ジオン・ズム・ダイクンとは、アニメ「機動戦士ガンダム」と「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の登場人物。
サイド3における独立運動の指導者であり、国内での立場は終始ハト派とされ、軍備増強もデギンが主導したものであり、最期はそのデギンによる暗殺で生涯の幕を閉じた。
外見は年相応。立派なひげを生やしており、威厳をもった人物として描かれている。アニメ版におけるシャアの回想シーンでは、死を前にしていることを強調するためか白髪である。
家庭的には妻トア・ダイクンとの間に二子あり。長男はキャスバル・レム・ダイクン、言うまでもなく宇宙世紀のもう一人の主人公であるシャア・アズナブルである。長女はアルテイシア・ソム・ダイクン、つまりセイラ・マスである。
生年は宇宙世紀0009年とされる。幼少~成年に至るまでの経緯は不明だが、少なくとも0040年代には地球連邦議会の評議員に就任していたようだ。諸説あるが、連邦議会に選出されるのは地球に居住権がある者だけであり、政治的にはエリート階級であった可能性が高い。
彼が政治生活を始めた時代にはすでにコロニーに移住した人々と地球に残った人々の対立が先鋭化しており、こうした世情を背景に0046年にコントリズムと呼ばれる政治思想を発表。これは後述するが宇宙移民者による国家の建設をうたう思想であり、画一的な宇宙移民の支配を目指す連邦政府と議会多数派には受け入れられず議会内で孤立化する。0052年に自らの思想を実践に移すべくサイド3に移住し、翌年には首相に就任している。
ここからの彼の主観的描写はアニメ版と安彦良和の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」版で差違があるが、共通した事実として0058年に独立を宣言。ジオン共和国を名乗り、国防隊を発足させる。ちなみに、この時に連邦軍駐留部隊の切り崩しに活躍したのが盟友転じて政敵でありのちにジオン公国公王になるデギン・ソド・ザビである。
これら一連の行動は連邦の警戒を呼び起こし、翌年には経済制裁が発動され宇宙艦隊を中心にした軍拡が開始される。0062年には国防隊がジオン共和国軍に改変され、もはや両国の関係は修復不可能な段階へと突入する。
軍事的緊張と経済制裁による大不況(一説には生産力が半分近くにまで落ち込んだとされる)、さらには0067年の連邦議会によるコロニー自治権整備法案の廃案により、ジオン共和国内ではダイクンとデギンを二軸に内ゲバが頻発。余波を受けてか0068年にダイクンは急死(暗殺説あり)。2代目首相として後を継いだデギンにより0069年に公王制が敷かれ、この体制が作中年代における勢力図へとつながって行く。
ジオン・ダイクンは、宇宙世紀において最も影響を与えたジオニズムの提唱者である。
ジオニズムはコントリズムとエレニズムの二つで構成された思想である
コントリズムは大きく分けて宇宙移民者による国家の建設を謳う思想である。ジオンとその後継者であるデギンによるコロニー国家建設、サイド3を連邦から接収しザビ家ジオンの復興を掲げたハマーン・カーンがその代表例である。Vガンダムにおける宇宙戦国時代にも、宇宙移民者の間で自治権要求運動が再燃しているが、それは連邦が以前よりもコロニーの動向に対して無関心な事とコロニー間での経済格差によるサイド国家主義からコロニー主義へと変遷した結果であり、あまりジオニズムとの関連性は強調されない。
エレニズムは、全人類が宇宙へと移民して地球環境の保全を図るべきとする思想である。ギレン・ザビ、ジャミトフ・ハイマン、ダイクンの息子であるキャスバル・レム・ダイクン(シャア・アズナブル)、マフティー(ハサウェイ・ノア)、ロナ家一党、マリア・ピァ・アーモニア、ダーゴル、宇宙世紀の物語においての組織の首魁が掲げる理想にはほぼ必ずエレニズムが関与している。
