かもめ とは、国鉄・JR九州の列車愛称である。JR九州としては福岡と長崎を結ぶ列車の愛称として使われている。
ここでは西九州新幹線のリレー特急として運行されているのリレーかもめについても触れる。「みどり(リレーかもめ)」ならびに「ハウステンボス(リレーかもめ)」についてはリレー特急としての役割を簡単に触れる(列車自体の詳細は当該項目を参照)。
概要
元は戦前から存在した特急「鴎」「かもめ」。「鴎」は東京〜神戸間、「かもめ」は運転当初は京都〜博多間と長崎とは全く無関係な場所で運行されていた。後に「かもめ」が長崎に乗り入れたことで関係を持つようになる。
山陽新幹線開業により長距離特急としての「かもめ」は廃止されるが、1976年から博多〜長崎間の電車特急として運行が始まり、現在に至るまで運行が続けられているJR九州の看板列車の一つでもある。
2022年9月23日からは新幹線列車の愛称となり、それに接続するリレー特急「リレーかもめ」が合わせて運行されている。
かもめ号の歴史
- 1937年に東京~神戸間を結ぶ特急「鴎」として「燕」の姉妹列車という位置づけで登場した。なお、所要時間は「燕」より20分長かった。1943年に戦況の悪化に伴い廃止されている。
- 1953年に「つばめ・はと」に次ぐ戦後3番目の特急として京都~博多間に復活(ちなみに、名称としては4番目)。
1961年には運転区間が京都~長崎・宮崎へ変更され、同時に客車からキハ80系へ変更された。
1965年に宮崎編成が「いそかぜ」として独立、宮崎かもめは西鹿児島(現:鹿児島中央)発着へ変更された。
1968年の「ヨンサントオ」改正で西鹿児島便が「なは」に名称変更、従来「いそかぜ」として運転されていた佐世保発着便が「かもめ」に変更された。
1975年には山陽新幹線が博多まで開業した為「つばめ・はと」等と同時に廃止された。 - 廃止の翌年である1976年7月に長崎本線が電化した事を受け、電車特急として復活した(佐世保発着便は「みどり」となる)。
民営化後の1989年にはJR九州が前年に投入した783系「ハイパーサルーン」を使用した列車が登場し、同車両使用の列車名も「ハイパーかもめ」に変更される。1990年頃から485系をコーポレートカラーの赤に染めた車両も使用されるようになった。
1994年に一部の「かもめ」に787系が充当されるのに伴い「ハイパーかもめ」の名称も「かもめ」に戻される。
2000年には高速化のために885系「白いかもめ」が投入がされた。 - 2011年春のダイヤ改正で「みどり」との併結運転は終了。787系を再び充当し、同時に783系の「かもめ」での運用を基本的に終了。
- 2022年秋の西九州新幹線の部分開業により、武雄温泉駅~長崎駅間の新幹線の列車名として「かもめ」が使用された。それに伴い、福岡方面と武雄温泉駅を結ぶ在来線リレー特急として、「リレーかもめ」が新たに運行を開始した。なお、福岡方面~佐賀駅・肥前鹿島駅発着の特急については「かささぎ」に分離された。
現況(西九州新幹線部分開業後)
2022年9月23日の西九州新幹線部分開業後は、武雄温泉駅で「リレーかもめ」と「かもめ」を乗り継ぐことになる。乗り継いだ時の特急料金については九州新幹線部分開業時と同様に新幹線と在来線の自由席特急料金をそれぞれ1割引して合算する(指定料金は1列車分のみ加算)。
なお、一部列車は「みどり」「ハウステンボス」との接続となり、接続する列車は「(リレーかもめ)」の副名称が付けられる(「ハウステンボス」は臨時列車のみ接続)。この関係で「リレーかもめ」「みどり」「ハウステンボス」で号数を統一したため、「かもめ」の号数に欠番が生じている。
ちなみに、2005年に廃止されて以来運行しなかった門司港駅〜長崎駅間の「かもめ」が乗り換えが必要なものの復活している。下り9号は佐賀止まりだった101号の延長(二日市駅通過になっているが、かささぎ101号を設定することでカバーしている)、上り64号は博多駅で対面乗り換えできる48号ときらめき14号を統合した結果誕生したものである。
「かもめ」使用される列車はN700S8000番台。西九州新幹線独自の編成であり、外装・内装は水戸岡鋭治氏が携わっている。「リレーかもめ」は主に787系が充当され、一部列車に885系が使用されている。
「かもめ」データ
- 会社:JR九州
- 運用線区:西九州新幹線
- 使用車両:N700S
- 運行区間:
- N700S編成図
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 指定席 指定席 指定席 自由席 自由席 自由席 - 備考:2022年9月23日ダイヤ改正現在。101〜103号は全車自由席。
