壊れたものを完全には治せないなら、せめてその残骸だけでも。
SCPフレーバーテキスト集 - SCP財団,2022/07/25閲覧
SCP-3480とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
なお本記事は、先に『SCP-1422』『SCP-2000』の2記事を読んでいることを前提として話を進める。まだそちらを読んでいない方は読了後にこちらを閲覧することを強く勧める。
SCP-3480 | |
基本情報 | |
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OC | Keter |
脅威レベル | 黒 |
収容場所 | オリンポス山山頂 |
著者 | Modern_Erasmus |
作成日 | 2017年5月22日 |
タグ | k-クラスシナリオ keter 人間型 地質 場所 現実改変 生命 知性 自我 |
リンク | SCP-3480 |
SCPテンプレート |
ギリシア共和国に実在する山、オリンポス山の山頂。どうしてこの山がSCP-3480に指定されているのかというと、この地点のヒューム値が財団記録上の最低値であり、1.2×10-██Hmであるからである。
ヒューム値というのはその人・物・場所の「現実強度」を意味する。この現実強度が高い側は低い側に対して現実を押し付けられる。平たく言えば、この地点で妄想をすれば、それが全て叶うということになる。発生してから数千年経過していると推測されているが、前述の特性から財団の管理下に入るまでの間に様々な要注意団体がこのエリアを利用してきたようだ。
さて、このヒューム値の低さだが、この低さは財団観測史上最低とさきに述べた。小さな実験室単位の実験では、スクラントン現実錨を用いても、財団は0.15hm以下のヒューム値を叩き出すことができなかった。これより下げようとすればスクラントン現実錨を何百基も用意しないといけないのだが、そんなたくさんのスクラントン現実錨を持っている場所は財団サイトでもただ1箇所のみしか存在しない。先述の通り誰でも妄想をすれば叶えることができる異常領域であるため、普通なら目で見えるレベルでめちゃくちゃな環境になっていてもおかしくないはずなのだが、そうはなっていない。
このSCP-3480自体を1hmの基準ラインにすることはできていない。しかしこの400m下方に建設されたエリア-13は巨大スクラントン現実錨を18基使うことで基準ラインにできている。よって、SCP-3480は近傍には負の影響を及ぼすことのない、局所的現実性が流出する穴隙として働くと仮説立てされている。
エリア-13はSCP-3480において起きる事象SCP-3480-1の結果として出現するSCP-3480-2実体群を収容するために作られた施設である。SCP-3480-1事象はSCP-3480に平均して約9ヶ月ごとに起きる徴候を指し、この徴候の出現に際して5-22分前になぜかSCP-3480のヒューム値は基準ラインになる。おしてこの後、SCP-3480-1に指定されるひとりの無意識状態の人間が地表から3m上方に浮いた状態で出現し、静止したまま白光に包まれる。こののち、ヒューム値はまた限りなく0hmに漸近する。一連をホワイト・イベントと呼称する。
このホワイト・イベントにおいて、白光に包まれた状態のSCP-3480-1実体は57分-480時間というアトランダムな時間経過の間滞留し、その間周囲のありとあらゆる物質は急激な現実性の喪失のために瞬時に分解されてしまう。そののち、白光が消え、SCP-3480-1は地上に落下する。この状態の個体はSCP-3480-2と指定されている。このSCP-3480-2実体群は個々に強さの違いはあれど、現実改変存在であることに変わりはない。ホワイト・イベントの長さに比例して強くなる模様。こいつらはどいつもこいつもソシオパシー、ナルシシズム、暴力的傾向を示しており、いくつかの既に収容済みのSCPが実際にはSCP-3480-2だったのかもしれないと財団は推測している。
このSCP-3480-2実体の68%は肉体的および精神的に障礙を持つ。内容は追加された心室、多指、頭蓋内体積と頭蓋高の肥大、ラジオ波でテレパシー可能な腹腔内臓器、知的障害などである。……なんかどこかで見たような特性だなあ?
