GHQは
1:連合国軍最高司令官総司令部のこと。本稿で記述する。
2:Go Home Quickly の略。帰宅部のこと。
3:アニメ「ギルティクラウン」に登場する組織。
概要
日本の敗戦後、日本を支配した連合国軍主体で創設された機関。正式名称は上記の通りで正式な略称も「連合軍最高司令官総司令部(Supreme Commander for Allied Powers)」の略でSCAPなわけだが、長い為「総司令部(General HeadQuarters)」の略称のGHQとか進駐軍と言われた。
主にアメリカ軍人やアメリカの民間人が中心であり、少数だがイギリス人やオーストラリア人もいた。
1945年の敗戦から1952年のサンフランシスコ講和まで日本はGHQの占領下におかれていた。(占領と言っても日本政府を介しての間接統治を行なった)
GHQが行った政策
- 戦争犯罪者の逮捕
太平洋戦争における戦犯の逮捕、処刑。
戦争指導・扇動の罪で裁かれた元閣僚や高級官僚(A級戦犯)と、実際の戦地で戦争犯罪を行った軍人(B・C級戦犯)の裁判と処刑が行われた。いわゆる「東京裁判」と呼ばれるものである。
これにより東条英機ら7名のA級戦犯が、BC級戦犯においては約1000名が死刑に処された。
裁判の結果についてはA級戦犯では一方的な戦勝国の押し付けという意見が一部にあり、BC級戦犯においても原告側の杜撰な調査や虚偽証言を基にした一方的な判決が散見されたと言う意見も多い。 - 憲法の制定
戦前以来の大日本帝国憲法(明治憲法)から日本国憲法へ切り替わった。
天皇権限を巡って日本政府とGHQとの折衝が難航し、最終的にGHQ側の草案を原型とした憲法のため現在でも押し付け憲法だという批判もある。
しかし生存権や婦人参政権が盛り込まれるなど、当時としてはかなり進んだ憲法だった。 - 民主化
戦前以来の非民主的・前時代的な法律の削除や改定をはじめとし、財閥解体、農地解放、医薬分業、教育制度の改革などの諸制度の抜本的な改革が行われた。
特に農地解放は既得権層からの反発をGHQの絶対的権力で押し切って、長年放置された前時代的な地主制度を解体し多くの貧しい小作農を救うこととなった。
一方でアメリカに倣った地方分権も進められたものの、もともと高度に中央集権化されていた日本にはなかなか馴染まず、自治体警察(XX市警のように自治体が運営する警察機関)のように主権復活後すぐに廃れた政策もある。 - 公職追放
戦争を推し進めた思想家や政界・財界人、特高警察関係者などの公職からの追放である。
だが冷戦が明確化しはじめるとアメリカの反共戦略の都合で当初追放されていた人材が公職復帰を許され、逆に共産主義者や労働運動家などが公職追放の対象となった。
1952年の主権復帰時には完全撤廃されている。 - 労働組合の解禁
当初は民主化の一環として戦前には禁止されていた労働組合を解禁し、労働運動を推奨した。
これも冷戦が明確になりはじめると、左傾化や共産党の躍進に危機感を感じたアメリカの思惑でブレーキがかけられた。
1949年に相次いで発生し、現代でも昭和史最大の闇と称される「国鉄三大ミステリー事件(下山国鉄総裁怪死事件・三鷹駅無人電車暴走事件・松川町列車転覆事件)」も、当時特に強硬な労働組合が存在した国鉄における人員整理問題・GHQの労組政策の転換・GHQに与した国内右派の暗躍が大きく絡んでいるとされている。 - 非軍事化
日本国憲法への戦争放棄と国軍の不保持の明記により、日本は国軍を放棄した。
これに関しても朝鮮戦争の勃発の影響でアメリカの占領方針が変わり、事実上の国軍(警察予備隊→保安隊→自衛隊)を創設。現在までその扱いに関する問題を残している。 - その他の占領政策
当初GHQは工業基盤を破壊して国そのものの体力を削ぎ、二度と大規模な戦争を起こせないようにする「ハード・ピース」と呼ばれる厳しい占領政策を取っていた。
だがこれも結局は冷戦の萌芽が出てくると「ソフト・ピース」と呼ばれる緩い占領政策に切り替えられ、この方針転換がきっかけで結果的に日本の戦後復興が進んだのだ。
結果
強引ゆえに多少の弊害もあったものの概ねGHQの政策は日本の民主化、発展へのきっかけとなり、日本は敗戦から再スタートを切るわけである。
しかし冷戦の始まりとともにGHQの占領政策は変節し、自衛隊創設や公職追放解除などの所謂「逆コース」と称される矛盾が生まれて後々に続く多くの禍根を残したのもまた事実である。
またGHQ統治下では戦前並みの言論統制も行なわれ、占領期のアメリカ政府やGHQ麾下の機関による政治的暗躍も確認されている。
この他占領期には上述の国鉄三大ミステリー事件など、GHQによる暗躍や陰謀を疑われる事件も多い。
1952年。サンフランシスコ講和会議において、日本は独立を回復した。
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