「リレーかもめ」データ
- 会社:JR九州
- 運行種別:特急
- 運用線区:鹿児島本線・長崎本線・佐世保線
- 使用車両:787系・885系
- 運行区間:
- 787系編成図(下記以外)
(※5・9号の4号車は平日は自由席)1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 DX,G│個4 指定席 指定席 指定席(B) 自由席 自由席 自由席 自由席
※DXはDXグリーン席、Gはグリーン席、個4は4人用グリーン個室、Bはボックスシートあり。 - 885系編成図(17・45・49・53・20・48・52・56号)
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 G| 指 指定席 指定席 自由席 自由席 自由席 - 備考
停車駅
| 列車名 | 「リレーかもめ」「みどり」 | 「かもめ」 | ||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 路線名 | 鹿児島本線 | 長崎本線 | 佐 | 西九州新幹線 | ||||||||||||||||||||||
| 駅名 | 門 司 港 駅 |
門 司 駅 |
小 倉 駅 |
戸 畑 駅 |
八 幡 駅 |
黒 崎 駅 |
折 尾 駅 |
赤 間 駅 |
福 間 駅 |
東 郷 駅 |
博 多 駅 |
二 日 市 駅 |
鳥 栖 駅 |
新 鳥 栖 駅 |
吉 野 ヶ 里 公 園 駅 |
佐 賀 駅 |
バ ル | ン さ が 駅 |
江 北 駅 |
武 雄 温 泉 駅 |
嬉 野 温 泉 駅 |
新 大 村 駅 |
諫 早 駅 |
長 崎 駅 |
|||
| 下記以外 [博多〜長崎] |
● | ▲ | ● | ● | - | ● | - | ▲ | ● | ● | ▲ | ▲ | ● | ● | ||||||||||||
| 9号 [門司港→長崎] |
● | ● | ● | ● | - | ● | ● | ● | ● | - | ● | - | ● | ● | - | ● | - | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
| 64号 [長崎→門司港] |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
| 101-103号 [新大村〜長崎] |
● | ● | ● | |||||||||||||||||||||||
在来線特急時代の「かもめ」
歴史項目にもある通り、戦後の復活以降は京都と九州を結ぶ気動車特急として運用され、これは山陽新幹線博多延伸まで変わらなかった。
1972年3月の岡山開業時も京都発着1往復が全席指定席で残存している。当時の途中停車駅は長崎発着便(7号車~13号車・9号車は食堂車)が大阪駅・三ノ宮駅・姫路駅・岡山駅・尾道駅・広島駅・宮島口駅・小郡駅・厚狭駅・下関駅・小倉駅・博多駅・佐賀駅・諫早駅。佐世保発着便(1号車~6号車)は京都駅~小倉駅間は同一で、小倉以西は筑豊本線経由で鳥栖駅・武雄駅・早岐駅。
長崎本線が電化されて以降、長崎本線の電車特急として「かもめ」は運行されていた。運行開始当初は485系が使用され、西九州新幹線開業直前は885系と787系(一部783系)が充当されていた。
1976年の運行開始から2009年まではエル特急指定を受けていた。
九州新幹線開業前には、鹿児島本線博多~鳥栖間において特急・快速・普通が高頻度で運行し、線路容量に余裕がなかったため、肥前山口駅(現江北駅)まで「みどり」「ハウステンボス」を併結している事が多かった(詳細は後述)。
「かもめ」データ
- 会社:JR九州
- 運行種別:特急
- 運用線区:鹿児島本線・長崎本線
- 使用車両:885系・787系・783系
- 運行区間:
- 885系編成図(2-4・7・8・12・16・17・19・21・22・24・26・27・31・35・37・38・42・43・45・46・106号)
※106号の2・3号車は自由席1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 G| 指 指定席 指定席 自由席 自由席 自由席 - 787系7両編成図(1・5・6・9・10・11・13・14・18・20・23・25・29・30・32・33・34・39・40・41・44・48・101・102・108号)