財団は現行の特別収容プロトコル (報告書では既に記載されているのだが、本記事では後述) を制定する前の段階でSCP-3480-2の収容施行を行っている。最初こそSCP-3480-2がただ困惑しているだけだったので、迅速に機動部隊オメガ-11 ("パリスの弓矢")は収容を終えた。しかし次第に人的被害が出てきており、8人目であるSCP-3480-2-8になってくると、鎮静剤も弾薬も効かず、全25人の部隊員が殉職した。そしてこいつはそのままギリシャの都市に侵入し、CK-クラスシナリオを引き起こしてその都市と近くにあった島の記憶を全人類の共通記憶から消し去ってしまった。
その後機動部隊オメガ-11は再結成されたが、前任からの引き継ぎができていない職務などまず上手く回るわけがない。読者諸兄も経験はあるであろう。よって、初期収容試行から脱走したSCP-3480-2-9は数十人の市民を犠牲にしてしまった。
そして19人目のSCP-3480-2-19に関しては[データ削除済]。その後手順ラザルス-01は成功裏に実施された。……手順ラザルス-01というのは何か、この記事を読んでいる諸兄はピンときただろうか。手順ラザルス-01、それはSCP-2000の起動、そして人類の再生産を行うプロトコルの名称である。つまり。
財団は、敗けた。
SCP-2000が起動したということは、すなわちSCP-3480-2-19によって人類文明は滅ぼされてしまったということである。
さて、そんなSCP-3480-2個体であるが、実はレベル3以上の職員にはインタビュー記録が開示されている。対象は5人目のSCP-3480-2-5。多数の手足を持つものの、精神・記憶に障礙を持たない彼は、クラスIの現実改変存在でありながら特にこれといった問題もなく収容された。
SCP-3480内に出現する前のSCP-3480-2-5は、アーサー・シュウ博士というアジア人男性であり、財団のレベル3研究員であった。エリア-13管理官のリアム・ディーツ博士はシュウ博士に出現以前のことを覚えているかと尋ねた。
するとシュウ博士はガニメデ・プロトコルに関する警報を受信したことを話すと、その後天地がひっくり返り、自分の体も幾何学を無視した形に捻じ曲げられ、消えては現れを繰り返した。そして、多くの人達をその過程で目撃した。彼らは、もはや人ではなかった。自分もだが。死体も生体も叫んでいた。彼らの殆どは見知らぬ人であったが、中には同僚や知っているDクラスもいた。
そんな彼らがいたのは、高度な技術を持った何かの地下室。2回ほど地上に出たこともあったが、動植物は存在せず、空は血染めの赤色をしていた。彼はそこで、しかし山々は見覚えがあるとしばし熟考する。そういえば……娘をそこに旅行で連れて行ったはずだ。
言うまでもなく、イエローストーンの地下ということは、シュウ博士がいたのは紛れもなくSCP-2000だ。しかしこの言及において、おかしなことがうかがえる。というのも、財団職員であり、しかもSCP-2000を知ることがなかったレベル3のセキュリティクリアランスしか持たないはずのシュウ博士が、休暇中にイエローストーンに娘を連れて行くなんてことはありえないはずである。SCP-1422 (イエローストーンの怪) の存在故に。
だがシュウ博士は現実にイエローストーンを知っていたし、ガニメデ・プロトコルの警報を受け取っていることからSCP-2000は起動されているということになる。そして、シュウ博士がSCP-3480に現れた時、シュウ博士の身体はSCP-2000の産み出す『出来損ない』と同じ姿になっていた。
さて、SCP-2000を財団は確かに起動したが、シュウ博士が収容されたのはその起動前のこと。更に、SCP-1422の異常性からは考えられないシュウ博士の言動。このことから財団はある結論を出す。
財団が出した結論。それは、SCP-3480-2とは、別世界である外宇宙ALEPH出身の財団職員のクローンであるということである。敵対的なSCP-3480-2は外宇宙ALEPHで財団に酷い扱いを受けていたであろうDクラス、友好的なSCP-3480-2は外宇宙ALEPHのエージェントや研究員である[1]。
SCP-3480-2がいた世界の財団は、K-クラスシナリオの発生にしたがいSCP-2000を起動させた。しかしSCP-2000は御存知の通り、故障していてスクラントン現実錨もシャンク/アナスタサコス恒常時間溝故障している。このSCP-3480の書かれた基底世界では修理は間に合ったようだが (あるいはそもそも故障していなかったか)、シュウ博士のいた外宇宙ALEPHでは故障したまま起動を強行せざるを得なかった。結果、SCP-2000は大量の「出来損ない」を生み出した。そして、機能不全を起こしたスクラントン現実錨には、SCP-3001 (レッド・リアリティ)で言及されるとおりではワームホールを発生させる可能性がある。SCP-3480もまた、現実性をどこへかと放出する穴となっていた。この穴を通じてシュウ博士をはじめとしたSCP-3480-2実体群はオリンポス山の山頂に飛ばされてきたのである。
そして多くはK-クラスシナリオの発生に伴い、人格に障礙を抱えた。彼らは、狂える神々となってしまった。そんな神々に対抗するには?
