RMSタイタニック(RMS Titanic)とは、イギリスのホワイト・スター・ラインが所有していた豪華客船である。
概要
RMSタイタニック RMS Titanic |
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船籍 | イギリス |
識別記号 | MGY 131428 コールサイン : MGY 公式ナンバー : 131428 |
母港 | リヴァプール |
航路 | サウザンプトン発 ニューヨークシティ着 |
所有者 | ホワイト・スター・ライン |
発注 | 1908年7月31日 |
建造者 | ハーランド・アンド・ウルフ |
起工 | 1909年3月31日 |
進水 | 1911年5月31日 |
処女航海 | 1912年4月10日 |
沈没 | 1912年4月15日 |
仕様 | |
クラス | オリンピック級客船 |
総トン数 | 46,328トン |
排水量 | 52,310トン |
全長 | 269.06 m(882 ft 9 in) |
全幅 | 28.04 m(92 ft) |
全高 | 53.34 m(175 ft) |
喫水 | 10.54 m(34 ft 7 in) |
深さ | 19.66 m(64 ft 6 in) |
機関 | 6炉複流排気丸ボイラー × 24 |
3炉単流排気丸ボイラー × 5 | |
4気筒3段膨張蒸気レシプロ × 2 | |
低圧蒸気タービン × 1 | |
出力 | 46,000馬力 59,000馬力 - 最大 |
推進器 | 青銅製4枚羽スクリュー × 1 |
青銅製3枚羽スクリュー × 2 | |
速度 | 21ノット(38.9 km/h) 23ノット(42.6 km/h) - 最大 |
ホワイト・スター・ライン所有の豪華客船、オリンピック級客船2番船。
建造者はハーランド・アンド・ウルフ。姉妹船は、RMSオリンピック(オリンピック級1番船)、病院船のHMHSブリタニック(オリンピック級3番船)。
ライバルのキュナード・ラインが所有していたルシタニア級客船と比べて一回り大きかったが、巡航速度は遅かった。これは、スピード競争(ブルーリボン賞)に参加せず、豪華さと船旅の快適性(ゆとり)を重視した設計だったためである。ルシタニア級と同じ4柱煙突だが、後ろの1柱はハリボテであった。
船体は16区画に分けて防水隔壁を完備しており、2区画(船首では4区画)までの同時浸水には耐えられる設計となっていた。しかし、隔壁は船体を完璧には分割しておらず、船体内は上でつながっていた。そのため、水が隣の区画に流れ込んでしまうという弱点があった。
氷山接触時は5区画に水が流れ込む損傷を受けてしまったため、隔壁が無意味となってしまい、結果沈没に至った。
また、救命ボートも基準以上に搭載していた。あくまで当時のずさんな基準だが…。(この事故が機となり、乗客分の救命ボートの搭載が後に義務化された。)
タイタニック沈没事故
1912年4月10日にイギリスのサウザンプトンを出航しニューヨークへ向かう航路中、15日にカナダ沖にて氷山と衝突し沈没する。原因は、氷山が船腹に細長い傷(総面積で1平方メートル程度)を付け、船首の5つの水密区画(設計上の限界は4区画)が一度に浸水し、防水隔壁の上を海水が乗り越えてしまったためとされる。
タイタニックは救難信号を発信したが、最も近くにいた船(カリフォルニアン)は、通信士が寝ていたために遭難信号に気付かず、救助に向かった船(マウント・テンプル)も氷山に阻まれてランデブーできなかった。結局、最初に到着したのは、100km離れた場所にいたキュナード・ラインのRMSカルパチアであった。
この海難事故により、乗員乗客2200名中1500名以上が死亡。詳細が判明している海難事故としては史上最大といわれており、研究対象としての人気が高い。
なお、階級社会の影響から、1等船客の方が3等船客より生存率が高かった。さらに、レディ・ファーストや英国紳士の概念がまだ強かった当時の背景もあり、生存者比率で見ると、女性と子供が高く、男性は低かった。
当時まだ生後9週間だった女性生存者のエリザベス・グラディス・ディーン(ミルヴィナ・ディーン)が、2009年に97歳で逝去した事で、生存者は全員鬼籍に入った。
又、女性乗員看護士のヴァイオレット・コンスタンス・ジェソップはタイタニック沈没事故から生還後、1916年11月21日のブリタニック沈没事故(HMHSブリタニックがドイツ海軍の機雷に触れて撃沈、死者30名)にて、船尾スクリューに巻き込まれて重症を負いながらも再び生還したという逸話がある。
現在
沈没の際、タイタニックの船体は中央より船尾寄りのところで三つに折れてしまったが、いずれも海底に滑るように着地しており、このうち船首の方の部分は、非常に保存状態が良いままで沈んでいる。船尾の方は、中に空気が多く貯まったまま沈んだせいで、激しく損傷してしまった。
汚れが多くこびりついてしまっているものの、デッキの手すりはそのままであり、一等客室に至っては食器などがそのまま棚に入っている箇所もあるという。
なお、海中のバクテリアが鉄を分解するため、船体は徐々に分解してゆく。あと100年もすれば船体は消滅してしまうと言われている。
現在、各国の政府や企業、トレジャーハンター等がその引き上げを目指している。
タイタニック(1997年の映画)
詳細は「タイタニック(1997年の映画)」を参照。
