帰ってきたヒトラー(原題:“Er ist wieder da”)とは、ドイツの作家ティムール・ヴェルメシュが2012年に発表した風刺小説、及びそれを原作とした映画である。
概要
原題をそのまま訳すと「彼が帰ってきた」(He is here again)となる。
現代のドイツに蘇ってしまったアドルフ・ヒトラーが巻き起こす騒動を描く。
といってもハードな政治小説ではなく、あくまでスラップスティックでコミカルな風刺作品である。ヒトラーも、往時の狂気的な政治思想はそのままだが、人間くさい部分もしっかり描かれており、気のいいおじさんにさえ見えるキャラ造形がなされている。
ドイツではベストセラーになり、その後、世界中で出版された(日本では2014年1月21日発売。2016年4月に文庫化されている)。
さらに映画化もされ、2015年10月8日にドイツで公開された。製作は、「ヒトラー最後の12日間」のコンスタンティン・フィルム。
映画は日本でも2016年に公開され、単館系では異例といえる興収2億円のヒット作になった。[1]
あらすじ
ソ連軍が迫る中、総統地下壕に身を潜めていたはずなのだが、なぜここにいるのか記憶がはっきりとしない。しかも、どうも街の様子がおかしい。街にはソ連軍の姿どころか瓦礫ひとつないし、誰もかれも平和に過ごしている。おまけに、自分は総統だというのに、知らないそぶりをする者ばかりだ。
それもそのはずで、そこは2011年のベルリンだった。
彼は1945年から、タイムスリップしてしまったのだ。
情報を得るために立ち寄ったキオスクでそれに気づいた彼は、衝撃を受け、空腹と疲労も重なり卒倒、店の主人に介抱される。そのまま彼は、生活のため、仕方なしにキオスクで働くことに。
だが、「ヒトラーそっくりがウリのコメディアンか何か」と勘違いした主人によってテレビ局に売り込まれると、尖りまくりの芸風(?)がテレビやYoutubeで馬鹿ウケし、いくつもの勘違いにも救われて、どんどん人気者になりはじめる。彼の方も、持ち前の頭の良さを活かし、ウィキペディアをむさぼるように読んで、現代に適応していた。
そして彼は、第二次世界大戦から60年以上が経った現代で、再び野望の実現へと邁進しはじめた……。
原作小説と映画の違い
目を覚ました年が2011年から2014年へと変更され、初期の情報源もキオスクから新聞販売店へと変更された。この年代の改変により、公開時のドイツにおける政治問題や移民問題を映画内に取り入れている。
また、原作小説ではキオスク主人の売り込みからストーリーが進行していくが、映画ではフリーのTVディレクター”ザヴァツキ”と2人で国内を周り、その映像をネットへ投稿する事で知名度を上げていった。
その内容は『ヒトラーによる政治への街頭インタビュー』という物だが、実は撮影の際、映画である事を伏せて本当に街頭インタビューを行っている。場所はベルリンに始まり、2014年夏のワールドカップファンフェスト、果てはネオナチへのアドリブインタビューまである。
なお、インタビューの総撮影時間は380時間以上らしい。
関連動画
関連生放送
関連商品
関連項目
- 小説作品一覧
- 映画の一覧
- アドルフ・ヒトラー
- ナチス
- ひっとらぁ伯父サン - 今作に似た内容の、藤子不二雄Aの短編漫画。見た目も中身も本物そっくりな謎のおっさん「ひっとらぁ伯父サン」が、日本の平凡な家庭や町内会を舞台にナチスさながらのムーブメントを起こすギャグ作品。
- 総統閣下
外部リンク
脚注
- 19
- 0pt
https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E5%B8%B0%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC