アップトゥデイトとは、2010年生まれの日本の競走馬である。牡・芦毛。
主な勝ち鞍
2015年:中山グランドジャンプ(J・GI)、中山大障害(J・GI)、小倉サマージャンプ(J・GIII)
2017年:阪神ジャンプステークス(J・GIII)
2018年:阪神スプリングジャンプ(J・GII)、阪神ジャンプステークス(J・GIII)
父クロフネはアメリカ生まれの外国産馬で、NHKマイルカップとジャパンカップダートを制した競走馬。種牡馬としても、フサイチリシャールやスリープレスナイト、カレンチャンなどを輩出している。
一方、母父のトニービンは言わずもがなの大種牡馬で、ウイニングチケットやノースフライト、エアグルーヴ、そして父クロフネとライバルであったジャングルポケットなどを輩出している。
そんな彼は新冠町のノースヒルズで生産され、2010年に生を受けた。
そして、2012年7月に中京競馬場のメイクデビューでデビュー。
このレースでは、圧倒的1番人気のルミナスウイングがラチに激突、落馬をするアクシデントがあったものの、アップトゥデイトはそれとは関係なく中段からしっかりと伸びて、のちにジャパンダートダービーを制するクリソライトを半馬身抑えて見事にデビュー勝ちを収めた。
その後はヤマボウシ賞を勝ったものの、それが平地での最後の勝利であり、その後は兵庫ジュニアグランプリ2着、全日本2歳優駿3着という結果は残したものの、その後は桶狭間ステークス5着で掲示板に載ったのを最後に平地では低迷。
2014年8月の九州スポーツ杯を最後に障害競走に転向することとなった。
実はアップトゥデイトの走ったレースで勝った馬の中にはコパノリッキー・サンビスタ・サトノアラジンといったのちのGI勝ち馬が3頭いたりする。
まぁ、これくらいは珍しい話ではないのだろうが……。
障害レースに転向したアップトゥデイトであったが、のちにパートナーとなる林満明を背に転向後2戦であっさりと初勝利。
その後は京都の障害オープンを制すると、翌2015年の中山グランドジャンプで障害重賞初制覇とともにJ・GI初制覇を決める。
このレースに騎乗していた林満明は自身にとってもGI初制覇を達成することとなった。
さらに、夏の小倉サマージャンプを制して、迎えた冬の大一番、中山大障害。
障害転向後負けなしで前哨戦でもあるイルミネーションジャンプステークスを制していたサナシオンに人気は譲ったものの、そのサナシオンを追うようにレースを進めた。
そして、最後の直線ではアップトゥデイトとサナシオン、そして障害2戦目だったエイコーンパスの3頭による三つ巴のレースとなったが、最後はエイコーンパスを半馬身抑え、見事に障害GI春秋制覇を達成し、この年のJRA賞の最優秀障害馬に輝くこととなった。
一方、エイコーンパスの高田潤騎手はレース後に『結果だけがうまくいきませんでした』と大号泣。
というのも高田騎手の師匠であり、ブエナビスタなどを手掛けた松田博資調教師にとって最後の中山大障害であったからだ。
松田調教師は、現役時代は障害の松田と呼ばれ、現役時代は当時の障害競走最多勝騎手であったが、その松田が騎手時代、調教師時代を通じて勝てていなかったのが中山大障害であり、そのラストチャンスがこのレースだったのである。
……そして、前の3頭が大接戦となり、アップトゥデイトが先頭で駆け抜けて4.3秒後にある馬がゴール板の前を駆け抜けることとなる。
その馬の名は、オジュウチョウサン。
そして、アップトゥデイトはこの後オジュウチョウサンに苦しめられることとなる。
年が明けて、2016年。
アップトゥデイトは中山グランドジャンプのステップとして阪神スプリングジャンプに出走する。
しかし、林満明が落馬負傷してしまい、白浜雄造が騎乗したものの前年中山大障害で破ったサナシオンの2着に敗れ、さらに骨瘤が出てしまい中山グランドジャンプ連覇の夢は絶たれた。
一方、王者を破った立場となったサナシオンは、意気揚々と中山グランドジャンプに出走。
堂々と逃げて、後続に9馬身差をつけての2着になった。
……え?サナシオンが2着??
では、王者不在の中山グランドジャンプを勝ったのは誰だ?