ジェームズ・キャメロン監督によるタイタニック沈没事故を題材にしたラブストーリー映画。主演はケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオ。当時の史上最高世界興行収入を達成。同じくジェームズ・キャメロンの『アバター』に記録を破られるが、それまでの記録はギネスブックに登録された。
主人公のジャックとヒロインのローズが船首で手を広げるポーズは、当時はよくパロディ化されたり、真似する子供たちも多くいた。
テレビで初放映されたのは2001年のフジテレビだが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』におけるタレント吹き替えの前科があるにも拘らずジャック役に妻夫木聡、ローズ役に竹内結子といった吹き替えの不慣れなテレビ俳優を起用し、激しいバッシングが起きた。こうした反省も踏まえてか、フジテレビは2004年にジャックに内田夕夜、ローズに岡寛恵といったプロの声優を起用した新バージョンを放送した。
『エイリアン2』や『ターミネーター2』等のアクション作品を世に送り出してきたキャメロンの監督作品としては異例のラブストーリーだが、後半では冷たい海に容赦なく飲み込まれていく乗員乗客やタイタニックの様子を、当時最高法のVFX技術を用いて描いており、パニック映画としての描写も強い。
Titanic: The Legend Goes On
キャメロン版のヒットに便乗して2000年に作られた、イタリアのファミリー向けアニメーション映画。
タイタニックに乗り込んだ、継母と血のつながらない姉2人に下僕同然にコキ使われている少女が金持ちのボンボンに出会って恋をするがタイタニックの悲劇に遭遇するという、シンデレラのストーリーをタイタニックに組み込んだお話になっている。
ついでに動物たちも乗り込んでいるが、犬がラップする程度である。
作画崩壊が酷い、少女とボンボンが出会って一言二言で恋に落ちる、二重に回想シーンを重ねている、救命ボートに乗りこめた乗客がタイタニックが沈む様を見て笑い転げるなど、はっきりいってしまえばクソ映画なのだが、これを下回る映画が存在しているので目立たない。
The Legend of the Titanic
キャメロン版の便乗映画その2。タイトルに「The」を二回も使っている時点でおかしいというか、違和感を感じてしまうファミリー向けアニメーション映画。1999年制作。
平和なネズミの一家。子供ネズミがタイタニックについて書かれた新聞記事を読んでいると、若い頃にタイタニックに乗っていたじーちゃんネズミが「従来のタイタニックの話は真実ではない」と言い出して回想するところから始まる。
家計を助けるために、如何にも悪役然とした人物と結婚させられるローズエリザベスと、愛犬と一緒にタイタニックに乗り込むジャックジョーの恋物語と、同じくタイタニックに乗り込んだネズミ達のお話なのだが、「Goes on」と異なるのはエリザベスとネズミ達の間にコミュニケーションが成立することである。
月が出ている夜、エリザベスが嫌な相手と結婚せざる終えない運命に泣き、その涙が海面に落ちると月の魔力でイルカが空中浮遊して会話を交わせる蝶展開。イルカが捕鯨反対を言い出すわ、エリザベスの結婚相手がエリザベスの父親から全世界に捕鯨権を手に入れることを企むなど、タイタックをダシにした反捕鯨プロパガンタへと話が転がっていく。悪役の手下がサメのギャングと平気で取引していて、あげくの果てにはその手下からの依頼を受けたサメのギャングが巨大タコをそそのかして、タイタニックの進路上に氷山をぶん投げるように仕向ける……って、おい。
この他にもツッコミどころを上げるとすれば。
- ジョーの愛犬がエリザベスの手袋を奪い取って、ジョーの元に戻ってくるとジョーはその手袋を吸う。
- ネズミの一匹がエリザベスを見て「惚れた」といい、相棒が「人間とネズミは結婚できないだろ」みたいな事をいうと、そのネズミが相棒に向かって「キミはレイシストなんだね」とのたまう。……そういう問題じゃない。監督かプロデューサーが獣姦大好きなケモナーで、獣姦を否定する世間に憤りを覚えの一言だとしか解釈のしようがない。
タイタニックは氷山に激突して沈没するのだが救命ボートが定員分用意されていること、巨大タコが総員退艦する時間を稼いでくれたこと、イルカやら鯨やらが助けてに来てくれたことによって乗員乗客全員が助かるという筋書きになっている。………あのう、これ史実の事件なんですけど。
「Goes on」に比べれば作画はまともであるが、それ以外の部分はひどい上に、犠牲者やその遺族に対して中指立ててFuck youしているような内容なので、エド・ウッドのPlan9はおろか、「Goes on」のほうがまだマシな作品になっている。仮に作画崩壊していたとしたら名実共に世界最低映画になっていたことだろう。さしものNCも泣いていた。
……子供向けだからといって、荒唐無稽に作っていいという言い訳にはならないだろう。
関連動画
関連項目
- タイタニック
- イギリス
- 旅客船(客船) - クルーズ客船 - 豪華客船
- ホワイト・スター・ライン
- ハーランド・アンド・ウルフ
- オリンピック級客船
- キュナード・ライン
- ジョン・ブラウン・アンド・カンパニー
- ルシタニア級客船
- スワン・ハンター
- RMSカルパチア
- 映画の一覧
- ジェームズ・キャメロン
- レオナルド・ディカプリオ
- ケイト・ウィンスレット
- ヴィルヘルム・グストロフ(戦時下のタイタニック号と称される悲劇の船)
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