ジオニズムは、宇宙世紀0105年のマフティー動乱が鎮圧された際に、スペースノイドを対象とした思想統制で全てアングラ化したとされる。
ジオン系列の組織は、0093年のシャアの反乱、0096のラプラス紛争、0100年のジオン共和国解体と自治権放棄以後は目立った活動は鳴りを潜め、0120年代のオールズモビル戦役を最後に確認されなくなる。
ジオン・ダイクンはニュータイプ論を提唱した。これは棄民政策で宇宙に捨てられた人類の中からその厳しい環境に適用した優れた資質を持つ者が現れると言う予言である。確認された最初のニュータイプはジオンのシャリア・ブルだが、連邦側についた多くの主人公パイロット達も幾度の宇宙戦争でこの能力の一端を覚醒させている。
ジオン本人の肉声は作中ではほとんど伝えられていない。ただし、スニーカー文庫の小説では演説や論文と言う形でいくつかの断片が示されている。ニュータイプ論を公表した『新人類たちへ』では宇宙開発とその結果がもたらすであろうニュータイプと言う恩恵を「第三のルネッサンス」(第一は猿から人へ、第二は中世から近代へ)と評し、宇宙移民たちの希望を煽っている。一方、Zガンダム小説版では近代まで「環境が苛酷であるばかりに、人は、一人の主権を認めるよりも先に、あらゆる経済的、物質的なものを環境保全に投入し、その余剰を持って個人の保証に振り向けるという構造をとった。生きる環境を保全することが第一であって、生き残った上で、個人の主権を考慮するという構造」であったとし、環境保全のための宇宙移民をその延長線に捉えると言う。見ようによってジオンの思想にははかなり過激な全体主義思想も混ざっていると言える。
いずれにせよその思想は宇宙移民を人類社会の中心としたものであり、地球を独占し既得権を保持したままで宇宙を管理しようとしている特権階級の人間、いわゆるアースノイドからすれば到底受け入れられないものであった。
ジオン共和国がザビ家の独裁によってジオン公国となり、ギレンがジオンのNT論を自分にとって都合の良い思想へとすり替えた結果、NT論はスペースノイドにとっての選民意識の苗床ともなり、ジオン公国やその残党組織によるコロニー落とし等の虐殺行為を正当化する理由になった。
そんなニュータイプ論だが、宇宙世紀0105年以降にジオニズムがアングラ化したのと同時に、「ニュータイプ」研究が一時途絶した。
それから18年後の宇宙世紀0123年では、一般市民のシーブック、リィズ兄妹の会話ではニュータイプとはパイロット特性のある人だという伝わり方をされていることが分かる。
それから30年後の宇宙世紀0153年Vガンダムの時代。ニュータイプは人類の進化すべき形であると語られていたり、やはりF91の時代のように極度にパイロット適性がある人だとも考えられていた。地球生まれ・地球育ちの若干12際の少年ウッソ・エヴィンはリガ・ミリティアの老人たちとの会話でニュータイプ論を以下のように表現している。
ニュータイプ論などは、宇宙に移民せざるを得なくなった人類が、自分たちのやっていることを正当化しようとして捏造した考え方だと理解しているのが、ウッソだ
環境がちがえば、生物がその環境に適応しようとするのは当然でも、宇宙に進出して百年程度で、一つの種が宇宙という環境に適応できるようになることなどありえない
人が持っている大脳皮質の使われていない部分が、宇宙に出たことによって刺激され能力を拡大して、人はより善きものに転化していくのではないか、そんなロマンチックな発想に支えられたニュータイプ論は結構持て囃されたものだ
こちらのジオン・ダイクンは、安彦良和氏の思想を反映して、デギン以上の過激派かつタカ派となっている。軍備増強も連邦との対決路線も彼自身が主導したものとされる。
頭髪は黒髪である。こちらでは0053年のサイド3では議長である。
オリジンではキャスバルを産ませたトア・ダイクンはアトライアという名前の愛人だったいう設定に変更され、キャスバルの出産にはデギンの計らいがあった。
