| 新世紀 エヴァンゲリオン 劇場版 |
| シト新 生 |
| EVANGELION | :DEATH |
| AND |
| EVANGELION:REBIRTH |
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』とは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの劇場映画第1作である。
英語タイトル表記は『Neon Genesis Evangelion: Death and Rebirth』。
概要
1997年に上映された2本の劇場版エヴァの、実質的な前編にあたる第1作。
TVシリーズの第壱話~第弐拾四話を総集編とした『DEATH』編と、
TV版第弐拾五話をリメイクした新・第25話の前半部分『REBIRTH』編の2部構成。
本作単品は「未完成版」であり、完結は劇場版次回作『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』に持ち越しとなる。
制作背景
『新世紀エヴァンゲリオン』は、そのテレビ版全26話のラスト2話において、視聴者を置き去りにするかのような、良い言い方をすれば前衛的な、悪い言い方をすれば広げた風呂敷をたたまないまま放置するかのような終わり方をした。これには視聴者たちから困惑や批判の声が上がる一方、深夜帯の再放送によってその奥深そうに見える内容に魅せられた新規ファンの流入により、作品自体の人気は過熱していった。
最終話から1か月後(1996年4月)、制作会社ガイナックスは「当初の脚本に沿った形でラスト2話を制作し、映像ソフトとして発売する」ことと、「完全新作の劇場版の製作・公開」を発表した。その後、この2企画は複合して形を変え、11月には「1997年春にテレビシリーズの総集編とリメイク版第25話・第26話をセットにした完結編を上映」「同年夏には完全新作の劇場版を上映」することが発表された。
それぞれ「春エヴァ」「夏エヴァ」と呼ばれるようになったこの2作品は、「春」が本作『シト新生』、「夏」が『Air/まごころを、君に』として知られる作品になる。
改めて製作が決定した『シト新生』は、TVシリーズの第壱話~第弐拾四話を総集編とした『DEATH』部分と、第弐拾五話と最終話を新たに造り直した『REBIRTH』部分で構成されるはずであった。
しかしテレビ版から続くガイナックスの制作体制破綻により、『REBIRTH』の制作は公開までに間に合わないことが確実となり、劇場公開1か月前の1997年2月14日に庵野監督らが会見を実施。構成変更の謝罪と、『シト新生』の前売鑑賞券は夏エヴァでの使用に切り替えてもよいという発表が行われた。
結局、実際の『シト新生』は
TVシリーズの第壱話~第弐拾四話を総集編とした『DEATH』と、
新25話の前半(あくまで新25話の前半。最終話部分は無し)部『REBIRTH』
の組み合わせとなってしまった。
その後、夏までに時間をかけて『REBIRTH』として公開されるはずだった残りの部分が制作され、第25話『Air』と第26話『まごころを、君に』と名前を変えて公開される。当初発表されていた「完全新作の劇場版」は歴史の闇に消え去ることとなった。2014年に庵野監督が語ったところによると「『進撃の巨人』とそっくりな感じの作品になる筈だった」とのこと。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の開始後は、本作と『Air/まごころを、君に』、および『REVIVAL OF EVANGELION』(後述)などはまとめて『旧劇場版』(略して『旧劇』)とも呼ばれるようになった。
内容
『DEATH』編
長野県・第2新東京市(NERV本部のある第3新東京市ではない)にある中学校の体育館に、碇シンジ、惣流・アスカ・ラングレー、綾波レイ、渚カヲル……を思わせる少年少女たちが順に集い、弦楽四重奏曲の練習を行っていく傍ら、TVシリーズの出来事が断片化して挿入される。
監督は摩砂雪。脚本は薩川昭夫と庵野秀明。当初は薩川が監督予定だったが「既に総監督(=庵野)がいるのに監督はイヤ」「僕が作ると『エヴァの映画』と別物の『エヴァについての映画』になる」ということで辞退している。
