メロディック・スーパー・ハード・キュアとは、岡崎律子と日向めぐみ(=meg rock)の女性シンガーソングライター二人組ユニット、メロキュアのアルバムである。2015年8月26日発売。2015年10月2日よりハイレゾ版配信開始。
概要
2004年3月に発売された「メロディック・ハード・キュア」以来となるアルバムで、シングルを含めても2005年7月発売の4thシングル「ホーム&アウェイ」以来、およそ10年ぶりとなるメロキュア名義でのCDリリースとなる。
メロキュアのリーダー・岡崎律子は2004年5月に亡くなっているが、その後もメロキュアはユニットとして活動休止も解散もしていない。そのため、本作のリリースに対してメロキュアの「復活」や「再始動」という概念を当て嵌めるのは誤りであり、当然であるが公式サイトにもそのような記述は存在しない。
2014年12月に行われた日向のワンマンライブにおいて、メロキュア楽曲と日向めぐみ名義の全楽曲を一つにまとめたアルバム作品として本作の制作が発表された。日向のライブの観客にも、メロキュアを知らない若い世代のファンが増えてきたことがリリースの大きな理由になったとのことである。
アルバム前作「メロディック・ハード・キュア」収録の全楽曲に加え、未収録だった「ホーム&アウェイ」「So far, so near[acoustic version]」と日向めぐみ名義の「夏の向こう側」「ちいさなうた」を含めた全既発曲のリマスター版、岡崎と日向に縁の深い音楽関係者が結集して作り上げたリアレンジ・リミックス曲の新録4曲と岡崎の他アーティストへの提供曲の新録カバー2曲、音源化の要望が高かった岡崎がメインボーカルで歌う「Agape[switched edition]」、更に日向が歌う完全新曲1曲も含めたディスク2枚組全28曲の大ボリュームとなっている。
Disc1はメロキュアのオリジナル楽曲が計16曲、Disc2にリアレンジ、リミックス曲とカバー曲、日向めぐみ名義の楽曲が計12曲収録されている。Disc1の1曲目から15曲目までは前作「メロディック・ハード・キュア」と同様であり、16曲目のみ「ホーム&アウェイ」に変更されている。前作でボーナストラックであった「Agape[水の惑星 version]」はDisc2に収録されている。
日向が歌う岡崎の提供曲のカバーとして「ボクのキモチ」と「笑顔の連鎖」の2曲が収録される。
「ボクのキモチ」の原曲はアニメ「円盤皇女ワるきゅーレ」の登場キャラクターであるコーラス(CV:桑島法子)のキャラクターソングである。原曲では岡崎が作詞作曲を行い、日向が仮歌を録音して制作された。珍しくコロムビアからリリースされている岡崎の提供曲である。
「笑顔の連鎖」は、岡崎から多数の曲提供を受けていた堀江由衣の2004年リリースの4thアルバム「楽園」に収録されている楽曲が原曲であり、堀江の人気曲でありライブの定番曲でもある。もともと2006年に放送されたウェブラジオ「meg rockの1.2.3.4.GO!ロック!」の最終回で日向がスタジオライブでカバーしていた縁があった。2009年に日向が堀江に曲提供を行ったことをきっかけに2人に公私で交流が生まれ、今回も日向から相談を受けた堀江と、原曲の発売元であるキングレコードの全面協力により、原曲の岡崎のコーラスデータを使用したカバーが実現した。リアレンジは西脇辰弥が担当しており、日向めぐみ名義ではあるが限りなくメロキュア楽曲に近い仕上がりとなっている。
収録楽曲
・DISC1全曲、ならびにDISC2のM1~M7はメロキュアの楽曲。
・「Agape」の正式な表記は「Agapē」である。
Disc1
- Pop Step Jump!
