サムライスピリッツ(SAMURAI SPIRITS)とは、エス・エヌ・ケイ(旧SNK)およびSNKから発売されている対戦型格闘ゲームのシリーズである。
登場キャラクターの全てが何かしらの武器を所持している、所謂『武器格闘』のパイオニア的なゲームである。
略称はサムスピ、侍魂など。当時のSNKが販促の際「サムライ」という呼称も使用していたが、上2記ほど定着していない。
武器による斬り合いを主眼に置いたゲームのため、所謂「パンチ」に値する通常技が「斬り」となっており、弱・中・強と三段階に分けられている。中でも「強斬り」の攻撃力の高さが特徴で、単発で体力の2割〜3割(怒りゲージがMAXだと5割近くに達する場合もある)を奪うという通常技らしからぬ攻撃力の高さがウリで、「強斬りこそサムスピの必殺技」であるとまで言われた。
かなり残虐な演出も本シリーズの特徴である。攻撃ヒット時の出血表現もさることながら、敗北時には血飛沫や胴体切断、頭部切断などが表現される事もあり、敗北=死というシビアな緊張感を作るのに一役買っている。
90年代を代表する格闘ゲームであると同時に、SNKの黄金時代を築いた作品の一つでもあり、旧SNKが倒産した後もSNKプレイモア(現・SNK)より続編が出続けている。
但しSNKプレイモア以降の作品の開発は携帯アプリやクロスオーバー作品等を覗き、長らく悠紀エンタープライズやK2など、全て外注が開発を行っていたが、最新作「SAMURAI SPIRITS(2019)」では、旧SNKの倒産以降、初めて販売元であるSNKが直接開発に携わっている。
現在はハムスターの販売である「アケアカNEOGEO」において、MVS(NEOGEO)で稼働したタイトルにおいては全作品がNintendoSwitch、PS4、XBoxOne、Windows10で遊ぶ事が可能。オンライン対戦は不可能だが、タイムアタックやSNSへの動画投稿機能等がある。
またそれ以外にもPlayStationStoreで配信中の一部の単体タイトルは、オンライン対戦に対応している。
以下は発売年度順の作品概要であるが、シリーズの公式ストーリーの時系列は発表された順番ではなく、
零→2019→初代→(ナコりもの)→斬→天→真→ポリサム1→ポリサム2→閃→蒼紅の順となっている。
(ただし閃サムはポリサム及び蒼紅とは矛盾点も多く、剣サムと同様パラレルワールドとする説もある)
武士道とは死ぬことと見つけたり 修羅道とは倒すことと見つけたり
我、悪鬼羅刹となりて 目の前の敵すべてを
斬ル!!
通称初代。1993年7月にMVS(NEOGEO)用ROMカセットとしてアーケード版が稼働を開始、その約1ヶ月後に家庭用ネオジオROM版が発売された。
主人公は覇王丸で、登場キャラクターは日本全国各地に点在する外国人を含めた12人の剣客たち。戦いに負けるとその場で胴体が切断されるなどして、相手は死ぬ。(勝利デモでは、わらで包まれた死体(敗者)を運ぶ演出もある)ただし作品の雰囲気は黒子が試合形式でステージに立っているなど和気藹々としており、画面からはあまり暗さは感じさせないものとなっている。
登場キャラ全員が素手ではなく武器を所持していることから、パンチに相当する通常技「斬り」の攻撃力の高さを主な特徴とし、その他にも武器を弾き飛ばされたり破壊されると素手状態になってしまうこと、ダメージを受けることのみで増加するパワーゲージ「怒りゲージ」が存在する。MAXになると「怒り爆発」状態となり、肌が赤く染まり攻撃力が増加すること等が挙げられる。
他にも素手状態で行う特殊な防御手段真剣白刃取り、攻撃同士が重なると発生しボタン連打勝負となり、負けた方は武器を弾き飛ばされるつばぜり合い等、シリーズ恒例となるシステムは既に存在していた。
通常技は斬り3ボタン、蹴り3ボタンの疑似6ボタン方式である(強攻撃は弱中同時押し)。
発売当初はさほど大々的に宣伝されなかったが、独特なゲーム性から次第に各地で盛り上がりを見せ、大味ながらも良くまとまっている処女作らしからぬ対戦バランスも評価された。
稼働当時の1993年はストリートファイターⅡブームから少し経過した時期で、本作発表の数ヶ月後にはスーパーストリートファイターⅡや餓狼伝説SPECIALが発表を控えているなど、格闘ゲームが黎明期から一歩踏み込み、対戦ツールとしてのコンボ要素の強化やバランス調整の模索に取り組み始めた時期でもあった。そんな中、あえてそれとは真逆のシンプルなシステムや、ハイリスクハイリターンな一撃の重さを取り入れたゲーム性はユーザーからも受け入れられ、独自のファン層を得ることに成功した。