それこそがオジュウチョウサンであった。
彼はサナシオンの3馬身半前でゴール板を駆け抜けていた。
そして、この勝利こそオジュウチョウサンの伝説の始まりでもあった。
一方、骨瘤のために中山グランドジャンプの回避を余儀なくされたアップトゥデイトは新潟ジャンプステークス、阪神ジャンプステークスを挟み、連覇をかけて中山大障害に出走。
その中山大障害ではチャンピオンとして堂々と走り、ルペールノエルに5馬身差をつけての2着となった。
……え、また2着?と思った方もいるだろう。
しかし、アップトゥデイトがゴールをした9馬身前にはオジュウチョウサンがいたのである。
これでオジュウチョウサンは重賞4連勝であった。
とは言えアップトゥデイトも黙ってみているわけにもいかない。
仮にもジャンプレースの前の王者でもある。
なんとしても、オジュウチョウサンを止めようとしていた。
しかし、翌2017年の阪神スプリングジャンプではオジュウチョウサンに2馬身半差をつけられ2着。
さらに、中山グランドジャンプに至ってはオジュウチョウサンはおろか、サンレイデュークにも9馬身差をつけられても3着。
中々勝ちきれないレースが続くと、夏のステップとして挑んだ小倉サマージャンプではソロルの2着。
その後阪神ジャンプステークスを制し、久々の勝利の美酒に酔うこととなる。
そして、暮れの大一番中山大障害。
ここで林騎手は王者としてのプライドを捨てた作戦を取る。
オジュウチョウサンに勝つためにはこれしかない!と言わんばかりに大逃げを打ったのである。
その差は一時4秒近くあり、直線でも3馬身以上前を逃げ続けていた。
……これで、相手が普通の馬なら、このままアップトゥデイトが逃げ切っていたであろう。
しかし、ゴールまで残り30mで、必死に逃げ切りを図るアップトゥデイトをオジュウチョウサンがかわし、半馬身差の2着となった。
アップトゥデイトもシンボリモントルーのレコードを破り、3着のルペールノエルに3.2秒差をつけていた。
2018年。
年が明け、アップトゥデイトは前哨戦の阪神スプリングジャンプでグッドスカイに8馬身差をつけての圧勝。
一方体調を崩し、オジュウチョウサンは中山グランドジャンプにぶっつけ本番で挑んだ。
そして、年初に2000回騎乗で引退をすると宣言した林満明にとってもほぼ最後となるオジュウチョウサンとの闘い。
レースではクランモンタナ・マイネルクロップといった平地重賞勝ち馬につつかれる形となりながらもその2頭を競り落とし逃げたアップトゥデイト。
……しかし、現実は非情であった。
9号障害でオジュウチョウサンに捕らえられると、あとは突き放される一方。
自身もニホンピロバロンに9馬身差をつけ、アップトゥデイトも自らのレコードを1.2秒更新した。
しかし、その2.4秒前にオジュウチョウサンがいたのである。
林騎手引退後、アップトゥデイトは夏の小倉まで休養し、小倉サマージャンプで復帰。2016年に騎乗した白浜騎手を鞍上に挑むも、途中から先頭に立ったヨカグラに追いつけず2馬身半差の2着。2ヶ月後の阪神ジャンプステークスでは戦法を替えレース開始からハナに立ち、そのまま押し切って勝利し半年ぶりに勝ち星を上げた。
そして、年末の大一番、中山大障害に出走。中山大障害の翌日に開催される有馬記念には、中山グランドジャンプ以降平地競走に復帰し、ファン投票3位に選出されたオジュウチョウサンが出走。絶対王者不在により、アップトゥデイトは最終的に単勝1.4倍の圧倒的な一番人気に推される。
しかし、加齢による衰えなのか白浜騎手との息が合わなかったのか、いつもと雰囲気の違うレースに。その異変を見逃さなかったニホンピロバロンとミヤジタイガにレース途中でけしかけられ、さらにスタミナを消費してしまう。飛越に精彩を欠きながらもなんとか走り抜けようとするが、最後の障害を飛び越えたところでバランスを崩して転倒。その勢いでラチに激突し、競走中止となってしまった。幸いにも騎手に異状はなく、アップトゥデイト自身もすぐに立ち上がり、自らの脚で検量室前まで歩いて戻ってきた。
しかし、この転倒事故により、右前肢以外の脚に深い裂傷を負ってしまい、栗東に帰厩後に手術を受けることとなった。
翌2019年は治療と回復に専念し、中山グランドジャンプを回避。だが、結果的にレースに復帰できるほどの回復が叶わず7月26日付で引退。前年の中山大障害が現役最後のレースとなった。なお、引退後は馬事公苑で乗用馬となる。
アップトゥデイト自身も10年に1度の障害馬であることは間違いなく、同時に彼もかなりの強豪ではある。
だが、同時にオジュウチョウサンという100年に1度の障害馬がいたという不運。
これを生まれた時代が悪かったと言わずして、どう表現すべきなのだろうか……
| *クロフネ 1998 芦毛 |
*フレンチデピュティ 1992 栗毛 |
Deputy Minister | Vice Regent |
| Mint Copy | |||
| Mitterand | Hold Your Peace | ||
| Laredo Lass | |||
| *ブルーアヴェニュー 1990 芦毛 |
Classic Go Go | Pago Pago | |
| Classic Perfection | |||
| Eliza Blue | Icecapade | ||
| *コレラ | |||
| リニアミューズ 1998 鹿毛 FNo.8-k |
*トニービン 1986 鹿毛 |
*カンパラ | Kalamoun |
| State Pention | |||
| Severn Bridge | Hornbeam | ||
| Priddy Fair | |||
| *スリリングディ 1991 鹿毛 |
Prego | Be My Guest | |
| Andrey Joan | |||
| Leica Pretender | Sir Tristram | ||
| Pretend to Leica | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)
平地時代
障害時代
ライバルたちとの死闘
掲示板
81 ななしのよっしん
2024/01/04(木) 13:40:52 ID: 0m7yaBR/D7
まぁとっくに死んでるんだろうなと思われてた馬が実は普通に中小牧場で余生をすごしてました、なんて稀によくある事だ。
確定情報出ないならそれは逆に無事の知らせと取った方がいい気もする。
82 ななしのよっしん
2024/01/04(木) 15:50:27 ID: hhQURAlWXC
最近だとブラックホール号みたいな例もあるしね
83 ななしのよっしん
2025/06/29(日) 21:02:23 ID: ll85rSW6UP
馬主か一般人に引き取られて見学受け入れをしていない養老牧場で暮らしているのでは。
居場所を公表しちゃうと無許可で突撃する輩が出ちゃう。
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最終更新:2025/12/05(金) 17:00
最終更新:2025/12/05(金) 17:00
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