黒川博行

黒川博行（くろかわ ひろゆき）とは、日本の小説家。

概要

1949年生まれ、愛媛県出身。京都市立芸術大学美術学部彫刻家卒。妻は日本画家の黒川雅子。

美術教師などを経て、1983年、『二度のお別れ』が第1回サントリーミステリー大賞佳作に選ばれ、翌年同作でデビュー。サントリーミステリー大賞ではその後『雨に殺せば』で第2回佳作、『キャッツアイころがった』で第4回大賞を受賞しており、『キャッツアイころがった』は「猫目石ころがった」のタイトルで単発ドラマ化もされた。

1996年、短編「カウント・プラン」で第49回日本推理作家協会賞（短編および連作短編集部門）を受賞。同年、同作を収録した同題の短編集で第116回直木賞候補。以降、直木賞では『疫病神』（第117回）、『文福茶釜』（第121回）、『国境』（第126回）、『悪果』（第138回）と候補になるが落選が続く。

2014年、『破門』で第151回直木賞を受賞。6度目の候補でようやくの受賞となった。65歳3ヶ月での受賞は歴代3位の高齢受賞、デビュー30年目での受賞は佐々木譲と並んで歴代2位の遅さで、選考委員の半数以上より作家としてのキャリアが長かった。

初期（80年代）は主に凝った本格ミステリ的な趣向の警察小説を発表していたが、90年代以降は主に裏社会を舞台としたノワールやハードボイルド系の作品が多い。初期から一貫して大阪が舞台の作品が多く、関西弁でのテンポのいい会話には常に定評がある。社会の暗部を描きながら、そこにユーモアを忘れないのが黒川作品の美点。

代表作は『疫病神』『国境』『暗礁』『螻蛄』『破門』と続く、建設コンサルタント・二宮と豪快なヤクザ・桑原のコンビが裏社会を相手に大暴れする《疫病神シリーズ》など。初期作品は創元推理文庫で復刊されているので、ノワールのイメージが強いという人はそちらもどうぞ。

作品リスト（小説のみ）

★は疫病神シリーズ。

1. 二度のお別れ （1984年、文藝春秋→1987年、文春文庫→2003年、創元推理文庫）
2. 雨に殺せば （1985年、文藝春秋→1988年、文春文庫→2003年、創元推理文庫）
3. 暗闇のセレナーデ （1985年、徳間書店→1988年、徳間文庫→2006年、創元推理文庫）
4. キャッツアイころがった （1986年、文藝春秋→1989年、文春文庫→2005年、創元推理文庫）
5. 海の稜線 （1987年、講談社→1990年、講談社文庫→2004年、創元推理文庫）
6. 八号古墳に消えて （1988年、文藝春秋→2004年、創元推理文庫）
7. 切断 （1989年、新潮社→1994年、新潮文庫→2004年、創元推理文庫）
8. ドアの向こうに （1989年、講談社→1993年、講談社文庫→2004年、創元推理文庫）
9. 絵が殺した （1990年、徳間書店→1994年、徳間文庫→2004年、創元推理文庫）
10. アニーの冷たい朝 （1990年、講談社→1993年、講談社文庫→2005年、創元推理文庫）
11. てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書 （1991年、講談社→2003年、講談社文庫）
12. 大博打 （1991年、日本経済新聞社→1998年、新潮文庫）
13. 封印 （1992年、文藝春秋→1996年、文春文庫）
14. 迅雷 （1995年、双葉社→1998年、双葉文庫→2005年、文春文庫）
15. カウント・プラン （1996年、文藝春秋→2000年、文春文庫）
16. 疫病神 （1997年、新潮社→2000年、新潮文庫） ★
17. 麻雀放蕩記 （1997年、双葉社→2000年、双葉文庫）
18. 燻り （1998年、講談社→2002年、講談社文庫）
19. 文福茶釜 （1999年、文藝春秋→2002年、文春文庫）
20. 国境 （2001年、講談社→2003年、講談社文庫） ★
21. 左手首 （2002年、新潮社→2005年、新潮文庫）
22. 蒼煌 （2004年、文藝春秋→2007年、文春文庫）
23. 暗礁 （2005年、幻冬舎→2007年、幻冬舎文庫（上下巻）） ★
24. 悪果 （2007年、角川書店→2010年、角川文庫）
25. 蜘蛛の糸 （2008年、光文社→2011年、光文社文庫）
26. 煙霞 （2009年、文藝春秋→2011年、文春文庫）
27. 螻蛄 （2009年、新潮社→2012年、新潮文庫） ★
28. 繚乱 （2012年、毎日新聞社）
29. 落英 （2013年、幻冬舎）
30. 離れ折紙 （2013年、文藝春秋）
31. 破門 （2014年、角川書店） ★

関連商品

疫病神シリーズ

その他の作品

関連項目

• 小説家の一覧
• 直木賞 / 日本推理作家協会賞