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潰瘍性大腸炎とは、大腸の病気の1つである。
概要
症状と治療法
大腸に炎症が起こる炎症性腸疾患の1つで、大腸の粘膜に潰瘍やびらんが発生して炎症を起こす病気である。日本国内には約16万6000人以上の罹患者がおり、年代分布も20代から高齢者までと幅広い世代で分布している。また、これだけ罹患者が多いにも関わらず発生メカニズムや根本原因がはっきりと解明されておらず、[1]そのために国の指定難病にも定められている。
ちなみに指定難病の中では最も罹患者数が多い。
主だった症例としては、激しい腹痛や下痢をに繰り返しもよおしたり、血便が出たりすることがある。さらに体重の異常減少が発生したり、発熱や貧血の他食欲不振を引き起こしたりすることもある。重症化すれば下痢や腹痛も非常に短い周期で一日中発生するようになるため生活もままならなくなる。腸管出血や腸管膜が破れる症状が発生することもあり、最悪大腸がんを引き起こす恐れもある。
治療法も投薬による対症療法しかなく、大腸摘出手術を受けた場合を除き完治しないことがほとんどである。そのため、一旦寛解しても再燃することが多く、持病化するケースがほとんどで、投薬による薬効で症状をコントロールしていくのが現在主流となっている治療法である。ただ、重症化すれば大腸摘出手術の判断を迫られる場合もある。
重要な鑑別疾患として同じく指定難病に定められている炎症性腸疾患のクローン病があるが、大きな違いとしてこちらは病変が大腸に限られる(合併症を除く)ことや、病変が連続性であるということが挙げられる。
潰瘍性大腸炎に使われる薬は主に5-アミノサリチル酸薬製剤(5-ASA製剤)やステロイド(プレドニゾロン)などがある。また最近ではゼリア新薬工業などが開発した「アサコール」と呼ばれる5-ASA製薬系統の新薬が登場し、投薬治療の改良も盛んに進められている。しかし、効果はやはり個人差が大きいようでステロイド薬を中止すると悪化する場合は抗TNFα受容体拮抗薬としてインフリキシマブ(レミケード)やアダリムマブ(ヒュミラ)といった注射薬を使用するといった治療が用いられる。レミケードは8週おき、ヒュミラは2週ごとに行い後者は自己注射も可能である。[2]
潰瘍性大腸炎を持病としている有名人
上述の通り、国内に16万人以上も罹患者を抱えている難病のため、有名人にも潰瘍性大腸炎を持病とする人が多い。
日本の内閣総理大臣を務めた安倍晋三は潰瘍性大腸炎の病状悪化を理由に第一次政権、第二次政権ともに辞任を表明している。また、女優の高橋メアリージュンはTwitterで潰瘍性大腸炎を発症したと公表している。また、タレントの若槻千夏やプロ野球選手でオリックス・バファローズ所属の安達了一も潰瘍性大腸炎を持病としている。
ちなみにニコニコ的には、実況プレイヤーのもこうが潰瘍性大腸炎を持病としていることが知られている。
また潰瘍性大腸炎が原因で大腸を全摘した人物には、脚本家の北川悦吏子や、潰瘍性大腸炎の闘病エッセイ漫画『腸よ鼻よ』(関連商品も参照)を連載している漫画家の島袋全優などがいる。
関連動画
関連生放送
関連商品
関連項目
関連リンク・参考資料
- 安倍総理の病気 潰瘍性大腸炎とは(NHKニュースweb)
- 潰瘍性大腸炎(国立成育医療研究センター)
- 潰瘍性大腸炎(指定難病97) (難病情報センター)
- アサコール(藤好クリニック)
- 「潰瘍性大腸炎」、国内に患者22万人…首相の新点滴は「生物学的製剤」か(読売新聞 yomiDr. ヨミドクター)
脚注
- *直接要因は解明されていないが、間接要因として2つの要因が考えられている。
①免疫システムが何らかの原因で大腸を異常攻撃し、大腸が炎症を起こす。
②食生活の変化やストレスの増加が起因している - *ここを追記している筆者もステロイドを抑えていく過程で再発してしまい現在はレミケードの治療を欠かさず続けている。
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