- 1st Priority
- めぐり逢い
- 「虹を見た」
- 木枯らしの舗道を 花の咲く春を
- 向日葵
- Agape
- birthday girl
- 愛しいかけら
- Sunday Sundae
- ふたりのせかい
- ALL IN ALL
- rainbow kind of feeling
- So far, so near
- しあわせ
- ホーム&アウェイ
Disc2
- 1st Priority [メロキュア meets 末光篤 a.k.a. SUEMITSU & THE SUEMITH]
- Agape[メロキュア meets ミト & kz]
- ホーム&アウェイ [メロキュア meets 西脇辰弥 again]
- ふたりのせかい [メロキュア meets 川口圭太]
- Agape[水の惑星 version]
- So far, so near[acoustic version]
- Agape [switched edition]
- 笑顔の連鎖 (歌:日向めぐみ)
- ボクのキモチ (歌:日向めぐみ)
- 夏の向こう側 (歌:日向めぐみ)
- ちいさなうた (歌:日向めぐみ)
- my favoritz (歌:日向めぐみ)
プレリリースイベント
本作の発売前の2015年7月下旬から8月上旬にかけて、都内3ヶ所でミニライブ+メッセージカードお渡し会(アルバム予約者対象)のインストアイベントが行われた。なお、本作は当初は7月29日発売予定だったため、発売後のリリースイベントとなる予定だったが、8月26日に発売延期となったため、発売前のプレリリースイベントとなった。8月8日の渋谷でのイベント中には、2015年9月21日に行われるメロキュアとして初のワンマンライブの開催も発表された。開催場所とミニライブのセットリストは下記の通り。
2015年7月29日@HMVエソラ池袋店
(公開サウンドチェック:1st Priority)
1.Pop Step Jump!
2.1st Priority [メロキュア meets 末光篤 a.k.a. SUEMITSU & THE SUEMITH]
3.Agape
4.メロディック・スーパー・ハード・キュア スペシャルメドレー
2015年8月1日@タワーレコード新宿店
(公開サウンドチェック:Pop Step Jump!)
1.1st Priority
2.笑顔の連鎖
3.Agape
4.メロディック・スーパー・ハード・キュア スペシャルメドレー
2015年8月8日@タワーレコード渋谷店
(公開サウンドチェック:笑顔の連鎖、1st Priority [メロキュア meets 末光篤 a.k.a. SUEMITSU & THE SUEMITH])
1.1st Priority
2.ふたりのせかい [メロキュア meets 川口圭太]
3.Agape
4.メロディック・スーパー・ハード・キュア スペシャルメドレー
5.Pop Step Jump!
※メロディック・スーパー・ハード・キュア スペシャルメドレー:Sunday Sundae~愛しいかけら~向日葵~「虹を見た」~ALL IN ALL~めぐり逢い~ホーム&アウェイ
プレリリースイベント サポートメンバー(3ヶ所共通)
ギター:川口圭太 マニピュレーター:菅原拓
プレリリースイベント レポートリンク集
・メロキュア13年目の初ワンマン開催を本日発表(音楽ナタリー)
・メロキュア、プレリリースイベントで13年目の初ワンマンライブ開催を発表「ずっと妄想してました」(リアルサウンド)
・メロキュア「渋谷のどこにいたって聴こえる」アルバム発売前のインストアサーキットのオフィシャルレポが到着!初のワンマンライブ開催も発表!(リスアニ!WEB)
・メロキュア、13年越し初ワンマン開催決定を発表(ミュージックヴォイス)
リリースイベント
前述の通り、本作の発売延期に伴い、都内3ヶ所でのインストアイベントがCD発売より前のプレリリースイベントとなってしまったため、CD店着日となる2015年8月25日にタワーレコード横浜ビブレ店にてミニライブ+復刻オリジナル飛び蹴りステッカーお渡し会(アルバム購入者対象)が改めてリリースイベントとして行われた。特典となったステッカーは前作「メロディック・ハード・キュア」のリリースイベントでの特典を復刻したものである。店着日ということで特別に、イベント直前の日向の思い付きにより、サウンドチェック無しのぶっつけ本番で新曲「my favoritz」が初披露された。ミニライブのセットリストは下記の通り。
2015年8月25日@タワーレコード横浜ビブレ店
(公開サウンドチェック:笑顔の連鎖)
1.Pop Step Jump!
