The filly, the myth, the legend Sumomomomomomomomo.
――南関東競馬 英語実況担当 Bob Werley
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https://twitter.com/tck_keiba/status/1455081724501643268
スモモモモモモモモ(Sumomomomomomomomo)とは、日本の競走馬である。
いわゆる珍名馬だが、海を越え世界中にその名を轟かせたという意味で一線を画する。
主な勝ち鞍:2025年2月26日 2番手って恋はないんだ賞
2018年4月9日生まれの牝馬。
馬名に「モ」が多くて読みづらいが、由来が「李も桃も桃」なので、そのように区切って読むとよい。
父は皐月賞馬アンライバルド。母フロントタックは未勝利であるが、母父はG1を2勝した米国馬Macho Uno。その産駒に名馬としても珍名馬としても大御所のムーチョマッチョマンを有する。
2020年12月25日の2歳新馬戦でデビュー。これを8着で終え、翌2021年1月18日の3歳選抜牝馬では3着に食い込んだ。
その後は掲示板がやっとの成績で、同年10月までで11連敗。
ここまでの成績だけ見れば、まだ3歳だし様子見、でももうそろそろ勝ってくれといったところである。
珍名馬の宿命として、彼女の名は出走のたびにSNSで話題となった。
しかし、名前が変というだけではパドックの映像が流れた瞬間だけ話題になるに過ぎない。2020年代ともなれば珍名馬はさほど珍しくなくなっており、結果が伴わなければひっそりと引退して、まとめサイトで珍名馬の話題になると名前が挙がる、程度の知名度で終わる運命にある。
ところが、牝馬で「スモモ」ではじまり、その名にぴったりなピンクのメンコをかぶり、なおかつ「モ」が8つも連続するので実況がいつも言いづらそうにしている、などいろいろな面白可愛い要素が重なり、大井競馬場ではいつの間にやら隠れたアイドルホースになっていたらしい。
また、地方競馬のいち未勝利馬に過ぎないにもかかわらず、海の向こうでもその名は話題となっていた。
2021年2月、世界の競馬レースを紹介するSNSチャンネル「World Horse Racing」が、前述の3歳選抜牝馬の映像を紹介した。
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https://twitter.com/WHR/status/1358000986300760064
この映像が世界の競馬ファンの間で話題になり、英語実況がSumomomomomomomomoの名をよどみなく発音している様が日本の競馬ファンからも驚きをもって迎えられた。
この実況は、NARと北米向け放送の契約をしているSky Racing Worldが配信しているもので、2020年4月に開始された同配信において、ある意味目玉となった。
実況アナウンサーはBob Werleyで、大井をはじめ南関東競馬の英語実況を担当している。すなわち、このあと初勝利を挙げる「プリンニシテヤルノ」の名前もよどみなく発音し、なおも競馬ファンを驚かせることになる。
海外ではよく「Su 8-Mo's」や「Sumo 7-Mo's」などと略されている。後者は、名前の響きから「相撲」を連想するためらしい。
通常、珍名馬というのはその言語を知っていないと「変だ」と気づかないものである。例えば、「ビックリシタナモー」が変な名前だということを日本語ネイティヴでない人に伝えるのは難しい。
しかし、スモモモモモモモモは世界共通で変だと分かる珍名ということで一世を風靡した。
風靡しただけならまだしも、大井競馬場が思いっきり便乗した。
2021年10月31日、第12回TCKより、大井競馬場は有観客での開催を再開。
それはつまりショップも再開されるということである。
ChampionsTCKより、それに伴う目玉商品が発表された。
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https://twitter.com/ChampionsTCK/status/1452908972042690563
スモモモモモモモモグッズ発売。
開催に先駆けてイトーヨーカドー大井町店での先行販売も行うという気合いの入れようである。
ぬいぐるみの他に、ペンケースやスモモモチ(奄美大島産)も発売されており、大井競馬場公式マスコット「うまたせ」「ウマタセーヌ」よりも大々的に宣伝されている。
この馬、この時点で11戦0勝である。決して強くはないが、ハルウララのように100連敗以上しているわけでもない。ヒシアケボノやメロディーレーンのように並外れて大きかったり小さかったりしない(馬体重410kg前後)。ブチコやソダシのように珍しい毛色でもない(芦毛)。ヨシオのように人智を超えた糞ローテを組まされたりもしていない。シルバーもブロンズもコレクションしていない。
ただ名前がスモモモモモモモモなだけである。
中央競馬では、ヨシオやカレンブーケドールやキセキらがぬいぐるみ化を賭けて熾烈なオーディションを繰り広げていた中で、スモモモモモモモモは大井競馬でただ1頭、ぬいぐるみ化の企画が進行し、発売されたというわけである。
商品POPには「ユニークな名前が海外でも話題の名馬(下線は原文では傍点)」とあり、上記SNSに便乗した企画なのは明らかである。密かに人気はあったとはいえ、名前以外の話題性が皆無な馬をいきなりグッズ化というのは余りにも冒険しすぎである。あとはそれにふさわしい結果を今後残せるかどうかであるが…。
なお、グッズは名前にふさわしくピンク色をしているが、スモモモモモモモモは芦毛である。
メンコとバンデージがピンク色で、素の顔が白っぽく、胴体は若いのでまだ黒っぽい。
これらのスモモモモモモモモグッズは、本馬が浦和競馬に移籍した後も在庫があれば大井競馬場で買うことができる。一方、浦和競馬場には入荷しておらず、2025年2月現在、まだ買うことができない。
また、なぜか中央競馬のターフィーショップに付せんだけ売っている。
グッズ発売という、すさまじすぎる期待を背負って迎えた翌11月1日3R。
英語実況担当は例によってBob Werley。「The filly, the myth, the legend(牝馬、神話、伝説)」と誇大広告どころではない称えようで本番に臨んだ。国際レースなど夢のまた夢である11戦0勝の地方馬を、冗談抜きで世界中が見守っていた。
レースでは第4コーナーまで中団に控え、直線に入ったと見るや外に出て先行するスターオブブーケとスマートエルサを追撃。同じく猛追するショコラノワールを振り切り1馬身差のゴール。12戦目にして念願の初勝利は、ショコラノワールとのスイーツ馬連という形で決着した。
「スモモモモモモモモ初勝利」の報はSNSを通じて世界中に知れ渡り、地方の1勝馬とは思えないほど世界中の人々に称えられた。いやほんとだって!