SCP-3480-Ω 機動部隊オメガ-12 "アキレウスの踵" |
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基本情報 | |
---|---|
OC | Thaumiel |
脅威レベル | 白 |
収容場所 | エリア-13 |
著者 | Modern_Erasmus |
作成日 | 2017年5月22日 |
タグ | k-クラスシナリオ keter 人間型 地質 場所 現実改変 生命 知性 自我 |
リンク | SCP-3480 |
SCPテンプレート |
そう、バケモンにはバケモンをぶつけんだよ、というのが答えである。SCP-3480-2実体のうち、財団に有効的な外宇宙ALEPHの元財団職員たちで編成されたのが、機動部隊オメガ-12 ("アキレウスの踵")である。彼らは、SCP-3480-Ωに指定されるアノマリーであり、全員が現実改変者であるという財団きってのイロモノ部隊である。しかし、SCP-3480から現れる敵対的実体群がどいつもこいつもK-クラスシナリオを当然のように引き起こす以上、四の五の言っていられない。つまり財団は、アノマリーの収容を、よりによってその当該アノマリーから発生したアノマリーに委ねるという危険な賭けに出たのである。
ホワイト・イベントの開始に際して、財団はプロトコル・クロノスを実行する。まず、シャンク/アナスタサコス恒常時間溝がオリンポス山を周囲の現実性から時間的に隔離し、CK-クラス:再構築シナリオの起きる確率を減らす。そして、オメガ-12部隊員の1/3はエリア-13から出動し、SCP-3480-1から周囲100mの円形範囲を確保する。円陣を維持しつつ監視し、ホワイト・イベント終了とともに降り立ったSCP-3480-2実体の意識を鎮静弾で奪いにかかる。このとき、非番の部隊員も空間転移で迅速に参集する。現実改変者だけあって、現地集合の方法がまさかのワープである。
対象の無力化に失敗した場合、クラスI-IIのオメガ-12隊員に対象のヒューム値を低減させ、通常兵器への耐性を弱めるための現実改変能力の行使が許可される。相手の現実改変の試みは、こちらの現実改変の試みで抑止する。相手が抵抗をやめない場合、あるいは脱走して現実性が目に見えて不安定になった場合は、クラスIIIの職員にも現実改変能力の行使が認められ、この時点で対象の終了措置は許可される (実際に殺すかどうかは現地の職員の裁量次第)。対象を拿捕または終了後、機動部隊オメガ-12はエリア-13に対象を連れて帰り、収容下に置く。
万一ホワイト・イベントが500時間を超過した場合、出現する現実改変実体はクラスVIを超える可能性があるため、HK-クラス:神的征服シナリオが懸念される。そのためオメガ-12全隊員でホワイト・イベント完遂まで監視をはじめ、終了と同時に対象を即時終了するために現実改変を行使し、かつ実弾を使用する。これが上手くいかなかった場合、全財団サイトにCode NIGHTMARE JESTER GREENが通達されることになっている。
機動部隊オメガ-12はSCP-3480に関係しない現実改変者に対しても財団の切札として出動させられる。彼らは、異形となり、自らが収容されるべきアノマリーに成り果ててなお、闘う。彼らは忘れていないのだ。確保、収容、保護。
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最終更新:2024/11/08(金) 01:00
最終更新:2024/11/08(金) 01:00
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