カズヨシ(競走馬)

カズヨシとは、1954年生まれの日本の競走馬、種牡馬である。栗毛の牡馬。

生産者：益田牧場、調教師：柴田寛治 → 柴田寛、馬主：里和カツエ

主な勝ち鞍
1957年：皐月賞(八大競走)

※当記事では馬齢は旧年齢で表記します。

概要

父*タークスリライアンスは1952年に輸入されたフランス産馬で現役時代はイギリスを中心に20戦3勝を挙げた。種牡馬としては本馬の他にオークス馬ミスマルサを出している。

母オリオンは1951年のダービーでトキノミノルの5着に入っている。

母父月友はダービー馬ヒサトモの半兄で種牡馬として多くの活躍馬を出した。また、産駒が道悪に強いことから「雨の月友」と呼ばれた。

生産者の益田牧場は名牝トキツカゼなどで知られる青森の名門。今では見る影もなく衰退したが、50年代は青森産馬の黄金時代と言っていい時代だった。

調教師の柴田寛は父と伯父に名騎手にして名調教師の柴田寛治と柴田安治を持つ競馬一家の出身。父がアサオホギで出走した第1回ダービーにてワカタカで勝利した函館孫作に憧れて医者の道を捨てて騎手を志した。父寛治にじゃないんかい。1939年に弟子入りした新堂捨蔵の下で1942年に騎手免許を取得し、6年にわたる修行を終えて父のもとに戻るも、1945年に調教中の事故で馬の下敷きになり左足に障害を負ってしまい騎手としては活躍できなかった。1957年1月に父寛治が死亡するとその跡を継いで同年3月に調教師として開業した。
馬主の里和カツエは寛の実姉である。

３歳から4歳まで　後のことは馬に聞け

カズヨシは1956年7月に福島でデビューして2着のあと2戦目に勝ち上がった。東京に移動して4着からのちの菊花賞馬にして最良スプリンターのラプソデーに2連敗してどちらも2着。11月の中山のオープン戦1000mを重馬場にも関わらず1分2秒4のレコード勝ちして中山3歳ステークスも勝利。オープン戦5着を挟んで東京の3歳ステークスを勝利して朝日杯3歳ステークスに出走するもキタノヒカリの5着に敗れ、この年を終えた。

1957年は1月15日のジュニヤーカップから始動してセルローズのアタマ差2着と惜敗。次走も2着だったが、3月30日のオープン戦でラプソデーを破って勝利し、柴田寛厩舎の初勝利を挙げた。

4月21日の皐月賞ではヒカルメイジが50％を超える圧倒的1番人気だったがカズヨシは3番人気に支持された。当日の馬場状態は稍重発表だったが早朝に柴田寛がコースを確認しにいくと前日夜の大雨の影響でかなり渋っておりカズヨシが道悪を得意とするだけに「しめた」と思った。レースでカズヨシはトパーズにシンセカイイチとダンサーら先行争いをする前の3頭を外から追走、内にはヒカルメイジがいた。3コーナーを回ってピッチを上げると直線先頭に立ち、猛追するヒカルメイジに1馬身半着けて快勝。調教師となって1か月と3週間でクラシック初制覇となり、実姉の里和カツエも女性馬主として初の皐月賞制覇となった。

次はオープン戦を勝利して5月26日の日本ダービーこと東京優駿に出走、2番人気に支持された。レースは中段からスタートして向こう正面で4番手につけ、4コーナーで2番手に上がり、直線でヨドノカゼをかわして先頭に立つも直後に3番手まで上がってきていたヒカルメイジに一気に抜き去られ、これを必死に追ったが届かず3馬身半差の2着に敗れた。
日本ダービーの1着（ヒカルメイジ、夫から引き継いだ新田松江）から3着（ギンヨク、作家の吉屋信子）までが女性馬主で、アメリカのケンタッキーダービーも女性馬主の持ち馬が勝利した（後に種牡馬として輸入されストロングエイトなどを輩出した*アイアンリージ、馬主は生産牧場の代表）ため、この年は馬が女性軍のために気を吐いたと話題になったという。また同時に1～3着を青森産馬で独占している。

あとはオープン戦を5着、7着、2着して12月22日の有馬記念に出走するも9着しんがりと惨敗して引退、種牡馬となった。

通算成績20戦7勝［7-7-0-6］

産駒に活躍馬はいないが孫のミスグラマンとチアマットが園田の楠賞と名古屋のスーパーライト記念をそれぞれ勝利している。

柴田寛はその後北海道の兼業農家秋場亀(ひさし)が農業の傍らで生産した2流血統なのに500万もする馬がダービー馬クモハタそっくりの顔をしているのに驚き、馬主に購入させてこの馬ダイシンボルガードで1969年のダービーを制した。この時厩務員の石田健一がコースに侵入してメンコを振りながら最後の直線、馬と並走して絶叫したことが有名だが、柴田寛もゴールの瞬間絶叫しながら馬に向かって駆け出していたため、管理責任者として石田と一緒にお叱りを受けても苦笑するしかなかったという。

血統表

*タークスリライアンス Turk’s Reliance 1948 栗毛	Turkhan 1937 鹿毛	Bahram	Blandford
			Friar’s Daughter
		Theresina	Diophon
			Teresina
	Some Anxiety 1944 芦毛	Bobsleigh	Gainsborough
			Toboggan
		Fiery Cross	Fairway
			Grosspatch
オリオン 1948 青毛 FNo.12	月友 1932 鹿毛	Man o' War	Fair Play
			Mahubah
		*星友 Alzada	Sir Martin
			Colna
	第五バッカナムビューチー 1941 栗毛	*トウルヌソル Toumesol	Gainsborough
			Soliste
		バッカナムビューチー	*シアンモア Shian Mor
			第三ビューチフルドリーマー

クロス：Gainsborough 4×4(12.50％)

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧
• 1957年クラシック世代
  • ヒカルメイジ
  • ラプソデー
  • キタノヒカリ
  • セルローズ
• ダイシンボルガード
• ワカタカ
• 青森産馬