バーニングゴジラとは、1995年公開の映画「ゴジラvsデストロイア」に登場したゴジラの形態である。
厳密にはvsデストロイアの登場した個体の状態を指す言葉だが、後の作品にもこれに類似した形態が登場することもあり、本項ではそれについても記載する。
概要
リトルゴジラとともにバース島を住処としていたゴジラだったが、突如熱水が噴射してウラン鉱脈が爆発。大量の放射能を浴びたリトルゴジラは急成長し、そしてゴジラは全身が赤熱化。いつ核爆発してもおかしくない歩く核爆弾と化した。この形態の事をバーニングゴジラと呼ぶ。
体内の核分裂に異常をきたし、帰巣本能すら狂ったゴジラは誤って香港に上陸。この時、「赤い龍」と呼称されている。体は超高温となり、海水に浸かっていてもなお蒸気が噴き出す。劇中では「もし通常の火器で攻撃すれば核爆発を誘引する事になり、大気圏に火が点いて地球が滅亡する」と説明されている。ゆえに通常兵器しか持っていないGフォースは手出しする事が出来ず、冷凍兵器を保有していた自衛隊に対応を一任するしかなかった。この異常な状態はゴジラにとっても苦痛らしく、呻き声を上げている。
上海を蹂躙した後、四国の原発を目指して海を渡っていったが、上陸直前になって陸上自衛隊のスーパーXⅢが出現。冷凍カドミウム弾によって氷漬けにされ、一度は活動停止になった。だが超高温のゴジラを止めるには至らず、氷を溶かして活動再開。核爆発の危険性は抑えられたが、今度は炉心温度上昇によるメルトダウンの危険性が出てきた。炉心温度が1200℃に達するとメルトダウンに達し、地球に穴が開いてしまうという。この時点でゴジラの心臓部は900℃、一日平均50℃上昇している。デストロイアの脅威もある中、人類は難しい選択を迫られる。
バーニングゴジラはゴジラジュニアの気配を追って、ベーリング海のアドノア島に向かっていた。しかしメルトダウンまでの猶予は一週間と試算されていて、とてもベーリング海まで辿り着けるとは思えなかった。Gサミットは「メルトダウンを防ぐにはデストロイアとぶつけるしかない」と考え、ゴジラジュニアを誘導して東京へと向かわせる。目論み通りゴジラジュニアとデストロイア飛翔体が戦い、ジュニアが辛勝。デストロイアは火力発電所に墜落して爆発に巻き込まれた。その後、ゴジラが東京・有明に上陸。そこで急成長を遂げたゴジラジュニアと再会し喜びを分かち合うが、そのゴジラジュニアがデストロイア完全体によって殺害されてしまう。地球上で唯一の同族を殺されたゴジラは怒り狂い、今まで敵視していた人類を放り出してデストロイアに敵愾心を向けた。
バーニングゴジラの攻撃はまさに熾烈なものだった。ハイパーバーニング熱線は、火耐性極振りのデストロイアにすらダメージを与え、吐血させるほどの威力を発揮。命中していないはずのビル群すら、余波で破壊してしまった。ヴァリアヴル・スライサーで体を切断されるも、異常活性化しているG細胞によって瞬時に回復。攻守ともに詰んだデストロイアは逃走を図ったが、そこに自衛隊の冷凍メーサー攻撃を受けて墜落死。デストロイアは斃されたが、もはやゴジラのメルトダウンは目前に迫っていた。少しでも被害を抑えようと自衛隊から冷凍攻撃を受ける中、ついにゴジラの体が融解。東京を死の街にしながら、その生命を閉じた。バーニングゴジラが撒き散らした放射能は、死んだはずのゴジラジュニアに吸収され蘇生。第二のゴジラを誕生させた。
小話
スーツは前作「ゴジラvsスペースゴジラ」で使用したゴジラを改造したもの。プールで撮影する時は「ゴジラvsメカゴジラ」で使用したスーツを流用。
バーニングゴジラには、赤色電球1000個と水蒸気演出用の炭酸ガス発生装置が埋め込まれていた。このため重量が130kgに及び、スーツアクターの薩摩剣八郎氏曰く「炭酸ガスがスーツ内に侵入し、4回も酸欠で倒れた」という。これではゴジラより先に死んでしまうという事で、空気ボンベを入れてもらった。電飾を纏っていた事からプールでの撮影は常に感電の危険性が伴い、普段より重たいスーツのせいで起き上がるだけでも苦労するスーツアクター泣かせのゴジラであった。
