SF黄金時代の立役者、ジョン・ウッド・キャンベルの短編『影が行く(1933年)』を原作とした映画。
1951年・1982年・2011年の3回に渡って映画化された。
特に1982年版は、ホラーSF、侵略SFの金字塔・新古典として名高い。
原題は、原作小説が『Who Goes There?』。映像作品は「物体」を表す『The Thing』となっていることが多い。
原作小説最初の映画化作品。
『真昼の決闘』『素晴らしき哉、人生!』など、ニューシネマ以前のハリウッド全盛期に活躍したディミトリ・ティオムキンが音楽を担当している。
邦題は、『遊星よりの物体X』である。
アラスカの研究所で働くキャリントン博士達は、謎の飛行物体の墜落と、それに伴う磁力計の狂いを確認する。本土司令部から到着したヘンドリー大尉は、博士と、スコット記者を連れてその場所に向かう。
そこで氷に埋もれていたのは、何と円盤であった。
ヘンドリー達は、氷を爆破して掘り出そうと試みるが、引火により円盤は失われてしまう。その代わりに、付近の氷の中に、人型をした謎の「物体」が埋まっているのを見つけ、氷ごと掘り出して持ち帰る。
しかし、研究所でその氷を監視していたバーンズが、何者かに襲われ姿を消す。氷は溶け、人型の何かが抜け出した痕跡があった。
混乱する大尉達を尻目に、今度は外に繋いであった犬が襲われる。
その犯人があの「物体」であることは疑いようもなかった。
犬に噛み千切られた「物体」の欠片を調べた結果、「物体」は地球外植物であり、動物の血を吸って成長する怪物であると判明する。このままでは、研究所はおろか、やがて地球の生物全てを脅かす存在になる可能性もある。
植物組織である故、「物体」が火炎放射に弱いことを見つけた大尉達は、「物体」の殲滅を決意する。しかし、博士達科学者は、貴重な生命体として「物体」の保護・保存を訴える。「物体」が研究所の面々を襲って行く中で、人間達は対立を深め、混乱して行く……。
監督:ジョン・カーペンター。『ハロウィン』『ニューヨーク1997』など。
同氏の作品とかかわりの深い、カート・ラッセルが主演を務める。
映画監督を目指すきっかけが上記の1951年版だったというほどの大ファンによるリメイク版。
謎の生物を巡る人間同士の対立に重点を置いて描かれた前作とは違い、得体の知れない怪物が潜む、閉鎖された空間でのサバイバルの要素が強い。舞台も、アラスカから南極に変更されている。
当時はまだ若手だったが、後に『ロボコップ』を手がけるロブ・ボッティン、『ターミネーター』『ジュラシック・パーク』を手がけるスタン・ウィンストンという、現在のハリウッドを代表するSFXマンが参加している。
彼らが手がけた、まさに「物体」としか呼びようの無い奇妙でグロテスクなクリーチャーのデザインは、世界のクリエイターに大きな影響を与えた。
「犬」の変貌、人間に化けた「物体」を炙りだすシーン、暗鬱な含みに溢れたラストシーンなど、SFファンの間で語り草となっている名シーンも数多く、SF映画の名作として今なお人気が高い傑作。
DVDとブルーレイはいろいろなバージョンが発売されているが、メイキングなどの映像特典を楽しみたい人はプレミアムエディションを、吹き替え版を楽しみたい人は右の復刻版を買うと良い。
南極にある、アメリカの観測基地。
ある日、付近のノルウェー基地からと思われる、ノルウェー隊のヘリが飛来する。ヘリは、銃弾と手榴弾を撒き散らし、何かを必死に追跡していた。
それは、一匹の犬だった。
ヘリは基地の近くに着陸したが、誤って落とした手榴弾に巻き込まれ爆発してしまう。しかし、それでも生き延びた乗員は、鬼気迫る勢いで犬を射殺しようとする。とうとうアメリカ隊のひとりを誤射するに至ったため、隊員達はやむなく彼を射殺。犬は保護された。
事件について確かめるため、アメリカ隊ヘリパイロットのマクレディは、ノルウェー基地へ飛ぶ。彼がそこで見たものは、無残に壊滅した基地だった。おびえる表情で凍りついた自殺体、何かを中から取り出したような巨大な氷、そして異様な形状をした焼死体があった。その光景に驚きながらも、マクレディは記録テープと焼死体を持ち帰る。
一方、犬小屋に保護された「犬」に変化が起こっていた。
「犬」の異常性を見抜いているのか、元からいた犬達はひたすら怯えたように吠える。やがて、監視員がいなくなった隙に、「犬」は本性を表した。
顔がばっくりと縦横に割れ、その中から形容し難いグロテスクな生物が新たに顔を見せる。体中から細い触手が飛び出し、最早あの「犬」ではない、「物体」の姿をあらわにした。
「物体」は他の犬達を喰らうが、かけつけた隊員に焼き殺された。
ノルウェー基地にあった記録フィルムを見たマクレディ達は驚愕した。