またビジュアル面でも人気を博し、特に春麗を凌ぐ勢いでゲーム誌面はたまた三鷹市の水道局のポスターに飛び交うナコルルの異常人気も相まって、ゲーメストでは各部門賞を総ナメ、SNKが好きなメーカー1位にランクインするなど、ビジュアル・ゲーム性両面で評価された名作であった。
発売当初の反響もありシリーズの中でも本作は特に知名度が高く、現在でも大会を行うゲームセンターが多く存在する作品である。
メガドライブやスーファミ、果てはゲームギアや3DOなど人気作故幅広い機種に移植されているが、スーファミ版など残虐演出がカットされている作品もある。
本家のネオジオROM版の売り上げも好調で家庭用ネオジオを爆発的に普及させた作品でもあり、「サムスピがやりたくてネオジオを買った」という人も多かった。
ラスボスは天草四郎時貞。
現在はPSStoreの単体移植のほか、「アケアカNEOGEO」において様々な据置機種でのダウンロード配信が行われている。
今は昔のものがたり。我が道 極めんとする男あり
血生臭い生きざまに 凶事まとうは 偶然では なかった。
通称真サム。1994年稼働開始、主人公は変わらず。ライバルが橘右京から死にさらせ!牙神幻十郎に変更。
システムには所謂超必殺技に相当する武器破壊技などが追加された。その他伏せや前転・後転など細かい動作の追加の他、ぬいぐるみ化というデコゲーのようなコマンドも追加されたが、これは当時のプライズ商品とのタイアップだった模様。
ラスボスは羅将神ミヅキ。SNK唯一の女性ボスである。また新キャラクターが4人追加されたが、内二人が丸坊主だったため禿が増えた。
本作も新キャラクターを含め極端に暗さを感じさせない雰囲気を持つが、覇王丸のライバル牙神幻十郎の登場や壮大なストーリーによりハードな演出も増え、特にヒロイン・ナコルルのエンディングに当時の漢達は涙したという。またその為に後続の作品の時系列が複雑化することとなり、本作以降は「初代より後、真サムより前」の時間軸のストーリーが多い(というか、余儀なくされた)。
隠しキャラクターの黒子が途中乱入してくる時があり、黒子のCPUアルゴリズムはラスボスをも凌ぐ。
ゲームバランスはシリーズ中でもかなり悪い方で、特に右京の壊れ具合が半端無い。だが初代の続編ということで関心は高く、人気は高かった。初代の人気の煽りを受けて家庭用ネオジオROM版は販売本数がかなり多い作品としても知られるが、あまりにも出荷しすぎてしまった為、高額機種のソフトらしからぬ値崩れが起きてしまった事も有名。
現在は「アケアカNEOGEO」にて、様々な据置機種でダウンロード配信が行われている。
剣の道 まさに 修羅の道なり。
屍を築き 血河を流し
生き延びる事こそ 無敵なり。
通称斬サム。1995年稼働開始。主人公は緋雨閑丸だが1Pの初期カーソルは覇王丸。登場キャラクターのグラフィックを全て一新。時系列は真より前、初代より後。ラスボスは壬無月斬紅郎。
人斬りの凶行を犯した「鬼」斬紅郎を倒す為に各キャラクターが立ち上がるというストーリーで、前二作と比較してストーリーには重苦しい重圧な雰囲気が漂っている。この傾向はこれ以後の作品にも続くが、一方で新キャラクターのリムルルをはじめ、明るく華のあるキャラクターも登場させることでバランスが取られている。
最大の特徴は対極選択。キャラクターごとに修羅、羅刹の二つの性能(剣質)を選択できる。初代で制作側のお遊びから生まれ、人気を博していた2Pナコルル(紫ナコルル)が狼のシクルゥを従える単体キャラとして独立したことをはじめ、パピー抜きのガルフォードなど、大幅に性能が変化するキャラクターも存在する。その他、CPU戦の難易度選択(剣客・剣豪・剣聖)が追加。
システム面では操作性も独自色を強め、疑似6ボタンを廃止し蹴りは1ボタンのみに変更、通常投げを各種連続技に移行できる防御崩しに変更。更に怒りゲージを自分でためることができる、相手の背後に回り込める回り込み、空中ガード…などシステムを一新したが、後続の作品に採用されなかったシステムもある。
稼働当時はネオジオソフト最盛期で、当時のSNKは毎月のようにゲームを発表していた為かゲーム性には調整不足が目立った(同時期の同社のKOF96、餓狼伝説3等他のシリーズ作品も同様)。
ただグラフィックに力を入れた甲斐あってかデモ絵などの評価は高く、また試合中も3ラウンド目以降にお互いの体力が一定量未満に減少するとBGMや背景が変化する極限空間など、演出面ではシリーズ最高との声が多い。しかし一方で本作からナコルル(と本作初登場のリムルル)の胴体切断が廃止されている。正しい武士道はどこいった!?