※1号の4号車と101・102・108号の3・4号車は自由席。6・30・32・34・39・41号の4号車は平日に限り自由席。1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 DX,G│個4 指定席 指定席 指定席(B) 自由席 自由席 自由席 - 787系6両編成図(100・103号)
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 DX,G│個4 指定席 自由席(B) 自由席 自由席 自由席 - 783系4両編成図(104号)
※DXはDXグリーン席、Gはグリーン席、個4は4人用グリーン個室、Bはボックスシートあり。5号車 6号車 7号車 8号車 G| 指 自由席 自由席 自由席 - 備考:2022年3月12日ダイヤ改正時
停車駅
| 路線名 | 鹿児島本線 | 長崎本線 | |||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 駅名 | 門 司 港 駅 |
門 司 駅 |
小 倉 駅 |
戸 畑 駅 |
黒 崎 駅 |
折 尾 駅 |
赤 間 駅 |
福 間 駅 |
吉 塚 駅 |
博 多 駅 |
二 日 市 駅 |
鳥 栖 駅 |
新 鳥 栖 駅 |
佐 賀 駅 |
バ ル | ン さ が 駅 |
肥 前 山 口 駅 |
肥 前 鹿 島 駅 |
肥 前 浜 駅 |
湯 江 駅 |
諫 早 駅 |
浦 上 駅 |
長 崎 駅 |
|
| 1-48号 [博多~長崎] |
● | ▲ | ● | ● | ● | - | ▲ | ● | - | - | ● | ● | ● | ||||||||||
| 100・103・106・108号 [博多~佐賀] |
● | ▲ | ● | ● | ● | ||||||||||||||||||
| 101号 [門司港→佐賀] |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||||
| 102号 [肥前鹿島→博多] |
● | - | ● | ● | ● | - | ● | ● | |||||||||||||||
| 104号 [佐賀→吉塚] |
● | ● | - | ● | ● | ● | |||||||||||||||||
定期列車は二日市駅、肥前山口駅のどちらかに必ず停車する(両方停車もある)。臨時列車の場合は両方通過する場合がある。
「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」開催日にバルーンさが駅、ウォーキングイベント開催日に肥前浜駅・湯江駅、「鹿島ガタリンピック」開催日に肥前七浦駅、冬季期間中に多良駅に臨時停車していた。
かもめ・みどり・ハウステンボス
2011年3月12日のダイヤ改正以前は、一部の「かもめ」は全国的に珍しい三階建て列車「かもめ・みどり・ハウステンボス」が運行されていた。783系5両編成(かもめ)+783系4両編成(ハウステンボス)+783系4両編成(みどり)の13両編成で運行し、肥前山口駅で分割・併合を行っていた。
2011年3月12日に九州新幹線が開業し、鹿児島本線の線路容量に空きが生まれたため「みどり」及び「ハウステンボス」との併結運転は終了した。
| ←長崎駅 | 博多駅→ | ←ハウステンボス駅 | 博多駅→ | ←早岐駅 | 佐世保・博多駅→ | |||||||
| 1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | 5号車 | 7号車 | 8号車 | 9号車 | 10号車 | 11号車 | 12号車 | 13号車 | 14号車 |
| G| 指 | 指定席 | 指定席 | 自由席 | 自由席 | G | 指 | 指定席 | 指 | 自 | 自由席 | G | 指 | 指定席 | 自由席 | 自由席 |
| かもめ[博多~長崎] | ハウステンボス[博多~ハウステンボス] | みどり[博多~佐世保] | ||||||||||
ところで、2022年9月23日のダイヤ改正では「みどり(リレーかもめ)」と「ハウステンボス(リレーかもめ)」が土休日を中心に運行される。実態としては二階建て列車であるが、役割として三階建て列車みたいなものであり、一部では三階建て列車の復活と言われることもある。
関連動画
関連項目
- JR九州
- 西九州新幹線 / 鹿児島本線 / 長崎本線 / 佐世保線
- キハ80系 / 485系 / 787系 / 783系 / 885系
- N700S
- みどり(列車) / ハウステンボス(列車)
- かささぎ(列車)
- ふたつ星4047
- 鉄道列車名一覧
- 3
- 0pt

