ワイドFM 単語

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ワイドFMとは、AMラジオ放送をFMで聞くことのできる放送サービスである。正式にはFM補完放送と呼ぶが、在民放ラジオ3社がしみやすい称としてこの名称をつけており、他の放送局やラジオ受信機を製造している家電メーカーなどもこの名称をもちいている。

概要

単純に言ってしまえば、AMラジオの番組をそのままFM電波に乗せて同時に放送(サイマル放送)するというもの。

1990年7月に周波数の使用計画の中にAMの外波混信対策が盛り込まれたのがきっかけで、北日本放送が第1号として新FM中継局の運用を開始した。その後沖縄など離を中心に中継局が設置されるようになり、さらに地上アナログテレビ放送の終了を受けて、AM放送の強化のため、アナログテレビ放送終了いたVHF-Low帯(90108MHz、13ch)のうち、90.194.9MHzが補放送用として使えるようになった。

利用的として以下のパターンがある。

  • 都市難聴対策
    • 都市部では高層ビルが増え、それなどに遮られる形でAMラジオが受信しづらい状況が増えている。これを解消するためFMで受信できるようにするもの。これを的とする場合は新規割り当て周波数帯のみ利用可となる。
  • 波混信対策
    • 最初に始まった際の的で、日本海側や沖縄などでもろに外波混信の直撃を受ける場合に設置可。これについては新周波数帯だけでなく、既存の76.190.0MHzの周波数帯でも割り当て可。ちなみにこの外波混信対策は日本に限ったことではなく、韓国では既に(特に北からの)混信対策として標準FM放送SFM)が行われている。AM中波)からFMに転換した例もヨーロッパではしくなく、日本でも極東放送がFMに転換して現在FM沖縄になっている。
  • 地理的地形的難聴対策
    • などでAMが受信しづらい状況を解消する。こちらでも既存周波数帯の割り当ても可
  • 災害対策
    • 現在の最大のお題はこれ。AMの送信所はたいていの場合だだっ広い野っ原のどん中や沿いなどにあったりして、洪水による周辺の河川氾濫津波の直撃、液状化などによる地盤沈下、それ以外の要因を含めた送信設備の損壊などが発生すると使用できなくなってしまう。こうした事態に備える形で高所設置するFMでも放送できるようにする。基本的に新周波数帯のみだが、に必要な場合は既存周波数帯も使用できる。
    • 特殊なケースとしては南海放送野村局がある。もともと西予市野村町を中心としたエリアではAMが受信しづらく難聴取対策を的として2018年内の開局をして準備をしていたのだが、同年7月西日本豪雨で同エリアが甚大な被害を受け、情報入手手段が絶たれてしまった。そこで南海放送総務省四国総合通信局に期開局のための免許交付を要請、通信局は全初となる災害特例の臨機措置として免許を交付し、8月に繰り上げ開局となった。

FMということで、基本的に東京スカイツリーなどの電波や山頂などにある送信所から放送することになり、ラ・テ兼営局だったら既存の送信設備の流用もできる。また、雑音に強くクリアに聞こえるようになるほか、AMステレオ放送を実施している、またはしたことがあるなど、放送設備が既にステレオ対応になっていれば、FMで受信するとステレオで聞くことができるというメリットがある。
また、放送局によっては補局開局で既存AM中継局の放送エリアカバーできるようになったことから、当該中継局を止する事例も出てきている(例:IBC岩手放送前沢局 - 本局と補局でカバーでき、老朽化もしていた事から局、CBCラジオ岐阜局 - 補局で岐阜市内をカバーでき、朝鮮中央放送との混信対策がこちらでできるため)

なお勘違いしやすいが、FMに移行するのではなくサイマル放送を行うので、AMでもこれまで通り放送されるので、AMのあのノイズ感が好きだったり、遠距離受信の人はご安心を。もっとも、マニアになればEスポ発生時にワイドFMの遠距離受信を行う人が出てくるのかと思うが。また、これも特殊事例として、一時的にAMとワイドFMで別の放送を行う免許を取得すれば非サイマル放送は可であり、2018年3月11日には南海放送試験的に免許を取得して1時間だけAMとワイドFMで別の放送を行っている。

対応ラジオ

とはいえ、メリットばかりではなく、聞くためには「ワイドFMの受信ができるラジオ受信機」が必要となる。

もっとも、現在新たに発売されたラジオ等であれば、基本的にワイドFM対応をうたっているのでそれを買えば間違いないし、極端な話、ワイドバンドシーバー(航空線や鉄道線等を聞ける機器、通称『鳴物入』)でも可である。
既存のラジオでも、以下のようなものであれば受信可である。

逆にそうでないラジオもあったりする(特に商用カーラジオAMのみという場合が多い)し、近年ではradikoなどネット経由でラジオを聞くことができるようになっているので、今後は旧機種からの置き換えや放送局・家電メーカー・販売店によるアピールが普及のになるのかもしれない。
民放連スマートフォンメーカー携帯電話会社と共同でradikoの機を拡し、スマートフォン内蔵のFMチューナーに切り換えてFMラジオ放送波を受信できるスマートフォン「ラジスマ」のキャンペーン展開を始めている。

実施放送局とエリアについて

放送中ないし予定の放送局とその周波数については、ニッポン放送公式サイトにある特設ページexitにまとまっているのでそちらを参照されたい。また、予定を含んだ周波数割り当て状況についてはWikipediaの「FM補完中継局exit」の記事に一覧ができている。

2014年12月北日本放送南海放送が新周波数帯で放送を開始したのを皮切りに、順次全の放送局で放送開始や準備が進んでおり、大都市圏では2015年10月1日名古屋CBCラジオ東海ラジオが三山から、12月7日には東京TBSラジオ文化放送ニッポン放送東京スカイツリーから、2016年3月19日には大阪ABCラジオMBSラジオラジオ大阪が生駒山から、それぞれ放送を開始。そして2020年3月16日アール・エフ・ラジオ日本横浜中継局が開局したことで、全ての民放AM本局の補中継局の整備が了した。

なお、注意したいのは基本的に本局がある場所に中継局がおかれるため、に聴取出来るのはその局の中心的なエリアに限られることが多い。前述の大都市圏3地区も、スカイツリーを中心とした南関東都市圏名古屋市とその周辺及び岐阜三重の各一部・大阪府とその周辺に限られており、2016年3月に開始したRKBラジオKBCラジオの2局のように4つの中継局を使って福岡県全体をカバーする場合もあれば、同年10月に開始したHBCラジオSTVラジオの2局の開始時点のように北海道とは言っても広すぎるために札幌市とその周辺のみという場合もある。聴取エリア安は各放送局の公式サイトにあるのでそちらで確認されたい。

また、AM各局は経営難になるなか、老朽化したAM送信所の維持に窮する状態(上述のように広大な敷地に100m級のアンテナを立てる必要があり、メンテナンスはもちろん、建て替えをしようにも大な費用がかかる)となっており、将来的にはAMから維持費用が抑えられるFMに全面転換できるよう民放連総務省に働きかけ、総務省も専門会議での意見を経て検討を開始している。
しかし、この転換を進めると中波メリットである「広範囲かつ山間部にも電波が届きやすい」という性質が失われるため、今後山間部を中心とするFM中継局の整備が課題となるほか、広大すぎる北海道などにおいてはAM中継局も存続させるなどのプランも挙がっている。

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