2.Agape
3.メロディック・スーパー・ハード・キュア スペシャルメドレー
4.my favoritz
5.1st Priority [メロキュア meets 末光篤 a.k.a. SUEMITSU & THE SUEMITH]
※メロディック・スーパー・ハード・キュア スペシャルメドレー:Sunday Sundae~愛しいかけら~向日葵~「虹を見た」~ALL IN ALL~めぐり逢い~ホーム&アウェイ
リリースイベント サポートメンバー
ギター:川口圭太 マニピュレーター:菅原拓
新録楽曲参加・協力アーティスト
- ミト
- スリーピースバンド・クラムボンのベーシスト。2010年12月にSUEMITSU & THE SUEMITHのライブを観た日向がサポートメンバーとして参加していたミトの演奏に感銘を受けてTwitterでフォローしたことをきっかけに知り合った。日向は当初は自分の存在をミトに認知されているとは思っていなかったが、実際にはミトはもともとメロキュアや日向、岡崎のソロ楽曲の長年のリスナーであった。翌年以降は日向からミトのソロ楽曲への歌詞提供や日向作詞・ミト作曲による他アーティストへの楽曲提供、日向のライブへのミトのサポート参加など、公私で日向とともに多岐に渡る活動を行っている。
2011年12月に日向のライブへ参加した際には、メロキュアの代表曲である「Agape」が岡崎のコーラスデータの紛失によりライブ演奏が出来なくなっていた状態だったが、自身の人脈を駆使して日本コロムビアのスタッフを動かして無事に発見し、約8年ぶりにオリジナルデータ使用でのライブ再演にこぎ着けるという大活躍を見せた。
本作のリリースに際しても、そのライブの際にミトがTwitterで発信した『この先、megさんがこの曲を唄ってくれる限り、「どこにいたって聞こえる」』という「Agape」の歌詞の一節を引用した言葉に背中を押された部分が大きいと日向は語っている。(ちなみにこの歌詞の一節は本作の公式ティザーサイトでも「2015夏 どこにいたって聞こえる」というキャッチフレーズとして使用されていた。)
ミトは本作ではAgapeの新録リミックスをkzと共作で担当している。ミトは本作での新録アレンジ制作オファーを受けて、手掛けたいメロキュア楽曲を日向に問われた際に「Agape」を即答したという。
2015年8月28日開催の「Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-」と同年9月21日開催のワンマンライブ「melodic hard tour」においては、ミトはベーシストとしてメロキュアのサポートバンドに参加している。
- 末光篤、柏倉隆史、鈴木俊介
- 末光はシンガーソングライター、ピアニストであり、ソロプロジェクトのSUEMITSU & THE SUEMITHとして活動している。toeやthe HIATUSとしても活動するドラマーの柏倉、ギタリストの鈴木、そして前述のミトはSUEMITSU & THE SUEMITHのオリジナルメンバーであり、本作では末光が1st Priorityの新録アレンジとピアノを、同曲で柏倉がドラム、鈴木がギターをそれぞれ担当している。
前述の通りミトが日向にTwitterでフォローされた際には、興奮したミトがフォローされた旨を即座に末光へメール報告したという逸話も残っている。
また、末光は2014年に発表された日向作詞・ミト作編曲の楽曲「the last day of my adolescense」でもピアノ演奏で参加している。
- 田淵智也
- ロックバンド・UNISON SQUARE GARDENのベーシスト。本作では新アレンジ版の1st Priorityのベース演奏を担当している。
田淵はもともとメロキュアのファンであり、かつてはインストアイベントにも(客として)参加していたという縁があったことから今回のコラボレーションが実現した。なお、田淵は1st Priorityの言葉の意味をメロキュアで覚えたとのことである。
余談だが、田淵は本作参加前の2011年に行われた大学の学園祭でのトークイベントで、メロキュアの「Agape」を好きなアニソンとして名指しで挙げていたこともある。
- kz
- ソロプロジェクト・livetuneを展開する音楽クリエイター。多くのVOCALOID楽曲やアーティストへの作詞、作曲やリミックスを手掛けていてニコニコ動画内でも知名度が高い。
日向とともに多くの楽曲制作をしている音楽家のnishi-kenの紹介で日向と知り合い、2014年発表の楽曲「monochrome」(Dancing Dolls)では日向作詞・kz作曲による楽曲提供を行っている。
本作ではミトと共作でAgapeの新リミックスを担当しており、kz本人によると「リズムとキラキラ担当」とのことである。
- 西脇辰弥
