忠武公李舜臣級駆逐艦とは (チュンムゴンイスンシンとは) [単語記事]

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忠武公李舜臣級駆逐艦とは、わが韓国海軍が誇る世界でもトップクラスの性能を持つ駆逐艦ニダ！

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概要

小さな船体に武装を詰め込みすぎて問題だらけの艦となってしまった前級である広開土大王級駆逐艦の反省に立って、改めて作られた韓国の主力戦闘艦。

ステルス設計を取り入れており、レーダー反射面積は浦項級コルベット^[1]より小さいとか。

韓国艦として初めて艦隊防空ミサイルを設置したDDG（ミサイル駆逐艦）。ただし韓国側はDDH（ヘリコプター搭載駆逐艦）と呼称^[2]。対空システムはターター・システムの発展系。イルミネーター（ミサイル誘導用レーダー）は2基だが、実際に誘導できるミサイルは3基以上といわれる。

1番艦と6番艦では熾烈な受注合戦の結果、納入価格が200億ウォン（日本円で大体16億円ぐらい）安くなっていることが自慢らしい……日本には「安かろう悪かろう」と言うことわざがあってだなぁ。

対空・対艦・対潜水艦・対地すべてに対応できる、建造当時最新の装備を搭載した世界トップレベルの駆逐艦と言って良いであろう。

性能諸元

艦番号	DDH-975 (別名:KD-II 計画名: KDX-II)
全長	150m
全幅	17m
排水量	基準排水量: 4,400t 満載排水量: 5,500t
乗員	300名以上
武装	Mk.45 mod.4 62口径 5インチ単装砲 ^[3] 1基ゴールキーパー 30mm 機関砲 (CIWS) 1基 Mk.49 21連装対空ミサイルランチャー 1基 (装填弾) RAM近接艦対空ミサイル Mk41 VLS (垂直発射装置) 32セル (装填弾) スタンダード対空ミサイル (SM-2) 国産VLS32セル ※4番艦以降に搭載……してるはず、1～3番艦も搭載か？ ^[4] （装填弾） “天竜”艦対地ミサイル “紅鮫”対潜水艦ミサイルハープーンもしくは“海星”艦対艦ミサイル4連装発射筒 2基 3連装短魚雷発射管　2基
レーダー	AN/SPS-49 対空捜索レーダー 1基 MW08 低空警戒/対水上レーダー 1基 STIR-240 射撃指揮レーダー 2基
ソナー	DS QS-21 バウソナー SQR-220K 曳航ソナー
ECM/ESM	SLQ-200
速力	最大29kt
主機	通常動力 COD OG方式 2軸 (低速用) MTU20V956 TB92ディーゼルエンジン 4000馬力 2基 (高速用) LM2 500 ガスタービンエンジン 2万5000馬力 2基
搭載機	スーパーリンクス対潜ヘリコプター 2機
同型艦	DDH-975 忠武公李舜臣 DDH-976 文武大王 DDH-977 大祚栄 DDH-978 王建 DDH-979 姜邯賛 DDH-981 崔瑩

実際のところどうよ

　謎仕様とオーバースペック、そして兵器を詰め込みすぎ。運用上の問題がいろいろ指摘されている。

ヘリが着艦する際自動で固定する装置を積んでない^[5]ため、荒れた天気でのヘリの着艦は困難。日本海東海は荒れてまっせ。
兵器を積みすぎてトップヘビー（重心が上にある = 転覆しやすい）になったため、軽いアルミ合金で艦橋とか作っている。アルミ合金は火災に弱く、大砲1発命中するだけで大火災に発展する可能性がある。
また艦橋は木材を多用……きっと難燃加工してますよね（震えた声で）^[6]。一説には建造費抑制のためだとか何とか。
戦闘艦としては珍しい、4基あるエンジンをパラレル設置（エンジンを横に4つとも並べる）している。船体の空間効率は良いが魚雷がエンジン区画に命中すると1発で航行不能になる可能性が高い。ちなみに普通は縦に2基ずつ並べる。
ミサイル誘導レーダーであるSTIR-240はミサイル探知用レーダーと共用。最大2機以上のミサイルを誘導できるというが、本当に出来るか疑問視されている。
2番艦「文武大王」は主砲が砲身爆発という軍艦にあるまじき大ボケをかました。原因は砲弾についたサビ、つまり砲弾の管理がずさんだったかららしい。
建造当時最新の装備を搭載した世界トップレベルの駆逐艦　→　建造当時最新の装備を搭載した見てくれだけなら世界トップレベルの駆逐艦

