がじぇっととは、マッグガーデン社発行の「月刊コミックブレイド」で連載されていた衛藤ヒロユキの漫画作品である。
概要
ドラゴンクエスト4コママンガ劇場の時代や、前代表作「魔法陣グルグル」のようなギャグメインの路線ではなく、中学生同士の恋愛模様を主軸に、「成長する謎のキカイ・ビビリアン」の秘密を探るメルヘンファンタジーな作品(もっとも、魔法陣グルグルもギャグ部分を除いてシリアス部分について注目すれば、この絵本のようなメルヘン要素が多分に含まれてはいるのだが)。 魔法陣グルグル後期の「セカイ系」的展開を発展させた感じ、とされている。 絵柄は原稿用紙への手描きから完全デジタル作画に移行した頃のもので、「魔法陣グルグル」第14巻~16巻の絵と似ている。3巻ラストは衝撃的ペースで物語が急展開するのだが、ん? これってもしかして、打ち切r
マッグガーデンの月刊コミックブレイド誌上で2002年7月号から2005年4月号まで連載された。単行本は全3巻。
「エニックスお家騒動
」の渦中に巻き込まれた形での月刊コミックブレイド&月刊少年ガンガン並行連載となったが、両誌両方での連載経験を持ち、今もなおWebコミック上でガンガンに健在な漫画家は衛藤ヒロユキだけである。
あらすじ
主人公・鳥賀周一(シュウ)は電化製品・機械弄り好きの中学1年生。元々機械オタク一直線で他人にも興味は無かったのだが、同じクラスの多来真奈美(タレちゃん)の何とも形容しがたい「カワイイ声」に一聴き惚れ。クラス内でもすっかり2カメ3カメが居るほどの人気者になっていた彼女の階段転落・骨折入院事件から物語は始まり、何とか彼女とのお近づきの機会を得たい周一は、一番手でタレちゃんのお見舞いへ直行する。接触の甲斐あり、お喋りできる程度の仲になった彼女から、ある日CDプレーヤーの修理を頼まれる。「クラスの修理屋」ポジションに収まって級友らの電化製品を修理することが趣味だった周一はこれを快諾。「チャッチャと直して、彼女へカッコいいとこ見せるぞ!」程度の思惑だったのだが、故障の内容を彼女の口から聞いて、その耳を疑うことになる。
「CDプレーヤーだったのに、DVDも見れるようになっちゃったの」
有り得ない内容の機械故障。変形する謎のROMチップ。市内で都市伝説にように目撃証言される妙な機械達。タレちゃんの声に反応して家電の調子がおかしくなるという友人の談。機械にまつわるこれらの不思議な噂にはどうやら、
「成長するノラ機械・ビビリアン」が絡んでいるらしい。「人の役に立ちたい」という本能に任せて機械から機械へと感染し、特に何故だか年頃の子どもの持ち物に好んで潜み、持ち主(飼い主?)の心のスキマや悩みを埋めようと変形・進化。やがて飼い主を得て安定したビビリアンは「がじぇっと」と呼ばれ、これを育てることが密かに女の子の間で流行っているというのだ。
これらを教えてくれたのは、一年前に電気屋を畳み、休業していたとばかり思っていた他ならぬ周一のオヤジさん。実は裏でこの不思議な機械が絡んだ故障事件の修理業に就いていたのだ。 しかし謎なのは何の目的でこんな機械が造られ、それが何でよりによって野生化して跋扈しているのか? そしてタレちゃんはどうもこの謎の機械「ビビリアン」「がじぇっと」達に好かれているようなのだが、果たしてその関係は如何に?
わけの分からないままに、オヤジから「がじぇっと修理業」の任を継がされてしまったシュウ。否応なしに、タレちゃんもクラスメイト達も他校の生徒も巻き込んで、「ビビリアン」が飼い主に同調して引き起こす様々な事件に巻き込まれ、その謎を解くために奔走することになる・・・
主な登場人物
- 鳥賀周一(シュウ)
- 電気屋の息子で機械弄り大好きな中1。タレちゃんこと多来さんに惚れちゃって以来、彼女に近づこうとするも、その過程で周りに巻き起こる、機械の奇妙な誤作動について探るうちにビビリアンに関わる騒動に巻き込まれていく。
- 多来真奈美(タレちゃん)
- 大人しい感じの声の高い女の子でシュウのクラスメイト。何でも彼女の声はビビリアンの発する電子音によく似ているらしいとか。大人しそうな性格ではあるが陸上部所属で、過去の悲しい経緯も手伝って、何気にとても足が速い。やはり彼女もビビリアン騒動の渦中に巻き込まれることになるが、その関係は・・・?
