ブラックホール 単語

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ブラックホール

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ブラックホールとは

  1. 宇宙に存在すると言われている、極めて高い密度の体。
  2. 1をモデルとした、漫画キン肉マン」に登場する人。 → ブラックホール(キン肉マン)
  3. カードゲーム遊戯王OCG」のカード → ブラック・ホール
  4. 2017年産の日本競走馬 → ブラックホール(競走馬)
  5. くみ取り式便所のうち、便器全体にがあいたものに対する俗称。
  6. なんでもかんでも制限なく吸い込み、吸い込んだものが消滅してしまうものの例え。カービィnullデバイスなど。

本項では1を解説

概要

宇宙に存在する体はその大きさや年齢などから様々に分類されるが、質量がとても大きいが、いわゆる「死」を迎えるとブラックホールになる。(後述、「出来るまで」参照)

体の重力圏を逃れて宇宙空間に脱出するには、重力の強さに例した「脱出速度」をえる速度をもつ必要があるが、ブラックホールのそれは重力があまりにも強いために光速えてしまう。
質量を持つ物質が光速える事は物理的に不可能であるため、ブラックホールの重力から逃れる事は出来ない。

理由は異なる(後述)がも脱出できないので、可視を含めたあらゆる電磁波等による観測が出来ない。そのため現在でもブラックホールを直接観測する事には成功しておらず、ブラックホールが周囲の体などに及ぼしているから存在を推定するに留まっている。

豆知識

光子)は質量ゼロなのでいくら重力が強くても引き戻される事はい・・・と思う人がいるかも知れないが、そのものが出てこれないのは別の理由による。ブラックホール周辺はその重力のために間そのものが捻じ曲がっており、基本的に間に沿って進むものであるはブラックホールの外へ向かうルートいために外に出られないのである。
(※ 重力間が曲がるのはブラックホールに限った話ではない。質量を、つまり重力を持つ物体ならば全て重力の強さの分だけ間を曲げている。例えばあなたもあなたの質量相応の重力を放っているし、それによってあなたの周りの間をめている。に見えるほどのを及ぼすのはブラックホール級のみと言うだけである。)

ブラックホールの発見

ブラックホールの存在自体は、18世紀末ニュートン万有引力法則の発展として、既に理論上は予見されていた。ただし、元々が先述のように極めて観測しにくい存在である上、当時の天文学の技術ではブラックホールの発見は出来るはずもなかった。

しかし20世紀に入ってから、アインシュタイン一般相対性理論子・アインシュタイン方程式における特殊な解でもブラックホールの存在が示唆された。(これを最初に示したのが、後述の「シュヴァルツシルト半径」の名にもなっている、カール=シュヴァルツシルトと言う物理学者である)
その後何人もの物理学者がブラックホールの存在を示唆する解を導き出していたが、ブラックホールそのものの発見が成されるのは1970年になってからである。

X線による天文学が発達してきた1970年代、「X線を発する何らかの物体と、巨大な体が連星を作ってお互いの周りを回っている」と言うが発見される。
その公転周期とX線の明るさの変動周期から「連星を成している巨大な体よりもかに大きい質量を持つ」「その割にありえないほど小さい」と言う性質が判明し、これがブラックホールであるとほぼ断定された。

なお、冒頭ではブラックホールはさえも吸い込んでしまうために、直接的には如何なる手段でも観測できないと書いたが、ブラックホールのある方向を(ある程度の距離から)眼で見たとすると、ブラックホールがある事自体は判別出来ると言われている。
繰り返し書いているようにブラックホールそのものは見る事は出来ないため、ブラックホールのある位置そのものは周囲の々のきに対してが開いたように見える(だから「ブラックホール」)。これだけでも不自然といえば不自然だが、極めて強い重力によってブラックホールの周囲の間はブラックホールを取り巻く形で捻じ曲げられるため、ブラックホール周囲にあるように見えるもそれにそって捻じ曲げられる。結果、ブラックホールの周囲の色が円形にぐにゃりとんで見える。 

ブラックホールが出来るまで

内部で核融合を起こし、自らいている体を「恒星」と言うが、そもそも体と言うものは宇宙空間で物質がお互いの重力で引かれあってくっついているものである。集まれば集まるほど重力は強くなり、1箇所に固まろうとする力が強くなるため、何もければ1点になるまで押し固められてしまう。
恒星が一定の大きさ・密度を維持していられるのはこれに逆らう力を持っているからであり、それは内部の高温によって起こる核融合である。核融合によって生まれるエネルギーで膨をしようとするため、縮もうとする重力釣り合って一定の大きさになるのである。