ゴジラがメルトダウンするシーンでは、ベビーパウダーを塗りこんで白煙を演出している。物語のラスト、ゴジラ化したジュニアが咆哮を上げるシーンは、バーニングゴジラのスーツを流用して撮影している。赤色電灯を黒く塗りつぶしているので、バーニングゴジラのスーツはもう見る事が出来ない。
アニメ映画版GODZILLA三部作では
第二部『決戦機動増殖都市』にて登場。西暦2030年から約2万年かけて成長した300m級個体のゴジラ・アースが超微小機械体のナノメタルで構成された巨大要塞「メカゴジラシティ」の迎撃用トラップに拘束され、そこに自身の電磁力制御器官を狂わせるEMPプローブミサイルを打ち込まれてしまう。
だがゴジラ・アースは自らの身体を赤熱化し、全身から放射する重力波による分子制御で周囲の空間を加熱して約5000度も超高熱を生み出して打ち込まれたEMPプローブミサイルを無効化、さらにその熱でシティ全体を覆って要塞をまるごと焼き払おうとする。しかも単純な熱波ではなく重力波を使った空間自体を加熱してのものであるため遮蔽物は意味を為さず、シティ内の人員や前線の戦闘員にも危険が及ぶ事態に至り、これに対しシティを制御する異星人のビルサルドは自分達の身体もナノメタルで強化して攻撃を続行すべきと主張したが、地球人類側はこれに反発、この諍いによってゴジラへの攻撃の手が止まってしまう。
実はこれにはエネルギーチャージの役割も兼ねており、人類とビルサルドの対立の末にシティが機能停止した直後、ゴジラ・アースは充填したエネルギーを熱線として乱射しメカゴジラシティを完膚無きまで破壊してしまった。
キングオブモンスターズでは
物語の最終盤に登場。強大なキングギドラに押され、敗北寸前に追い詰められるゴジラ。トドメの一撃が放たれたが、それをモスラが庇って爆発。代わりに死亡してしまう。モスラの体から飛び散った粒子がゴジラに降り注ぎ、更なるパワーを与えて復活させる。その時の姿がバーニングゴジラのように赤熱化しており、シリーズのファンをニヤリとさせた。勿論強さも格別になっていて、キングギドラを一方的に嬲り始める。
ゴジラから赤い衝撃波が放たれ、それを翼で防御するギドラだったが一瞬で焼け落ちてしまう。モスラの力が加わっているためか、衝撃波はモスラの羽のような形状をし、放つたびに鳴き声が聞こえる演出がなされている。すかさず破壊光線で反撃するが、ゴジラには全く効かない。二回目の衝撃波では左右の首が消滅させられ、横転させられたギドラは胴体を踏み潰される。ここでバーニング化が解けているが、もはやギドラに戦えるだけの力は残っていなかった。最後に残った中央の首はゴジラに咥えられ、アトミック・ブレスの接射を受けて消し飛ばされた。
ゲームでの出演
ゴジラvs
隠しキャラとして登場する。純粋にゴジラを強化した性能。破格の攻撃力を有し、格闘能力も熱線の出も速いという鬼畜。まさに他の怪獣を寄せ付けない圧倒的な力を持つ。町の破壊も楽々。見事なまでの原作再現である。相手にすると、かなり苦戦させられる。
本作ではGエナジーの過剰摂取で体組織が不安定化した設定となっていて、バース島云々の設定は消滅している。体内温度が急激に上昇しており、このまま上昇が続いた場合はGエナジー爆発が起こるという。ゴジラを操作していた場合、ラストステージでバーニング化する。原作同様冷凍メーサー車が出動し、ゴジラの熱線エネルギーを下げようと試みる。が、その一方で通常兵器もバンバン使用している。中ボスのスーパーXⅢを撃墜するとラスボス怪獣が出現するが、その相手はランダムでデストロイアが出てくるとは限らない。
ゴジラ列島震撼
ストーリーモードの最終面となるStage10「東京」に登場する。『ゴジラvsデストロイア』を再現したマップであり、同マップに出現する怪獣はデストロイア完全体、ゴジラジュニア、そしてバーニングゴジラである。バーニング化した理由も『vsデストロイア』同様、ジュニアとともに活動拠点にしていたバース島の地層に大量に含まれていた天然ウランが熱水の噴出で流出し、それによってウランが核分裂反応を起こした結果であるとされている。