ほとんどのキャラに永久・気絶がある一方で、避けや小足連打、空中ガードが超強いなど、色々と派手である。上級者同士ではいわゆる「ハメ」に当たるようなことが対戦の基本となってくるため、当時はクソゲー認定する者も少なくなかったが、突き詰めた際の本ゲームのバランスはいまだに良く分かっていない。
ネオジオCD、SSとPSに移植されているがPS版は糞移植なので注意。PS2の六番勝負は兼ね良移植である。
また「アケアカNEOGEO」においても、様々な据置機種で現在はダウンロード配信が行われている。
一七八九年 寛政の改革が人々を圧迫せし頃 一つの魔性の塊が 燐火を上げて甦った。
大地を揺るがし 出現した城は 島原の人々を 災いに染めていった。
それに呼応するが如く 己が身を修羅に変え 定めに生きる者達が 現れた。
通称天サム。1996年稼働開始。主人公は風間兄弟だがやはり初期カーソルは覇王丸。時系列は斬サムより後、真より前。旧SNKの制作した最後の2Dサムライスピリッツである(ネオジオポケット作品は除く)。
システムは対極選択、難易度選択、防御崩し、極限空間など基本的には前作を踏襲している一方、空中ガードや怒りゲージを自分でためるシステムを廃止。体力ゲージが二本制になったがラウンドは2本制である。
所謂コンボである連斬りや、一閃などのシステムを導入。防御崩しの実用性が増したが、初代や真を好むプレイヤーからは賛否が分かれた。
KO後の小ネタとして、断末奥義という残虐演出があるがリムルルとナコルルにはその演出はない(何故かシャルロットは食らう)。CPU戦はタイムアタックによりエンディングが変わるので、じっくり楽しめないとして評価が分かれる。ラスボスはライバルキャラになる。
斬サムより永久連続技は減ったものの、一部のキャラしかできないために、むしろキャラ差が開いてしまいかえってゲームバランスが悪くなるという本末転倒な事態を引き起こした。一応、怒り爆発のおかげで1回なら脱出できるのだが…
ネオジオCD、SS、PSに移植されている(PS版は『天草降臨SPECIAL』名義)。PS版は相変わらず移植度は良くはないが、対戦でチャムチャムが使える。
この作品も現在は「アケアカNEOGEO」にて、様々な据置機種でダウンロード配信が行われている。
修羅とは 大地を揺るがし 往く者のことなり
羅刹とは 大海を切り裂き 逝く者のことなり
血潮の海に身を沈め 目の前の敵全てを 斬る
闇が垂れ込み始めた 暗黒が光を徐々に飲み込んでいく
待っていた時が満ちた そして そのモノが 蠢き始める
ハイパーネオジオ64で1997年に稼働した3D武器格闘。通称ポリサム。特徴となるサブタイトルがない為後述のアスラ斬魔伝と区別する為、便宜上ポリサム1と呼ばれることもある。家庭用には移植されていない。
主人公は覇王丸。ラスボスは壊帝ユガ。ゲーム性は天草降臨を踏襲しており、連切りを採用。
更にそこにリングアウト、軸移動、投げ抜けなど3D作品ならではの要素に加え、SCS(サムライコンビネーションシステム)という空中コンボ始動技、各種技に加え、じっくりとした対戦を推奨するためかバックステップ等でも消費しゼロになると身動きができなくなるスタミナゲージが新たに追加された。
しかし、連切りを採用したにもかかわらずコンボ数が増えるごとにダメージ補正がかからなくなるという逆補正によって、世紀末なゲームシステムが早々に発覚。更にそれに追い打ちをかけるように、前述のスタミナゲージがあるせいで、先に攻めた側が圧倒的に不利(スタミナゲージゼロで無防備=空中コンボで即死)になるという最悪の相乗効果がはたらき、ゲームバランスが壊滅。空中コンボゲーなのに爽快感皆無という本末転倒な事態を引き起こすとともに、斬サムをも凌駕する即死ゲーと化してしまう。
おまけに、「サムスピの癖にやれることと言えば空中コンボ」というコスプレバーチャシリーズの特色を全く無視しているゲーム性は、到底ファンに受け入れられるものではなかった。