しかし、恒星が起こす核融合反応は無限ではない。いつかは終わりが来る。
恒星の大きさ(質量)によって様々なパターンが存在するが、一定以上大きい恒星は、水素を使い果たしヘリウムたっぷりになると、ヘリウムを使ってさらなる核融合を起こす。その後はヘリウム炭素に、炭素窒素に、と言うように窒素酸素ネオンマグネシウム とどんどんと核融合によって重い元素が作られていく。

核融合が進みきって核がばかりになると、核融合は止まってしまう。は極めて安定した元素であるため、これ以上核融合が起こらない。核融合が起こらなくなるという事は、自身の重力によって縮んで行く力を支えられなくなるという事であり、どんどんと縮んで行く。縮むとさらに恒星中心部の温度が上昇し、1000億℃を超たあたりで核融合とは別の反応(光解)が起き始め、鉄解されていく。
かしこ分解と言う反応は、核融合のような発熱反応ではなく吸熱反応であるため、これが起こりだすと中心部の温度と圧力が急に低下する。そうするとの収縮が一気に進み、内部に極めて高い密度に圧縮された「核」が形成される。核が形成されると、もっと外側にあった物質が収縮してくる衝撃波を外に向けて跳ね返すため、あたかも爆発を起こしたかのように飛び散ってしまう。これが超新星爆発である。

問題は、この超新星爆発が起こった後に残された「核」部分である。
超新星爆発前の段階で凄まじいまでに圧縮されているため、全ての物質が中性子になってしまう(あまりにも強い重力のため、原子核の外側を回っている電子が原子核の中にめり込んでしまい、陽子と電子が結合して中性子に変わってしまう。そうして全ての粒子が中性子に変わってしまう)。
一定までの質量であれば、ここで何とか安定して「中性子」としてその後存在し続けることになる。しかし一定よりも質量が大きかった場合、中性子ばかりになってもまだ重力による収縮を押さえる事が出来ず、さらに縮んで行く。
ここまで来ると、再び収縮力を押し戻すだけの力が発生する事はもはやいため、どこまでも潰れて縮んで行く。こうして誕生するのがブラックホールである。

恒星質量ブラックホール

太陽の30倍以上の質量をもつ恒星超新星爆発を起こし誕生する、もっとも一般的なブラックホール。恒星ブラックホールとも呼ばれる。前項で解説されている形成メカニズムで発生するブラックホールのほとんどはこれである。
地球から最も近い恒星質量ブラックホールとして「いっかくじゅう座X-1」が存在する。

中間質量ブラックホール

太陽の数万倍の質量をもつ大のブラックホール。具体的な形成メカニズムが分かっておらず、観測数も極めて少ない。2012年に、体「HLX-1」が初の中間質量ブラックホールとして定義されたほどである(HLX-1自体は2009年にブラックホールとして観測されていた)。その他、天の川銀河の中心「いて座A*」を転する団「GCIRS 13E」、その中心にも中間質量ブラックホールが存在している可性がある。

超大質量ブラックホール

太陽質量の数万倍億倍という途方もない質量をもつブラックホール。一説には中間質量ブラックホールがぶつかり合うことで誕生するとされている。
ほとんどの銀河の中心にはこの大質量ブラックホールがあるとされており、天の川銀河の中心に存在する「いて座A*」の大質量ブラックホールは、太陽のおよそ400万倍の質量がある。
現在もっとも重いとされているブラックホールは「かみのけ座銀河団」に属する楕円銀河NGC 4889」の中心に位置するブラックホール。その質量は、太陽のおよそ200億倍以上とされている。

事象の地平面

重力はその物体との距離が近ければ近いほど強く働くため、「これより近づくと脱出速度光速える」と言う距離が存在する。これを「シュヴァルツシルト半径」と呼び、その距離を上下左右に球面として表したのがの地である。
この面よりも内側に入ってしまうと、出てくる事が出来なくなる。

重力もここまで来ると、有限の大きさを持つ物体は「ブラックホールに近い側」と「ブラックホールに遠い側」でも受ける重力に大きく差があるため、ブラックホールに接近した物体は近い側がより強く引っられ、針のように引き伸ばされて変形する。または、引き伸ばされるようにして引きちぎられてバラバラになる。そうした後にブラックホールに吸い込まれる。

