アルピニスタ(Alpinista)とは、2017年生まれのイギリスの競走馬である。
概要
父Frankel、母Alwilda、母の父Hernandoという血統。父は世界最強と名高い競走馬。母はリステッド競走を勝利している。母の父はジョッケクルブ賞などG1を2勝しており、種牡馬としてSulamaniなどの活躍馬を輩出した。他にも祖母AlbanovaはドイツのG1を3勝している名馬であるが、その全姉Alboradaも英チャンピオンステークスを3歳・4歳時に勝利し連覇を達成している名馬。その実績から4歳時の1999年のジャパンカップに招待馬として選ばれ来日したが、故障により取消の憂き目に遭いそのまま引退を余儀なくされた。
母系はランウェイスタッドを所有するオーナーブリーダー、カーステン・ラウジング女史がAlouetteから所有し育ててきた自家生産の精髄であり、AlboradaやAlbanova、本馬もサーの称号を持つ名伯楽マーク・プレスコット師が手掛けている。
2歳(2019年)
7月18日、エプソム競馬場の未勝利戦でデビューして初勝利を挙げる。その後プレステージステークス(G3)は6着、オマール賞(G3)は4着という結果で2歳戦を終えた。
3歳(2020年)
7月20日のマダムジャンクチュリエ賞(L)で復帰して4着。2戦目のアップアボンフィリーズステークス(L)で2勝目を挙げる。連闘で挑んだヨークシャーオークス(G1)では後方から追い上げてLoveの2着とG1初挑戦ながら好走した。その後はパークヒルフィリーズステークス(G2)出走取消を挟んで、プリンセスロイヤルステークス(G3)2着を最後に3歳シーズンを終えた。
4歳(2021年)
4月30日のデイジーウォリックステークス(L)で始動して勝利。その後はピナクルステークス(G3)に出走予定だったが出走取消、コロネーションカップ(G1)も出走取消となった。
仕切り直してランカシャーオークス(G2)に出走し、道中2・3番手の追走から直線で外から抜け出して快勝した。
その後は祖母がG1を制した地でもあるドイツに遠征し、ベルリン大賞(G1)に出走。1番人気は昨年の覇者でドイツの現役最強馬Torquator Tassoで、本馬は3番人気に推された。道中はTorquator Tassoの直後でマークし、第4コーナーから捲り気味に仕掛けると息の長い末脚を発揮。遅れて伸びたTorquator Tassoに2馬身半差を付けてG1初制覇を果たした。
続いて再びドイツ遠征を行いオイロバ賞(G1)に出走。ドイツ最強馬Torquator Tassoを完封したことから1番人気に推される。レースは大逃げした馬を猛追し、残り2ハロン付近で先頭に立つと1馬身1/4差の勝利してG1連勝した。
更にドイツ暮れのバイエルン大賞(G1)に出走。ドイツのG1を連勝したことやバーデン大賞・凱旋門賞を制したTorquator Tassoが休養に入ったこともあって圧倒的1番人気に推された。大外枠から無理なく2番手を確保し、直線に入って先頭に立つと内で食い下がる馬を退け3/4馬身差で祖母と同じくドイツG1・3勝を果たした。
陣営は来年の現役続行を表明し、凱旋門賞を目標とする意向を明らかにした。
5歳(2022年)
当初はコロネーションカップで始動する予定だったが回避し、7月3日にサンクルー大賞(G1)からの始動となった。1番人気は昨年のアイリッシュダービーなどG1を3勝し、凱旋門賞でも3着に入ったHurricane Laneで、本馬は始動戦であったこともあり4番人気に留まった。レースでは後方3番手に控えて、直線に入ると先行馬の外から勢いよく末脚を発揮し、最後は1馬身1/4差で勝利し、G1・4連勝を果たした。
続けてヨークシャーオークス(G1)に出走。プリティーポリーステークスを勝ったLa Petite Coco、当年のオークスステークスの勝ち馬Tuesday、アイリッシュオークスの勝ち馬Magical Lagoonらを相手に単勝2.75倍の1番人気に支持された。7頭立てのこのレースでは直線外から進出すると、先行するLa Petite Cocoと内から迫るTuesdayを退け、2着Tuesdayに1馬身差をつけて7連勝(G1・5連勝)とした。
今後の予定についてレース前は「状態を鑑みつつ、凱旋門賞への直行またはヴェルメイユ賞を間に挟むことを検討している」という談話があったが、翌日のインタビューでは凱旋門賞には直行を予定していると語られた。また、問題が起きた場合は速い馬場に適性があることからジャパンカップへの参戦も視野に入れていた。
凱旋門賞(G1)は、PMUオッズでは1番人気、JRAオッズではタイトルホルダーに次ぐ2番人気に支持された。良馬場を希望していたもののパリロンシャン競馬場の馬場状態は生憎の重馬場であった。レースはタイトルホルダーが逃げを打ちBroomeがその後ろ、それらを見ながら好位5番手付近の内で競馬を進め、最後の直線で追い出したタイトルホルダーを楽な手応えのまま交わすと、Vadeniと後方から追い込んできたTorquator Tassoを抑えきって優勝。航空機嫌い旅行嫌いのプレスコット師がパリロンシャンを訪れるくらいの気合が入った勝負仕上げに応え、G1・6連勝で凱旋門賞を制した。5歳牝馬の凱旋門賞制覇は1937年のCorrida以来85年ぶりの快挙となった。
凱旋門賞の後はジャパンカップに予備登録を行い、プレスコット師も来日に対して意欲的な姿勢を見せていたが、ジャパンカップの17日前の11月10日に頓挫があったため引退することが発表された。通算成績は15戦10勝(G1・6勝)となった。
血統表
Frankel 2008 鹿毛 |
Galileo 1998 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Urban Sea | Miswaki | ||
Allegretta | |||
Kind 2001 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | |
Razyana | |||
Rainbow Lake | Rainbow Quest | ||
Rockfest | |||
Alwilda 2010 芦毛 FNo.9-c |
Hernando 1990 鹿毛 |
Niniski | Nijinsky II |
Virginia Hills | |||
Whakilyric | Miswaki | ||
*リリズム | |||
Albanova 1999 芦毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Alouette | Darshaan | ||
Alruccaba |
クロス:Northern Dancer 4×5×5×5(15.63%)、Miswaki 4×4(12.50%)、Lyphard 4×5(9.38%)
9代母のMumtaz Mahalを祖とする牝系に属しており、Alborada以外で一番近いところだと6代母Nucciolinaの子孫であるワールドクリーク・スマートファルコン兄弟や*アラムシャーらが近親にいる。
関連動画
関連項目
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