上田利治とは (ウエダトシハルとは) [単語記事]

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上田利治（うえだとしはる）とは、元プロ野球選手・監督である。故人。

概要

OB
上田利治
基本情報
国籍	日本
出身地	徳島県海部郡
生年月日	1937年 1月18日
没年月日	2017年 7月1日
身長体重	177cm 71kg
選手情報
投球･打撃	右投右打
守備位置	捕手
プロ入り	1959年
引退	1961年
経歴
選手歴徳島県立海南高等学校関西大学広島カープ(1959年-1961年) 監督・コーチ歴広島カープ広島東洋カープ(1962年-1969年) 阪急ブレーブスオリックス・ブレーブス(1971年-1978年,1981年-1990年) 日本ハムファイターズ(1995年-1999年)
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1937年 1月18日生まれ。徳島県海部郡。魚屋を営む家庭で5人兄弟の長男として育った。

海南高等学校に進学。捕手としてプレーし、3年時には県大会準々決勝まで勝ち進んだが、甲子園大会には縁がなかった。野球以外の面では生徒会の仕事を真面目にこなし学業面でも優秀の優等生であり、担任教師からは弁護士になることを勧められていたという。

卒業後は弁護士を志して関西大学の法学部に進学、同期には村山実がいた。その村山とバッテリーを組み、リーグ戦を4度優勝、2年時には全日本大学野球選手権を関西勢では初めての優勝を飾った。

卒業後、1959年に広島カープに入団。上田自身はプロ入りに消極的だったが、退団後の就職先の保証など広島球団から熱心に説得され、それに応じる形で入団を決意した。ちなみに弁護士の夢は諦めてなかったようであり、キャンプには六法全書を持ち込み練習の合間に勉強していたという。

1959年、67試合に出場し打率.230、12打点をマークするなど、新人捕手としてはまずまずの成績を残している。しかし右肩を故障し、1960年は32試合、1961年は23試合の出場にとどまり、1961年限りで現役を引退している。

現役引退後、広島の松田恒次オーナーに野球知識の豊富さを買われ、同球団の二軍コーチに就任。NPB歴代最年少の専任コーチ（25歳）となった。

コーチとしては合理的かつ情熱を持った熱血指導で若手選手たちの指導にあたり、山本一義・衣笠祥雄・山本浩二・水谷実雄・三村敏之といった後の名選手たちを育て広島黄金時代の礎を築いた。だが、上田と根本陸夫監督や一部の球団幹部との間で起用法や強化方針の違いで対立。選手たちやフロントからは引き止められたが、辞表を提出し退団。

1970年は解説者として活動し、秋口にはワールドシリーズを自費で観戦しに渡米し、本場の野球を目の当たりにする。帰国後、1971年からは阪急ブレーブスのヘッドコーチに就任。ここでダリル・スペンサーの野球理論や相手の癖を盗む方法を会得。

1974年、西本幸雄監督の後任として阪急の監督に就任。上田は西本前監督が築いた『強い阪急』を更に強化しパ・リーグを圧倒していく。初年度こそロッテオリオンズとのプレーオフに敗れ2位に終わったものの、1975年から1977年にかけて3年連続で日本一に輝き阪急黄金時代を築く。

V9時代の巨人以来となる4年連続日本一が期待された1978年。リーグ戦を前後期完全優勝で制覇し挑んだ日本シリーズだったが、故障者の多さもあり想定外の苦戦を強いられ、第7戦までもつれ込む。最終戦となった第7戦では、レフトポール際の本塁打の判定に対し「ファールだ」と上田が猛抗議、1時間19分の長きに渡る抗議も実らず判定はそのまま。結局ヤクルトスワローズに敗退し4連覇達成とはならず、上田は第7戦の混乱の責任を取るという形で辞任することとなった。

阪急退団後、解説者として活動を経て、1981年に前年5位と沈んだ阪急の「王者奪還」を目指し監督に復帰。西武ライオンズ・近鉄バファローズの黄金時代と重なったこともあり、2期目は10年の任期で優勝は1984年の一度のみであった。それでも、1期目を支えた山田久志・福本豊・今井雄太郎らベテラン勢に加え、松永浩美・福良淳一・星野伸之などの若手の成長や、三冠王となるブーマー・ウェルズらの活躍、トレードの成功などもあり、毎年のように優勝争いに絡み続けた。ただ、ベテラン達の衰えもあり2期目の後半は西武・近鉄に水をあけられる展開も目立った。

1990年、パ・リーグ 2位の成績を残し勇退。その後、同球団の編成部長に就任したが、球団の方針と対立し1年で退団。その後は解説者として活動。1992年にはダイエーホークスの監督就任要請もあったが、実現することはなかった。

1995年、大沢啓二の後任として日本ハムファイターズの監督に就任。岩本勉・小笠原道大・上田佳範など伸び悩んでいた若手選手を成長させることに成功。1998年には超強力打線の「ビッグバン打線」を形成し存在感を示したが、最高成績は1996年・1998年の2位が最高で、優勝にはあと一歩手が届かなかった。1999年限りで退任。

退団後、日本ハムのフロント入りを要請されたがこれを固辞。主に解説者・評論家として活動していた。

2003年野球殿堂入り。

2017年 7月1日、肺炎のため死去。享年80歳。

人物・エピソード

熱意を持ってチームの強化にあたり、全盛期に差し掛かる阪急1期目、その全盛期の主力選手の高齢化を解決し黄金時代の西武と互角の戦いを繰り広げた阪急2期目、最下位に沈むチームを優勝争いに絡むチームに引き上げた日本ハム時代と、様々なチーム状況に対応した知将。

ブルーサンダー打線やビッグバン打線など、時代を代表する強力打線を形成したように打撃の指導力に長けていた他、「ギャンブルスタート」を編みだすなど積極的な走塁采配も光った。

トレードでチーム力の活性化を図ることも得意とし、時にはエース格の選手を放出することもあった。例を挙げると、戸田善紀・森本潔を放出し島谷金二・稲葉光雄を獲得、加藤英司を放出し水谷実雄を獲得、チームの顔として門田博光を獲得、エースの西崎幸広を放出し石井丈裕・奈良原浩を獲得等々、多くの大型トレードを成功させた。

一方でドラフト会議のくじ引きは11度挑んで全て外れと苦手にしていた。

良いプレーをした選手を褒める『ええで！』は彼を代表するフレーズである。ただ、本人曰く『ええで』はネガティブな場面で使う事がほとんどであり、関西弁を理解しきれていない記者が書いたものが定着したのだと語っている。

山田久志の現役最終試合＝阪急球団としての最後の西宮球場での試合後の監督インタビューで、「去る山田、そして残る福本（豊）」と言おうとして、誤って「去る山田、そして福本」と「残る」を言い忘れた結果、現役続行予定だった福本豊も「引退を取り消すのも面倒くさい」と引退してしまったというエピソードがある。…が、これは厳密には言っていない台詞である^[1]。
更に言うと福本は後に自身のyoutubeチャンネル上で上田監督の記憶力の良さについてのエピソードを語っており、「あんな（記憶力のいい）人が間違うわけない」（≒間違いでもなんでもなく事実上の引退勧告だった）と推察している。