性能としては、攻撃力、耐久力、攻撃範囲、いずれもゲーム中のユニットで最強クラスであり、生半可な陸上戦力では熱線の一撃で瀕死になってしまう。アイコンも真紅の背景に黒い影となったゴジラの頭部が見下ろしているような鬼気迫るものとなっている。
さらに、このゴジラは最初から耐久力(本作におけるHP)がある程度減った状態から作戦がはじまっており、時間経過でどんどん回復していくが、もし満タンになればゴジラが核爆発を起こしてゲームオーバーとなる。しかも耐久力の回復速度は全ユニット中第2位である。逆にバーニングゴジラの耐久力をゼロにして倒してしまっても核爆発してゲームオーバーである。
つまり、このマップをクリアするには、ゴジラの耐久力が満タンになったりゼロになったりしないように加減して攻撃を加えつつ、バーニングゴジラ以上に強大なデストロイア完全体を撃退するしかない。こう書くとむずかしいように思えるが、実際にはデストロイアとジュニアは作戦開始直後からかならず戦闘をはじめるうえ、ジュニアも相当に高性能なので善戦すること、自軍に航空ユニットであるスーパーXⅡが配備されているのでこれを使ってバーニングゴジラをデストロイアのもとへ容易に誘導できること、ゴジラとデストロイアが交戦しはじめたら後者に火力を集中させていればクリアできることから、難易度そのものは低い。というかこのゲームはバトラの出現する「横浜」以降は最後までウィニングランである
デストロイアを撃退するという作戦目的を達成すると、ゴジラもまた『vsデストロイア』とおなじく全身が溶け、白骨化してその生涯に幕を下ろす。本作の開発時期が同映画の公開よりも先(本作のリリースは1995年12月22日。『vsデストロイア』の封切が同年12月9日)であることを考えれば、開発チームによる最高のファンサービスといえよう。
なお、ゲームシステム上、このバーニングゴジラはジュニアも攻撃対象に入る。しかも、初期配置と地形から、上述の誘導をしようとするとまず間違いなくゴジラがデストロイアとともにジュニアを挟み撃ちするかたちになる。当然ながらたいていのプレイではジュニアはゴジラとデストロイアの猛攻を受けて倒れてしまう。ただし、エンディングではジュニアはすべてが終わったあと海へと帰っていったということになっている。
星のドラゴンクエストでは
2020年8月4日から開始されたコラボイベント『ゴジラ大決戦!! -大怪獣総進撃編-』にて登場。最初は出現していなかったが、8月12日にバーニングゴジラとなって日本に上陸した。当然ながら他の怪獣とは比べ物にならない存在であり、全国のプレイヤーと協力して撃退を目指す事になる。ゲームの都合上、バーニングゴジラは日本中をあちこち移動する。国中放射能まみれや。
バーニング熱線、体内放射、インフィニット熱線と攻撃技も原作再現されており、大半がメラ属性となっている。ヒャド(氷属性)とバギ(風属性)を弱点とする。
関連静画
関連商品
「バーニングゴジラ」と明記してあるゴジラの人形玩具商品は以下のように複数存在している。そのため、「バーニングゴジラ」の名称はほぼ公式のものと考えてよさそうだ。
玩具において特に「バーニングゴジラ」の名称の使用例が目立つためか、「バーニングゴジラって名称も玩具都合の後付けではないか?」と疑いの声が挙がることもあるようだ。
しかし、1995年当時の「ゴジラvsデストロイア」の公開劇場限定で販売されたフィギュアで、「怪獣王バーニングゴジラ」というタグが付けられたものが存在している(オークションサイトなどで時々出品されている)。そのため少なくとも映画公開当時から「バーニングゴジラ」の名称は存在していたと思われる。よって「後付け」という言い方はあまり適当ではないだろう。
関連項目
- 3
- 0pt