『スター・ウォーズ レイアへの求婚』(Star Wars: The Courtship of Princess Leia)とは、『スター・ウォーズ』サーガの小説である。
「レジェンズ」作品群に属する。単巻。著者はデイヴ・ウルヴァートン。
なお、当記事の記述内容、固有名詞の日本語表記などは、原則的に本書邦訳に基づく。
ハン・ソロとレイア・オーガナの結婚を巡る騒動を描く小説作品。本作刊行以前から、スローン三部作などで夫婦となって以降のハンとレイアの姿がすでに多く描かれていたが、本作はそうした作品より時代をさかのぼり、二人の結婚のいきさつを直接描いた作品となる。のちの作品で重要な要素となった惑星ダソミアやヘイピーズ・コンソーティアム(ヘイパン王国)、ズンジ大将軍(ジンジ大将軍)の初登場作品。
原著は長編小説単巻(ハードカバー)で1994年刊行(翌年にペーパーバックでも刊行)。邦訳は翌1995年に文庫版上下巻構成で竹書房より出版された。日本語訳は富永和子。邦訳表紙イラストはドリュー・ストルーザンによる原著ハードカバー版・ペーパーバック版の表紙イラストをそれぞれ上下巻に用いている。竹書房刊行のスター・ウォーズ小説作品としては、上下巻で表紙イラストが異なる作品は本作が唯一。
ちなみに、ハンとレイアの結婚については1993年のジュニア小説「ジェダイの王子」シリーズ最終巻『暗黒の預言者』の内容と盛大に衝突しており(編集・高貴準三による邦訳版解説にすらツッコまれている)、一応は本作の設定が優先で扱われていたが、最終的に両立する解決に至るまで20年近くを要した。また、後に刊行されたXウイング・ノベルズの未邦訳第五~第七作は本作の敵ズンジ大将軍との戦いを描いており、第七作『X-wing: Iron Fist』では本作に時系列がつながるようになっている。
皇帝を倒して4年。大敵ジンジ大将軍との戦いから銀河首都コルスカントに戻ったハン・ソロは、長く鎖国状態だった星団国家ヘイパンの使節団に遭遇する。ヘイパンの王子イソルダーが莫大な贈り物をたずさえ、ハンの愛するオルデランの王女レイア・オーガナに求婚してきたのだ。
レイアとイソルダーの結婚は、ジンジのような帝国軍残党の打倒にも、故郷なきオルデラン遺民にも大きな助けになる。多くを持つイソルダーとの格の違いを思い知らされ打ちひしがれるハン。それでも彼は一念発起しレイアのためと賭けで惑星をひとつまるごと手に入れるが、その惑星ダソミアはジンジの領土内で、とても役に立つ代物ではなかった。思いつめたハンはなんとレイアを誘拐し、<ミレニアム・ファルコン>でダソミアへ飛び立つ。7日間だけ共に過ごし、その時彼を愛していなければどんな処分でも受けるという賭けを持ち出すハンに、怒りに燃えるレイアもハンの愛の深さに葛藤しながら話に乗ることにする。
しかしダソミアでは、ジンジの造船所と大艦隊が軌道を埋めていた。やむなく地上の密林に降下したハンたちは、猛獣ランカーを飼いならす“歌う山の民”に捕らえられる。いっぽうイソルダーとともにハンの後を追うルークは、偶然行き着いたジェダイの難破船<チューンソア>で、歌う山の民でフォースを用いる「魔女」のひとりテネニエル・デュヨと遭遇、ダソミアの部族を恐怖支配する「闇の魔女」と呼ばれる暗黒面のフォースの使い手の存在を知るのだった。
宇宙からジンジに抑え込まれている闇の魔女の長ゲッゼリオンは、ハンの<ファルコン>を欲して帝国軍を率いて歌う山の民の村へと侵攻する。いっぽう合流した一行は、闇の魔女が支配する帝国軍の政治犯刑務所から<ファルコン>の修理部品を盗み出し、村に取って返して闇の魔女と対決する。テネニエルやキラナ・ティら歌う山の民の魔女たちの活躍もあって攻撃は撃退され、<ファルコン>も間一髪逃れたが、ルークはゲッゼリオンの暗黒面の力に敗れ、生き埋めになってしまう。