ブラックホールに吸い込まれていく物体を外から眺めると他の体に向けて落下して行く時とべ、かなり変わった現象が観測される(と考えられている)。
まず一つに、その物体がくなる重力で引き寄せられているため物凄いスピードで移動していく(外から眺めている人から見れば、自分から遠ざかっていく)ため、方偏移が起こるからである。だんだんへと色が移り変わっていき、その物体から発せられるあらゆる電磁波が可視の範囲を通り過ぎた時、その物体は(では)見えなくなる。
二つに、その物体がいつまでもそこで止まっているように見える速度が大きくなるという事はその物体の時間の流れが遅くなるという事である。ブラックホールの、事の地面付近では限りなく光速に近いスピードで引き寄せられるため、いつまで経っても全然進まないように見えるほど時間の流れが遅くなってしまうのである。最終的には、事の地面の位置で永久停止する。

 

ちなみに、「これ以上近づくと脱出速度光速える」と言う「事の地面」は、ブラックホールにだけ存在するものではない。この世に存在する、質量を持つ(=重力を持つ)あらゆる物体に存在し得る。ただ、ブラックホールになるほど圧縮されていない物体は、事の地面よりも本体がデカいために、実質的に事の地面より近づく事が出来ないだけである。

逆に言えば、ブラックホールとはその物体自身の質量からめられるシュヴァルツシルト半径よりも小さく縮んでしまうとブラックホールになると言う事も出来る。
例えば地球は5,972,000,000,000,000,000,000,000kgの半径6357kmだが、事の地面は半径9mmである。
同様に太陽は1,989,100,000,000,000,000,000,000,000,000kgの半径696000kmで、事の地面は3km。
当然だが、地球太陽が自身の重力で半径9mm・3km以下まで縮む事はい。

なお素粒子の一種である電子の場合質量が9.11×10^(-31)kgで、事の地面は半径1.35×10^(-57)mであるが、素粒子には大きさが存在しないという説に立つと、事の地面の内側にブラックホールを形成していることになる。とはいえ水素原子核よりかに小さい距離のため「近づく」ことは不可能である。


方偏移・・・可視を含めた電磁波は全て「波」であり、波長の長さによって「赤色の可視」「青色の可視」「紫外線」「エックス線」等と言った性質が決まる。観測している人から高速で遠ざかっている物体から発せられる電磁波は、本来の波長の長さよりも、その物体が持っていた速度の分だけ波長が引き伸ばされた状態で発せられる。そうすると、本来の性質よりも「少し波長が長い電磁波の性質」に変わるのである。
可視で言うと、波長が短いほうから黄色橙色 となっているため、これによって波長が引き伸ばされるほど、赤色の方に変化して行く。もっと変化すると赤外線になる。(電気コタツとかのやつ)

ブラックホールの死

ブラックホールは重力に逆らって膨する事がく、また如何なる物も逃れる事ができないが、未来永劫存在し続けるのかと言うとそうとは限らない。

何らかの理由で物質と反物質の対生成が起きた場合、通常はそれらの対ですぐに対消滅を起こして消えてしまう。しかし事の地面付近で起こった場合、対消滅が起こる前に片方だけがブラックホールに吸い込まれ、もう片方が逃げ出してしまうという事が起こり得る。

ある物質が「時間の流れに従って運動する」という事は、質量と運動量以外の全ての性質が逆である反物質が「時間を遡りながら運動する」事と等しい。つまり、ある反物質が「時間の流れに従ってブラックホールに向かって落ちた」場合、それは「正物質が時間の流れを遡りながらブラックホールに向かって落ちた」事であり、言い換えれば「正物質が時間の流れに従いながらブラックホールから出てきた」事になる。(これらのことは(正)物質と反物質が逆でも同様。)

つまり本来何者も抜け出せないはずのブラックホールから物質が逃げ出している事になり、それによってブラックホールは質量が減っていく。物質と反物質の対生成そのものは確率で発生する事だが、これを繰り返しているとやがてブラックホールの質量は0となり、消滅するという理論である。

なおこの物質放出は「熱放出」と言う形で発生するため、あたかもブラックホール自体が熱を持っているかのような状態になる。そうなると、周辺の間との温度差によって「ブラックホールが冷やされるか否か」と言う界線が出来る。
この熱はブラックホール自体が小さければ小さいほど高くなるため、「周囲よりも自身の方が熱を持っている」状態になりやすく、冷やされて(=物質が逃げ出して)質量が0に近づいていきやすい。

現段階で言えば、宇宙空間温度はそこまで低くないため、これによって蒸発して消えてしまうブラックホールは理論上想定されるに留まるような極小サイズのものに限られる。
しかし宇宙空間現在も常に膨を続けており、膨すればする程宇宙全体の密度が下がり温度が下がるため、々々長いで見れば、いずれは宇宙温度は全てのブラックホールよりも低くなり、全てのブラックホールが蒸発していくだろうと考えられている。