ビジュアル面も、当時としても粗いと言われたハイパーネオジオ64独特の3Dモデリングやもっさりした動き、加えて新キャラ偏重で過去作キャラのリストラをはじめとしたキャラ人選も賛否両論。
このポリサム作品も一応、近年においても有志のファンがハイパーネオジオ64の基板をゲーセンに持ち込み対戦会を開いていたりと、根強い一部のサムスピファンに愛されてはいる作品…ではあるのだが、当時の人気は芳しくなく(というかハイパーネオジオ64自体置いていないゲーセンが結構あった)、ポリゴン餓狼と合わせて大方のネオジオファンからは黒歴史扱いされており、一部からはシリーズの人気を失墜させたとまで言われた。
ただしハイパーネオジオ64がもともと2D処理に強いハードだったためかデモの演出を評価する声もあり、中でも一閃の演出は本作やアスラ斬魔伝が一番との声もある。
なお本作に登場した色は後に「SVC CHAOS」に参戦し、その際(ネオポケ版を除けば)ポリサム出身のキャラとしては初めて2Dの新規グラフィックが描き起こされている。
ハイパーネオジオ64で1998年稼働開始。通称ポリサム2。前作の流れを組んだ実質のアップバージョンで、主人公は新キャラクターのアスラ。ラスボスは前作に引き続き壊帝ユガ。前作同様、こちらも家庭用移植されていない。
SCSと連切りを採用したコンボシステムは健在だが、世紀末だった前作のダメージ補正等仕様の調整のほか、爽快感を妨げ不評を極めたスタミナゲージをはじめ、リングアウト、軸移動が廃止されるなど、前作よりも2D作品寄りのシステムに多少回帰した。
ビジュアル面では「修羅」「羅刹」のキャラクターが前作では色違い程度であったのが明確に区別されており、特に炎邪火月や水邪蒼月など、後の作品である零の元ネタとなるキャラクターも登場する。
前作同様やはり知名度・人気共に低いまま終わってしまった感は否めないが、一部のサムスピファンからはカルト的な人気を誇っており、「HN64のタイトルの中では割と遊べる方」という評価に落ち着いている。
OVAが存在する。全2巻でVHS・DVDから発売。何気にサムスピのアニメ化の中では最も原作再現度が高く、声優陣も原作と同様で作画もそれなりに高品質なため、一部から評価が高い。ナコルルの縛られシーンは必見。
また本作のアスラも前作の色と同様、後に「ネオジオバトルコロシアム」にて2Dキャラとして参戦を果たす。
昔、この国は 侍の國だった
魂を取り戻せ 感覚を研ぎ澄ませ
己が宿命を背負い 次の世のために この血塗られた時代を 喰らえ 哭きながら
その絶望の街を 走れ 猛るままに 走り抜け 死の翼を 恐れることなく
自由なる 夢と 希望に従え
そして、この国から 侍は、消えた。
通称蒼紅、甦サム。1999年PSで販売。ポリサム第3弾。主人公は九葵蒼志狼。ラスボスは朧。覇王丸(ジジイ化)以外は新キャラ(本作の半蔵はかつての真蔵)だがシリーズで一番侍の割合が多い。ナコルルは妖精化した。
SNKは初代の1993年からこの作品まで、毎年に渡り新作(家庭用含む)を出し続けてきたが、本作が旧SNKとしての最後のサムライスピリッツとなった。
システムはほぼ3Dで描かれた2D作品となっているが、攻撃をガードされると間合いが詰まるなど妙な点もある。ガード不能でよろけ効果のある峰打ちが追加。体力ゲージは3本あり、1本ゼロになる毎に試合が仕切り直しになる。練り込まれた要素もいくつか存在するが、CPUアルゴリズムが少々単調なのが悩みどころ。
当時としてもポリゴンの質が悪く、ゲームとして決して出来は良くないが、前ポリサム2作品を含めて独特な退廃感のあるストーリーの評価は高い。
PSストアでダウンロード販売されている為、各据置機やPSVitaでプレイが可能なタイトルでもある。前章に当たるポリサム2作品がプレイしづらい難点はあるが、興味がある人はプレイしてみてもらいたい。
武士道とは死ぬことと見つけたり 修羅道とは生きることと見つけたり
我、悪鬼羅刹となりて 目の前の敵 全てを
斬る!