庵野は薩川に「『わかりやすくてつまらないもの』を作るよりも、『わからなくてもいいから、刺激的なもの』を作ってほしい」というリクエストを出し、薩川は「錯綜した感じ」「ただのダイジェストだと、誰からも憎まれない代わりに誰からも愛されない」という意向で物語を構成した。
結果として完成した内容は「主役っぽい子供たちが独りずつ調弦を始めていく」風景に「その子供を中心に編集した、時系列がメチャクチャな断片映像が挿入される」という、総集編の皮を被った映像作品テイストに仕上がっており、完全に一見さんお断り。間違っても「とりあえず新規ファンに見せて雰囲気を掴んでもらう作品」と考えてはいけない。
一方でTV版の16ミリフィルムは35ミリに引き伸ばされ、一部は新規カットに書き直された(書き直し分も最初から16ミリで作って35ミリに引き伸ばしている)ことで、劇場公開作品としてのクオリティに引き上げられている。特に第六話の名シーン「笑えばいいと思うよ」の綾波レイは「摩砂雪の最高作画」とまで言われる、伝説のカットとして語られている。
後に衛星放送WOWOWでの放映に際し、本作のために書き下ろされた新規シーンをほとんどカット(して映像ソフト版の第弐拾壱~弐拾四話に転用)する修正が加えられ、タイトルが『DEATH(TRUE)』に変更された。
更に、翌1998年3月に公開された、本来の構想通りに第壱話~第弐拾四話総集編『DEATH』→25話『Air』→26話『まごころを、君に』をまとめた新編集劇場版『REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』では、さらに修正が追加されて『DEATH(TRUE)2』になった。
『REBIRTH』編
監督は鶴巻和哉。脚本は庵野秀明。鶴巻は正式完成版『Air』の監督も続投している。
ぶっちゃけ『Air/まごころを、君に』版とほぼ同じなので、大まかな構成はそちらの記事を参照のこと。ただし、正式完成版『Air』ではセリフがほぼ全編再録されたり、劇半の挿入タイミングが見直されたり、一部作画が訂正されたりと、微妙な違いがある(NERV本部に砲撃する戦自戦車が行進間射撃していたのが静止射撃になったり、零号機の墓場を通るシーンの音楽がカットされたり)。『DEATH』編で加持リョウジの死が強調された後に、あまりにわかりやすい山寺宏一声のモブが混ざる違和感とか、一切の火器を発砲せず「弐号機に蹴り殺されるために接近した」重VTOLとか、ちょっと笑えるミステイクもまとめて修正されている。
具体的な終了タイミングは、ジオフロント上空を旋回する敵を見つけたアスカが「EVAシリーズ……完成していたの?」とつぶやくシーン。この後、主題歌『魂のルフラン』が流れ、スタッフロールが始まる。その演出の見事さは、既に十分凄惨な展開を観せられたファンの脳裏に焼き付き、現在に至るまで名エンディングと評されている。この時点で観客は続くアスカとミサトの惨劇を予想しようも無かったのである。
なお、2003年のリニューアル版DVDには未収録となった。『Air/まごころを、君に』とほとんど被っているためだが、このため映像ソフトで『REBIRTH』編を観る=『魂のルフラン』を映像と合わせて聴くにはVHS・LD・旧DVD版を入手するしかなかった。
2015年8月26日発売のBlu-ray / DVD BOXではしっかり再収録されている。
トリビアなど
- タイトル『シト新生』は「死と新生」と「使徒・新生」のダブルミーニング。
- 『魂のルフラン』のカップリング曲が『心よ原始に戻れ』。よくパチンコオリジナル曲と誤解されるが、れっきとしたシングル初出の曲である。
- 予告編第1弾はTV版のフラッシュカットに合わせて、第弐拾四話で印象的だったベートーヴェンの『交響曲第9番』第4楽章が流れる。
- 予告編第2弾は『REBIRTH』編との合同予告仕立てであり、ヴェルディの『レクイエム』より「怒りの日(Dies irae)」に合わせて凄まじい勢いでフラッシュカットが流れる。余りの激しさゆえに、TBS情報番組『王様のブランチ』の新作映画紹介コーナーで流された後には、出演者たちが一瞬ドン引き絶句していた。
- 2025年10月からカラーが行った「月一エヴァ」企画の一環として、全国の劇場で再上映が行われた。上映前の3分間メッセージでは鶴巻和哉が何故か当時の写真と共に出演し、色々と語った。
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