ノルウェー隊は、氷の中に埋まったUFOを発見していた。画面の中の隊員が話すには、このUFOは10万年前の氷の層に埋まっていたと言う。あの「犬」=「物体」は、この時に掘り出されたものだったのだろうか。
その時、持ち帰った焼死体が動き出した。体が割れて中からさらにグロテスクな謎の生物が飛び出し、体中から触手を伸ばして周りの隊員たちを襲う。あの「犬」と同じ変化を起こしたのだ。この焼死体もまた、「物体」だったのだ。
「物体」は、基地内に姿を消す。
あの「物体」は、犬や人間など、あらゆる生物を喰らい、その姿に擬態することが出来る。
マクレディ達は、自分達の中の誰かがあの「物体」ではないのか、と互いを疑いだし、追い詰められていく。
このままでは、基地内の人間が、やがて全てあの「物体」の犠牲になる。
そして、それらが世界へ広がっていけば、全世界の人間は2万7000時間――3年余りで、全て「物体」に成り代わられてしまうことになる。
マクレディ達は、何とか「物体」を探し出し、倒そうと試みる……。
監督:マシーズ・バン・ヘイニンゲン。
『ダイ・ハード4.0』『ボビー』のメアリー・エリザベス・ウィンステッドが主演を務める。
1982年版のプロローグであり、冒頭で「犬」を追跡した果てに悲運の死を遂げたノルウェー隊員達の、「物体」との最初の接触を描く。
邦題は『遊星からの物体X ファーストコンタクト』。
2011年10月全米公開。日本ではなかなか配給会社が見つからず、米国でDVDとブルーレイが発売されてからようやく公開された。
制作費は3800万ドルと、結構安上がり。しかし興行収入は、世界全体でも約2700万ドルに留まり、制作費すら回収できない大惨敗に終わってしまった。小説版では、1982年版とは別に続編を作ることを匂わせるような描写があったのだが、この分ではその映像化は望めなそうだ。
マクレディ達が「物体」と遭遇する3日前。
ノルウェー南極観測隊は、10万年前の氷の層の中で凍り付いていた宇宙船を発見した。
調査のために招聘された古生物学者のケイト達は、発掘を進めた結果、同じく凍りついて生命活動を停止した、生物らしき謎の物体を発見する。
解凍と再生を試みるケイト達。だがその生物の正体は、対象生物の性質を完璧に模倣し、オリジナルを殺害して、文明そのものを滅ぼすという恐ろしい寄生生物だった……。
2003年に発売されたゲーム版。
海外スタジオの作品であり、日本語版はコナミからPS2対応ソフトとして発売された。
1982年版の直接の続編で、連絡を絶ったアメリカ基地に救助に向かった米軍兵士のひとりとして、「物体」に支配された基地の中を探索すると言うTPS。
カーペンターからは「自分達が作ったあの映画と全く同じ世界観だ!」とお墨付きを貰っている。彼自身も声優として出演している。
体力とは別に恐怖ゲージなるステータスがあり、グロテスクな死体や敵と接触して恐怖をあまり感じすぎると、発狂したり自殺に及んでゲームオーバーとなる。
アメリカ南極基地からの連絡が途絶え、主人公・ブレイクを隊長とする救助隊が救援に向かう。
たどり着いてみると、基地は壊滅し、隊員達の無残な遺体ばかりが残っていた。
やがて、1つのテープが発見される。
録音された音声は、生物の性質をコピーし、同化し、その種全体を、あるいは文明そのものを滅ぼしてしまう、恐ろしい宇宙寄生生物の存在を語る。
テープの声の主は、あのマクレディだった。
やがて、救助隊を、変異を重ねた「物体」達が襲う。
ブレイク達は「物体」を駆逐し、地球を守ることが出来るのか……。
掲示板
128 ななしのよっしん
2023/04/05(水) 09:28:12 ID: sFRA6Kxx4K
>>121
「一方的な見方に基づく余計なお世話を押し付けてくるだけの独善的なクソ野郎」の間違いでは?
スケールが違うだけで現実世界でもよく見かけるじゃないか
129 ななしのよっしん
2023/08/01(火) 17:27:20 ID: zZtHxRkq1n
こんだけ擬態力ある生物が地球制覇してないっておかしくない?
こいつらに敵対する別のエイリアンが人類を助けてるんじゃね?
130 ななしのよっしん
2023/08/01(火) 17:36:50 ID: zZtHxRkq1n
>>5
>>7
当時は子供心に映画監督って天才しかなれない職業なんだなってヒシヒシと感じた。
ディズニーの凋落とか当時の俺に言っても信じないだろうな。
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最終更新:2024/04/25(木) 05:00
最終更新:2024/04/25(木) 05:00
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