通称零サム。2003年SNKプレイモアの許諾を得て悠紀エンタープライズが開発(後に開発チームがエクサムとして独立し、アルカナハートなどを手掛ける)。主人公は徳川義寅。
本作の時代設定は零というタイトルに偽りなく初代のよりも過去の物語となっており、リムルルが幼女化。天草降臨のキャラ人選をベースに、新キャラクターが多数追加されている。
連斬りや回り込み、修羅羅刹などのモード選択システムを廃止し、新システムには、ポリサムのスタミナゲージの反省を活かしたようなシステム剣気ゲージを導入。通常技を連発するとゲージが減っていき攻撃力が下がる為一撃の重みが増した。
また一定条件下で一定時間自分以外をスローモーション状態にする無の境地を導入。無の境地発動後は極限空間の演出が入り、緊迫した試合を演出した。天サム以降のコンボを捨て去ったサムスピは懐かしさを感じさせ、初代のような一撃が重いシステムに回帰した。
ゲームバランスは、新主人公慶寅の必殺技「撫子(中斬り版、通称厨ナデ)」が異常に強かったり(炎邪と妖怪腐れ外道は完全に詰む)、空をビュンビュン飛んだりする新キャラ雲飛など、一部のキャラバランスは悪いが、そこそこのものに仕上がっており、旧作のファンからも評価された。
ただし残虐表現は回避されており、血飛沫は出るものの胴体切断の表現は一切なくなった(※羅刹丸のエンディング等例外はあり、この演出はPS2版移植の際に切断されない差し替えが行われている)。
新キャラクターはかつてサムスピにゆかりのあった漫画家らがデザインを担当している。主人公、ラスボスの兇國日輪守我旺、劉雲飛はかつて旧SNKとネタのパクリ合戦をしていたるろうに剣心で有名な漫画家・和月伸宏のデザインであり、妖怪腐れ外道のデザインは、斬サムの頃に同作のコミカライズを手掛けていた、トライガンで有名な内藤泰弘のデザインである。また隠しキャラとして、ガルフォードの犬パピーが単体で使える。
ストーリーも首斬り破沙羅以外の各エンディングはパラレルなく全キャラが繋がっていたり、全体的なストーリー自体も初代にちゃんと繋がるようになっているなど、一定の評価を得ている。
PS2の六番勝負に収録されているほか、何気にPS2に単体移植もされていた。現在は「アケアカNEOGEO」にて、様々な据置機種でダウンロード配信が行われており、完全移植のため前述の羅刹丸のエンディングも特に修正されていない。
世に 武士道といふものあり
屍山を越え 血河を渡り 極めんとするは 剣の道
己が露命を 刃に血塗り 我は 修羅の道逝く
羅刹なり
通称零スペ(SP)。上記のマイナーアップ。2004年稼働開始(開発は上記と同じ)。MVS・ネオジオでリリースされた最後の作品である。
羅将神ミヅキと天草四郎が同時期にいる、CPU専用キャラがおらずボス含めすべてがプレイヤーキャラなど、どちらかと言うと対戦を意識したドリームマッチになっている。
システムは零のシンプルさを基本としながら更に練り直し、一部のシステムはコマンドの簡素化が図られ操作性が向上。また無の境地のさらなる対抗策として追加された新システム絶命奥義などの手堅い改良が加えられた結果、ゲームバランスはサムライスピリッツ史上最高との声もある。
だが、この作品を語る上で何より外せないのは、新システムである「絶命奥義」をはじめとした、KO時の残虐演出の大幅な復活が話題を呼んだこと(残虐演出そのものは過去作から存在しており、好意的に受け入れたファンもいる)、そしてそれによって引き起こされた家庭用販売の際の回収・移植問題等の一連の騒動、所謂零SP騒動であろう。
騒動に関する詳細はこちらの当該項目を参照。⇒「サムライスピリッツ零SPECIAL」