ダイクン暗殺に関する真実も異なっており、あまりの自己陶酔や自己肯定の反動から来る精神衰弱であることを匂わせており、アニメ版のような聖人君子像は真っ向から否定されている。
ダイクンの腹心であったがのちに対立。上述のように作品によってその関係の描かれ方は違っている。ただし、どの作品でもジオンと言う国家を守ると言う姿勢は一貫しており、ジオニズムのうちコントリズムには忠実であったともとれる。
オリジンでは「ダイクンの思想だけでも守りたい」と言う心情を吐露する一方、ギレンを晩年のダイクンの狂気と重ね合わせて「ダイクンの亡霊が乗り移った」と評するなど複雑な思いを抱いている様子がうかがえる。
富野由悠季による劇場版シナリオを基にした小説『密会~アムロとララァ』では、デギンがダイクンを暗殺したと描写されていて、「この小説がファーストガンダムの”原作”とされるようになるだろう」といった旨があとがきに記されている。とは言え劇場版から時間が経ってから執筆された後付作品なので…
デギンの息子。ジオニズムを(コントリズムを前世紀のナショナリズム並に、エレニズムを選民による地球の管理運営に)相当捻じ曲げた上ではあるが実践した人物の一人。
幾人かいる後継者のうちでも最大の大物であり、ダイクンを差し置いてジオニズムの代表者とされる場合も多い。
実際にはジオニズムですら人口削減の道具に過ぎず、彼自身は特に思想的なこだわりは有していなかったともされる。
デギンと並んで腹心の一人。ランバ・ラルの父親である。ダイクンの死後、幼い二人の忘れ形見を連れて地球へと亡命した。ジオニズムをシャアに教えたのも彼であるらしい。
オリジンではアニメ版と相当異なった描かれ方がなされており、政権を握ったデギンやザビ家への憎しみに凝り固まった人物となっている。デギンによるダイクン暗殺説も彼が遠因とされ、一連の事件の経緯については安彦氏が直接インタビューで言及している。
長男。のちのシャア・アズナブル。後継者の一人であり、シャアの反乱における将兵への演説はダイクンの名をもって締めくくっている。
ただし、実行に移した行動そのものは痛烈に批判したザビ家のギレンと同じであり、ハト派であったダイクンとは真逆である。
長女。シャアの妹。生来の悲観的性格や自分がニュータイプのなり損ないだと自覚している部分もあってか、兄ほど積極的に組織の中枢に入り込む姿勢は見られなかった。
兄であるシャアの過激な言動には終始(ファーストからZ、ZZの時代まで)批判的で彼の死を願ってまでいる。
掲示板
83 ななしのよっしん
2022/10/19(水) 23:53:08 ID: pNGNpMgyOo
アストライアが長生きすれば特に不満もなく暮らせそうだけど、オリジン軸と変わらず十代前半くらいで
亡くなった場合は「ザビ家のせいで早死にした」みたいな感じになりそう。まあ、手を尽くして亡くなったなら
ザビ家より苦労をかけた挙句にとっとと死んだダイクンがクソだったからになりそうだし、それはそれで
ジオンと言う国の在り方に反発しそうだけど。
84 ななしのよっしん
2023/02/03(金) 17:08:38 ID: HNpCNopMgx
というかオリジンだとアストライアの扱いが悪かったのザビ家あんま関係ないよね…
85 ななしのよっしん
2023/06/15(木) 01:17:45 ID: b8vt0Qsiyi
オリジン前提の設定を語るのはいいんだけどこの人が何かに出てくるたびにそれをまるで全体の設定かの持ち出して布教しようとするの辞めてほしいんだよなあ、ただの聖人ぶったクズとか茶化すようなのもいるし
この記事でも何人かいるけどさ
まあ正式に立ち位置を決めないバンナムが悪いけど
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最終更新:2024/11/08(金) 22:00
最終更新:2024/11/08(金) 22:00
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