ハンの存在を知ったジンジは新兵器・軌道遮光衛星網でダソミアへの太陽光を遮り、ゲッゼリオンにハンを捕らえて身柄を引き渡せば脱出手段を与えるともちかける。ゲッゼリオンは政治犯を人質に脅しをよこし、ハンは死を覚悟して刑務所へ赴いた。だが救出されたルークが<ファルコン>でハンを救出し、飛び立ったゲッゼリオンのシャトルを破壊。さらにイソルダーの救出に駆けつけたヘイパン艦隊がジンジと激戦を繰り広げるなか、ハンがミサイルでジンジを旗艦の艦橋ごと吹き飛ばした。
レイアはハンに賭けの勝利を告げて熱烈なキスを交わし、テネニエルの素朴な心根に惚れ込んでいたイソルダーも二人を祝福する。ハンは歌う山の民の長にダソミアの所有権を譲り、イソルダーはその孫テネニエルとの結婚を決める。母である女王タア・チュームは猛反対したが、ルークにレイアの暗殺未遂を告発され、不相応とみなした継承者を幾人も殺したことが明らかにされると、息子の意思を認めざるを得なかった。そしてルークも、魔女から<チューンソア>が遺し未来に託されたジェダイの教えを委ねられる。
辺境ヘイパン星団に位置する、首星ヘイピーズ以下63個の惑星から構成される独立星団国家。莫大な富を有しながら、旧共和国時代には3000年の長きに渡り外界とほとんど接触を持たなかった半ば伝説的な存在。大昔に銀河じゅうの美女を拐った海賊集団の子孫であり、国民は美男美女揃いである。
母体だった海賊が討伐されて以来、残された女たちが支配権を握り、女王に指導される母権主義国家となった。女王の女子当人あるいは男子の配偶者たる女性が次代のクイーン・マザーとなる世襲女性君主制をもつ。保守的な政治体制で、首星ヘイピーズに君臨する女王の権力は非常に強い。王室は狡猾で権力欲が強く、継承争いの陰謀はありふれたもの。現在の女王はタア・チュームだが、その長男はすでに暗殺されており、継承者イソルダーは次男である。
宇宙軍は強力で容赦がなく、円盤を組み合わせた独特の構造を持つ主力艦ヘイパン・バトル・ドラゴンを中心としている。ヘイピーズの資源と戦力が新共和国に味方すれば、未だ銀河に広く蠢動する帝国軍残党の打倒に大いに資し、数十億人の人命が救われ、平和の到来は大きく早まるだろう。
ハンがサバックのゲームでドラクマ人の女軍司令官オマッグから勝ち取った惑星。みずみずしい生命にあふれた緑の居住惑星で、オルデラン遺民の新たな故郷にふさわしいと思われたが、ジンジ大将軍の縄張りクエライ宙域に位置していた。約400年前、ヨーダも乗り組むジェダイ騎士団の船<チューンソア>がこの星に不時着したが、魔女の抵抗を受け回収できなかったという。
大昔に無法者の女ジェダイがダソミアに追放されて以来、その子孫の女性のみがフォースの力を受け継ぎ、男性を奴隷として夫にする女権部族社会を築いてきた。ジェダイに比べ未熟なフォースの扱い方しか知らず、呪文や手振りによって用いる「魔法」と考えている。彼女たち「魔女」は、かつては住民の脅威だった巨大な猛獣ランカーと共生関係を結び、移動や戦闘に活用している。
ダソミアの魔女のうち、邪悪な「呪文」を使う暗黒面の存在となった者は「闇の魔女」として部族から追放されたが、やがて集団となり、ゲッゼリオンのもと多くの部族を支配するようになっていった。軌道にジンジが造船所を設け、地表には帝国軍が政治犯の刑務所を設置しているが、今では配置されたストームトルーパーごと実質的にゲッゼリオンの支配下にある。
| スター・ウォーズ レジェンズの邦訳小説 (作中時系列順) |
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