この騒動のため、ゲーム自体は非常に良質な対戦ツールであるにも拘らず完全移植がなされず、しかも前作とは打って変わって他機種への移植はされず家庭用作品も長年、ネオジオROM版のみとなっていた。後のPS2「サムライスピリッツ六番勝負」にも移植されていない(但しギャラリーモードでは一部のBGM、海外版では公式グラフィックが収録されている)。
更にシリーズタイトルとしての扱われ方もこのためか不遇であり、サムスピシリーズのサントラBOXからハブられたり、サムスピ公式サイトの本作の項目に、新システムであるはずの絶命奥義の項目が表記されていないなど、微妙に黒歴史扱いをされていた。ゲームの出来を考えると、非常に惜しい作品である。
もっともゲーム自体の評価は依然として高いためか、稼働店舗こそ少ないものの都市部等の基板が現存する店舗では稼働しているゲーセンも少なくなく根強い人気を誇り、現在でも大会が開かれることがある。
その後、稼働から12年を経た2016年、どういうわけか絶望視されていた零SPの家庭用移植となるPC版が、海外のゲーム配信サイト"Humble Store"にて販売された。SNK許諾済みの合法ROMかつ、残虐レベル3の無修正が気軽に楽しめるようになった。難点は言語が英語であることだが、そこさえ気にならなければ歓喜の絶命奥義ライフが待っていることもあり、国内でも一大事件となったゲームなだけあって話題となった。
そして…満を持して2017年9月14日、とうとう日本国内でもPS4、PSVita向けにダウンロード販売という形で、完全移植版の発売が決定した。
タイミング的に上記の"Humble Store"での反響や売り上げが影響したことや、かつてのSNKプレイモアがSNKとなりパチスロ事業から完全に撤退しており、ソフトの販売に積極的になっている事が移植を後押ししたものと思われる。
何だかんだすったもんだがあったものの、MVSタイトルでありながら完全移植された家庭用ソフトが存在しなかった本作を惜しむ声が遅すぎた感はあるがようやく一段落着いたと言えるだろう。
その後は「アケアカNEOGEO」においても、2019年に他のNEOGEOタイトル同様にダウンロード販売を開始しており、とうとう任天堂据置き機であるSwitchでも遊ぶ事が可能になった(表現規制は一切無い完全移植である)。当時を知る人からは時代の流れを感じずにはいられないだろう…
剣サム発売の少し前、一部のゲームセンターでロケテストが行われたと言われる幻の再マイナーアップ版。SNKプレイモアの許諾のないままに開発・公開されたという証言もあり、半ば都市伝説のように知られていた。
2020年6月から7月にPC/PS4/NSWで順次発売されたコレクションソフト『サムライスピリッツ ネオジオコレクション』にて、MVSでリリースされた6作品と共に収録され、ファンを驚かせた。(外部リンク)
通称剣サム。2005年SNKプレイモアの許諾を得て悠紀エンタープライズが開発。
シリーズの全キャラ41名をそろえたドリームマッチ。2Dサムライスピリッツの最終作。
歴代タイトルのシステムを再現した6種類のスピリッツを選択できる。前作の影響御前試合という公の場であるため、残虐演出が一切無く、血すら出なくなった。BGMもとことん明るい。
和服メイドのいろはが非常に話題を呼んだ(後に携帯ゲームアプリのヒロインになるなどしてDS移植化も決まっていたが立ち消えに)。また声優陣が一部の除き変わっているがその理由は不明(色々諸説あるが真相は不明。PS2「六番勝負」収録の剣サムには一部の声優を元の声優に差し替える設定が追加されている)。
全体的に攻撃力が低めで従来よりもまともに連続技が入り、所謂一般的な格闘ゲームに近い作りになっているが、スピリッツ選択である程度従来作の感覚を再現可能。単一のタイトルとしては評価が高いものの、良くも悪くも角が取れてシリーズ特有の癖が抜けており、旧来のファンからは賛否両論。
通称閃サム。2008年稼働。K2スタジオが開発。