- 大塚啓太(ケイタ)
- シュウの親友・クラスメイト。姉がオサレなセレクトショップを経営してる影響でファッションや音楽方面に明るくこなれていてモテる。UFO・宇宙人などミステリー話も好きで、シュウと共にビビリアンの謎探求に首を突っ込むことに。
- 赤峰由紀(赤峰)
- クラスメイトで学級委員。勝気で気の強い性格で、シュウの方は当初彼女には苦手意識を感じていたが、隣の席でその気は無いのに割と親切だったシュウに徐々に思いを寄せるようになる。ある日タレちゃん同様にCDプレイヤーの修理依頼をしてくるのだが、そのプレーヤーの中身は色々な意味で衝撃的内容となっていた。
- 高梨かおり(カオリ)
- クラスメイ(ry いわゆるギャルとかスイーツ(笑)な性格で、親友の「マキ」といつも二人組。『とある理由』のため人のウワサ話を広めるのが大好きな口の軽さを持ち、シュウとタレちゃんの交際関係などもあっさりバラしてしまう。実は「がじぇっと」所有者の一人。
- 折神雅貴(マサキ)
- クラスm(ry ガタイのいい高身長ゆえいつも、「ジュニア空手3位入賞」「柔道3位入賞」「ボクシング以下略」「レスリングだろ」「いやカポエラじゃなかった?」等と人によって違ういい加減な噂が後を絶たないが、実の所は「少女マンガ3位入賞」。タレちゃんや赤峰ら女の子と仲良くやってるシュウを見て、まさかの恋の相談を持ちかけたことで縁が出来ることに。告白相手とのがじぇっとを挟んだやりとりの他、後述の「秋戸みのり」と深く関わる。
- ヒトミ
- シュウ達と同じ中学所属らしいがクラス違い、学年は不明の女の子。典型的いじめっ子で、下記の「進藤歌」をライバル視する他、お付きの「秋戸みのり」にも執拗に絡む。「がじぇっと」所有者だが、がじぇっとを脅しや暴力に使うのも厭わない少々危険な性格。機械も本人の好戦的性格に合わせて物騒な形態に進化してしまっている。
- 進藤歌(歌サマ)
- 有名進学校、櫻台学園の中2で、進藤物産の令嬢。アマチュアバンド「ロケットガール」のボーカルにホの字で、お嬢様身分ながらもライブハウスに足を運ぶ。UFO型の桁違いに巨大な「がじぇっと」を所有し乗り物にしている。
- 秋戸みのり
- 進藤歌の取り巻きでいつも一緒に居る女の子。大人しい子で自作漫画を描く趣味があるが、歌サマのお付きであることと性格が災いしてか、ヒトミにいじめの標的にされてしまっている。少女漫画の持ち込み関係でマサキと知り合うこととなるのだが、そんな彼女もまた「がじぇっと」所有者なわけで・・・
- 周一の父(オヤジさん)
- 名前は作中で不明。電気屋をやっており、シュウはいつも店で何かを修理しているオヤジさんの背中が大好きで、その影響で機械好きになった。だが1年前に突如店を畳んで雇われコンサルタント社員になってしまい、この事件を機に少し疎遠になっていた。しかし機械から離れたわけではなく、実はそのコンサル業というのが、ビビリアンに侵食され「がじぇっと」と化した電化製品の不良を密かに修理する「秘密の仕事」だったのだ。そして年頃になった息子に2巻でようやく全てを明かし、この仕事を引き継いでくれないかと要請する。
- 多来今日子
- タレちゃんの母。パーマにヒョウ柄Tシャツという、娘とは見ても似つかぬ大阪オバタリアン風な人。「がじぇっと」とは途中まで何の関わりもなかったはずだが、終盤で彼女の過去と共に衝撃的事実が明らかになる。
- ガルガリン
- 世の「がじぇっと」の見張り番をしているという都市伝説的存在。がじぇっと所有者の女の子達全てにとって信仰対象であるが、秘密にされているこの機械の存在を不用意に言いふらす者や、がじぇっと同士で優劣を付け合ったり、それ目的でがじぇっと同士を戦わせるなど、タブーを破った者には制裁を与えに何処からともなく現れるという。
そしてその正体は、この人物紹介に載っている誰かである。
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