彼だからこそ成せるとっておきの策を。
4番人気とやはりそれなりに高い評価を得て、ダービーに出走。レースはトウショウボーイが圧倒的スピードで押し出され気味に先頭に立つ展開。
そして、4角を回っても余裕の手応えで仕掛けを伺うボーイに、外から猛然と早仕掛け気味にクライムカイザーがやってくる。そして……
内ラチ沿いにいたボーイに向かって斜めに猛進し馬体を接し、それに怯んだボーイの前にカットインするというラフ気味な騎乗で一気に先頭に立つ。
ボーイも体勢を立て直し追いすがるものの、仕掛けどころで怯んで緊張が解けた影響は大きく結局クライムカイザーが押し切り優勝。1976年のダービー馬となった。
そう、当時のボーイは他の馬に並ばれることが少ないためか、併せられると一瞬怯むという弱点を抱えていたのである。これをばらしてしまった当時の主戦騎手池上昌弘の致命的ミスが招いた敗戦といえる。
無論、快速馬を相手に後ろから一気に並びに行くという事自体かなりリスキーであり、並の馬なら並ぶのが精一杯でバテるか、ヘタすると追いつくことも出来ない。
闘将・加賀武見乾坤一擲の策は、クライムカイザーの実力が伴わねば実行できなかったことも確かであり、この勝利は彼の名誉を貶めるものではない。
しかし、斜行で失格するギリギリの強引な騎乗で大スターへの道を歩んでいた天馬を撃墜した代償は殊の外大きく、世間は「犯罪皇帝(Crime Kaiser)」と呼び、彼を貶めた。
となれば、この後のレースが大事になってくるのだが、この後彼に勝利の女神が微笑むことはなかった。札幌記念に出走するボーイを追いかけ、彼も札幌記念に出走するも諸共にグレートセイカンに敗れ、天馬にも及ばず3着となる。
その後は菊花賞路線に挑むが、トライアルで見事に二連敗。しかしトウショウボーイ以外には負けなかった。
菊花賞では関西の星テンポイントを差し置いて打倒天馬一番手として臨むが、長距離が不得手なヴェンチア産駒ということもあり5着に敗れ去る。この後は休養に入った。
旧5歳、年明けのAJC杯で菊花賞馬グリーングラスに完敗。その後も掲示板こそ外さないものの勝てないまま、天馬との再戦となった宝塚記念ではハナを切って前半超スロー後半超激流に持ち込んだトウショウボーイの前に惨敗。最下位6着に敗れてしまう。
その後故障し引退。種牡馬となったものの、現役時代に負わされた汚名故か全くの不人気で年に数頭種付けするくらいであった。それでも重賞馬で、ダービー二番人気となったマイネルブレーブを輩出したのは意地であったか。
その後、1994年に種牡馬引退。功労馬として余生を過ごし2000年に亡くなった。享年28歳。
奇しくも、彼に代わるかのようにトウショウボーイのライバルとなったグリーングラスが亡くなった3ヶ月後であった。
栄光のダービー馬にも関わらず、悪し様に言われてしまう数少ない例になってしまったクライムカイザー。しかし、無敵の快速馬を撃墜した彼の一世一代の大激走の価値は今でも歴史の中で燦然と輝いている。
*ヴェンチア Venture 1957 黒鹿毛 |
Relic 1945 青毛 |
War Relic | Man o' War | |
Friar's Carse | ||||
Bridal Colors | Black Toney | |||
Vaila | ||||
Rose O'Lynn 1944 鹿毛 |
Pherozshah | Pharos | ||
クライムカイザー 1973 黒鹿毛 |
Mah Mahal | |||
Rocklyn | Easton | |||
Rock Forrard | ||||
*シーフュリュー 1957 青毛 |
Sicambre | Prince Bio | ||
Sif | ||||
Hell's Fury | Dante | |||
クインアズマ 1968 青毛 FNo.7 |
Sister Sarah | |||
カツラアズマ 1961 黒鹿毛 |
Premonition | Precipitation | ||
Trial Ground | ||||
*ルーミナスサイト | Big Game | |||
Incandescent | ||||
競走馬の4代血統表 |
掲示板
38 ななしのよっしん
2023/11/06(月) 19:06:24 ID: FCxtbFt2ze
結局反則にも失格にもなってない相手に筋違いなヘイト向けてるファンが悪いじゃん
そんな卑劣な行為は時代関係無く絶対に肯定されるべきではないよ
39 ななしのよっしん
2023/12/12(火) 02:19:13 ID: lklOR6n8k3
2023年の今なら何とでも言えるだろうけど
当時の空気を今の価値観でぶった切ることほど無粋なことも無いと思う
40 ななしのよっしん
2024/09/15(日) 13:20:14 ID: O5AjoAhzOF
反則スレスレで済ませるのはむしろ技量の内なのにな。
言っちゃ悪いが、大衆ギャンブルだからね。民度低いのは今も昔も変わらんし。
そういうのがムカつく心理はわかるが口にして良いことと悪いことがあるってのも今も昔も変わらんのだ。
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最終更新:2024/11/01(金) 08:00
最終更新:2024/11/01(金) 08:00
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