また、大外からゴボウ抜きしているスモモモモモモモモを、他馬を気にしながら噛まずに実況する、という状況を見事に捌いたアナウンサーの手腕も高く評価されている。圧勝じゃないとか最後「モ」がひとつ多かったとか細かいところはいろいろあるけど…
名実ともに大井のアイドルホースとなったスモモモモモモモモだが、まだ1勝。この後どれほど勝ち星を挙げ、何度世界の競馬ファンを沸かせるかに注目が集まった。
ところが、その後2年もの間さっぱり勝てず、2桁着順も量産したためか、2024年2月頃に浦和競馬の小林真治厩舎に移籍。鞍上を秋元耕成に代えて再スタートを図る。
初戦こそ敗れたものの2戦目で勝利。その後も安定して掲示板内に残っており、移籍の成果が見て取れる。額に「スモモ」と大書されたメンコを新調し、浦和競馬のファンにも受け入れられ、C級レースを走り続ける毎日が続いた。
2025年2月24日。天皇誕生日の振替休日となった月曜日。
南関東で最も小さい浦和競馬場に、JpnIもかくやと言わんばかり大勢の観客が押し寄せた。
この日は『ウマ娘 プリティーダービー』とのコラボレーションデーであり、同作のファンが朝から詰めかけていたのである。スモモモモモモモモはその日の第2Rに出走することになっていたのだが、自身はウマ娘になっていないし、『ウマ娘』との関係といえば父父ネオユニヴァースがウマ娘になっているという程度。レース名が冠協賛のため変な名前になってしまったこと以外は、いつものC3級レースに出走したその他大勢の一頭でしかなかった。まあ、『ウマ娘』から競馬ファンになった人なら、「スモモモモモモモモ」という名前の馬がいることぐらいは小耳に挟んでいて、レーシングプログラムを見て「ああこの馬か」ぐらいは思っていたかもしれない。
さて、その『ウマ娘』コラボ、フィーチャーされていたのはスマートファルコンを筆頭に初期『ウマ娘』を彩った逃げ馬たちで構成される「逃げ切りシスターズ」。そしてレース名は「2番手って恋はないんだ賞」。逃げ切りシスターズが歌う楽曲の歌詞から取られたレース名だった。今考えればこれがサイン馬券だったのかもしれない。
鞍上に「ミスターピンク」・内田利雄を据え、2番人気に支持されたスモモモモモモモモは、快調なスタートを切りそのまま逃げの体勢に入る。2番手に1馬身ほどの差をつけて向こう正面を走っていたが、これが4コーナーでは3馬身ほどに。浦和競馬場を埋め尽くしていたファンは、「もしかしたら勝てるんじゃないか?」と、この目立つ名前の馬に歓声を上げ始めた。
そのまま猛追するマッシュブライトを歯牙にも掛けず4馬身差をつけて圧勝。レース名の通り「2番手って恋はないんだ」と言わんばかりの姿を見せつけた。
かくして超ベテラン騎手に「珍名馬での勝利」をプレゼントしたスモモモモモモモモだが、翌3月末で引退するため、4月以降はひるがえって17歳の新人・中山遥人を背に迎え、彼のデビュー戦の相手となったのだ。これを2着にまとめると、5月の平場で先行策からの勝利を収める。中山にとってはこれが嬉しい初勝利。スモモモモモモモモは、「中山遥人の初出走/初勝利馬」としてその名を刻むことになったのだった。
浦和のベテランや新人と共に奮戦するスモモモモモモモモだが、すでに7歳で繁殖入りも見えてきた年齢。このまま無事に走りきり、大井に散った妹スモモノイモウトの無念を晴らすことができるかが注目である。
当初所属していた大井競馬場にナナナナナイロとママママカロニがいる。こちらはPerfumeの曲名から取られている。
また、甘いもの仲間であるイチゴショートとはよくセットで語られており、こちらもスモモモモモモモモから半年ほど遅れて浦和競馬に移籍。クラスが同じであることもあり、一緒に走ることも多い。
2021年9月17日には、中央から移籍した珍名馬プリンニシテヤルノの初戦が1Rで行われ、キャリア初勝利を挙げる。スモモモモモモモモは同日3Rに出走し、イチゴショートとの対決となったが、12着に沈む惨敗を記録してしまった。
また、彼女より先に話題となった珍名馬にはサバノミッソーニもいる。
上記のうちナナナナナイロ・イチゴショート・プリンニシテヤルノ・サバノミッソーニは同期であり、大井の2021年クラシック世代は中央とはまた違った意味で多士済々の様相を呈している。
4歳年下の妹(父コパノリッキー)には「スモモノイモウト」と名付けられ、姉のかつて戦った大井競馬場で走り続けていたが、2025年6月に疝痛で出走を取り消しそのままわずか3歳の生涯を終えた。5月以降は姉と同じく中山遥人を主戦に迎えていたのだが、古馬としての活躍を見ることはできなくなってしまった。
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最終更新:2025/12/13(土) 07:00
最終更新:2025/12/13(土) 07:00
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