時系列は不明だがキャラクターの年齢から逆算すると1791年で天サムと真サムの2年後。
ポリサム以来の3D作品。ソウルキャリバーに近い縦斬り・横斬りを使い分ける3D武器格闘ゲームだが、加えて縦強斬りと横強斬りが存在し、一度のミスや読み負けで体力を持っていかれる緊張感は健在。
海外(特に英語圏)を意識し、白人やアジア系の新キャラが多数追加されているのが特徴。その他はリムルルを除いて初代と新サムのキャラクターが登場する。既存作品の声優陣は前作の件もあって不安視されたが本作はほとんどが初代などからおなじみのSNK声優。ナコルルもちゃんと生駒さんである。
日本版では剣サムと同様に残虐演出が存在しないが、海外版だと首が吹っ飛んだり腹を斬られて悶絶したりと残虐描写は健在(モータルコンバットよりはマシなレベル)。
しかし技の演出が過去作に比べて非常に地味であり、グラフィックでも当時の3D格闘ゲームの中で目を引くものが無く、人気を得るには至らなかった。Xbox360に移植されている他、NESiCAxLiveでも配信されている為現在も遊ぼうと思えば容易に遊べる。
通称令サム。2019年6月27日発売。
「閃」以来11年ぶりの完全新作にして、旧SNK倒産以降では初めて、開発・販売共にSNKが制作に返り咲いた新生サムライスピリッツ。初代と全く同じタイトルのため、令和最初の新作ということで「令サム」と呼ばれている。作品の時系列は「零」と初代の間の1787年(天明7年)で、共通プロローグで「零」の出来事に触れられている。
ゲームエンジンは近年主流のUnreal Engine 4を採用している。グラフィックは3Dであるがシステムは2D対戦格闘ゲームに準拠し、エフェクトに水墨画のような効果が施されて和のイメージを強調している。
血しぶきや胴体切断などの残虐描写が復活している一方で、オプションで任意にOFFにもできる。サウンドディレクターとしてSNK新世界楽曲雑技団の元メンバー・山添浩史氏が参加し、また一閃の演出には山添氏曰く、かつて定評のあったポリサムシリーズの一閃演出をモデルにしているという。
剣気ゲージが廃され、連続技に乏しくより一撃が重い零以前の初代的なスタイルに回帰。加えて豊富な防御行動や、任意に追撃可能な防御崩しによる読み合い重視のゲーム性になっている。
キャラクターは新機軸を意識した閃とは異なり、既存のキャラクターが多数再登場し、中でもポリサムの人気キャラクターである色はクロスオーバー作品を除けば旧SNK時代のポリサム2以来の参戦を果たしている。発売後には追加キャラクターも配信され斬、天、零初出のキャラクターや歴代主人公が復活し、剣サムからもいろはが追加された。また新キャラクターや新たなボスも登場する。
詳細はこちらを参照。⇒「SAMURAI SPIRITS(2019)」
ネオジオポケット用。1998年、1999年発売。一作目は「天草降臨」、二作目はポリサム2がベース。
キャラグラフィックは2頭身にデフォルメされており、残虐演出がハードに合わせてカットされて、その代わりに「ぺしゃんこに潰れる」、「黒焦げになる」、「乱舞系の技を喰らうと脱衣(しかも下半身まで脱がされます)」、といったコミカル(何か違う物が混じっている様な…)な演出に差し替えられている。
1997年発売。初代と「真」をベースに新たなストーリーを描くRPG作品。PS、SS、ネオジオCDで販売された。敵とエンカウントして戦闘が始まる前にロードが入るなどテンポは良くなく、特にネオジオCD版は超がつくほどロードが長い。魔都封滅の話はすなァァーッ!
戦闘システムは所謂アクティブタイムバトルである。格ゲーのようにコマンドを入力して技を出すシステムを選択できるが、避けを入力出来るネオジオCD版を除いて単なる趣味ないし苦行のシステムである。
ニコニコ動画では頑張ってプレイする益荒男達が多数存在する。RPGの話はすなァァァァーッ!!!