- 作曲家・編曲家であり、キーボードを中心とした楽器奏者である。メロキュアでは「愛しいかけら」「めぐり逢い」のシングル曲や代表曲の「Agape」など、多くの楽曲の編曲やピアノ演奏やハーモニカ演奏も担当している。「Agape」の間奏での特徴的なハーモニカも氏の演奏によるものである。
古くは岡崎がソロで1991年に発表した楽曲「4月の雪」の作編曲や、2004年発表の岡崎のアルバム「for RITZ」収録の「空の向こうに」「涙がほおを流れても」の作編曲も担当している。
本作では、「ホーム&アウェイ」と「笑顔の連鎖」の新アレンジ、ならびに「ホーム&アウェイ」の新アレンジ版でのハーモニカ演奏を担当している。
- 2015年8月28日開催の「Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-」と同年9月21日開催のワンマンライブ「melodic hard tour」においては、西脇はメロキュアのサポートバンドのピアニストとして参加している。
- 堀江由衣
- 声優、歌手、天使、永遠の17才。本作に岡崎の提供曲カバーとして収録された「笑顔の連鎖」の原曲アーティストである。
声優として「ラブひな」「フルーツバスケット」など、岡崎が主題歌の歌唱や楽曲提供を行っていたアニメ作品の多くで主演やヒロイン役を務めており、岡崎からもキャラクターソングの提供を受けたり、岡崎の楽曲をカバーしたりする機会が多かった。
本作発売の約2か月前に開催された「KING SUPER LIVE 2015」のコラボレーションコーナーにおいては、自身もカバーしている岡崎の代表曲「For フルーツバスケット」を田村ゆかり、喜多村英梨、小松未可子とともに歌い上げ、大きな反響を呼んだのは記憶に新しいところである。
個人名義でもシングル曲や自身のラジオ番組のテーマ曲など多くの楽曲提供を受けており、「笑顔の連鎖」は堀江のライブでも特に人気の高い定番曲のひとつである。
日向とは2009年放送のアニメ「化物語」でのキャラクターソング「sugar sweet nightmare」の提供がきっかけで知り合い、それ以降は公私で親交が深くなった。日向と堀江は初対面時にもお互いに岡崎からそれぞれの話を聞いていたこともあり、初めて会った気がしなかったという。
本作制作時には、日向が堀江に岡崎のコーラス音源使用での「笑顔の連鎖」カバーを相談したところ、堀江も賛同し、日本コロムビアから原盤権を持つキングレコードへの音源使用の正式オファー時には既にキング関係者に堀江を通じて話が伝わっていたという。まさに天使である。
- 川口圭太、山本陽介、かどしゅんたろう
- 川口は作編曲家、ギタリストであり、2011年以降の日向のソロ楽曲のメインアレンジャーである。山本も同じく作編曲家、ギタリストであり、かどはドラマーである。
本作では川口が「ふたりのせかい」の新アレンジ版のリアレンジと「my favoritz」の編曲とならびにそれぞれのギター、山本が「ボクのキモチ」のリアレンジとギター&ベース、かどが新アレンジ版の「ふたりのせかい」のドラムを担当している。
日向のライブにおいてはサポートメンバーとして川口と山本がダブルギター、かどがドラムを務めることが多い。ライブでは当然メロキュア楽曲も演奏しているため、この3名は現在のライブ現場でメロキュアの音を鳴らし続けているプレイヤーという立場でもある。
なお、本作の発売直前の7月から8月にかけて行われたメロキュアのインストアイベントでは、川口がサポートのギタリストとして各会場を回った。また、9月21日に行われたワンマンライブ「melodic hard tour」には川口と山本がサポートバンドのダブルギターとして参加している。
- Takeshi
- 2014年デビューの2人組兄弟ボーカルデュオ・REVALCYとして弟のTakumiと共に活動している。男女の違いはあるがメロキュアと同じく2人組ボーカルユニットであり、自身の楽曲のコーラスのセルフアレンジも行っている。
REVALCYの記念すべき初ライブとなった2014年11月のライブイベントにおいては、1曲目には自身の持ち歌ではなく、日向が中川翔子に歌詞提供した「空色デイズ」を男性ツインボーカル用に大胆にアレンジしたカバーを披露している。
- 本作では「ふたりのせかい」の新アレンジ版、「ボクのキモチ」、「my favoritz」の3曲のコーラスアレンジに参加している。
メロキュア楽曲の多くはコーラスアレンジを外部のアレンジャーに任せて生まれた新しいタイプのコーラスを楽しむという方針が取られているため、今回のTakeshiの起用もその方針に則ったものであるともいえるだろう。
また、2015年発表のREVALCYの楽曲「EXIT」では、逆に日向がコーラスで参加している。
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