ただし、ビッグクランチ説にもあるように、この宇宙はいずれは膨をやめ収縮に転じる「閉じた宇宙」であるとする説がある。
もしそうだった場合、膨が止まった時点でそれ以上宇宙温度は下がらないため、膨が止まる時点での宇宙空間温度よりも冷たいブラックホールは、本当に未来永劫消滅しない事になる。

特異点

ブラックホールの中心部は特異点(とくいてん)と呼ばれている。
特異点と言う言葉自体は「ある基準の下にある範囲内において、その基準が適用できない例外的な点」を意味するものであり、ブラックホールの中心部に特に付けられた固有名称ではない。

ブラックホールの中心部は密度と重力無限大になり、この世に存在するあらゆる物理法則が通用しないと言われている(なので特異点)。 

フィクションにおけるブラックホール

Fiction! この項では創作物上のブラックホールの性質について述べます。また一般的に流通しているブラックホールについての勘違いも含みます。

  • 黒い穴

    間に開いたとして扱われる。しばしば別の時と繋がっているとして描かれる。

    「ブラックホール」の直訳が「」であることと、ブラックホール中心に別のブラックホールもしくはホワイトホールを繋ぐワームホールがあるという説によるものと思われる。 ワームホールは特異点周りの微小なものとされているがフィクションではブラックホール、事の地面そのものが間に開いたとして描かれる。
    ワームホールは異なる時間間座標のワームホールと繋がっているとされため、時間旅行恒星間航行の手段として登場する。

  • 周囲のものを何でも吸い込む球体

    周囲のものを何でも吸い込む球体として登場する。上記の別の時と繋がるとしての性質も伴うことがある。吸い込む対を任意に選ぶことが出来る場合もある。 一般的に勘違いされている性質でもある。

    ブラックホールがすら吸い込んで逃がさないことに由来すると思われる。 ただし実際のブラックホールが何でも吸い込み逃がさないのは事の地面、シュワルツルト半径の内側のみである。 ブラックホールから十分離れた場合ブラックホールもただの1つの質量を持った物体に過ぎない。
    しかしフィクションに登場するようなサイズのブラックホール、例えば半径1mのブラックホールの場合地球100倍程度の質量を持つ。 従って周囲のものは非常に強い重力で何でも吸い込めるだろう。 ただし非常に強い潮力でズタズタに引き裂かれるだろう。

  • 非常に重い物体

    非常に重い物体として扱われる。上記二つの性質を伴う場合もある。 一般的に勘違いされることが多い性質でもある。

    ブラックホールが巨大質量の恒星超新星爆発して発生することと、軽いブラックホールは蒸発して観測されないことに所以する。 軽いブラックホールをマイクロブラックホールとして区別することもある。 事の地面が成立する条件は質量の密度であって質量の総量ではない。そのため軽いブラックホールも存在しうる。
    ただし太陽質量のシュワルツルト半径は約3km、地球質量のシュワルツルト半径は約1cmなのでそれを考えるとむしろフィクションのブラックホールは軽い。

  • ブラックホール爆弾

    にブラックホールを発生させる兵器として登場する。ロケットなどの推進装置が付いていることが多い。
    半径1cmのブラックホールを生成するのに必要な質量が地球並なので現実的でない。
    むしろマイクロブラックホールを安定させる装置に入れておき、その装置を解除することによってブラックホールを蒸発させ膨大なエネルギーによる攻撃をおこなうの方がまだ現実的だが、マイナーである。

  • ブラックホールエンジン(縮退炉)

    ブラックホールを炉心とした動力炉。最大のメリットは質量を100%エネルギーに変換できることである。反物質自然界にほとんどないことから、自然界からエネルギーを取り出す動力炉としては最高位の代物。
    大抵はマイクロブラックホールを炉心とするが、クラスの質量のブラックホールを重力制御装置で運用するものもある。また動力炉の大きさは数m程度から大宇宙ステーション規模のものまで多様であるが、質量の大きいブラックホールではその質量に対してホーキング射の割合が減っていくため、射以外でエネルギーを得る必要がある。逆にマイクロブラックホールの場合、射の割合が高すぎると蒸発してしまうため常に質量をブラックホールへ投じ続ける必要がある。

ニコニコ動画などにおけるブラックホール

ニコニコという宇宙にもブラックホールが存在する。詳細は「サムネブラックホール」の記事を参照。

また、ブラックホールを扱った作品は、に以下のようなものがある。
SF作品で用いられることが多いが、稀にファンタジー系でも扱われることがある。

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