芹沢達也とは、漫画『ラーメン発見伝』、ならびにその続編・メディアミックス作品に登場する人物である。
テレビドラマ『ラーメン発見伝』での演者は鹿賀丈史、テレビドラマ『行列の女神~らーめん才遊記~』での演者は鈴木京香。なお、『行列の女神~らーめん才遊記~』では芹沢達也ではなく芹沢達美と女性に改変されているが、こちらについても軽く触れる。
概要
『ラーメン発見伝』における芹沢
大人気ラーメン店・らあめん清流房の男性店主、かつフードコーディネーター。本作の主要人物の一人。
作品開始当時の年齢は42歳。眼鏡とスキンヘッド(ハゲではない)の容姿が特徴的。ラーメンに髪の毛が混入しないよう、意図的に髪を剃っている。
客に対して低姿勢で愛想のよく、卓越した技術・知識・センスと圧倒的なカリスマ力により、テレビの出演や雑誌の取材にも引っ張りだこである。……というのはあくまで表向きの顔であり、実際は多くの客のことを味音痴であると見下す現実主義者。客やメディアの前での愛想のよさもあくまで店舗経営やイメージ戦略を踏まえた演技であり、『ラーメン発見伝』の主人公・藤本浩平など素性を知る人間の前では非情な皮肉屋としての人格を見せる。
ただしラーメンや経営面での手腕は本物。仕事のかたわらでラーメン店の創業を目指す藤本に対し、創作ラーメン勝負における最大のライバルとして何度も立ちふさがる。既成のラーメンの枠組みに囚われがちで、コスト管理や店舗開発といった経営面でのスキルの乏しい藤本を「優秀なラーメンマニア」として表向きはけなしている。だが内心ではラーメンマニアに留まらない藤本の実力を評価しており、今の藤本に足りないものが何であるかを的確にアドバイスする、師匠のような面倒見の良さも時折見せる。『ラーメン発見伝』最終回では、ここまで成長できたのは芹沢のおかげであると、藤本が直接頭を下げてお礼を言う場面があることからも、2人のよきライバル・師弟関係が伺える。
対藤本の創作ラーメン勝負にめっぽう強く、自然食レストラン・大地におけるメニュー採用対決、プロデュースしたラーメン店同士の売上対決では、芹沢の完勝か良くて引き分けに留まることが多かった。しかし藤本との最終決戦では、客の舌を最後まで信じきれなかったことにより完敗している。
今では客のことを信じていない芹沢だが、かつては「自分にとってうまいラーメン=客にとってもうまいラーメン」と思っていた時期もあった。しかし鮎の煮干しを使った自信作の淡口ラーメンが大して受けず、コッテリ好きの客から「エサ」と馬鹿にされたことから自暴自棄に。淡口ラーメンにラードをぶちまけた、鮎の風味もくそもない濃口ラーメンを提供した結果、これが大ヒット。客だけでなく、自分のラーメンのよき理解者と思っていた銀行員(芹沢の融資者)まで濃口ラーメンを絶賛した結果、現在の冷徹な人格形成に至る。それでもラーメン自体への情熱は衰えておらず、一部の味のわかる客に自身の理想のラーメンを提供するため、利益が稼げる濃口ラーメンを売り続けている。また宣伝のためにネットの個人ラーメンライターをひっそり抱き込む(今で言うところのステルス・マーケティング)など、ビジネス成功のためなら多少ダーティーな手段もいとわない。
『らーめん才遊記』における芹沢
続編の『らーめん才遊記』では、主人公・汐見ゆとりの上司として登場。ラーメン専門コンサルティング会社・清流企画を創業。また実験的なラーメンを月替わりで提供する麺屋せりざわも立ち上げている。
汐見の物怖じしない言動に手を焼きつつも、彼女独特のセンスは評価している。
前作ではラーメン創作の手腕がクローズアップされることが多かったが、本作ではラーメンのプロデュースや経営面での描写が多く、それにともなって芹沢のコンサルタントとしての活躍が数多く描写されている。
また本作は『行列の女神~らーめん才遊記~』としてドラマ化されているが、芹沢達也ではなく芹沢達美と女性キャラに改変されている。無粋な改変と非難する声もある一方で、顧客受け・ビジネス成功をシビアに追求する芹沢達也なら自身の女体化も肯定しそうと、前向きにとらえる評価もある。
『らーめん再遊記』における芹沢
さらにその続編の『らーめん再遊記』では主人公に昇格。目まぐるしく変化するラーメン業界に対して自身の老いを自覚し始めており、かつてのようなラーメンへの情熱を失っていた。自身が手掛ける麺屋せりざわの月替わり実験メニューが近年不調気味なのも、そうしたラーメンへの探求心の衰えによるものである。
かつての憧れであった芹沢の老耄っぷりに、ラーメン界の新星である米倉龍大は罵詈雑言を浴びせ、ひと悶着。部下である汐見の思い付きにより、米倉とお酒を使ったラーメン対決を行うが、そこでの奮闘を経てかつての情熱を思い出す。米倉との対決に勝利した芹沢だが、汐見のオレンジワインラーメンに完敗したことで、社長の座を汐見に譲り勇退。その後は「万人の形式」のラーメンを探求しつつ、余暇を満喫している。
ファンからの評価
その風貌と現実主義的な発言から、作中でも強烈な存在感を放つ芹沢。「(ラーメンオタクは)情報を食ってるんだ!」「金の介在しない仕事は絶対に無責任なものになる」「(行列店に)わざわざクレームをつけてくるようなヤツは、無能ゆえにヒマを持て余していて、そのくせ無闇にプライドだけは高く、嫉妬深いクズのような人間だ。」など、冷徹な現実主義者かつ優秀な経営者だからこそ言えるような痛快なセリフが受け、作中のキャラでも屈指の人気を誇る。
そのような痛快な発言がネット上で話題となった結果、ラーメンやビジネスについてやたら印象的なこと言ってるハゲのおっさんとして、「ラーメンハゲ」の愛称が定着することとなった(繰り返しになるが、ハゲではなくスキンヘッドである)。
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関連項目
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