2001年に発売。通称ナコりもの。ナコルルがヒロインのアドベンチャーゲーム。開発はインターレッツだが、SNKの社員も参加している。PC版の発売後に旧SNKは倒産したが、翌年ドリキャスに移植された。評判は芳しくなく、特にヤンタムゥとかいうテラコヤス二股優男の存在により、全国のナコファン(と某メリケン忍者)を怒り爆発させた忌まわしい黒歴史作品として知られる。が、後に零に参戦するレラの初出だったり、マナリ(ナコルルの幼馴染)がレラより一足早くカプエス2にナコルルの登場演出等で出演したりしているなど、本家の格ゲーにも少なからず影響を及ぼしている。
後にOVAも発売するが、打ち切り。amazonでは未だに初回限定盤の商品が新品で売れ残っている。
初代と真の間に位置する作品で、羅将神ミヅキもちょっとだけ登場する。
2018年に発表されたスマートフォン向けアプリゲーム。ジャンルは3Dスクロール形式の「和風アクション」とされる。格闘ゲームではないものの、発表は「SAMURAI SPIRITS(2019)」よりも先行しており、SNKに商号を変更して以降初の新作タイトルとなった。日本では2019年8月8日よりサービス開始。
中国のモバイルゲーム企業Tencent社により発表、同年5月に中国国内では先行してオープンテストが行われ、同年12月にサービスが開始されている。タイトルは「侍魂:朧月伝説」で、日本でもこの名称で当初告知が行われていたが、後に日本国内でのタイトルが「侍魂オンラインー朧月伝ー」になると告知された。
先行配信トレーラーでは、覇王丸・橘右京・牙神幻十郎・ナコルル・新キャラクター、そして5人に相対する敵役に羅将神ミヅキが登場している。また担当声優は「(日本人の)人気声優を多数起用」とのことであった。
開発が中国であるということを鑑みると、閃サムのような感じで外国勢のキャラや要素が大幅に盛り込まれるのでは?…と思いきや、トレーラーの内容はジャンルに偽りなく至って和風である。
その背景として、(あまり知られていないが)中国国内では外国の伝説や史実を題材としたソーシャルゲームが人気を博しており、日本を題材としたものではNetEase Games社の「陰陽師」が、日本で配信される前から2億DLを突破していることなどが挙げられる。また中国では外国の文化は字幕で視聴することが多く、日本でいう"吹き替え"という文化がほとんど無いこともあって、声優も世界観に合わせ諸外国の言語を起用する傾向にある。
日本国内向けの告知は2018年5月以降長らく鳴りを潜めていたが、現在は2019年8月に配信を開始することが決定している。新キャラクターとして楠秀一、龍馬、羽生千代、槿といった日本人の新キャラクター達が見られる。
操作方法は同じSNKを題材にしたアクションゲーム「THE KING OF FIGHTERS ALL STAR(KOFAS)」とやや類似した、左画面で操作し右画面でスキルをタップするというものであるが、KOFASが横スクロールであるのに対し、本作は三次元的なMAP移動を行う作品である。
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306 ななしのよっしん
2024/12/01(日) 19:49:51 ID: ZT38FDdZyt
>>305
たしか後付けだけど精霊化して後に人間態へ自由に切り替えができるようになったとか。でないと未来に行ってKOFに出れないしな
307 ななしのよっしん
2024/12/01(日) 20:21:50 ID: pqT6npCaNP
>>306
そんな設定あったのか
ナコルル使わないからナコのストーリーてあんま知らなかったなそいや
なんだかんだで一応シリーズ皆勤賞か?
真サムがネックで時系列では真サムが一番最後なんだっけ?
真サムでは確か右京も死んでたはず
KOFてパラレルじゃなく一応繋がってたのか
308 ななしのよっしん
2024/12/02(月) 04:17:20 ID: TqzpbmJKKG
>>307
>>306が少々早とちりなんで補足
ナコルルは正確にはポリサムで「眠りについていただけだった」という後付で復活、20年後の蒼紅の刃では精霊として登場の流れ
時系列は零→令サム→初代→斬紅郎→天草→真→ポリサム→アスラ→蒼紅
ナコりものは初代~真、閃サムはアスラ~蒼紅の間に入るけど矛盾点が多いのでパラレル扱いされがち
お祭りゲーの零SPと天下一剣客伝は言わずもがな
ちなみに右京さんは真では直接死は描かれてなくアスラ斬魔伝で死んだと思われる終わり方をしている
KOFについてはXIVでナコルルが異世界チームで登場だったのと
ミヅキが「こんな世界まで追ってきおって」と言ってるので少なくともKOF世界はナコルルにとって直接の未来ではないし
ついでに本家サムスピとは別の違うサムスピ世界の可能性も考慮した方がいい
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最終更新:2024/12/22(日) 19:00
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