ステーキ宮とは、栃木県宇都宮市を創業の地とし、栃木県内および東日本を中心に店舗展開するステーキレストランである。
概要
株式会社コロワイドのグループ企業・株式会社アトムが全国に127店舗を展開するステーキレストランチェーン店。
創業当時から提供されているハンキングテンダー(サガリ)を用いたTEPPANステーキと、宮ロース(サーロイン)を看板商品としており、創業当時は高価で贅沢なディナーとされていたステーキを安価でありながら本格的に味わえる店として、1980年代から1990年代前半にかけて急成長を遂げた。
ハンキングテンダーはステーキに最適な赤身肉であるが内臓肉である故若干のクセがある、それを美味しく食べるために生み出された「宮のたれ」が最大のウリとなっている。
ステーキ宮の「宮」は、創業の地、栃木県宇都宮市の「宮」が由来である。現行店舗のロゴはポップな印象であるが、創業当時のステーキ宮のロゴは「鼻がデカイ不気味な男が不気味な笑みを浮かべる顔」に見え、子供からは怖がられたとの逸話もある。
歴史
1975年に栃木県宇都宮市で創業、当時は高度経済成長期に伴い牛肉需要が逼迫し、また、牛肉輸入も規制されており、ステーキは現代に比べて極めて高価なお食事であった。そうした中で、創業者は安価な内臓肉として取り扱われていた米国産ハンキングテンダーに注目、脂肪が控えめで適度な赤身を含む宮ステーキ(当時の名称)は好評を博した。
1978年に経営拡大のため株式会社ステーキ宮となり、バブル経済の真っ只中で店舗拡大と共に焼肉業態・ラーメン業態等への多角化経営も進め、1991年には店頭公開(現在のJASDAQ上場)
2003年にアメリカでBSE牛が発生し米国産牛肉の輸入が停止した事を受け、豪州産牛肉の使用に切り替えるも原材料コストが逼迫、さらにメインバンクであった足利銀行が経営破綻し厳しい赤字経営を強いられる事になる。2005年には粉飾決算が発覚、経営再建のため創業者一族は撤退し、2006年7月にコロワイドの傘下に入る。
コロワイドグループ内での企業再編を経て、2021年現在ではかつて回転寿司「アトムボーイ」で知られた株式会社アトムがステーキ宮の業態を展開している。
ステーキ宮のスタイル
かつてはサーロインやヒレの高級部位を扱う業態「鉄板焼ステーキコスモ」や、アメリカンカジュアルダイナー「M’s DINING」そしてなぜか寿司やラーメンも一緒に楽しめる「ステーキ宮リベロ」といった迷走系もあったが、2021年現在の営業形態は「ステーキ宮」に一本化されている。
メインのステーキ・ハンバーグを熱々の鉄板で提供する形はそのままであるが、組み合わせとしてパンまたはライス(おかわり自由)に食べ放題のサラダバー・スープバー、ドリンクバーを選択できる、一時期「ステーキけん」で急拡大したフリースタイルのステーキハウス業態を一部踏襲するものになっている。
経営再建によりコロワイド傘下となり競争力を持つためにカジュアル化されたが故、今の業態は他のステーキチェーンと一見変わらない印象があるが、1990年代までは「安価でありながら本格的にステーキを味わえる店」として高級感を漂わせる店として知られていた。
石造りの店内に本木目を多用したインテリア、フレッシュなサラダ、スープ皿で供されるコーンスープ、ワゴンで運ばれる熱々の鉄板ステーキ、店員の手で秘伝の「宮のたれ」が丁寧に注がれ、すかさず弾いたたれが飛ばないようにステーキの上に紙のナプキンがかけられる、1分待ってナプキンをめくればそこには焼けた醤油香を漂わす宮ステーキが現れる。そして最後にテーブルに添えられる謎の梅干。
「ステーキ宮で音を立てないようにスープを飲むのに苦労しました!」
「ステーキ宮でフォークの背にライスを乗せるのを練習しました!」
と、ステーキ宮の存在に感謝する人々(主に中高年)が多い。それもそのはず、晴れの日や節目に家族とステーキ宮で宮ステーキを食べるのが栃木県を始めとした北関東民の習慣となっていたのだ。ステーキだね。
そしてなんと、そうしたおじいちゃんおばあちゃんのために、畳のお座敷席も用意されていた。今も一部店舗では残っているらしいので探してみるのもいいだろう。
宮のたれ
ステーキ宮で無くてはならないのが20年以上に渡って愛されている「宮のたれ」である。
むしろステーキではなく宮のたれのためにステーキ宮に行くのが目的である。
なぜならステーキ宮来店者の9割以上が選ぶたれが「宮のたれ」であるからだ。
一応デミグラスや和風など4種類のソースも用意されているが、選ばれるのは「宮のたれ」である。
TEPPANステーキに使用されるハンキングテンダーは内臓肉であるため、サーロイン等の精肉に比べ特有のクセがある。そのクセを抑えるために醤油と玉ねぎをベースにした宮のたれが生み出された。
原材料は玉ねぎ・にんにく・本醸造醤油・醸造酢で、製造過程で一切の加熱をしない生たれである(要冷蔵)。このため、消費期限は結構短い。
原材料こそシンプルであるが、上記の原料を家庭で単純に混ぜるだけでは同じたれにはならない。北海道産の玉ねぎを主に厳選した原料を用い、HACCP準拠の衛生環境下で3週間の冷蔵熟成を経て製造・出荷される。これらの製造工程とその厳格さは、週刊モーニングで連載されていた漫画「八百森のエリー」に詳細に描かれているので宮のたれフリークはチェックすべきである。
あまりに好評なため、宮のたれはステーキ宮の店頭やスーパーのほかネットストアでも販売されている。
市販されてるんなら宮に行かなくてもいいんじゃね? と思われるかもしれないが、いやそこは行ってやってくれ。
他のチェーン店(い○○りステーキ等)にこっそり持ち込みたいと思う人も多いがダメ、ぜったい。
とはいってもBBQのお供には宮のたれである。
栃木県民の間では、家庭のホットプレートで楽しむペッパーランチ風ライスのたれに「宮のたれ」を使うのが流行しているらしい。実際に焼けた宮のたれとご飯との相性はいい。ステーキ宮の店内でも鉄板の上にライスを盛りたれと一緒に食す人もいるらしいが正直はしたない。やるならライスの上にオンしよう。
原材料が玉ねぎ・にんにく・本醸造醤油・醸造酢であるため、サラダのドレッシングとして使う人もいる。ただし製造元の株式会社エムワイフーズとしては、そのまま食すのは可能だが苦味が多いため加熱を推奨している。
上記の理由から、ステーキ宮のソースバーにある宮のたれは加熱されている。ただしウォーマーでゆっくり加熱されているため、鉄板で焼かれたたれより風味が落ちると思う人も多い。
関連リンク
- ステーキ宮
- 宮のたれ おいしさのヒミツ・通販 | ステーキ宮
- 株式会社エムワイフーズ(宮のたれ製造元)
関連項目
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