どうしてこうなった

韓国は数をそろえられないため1隻あたりの質を追求するのはいいのだが、その方向性が「武装たくさん」という一般常識からかけ離れた方向に行っている。ついでに自国で開発・製造できる装備が少ないのでいろんな国から装備を買い付けまくってたら、その結果いろいろちぐはぐな船が出来上がっているという寸法。

これは前級の広開土大王級でもこの艦でもやらかし、次のKDX-3こと世宗大王級でもやらかしてる。まさに、

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ただちぐはぐになっちゃったのは建造当時の韓国の情勢も絡んでいるので余談も参照してね。

また、正面装備ばっかりに金を突っ込みすぎて2011年には6隻もあるはずの李舜臣級が共食い整備の果てに1隻しか稼動状態にないと問題になった。ありえねぇ^[7]。

その他

艦名の『李舜臣』とは、豊臣秀吉による朝鮮侵攻（いわゆる朝鮮出兵 / 文禄・慶長の役）の際に、朝鮮水軍を率い日本軍を苦しめたとされている将軍。個別記事を参照。　→　李舜臣
艦名に『忠武公』なんて頭言葉をつけたのは、彼の部下『李純信（イ・スンシン）』の名前を既に潜水艦につけていたので、同音の名称がついた艦艇との区別のため付けたとのこと。
本当はイージス艦の名前に『李舜臣』を冠したかったらしい。しかし建造決定当時アメリカは韓国へのイージスシステムの売却を渋っており、仕方なく本級の１番艦につけた。建造年代のわりに微妙な装備なのはこのせい。
韓国海軍としてはこの艦を13隻希望したが結局6隻しか配備が認められなかった。けどこの艦の問題を考えると13隻も作らなかったのは正解だと思うな。
イギリスの海軍式典の際、艦名を呼び出すアナウンサーが1番艦の名前「チュンムゴン・イ・スンシン(Chumugong Yi-Sun shin)」を読めなかった。
韓国で最初にリリースされた艦船擬人化ゲームの『少女艦隊 Girls Fleet』（日本版タイトル『最終戦艦withラブリーガールズ』）に擬人化された姿で登場……するはずが、韓国軍からのクレームにより「ミリネ」と言う変名にせざるを得なかったらしい。韓国以外では「李舜臣」の名前で登場しているが、諸事情のため日本版には艦そのものが登場していない。

脚注

*北朝鮮の魚雷で数年前沈んだことで有名な艦。排水量は1,500tで李舜臣級の1/3ぐらい。
*普通DDHとはヘリ3機以上搭載する艦に対して用いるものである。そんなにはるな型＆しらね型がうらやましいか。
*韓国・三星テックウイン社によるライセンス生産。
*4番艦王建はMk41VLSを横に寄せて国産VLSの試験用に8セル搭載し、5番艦以降はMK41VLS32セル＋国産VLS32セル積んでいるはずなのだが、6番艦崔瑩の2011年の写真ではMK41VLSは船体中心線上に鎮座しており、国産VLSも搭載している様子もなかった。なお、その崔瑩は2015年の写真では搭載を確認されている。
*韓国海軍の名誉のために言っておくが、そもそもヘリ搭載艦艇で標準装備なのはカナダ海軍と日本の海上自衛隊だけ（アメリカ海軍ですら標準装備にいたってない！）で、諸外国からは「あいつらキチガイやりすぎ」と思われているらしい。
*居住性を高めるため、ヨーロッパの軍艦ではたまに見られる。なお、あちらは目の前に戦争中の国なんかいないんですがね。
*とはいえ、残念ながらわが日本国海上自衛隊でも共食い整備の話は聞こえている。韓国の場合は6隻も持ってて1隻しか稼動状態にないとか、部品の備蓄何してるねんという話である。