サクラ軍団とは、1980年代から1990年代にかけてGI戦線を賑わせた、冠名に「サクラ」を持つ競走馬の総称である。
馬主は株式会社さくらコマース、全盛期には主に境勝太郎厩舎に所属し小島太騎手が主戦を務めていた。
創業者は朝鮮半島南部出身の、全演植(ジョン・ヨンシュク)・鎭植(ジンシク)兄弟。
日本統治時代に日本へ渡ってきたのち、府中を拠点としてパチンコ店やスーパーマーケット(現在は全店舗閉店)、食料品製造業などを展開。おもな子会社として焼肉のたれや韓国料理で有名なモランボンがある。
拠点である府中に競馬場が存在したこともあり、1950年代に会社名義で馬主としての活動を開始。(ちなみに個人名義の馬も存在し、こちらの勝負服は桃・白二本輪・桃袖。)徐々に規模を拡大させていくと、1973年にサクライワイで函館3歳ステークス(現・GIII函館2歳ステークス)を制し重賞初制覇。
この頃上記の境調教師・小島騎手(初重賞制覇時の鞍上でもある)と出会い親交を深めると、全氏は境厩舎への預託を大幅に増加。小島騎手が境勝太郎調教師の娘婿となったこともあり、その手綱を主に取ることとなった。
1978年にはサクラショウリ(この馬は小島騎手主戦だが境厩舎ではない)が日本ダービーを制して八大競走初制覇。その後80年代に入るとサクラユタカオーやサクラスターオーらがGI戦線で活躍。馬主ランキングでも1978年から1982年にかけてと、サクラユタカオーが活躍した1986年に2位を獲得。また1986年には仏GIモルニ賞をフランス調教馬の*サクラレイコで制している。
全演植氏は1993年にこの世を去ったがその息子全尚烈(ジョン・サンヨリ)が馬主業を引き継ぎ、サクラバクシンオーやサクラチトセオーなどがなおも活躍。サクラローレルがGIを2勝した1996年には再び馬主ランキング2位に輝いている。
1997年に境調教師が引退し、すでに騎手から調教師に転身していた小島が後を継ぐ形で厩舎を開くと引き続き預託を行い、現役終盤のサクラローレルが所属した他、小島厩舎からはサクラプレジデントなどが活躍。その後預託先は小島厩舎に限らなくなり、特に友道康夫厩舎のサクラメガワンダーやサクラセンチュリーなどが重賞戦線で活躍した。
現在では規模も大分縮小したが馬主業は続けられており、ぽつぽつ重賞戦線に顔を出す馬も存在している。2025年1月現在で中央GI通算13勝(八大競走を含む)、中央重賞通算81勝(地方交流競走を含む)、海外GI1勝。
同時期に活躍したメジロ軍団と対比して「スピードのサクラ、スタミナのメジロ」と呼ばれた通り、マイル~中距離戦線でそのスピードを武器に活躍した馬が多かった。特に顕著な例が毎日王冠(1800m)と天皇賞(秋)(2000m)を距離レコードで制したサクラユタカオーと、その産駒でスワンステークス(1400m)とスプリンターズステークス(1200m)を距離レコードで制し、スプリント路線そのものを開拓したサクラバクシンオーであろうか。そのほか1600mと2200mでも距離レコードをサクラ軍団の馬が有していた実績がある上、サクラチヨノオーがダービーレコードを持っていたこともある。
活躍馬は圧倒的に牡馬が多く、牝馬による中央GI勝利はサクラキャンドルによるエリザベス女王杯のみ、重賞勝利も6勝のみである(海外を含めると前述の*サクラレイコがGIとGIIIを1勝している。)八大競走についても牡馬が出走可能な6競走は勝利しているが、残る桜花賞とオークスはともに2ケタ着順が最高と振るわない。(牝馬三冠という観点では、前述のサクラキャンドルが3歳限定戦時代のエリザベス女王杯を勝っているほか秋華賞でも最高2着がある)
またGI13勝のうち4勝が、重賞81勝のうち21勝がおひざ元というべき府中競馬場で挙げられたものである。
メディアミックスコンテンツ「ウマ娘プリティーダービー」には、2024年12月現在サクラ軍団の馬から以下の4名がウマ娘として登場している。
メジロ軍団の馬(メジロ家)とは異なり同じ一族というわけではなく繋がりは当初不明であったが、TSクライマックスシナリオのランダムイベントで彼女らがかつて所属していたクラブチームとして「ヴィクトリー倶楽部」という単語が登場。名前の元ネタはいうまでもなく境勝太郎元調教師であろう。
また、サクラローレルを主人公としたコミカライズ『スターブロッサム』では、サクラローレルはじめ上記メンバーが所属する「チームアルケス」が登場。作中には、境厩舎所属のサクラローレルの同期であるサクラエイコウオーをモチーフにしたと思われる「ヨシノプリヴェール」というウマ娘も登場している(サクラ→ソメイヨシノ→ヨシノ、エイコウオー→栄光→勝利→prevail)。
チームの人間側では、副主人公でローレルの担当となるサブトレーナーの明石椿(あけいし・つばき)と、その父でトレーナーの明石梧郎(あけいし・ごろう)が登場する。「明石」を普通に「あかし」と読むと「AKASI」→「SAKAI」で「境」のアナグラムであり、ローレルの担当とチームのメイントレーナーが親子という関係も、前述の小島太騎手と境勝太郎調教師の関係がモチーフと思われる。
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最終更新:2025/12/23(火) 07:00
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