オッレルスとは、ライトノベル『とある魔術の禁書目録』に登場する魔術師である。
元ネタは北欧神話の神格「ウル」の『デンマーク人の事績(ゲスタ・ダノールム)』における別名。オレルス、オーレルス等の表記揺れが見られる。
オーティヌス(オーディン)が王座を追放された後、他の神々に王として担ぎ上げられたが、オーティヌスの復帰によって王座を追われた。
旧約の概要
魔術師の中でも更に魔術を極め、『魔神』の領域に踏み込みかけた男。「魔神のなりそこない」。
1万年に一度訪れるか否かのそのチャンスを、子猫を助けようとして棒に振ってしまった。しかしそれは決して完全な善意と迷いの無さで振り切ったものではなく、今でも当時を悔やんで夜な夜な泣いているという。
他にも、ふらっと立ち寄ったミラノで人身売買組織を壊滅させてきたり、そこで助けた子供100人を連れてかえって来てしまって、一時期養うのにも困ったりしている。要は非常に人間臭い人物。
英国所属の魔術師であり、聖人の一人でもあるシルビアと同居しており、パートナーのような関係になっているが、もっぱら生活面では彼女の方が強く、恐妻家であると言える。前述の子供拾いなどの際には、家庭で出来るお手軽三角木馬をお見舞いされていた。彼女いわく「埃まみれの没落貴族」。 実はギャグも幾らでも出来る人物。
その極まった実力故に、自身も魔術サイド全てから命を狙われている立場だが、個人で学園都市にふらっとやってきて、統括理事会に対し原石を守る為の武力を用いた警告を行ったりしている。この際に妹達(シスターズ)9名と、学園都市の超能力者(レベル5)第七位の削板軍覇を戦闘不能に追い込んだ。…やっぱり難しい人かも知れない。
アレイスター=クロウリーの事も知ってる様子を見せ、フィアンマに接触し彼の目指す「ホルスの時代」への検討を付けようと動く。
なお、彼の座るはずだった魔神の座は、『隻眼のオティヌス』によって奪われているらしい。
新約の概要
新約4巻ではフィアンマと共に上条当麻の危機に駆け付け、登場早々に『魔神』オティヌスと戦闘になる。削板戦よりもさらに上の「数千、数万、数億もの時間の連続性すら歪める力」を使用。もはや数の概念すらも超越した連撃でオティヌスと互角に渡り合った。
さらにオティヌスの弱点である「無限の可能性」を見破り、撤退させる事に成功。
新約5巻では学園都市に侵入し、上条に魔神のなり損ないの立ち位置から見た『幻想殺し』の正体を告げた。
続刊の新約6巻では、魔術でトールに変装して『船の墓場(サルガッソー)』に潜入。オティヌスが求める『全体論の超能力者』を作る為の素体として『学園都市第二位の臓器』を譲渡している。
新約8巻ではオッレルスの命により、隠形で気配を隠していたフィアンマと共にオティヌスの弱体化を図り、『妖精化』という術式を使ったが、オティヌスを負の100%に導き、完全な『魔神』として完成させた挙句、逆に妖精化を打ち込まれてオティヌスに敗北し、世界の消滅を許してしまった。
ここまでの彼の活躍は、残念ながら「世界の消滅を許した戦犯」に他ならない。
新約10巻ではシルビア、ブリュンヒルドと上条当麻の戦闘に介入し、両腕を犠牲にして戦闘を止めた。
妖精化によって魔神の力を行使出来ず、身体の修復もままならないようだ。
戦闘を止めた理由については、「上条当麻あるいはオティヌスのどちらかを失う事は、残された者(オティヌスか上条)の性質を大きく変えるかもしれない」と言っている。
新約10巻ラストの魔神「僧正」の言動と照合すると、オッレルスも上条の本質を理解していた事がわかる。
北欧王座(フリズスキャルヴ)
オッレルスが振るう力。元ネタは北欧神話の主神オーディンが座する、世界を見渡す事の出来る台座の名前。
魔神として振るう力が特殊過ぎたオッレルスが、魔道書の知識を実用化するエネルギーを得る為に利用した論文。 これにより、「生命力を魔力に生成する過程で『特殊な力』に変換させる」事で、かろうじて事なきを得た。
曰く「説明できない力」。その一切が表現不能、説明不能、理解不能な謎に満ちた攻撃術式。本来の伝承に登場する王座には存在しない攻撃機能を強引に利用することで、 術式を一層「説明できないもの」へと進化させている。
オッレルス:
この世で最も恐ろしい攻撃は、『説明のできない力』だ
どんなに不可思議な力の源があったとしても、それが剣と同じように振り下ろしてくるなら、剣と同じように受け止めれば良い。銃と同じように撃ってくるなら、銃と同じように防げば良い。言われて分かる程度の『未知の攻撃』なんてのは、まぁ、その程度のものだところが、『説明のできない力」には、そういう対処ができない
この世で最も恐ろしいのは、理解のできない所から、説明のできない力が働いて、対策も考えられない内に倒されている事だ。曖昧であるが故に条件の定義づけすらできず、どの方向に何万キロ移動すれば回避した事になるのかも不明なまま戦わせられる
攻撃の範囲や威力の定義すら曖昧なまま放たれる「説明できない現象」は、攻撃対象に何が起きたか全く理解させず、どのくらい移動すれば回避したことになるのかも曖昧なため、回避も困難。ダメージを受けた相手は、肉体の表面から芯まで、その全てに均等に浸透する不自然なダメージを受けた。
さらに、予備動作をせずにノーモーションで発動させるため、敵対する者にとっては厄介極りない。
本来なら魔術に属する力だが、「説明できない力を振るう」という意味では削板の能力(原石)に近い部分があり、力もそう大差ないらしい。オッレルスが言うには、『説明のできない力』と自覚しているか否かで実力に差が生じているようだ。現時点でもまだ不完全であるようだが、それでも削板軍覇を圧倒している。
そもそも、『魔神』は一つの世界に収まり切る存在ではない。「この世界で説明できる程度の力」では魔神という存在を表現する事すら出来ないので、オッレルスの力も本物の『魔神』の域に届いているのかもしれない。
魔神の力をもし通常の魔力のみで扱う存在がいるならば、それは「正真正銘の化物」であるらしく、某腹ペコシスターは地味にその領域に近づいている様子が見られる。他にも削板軍覇の持つ力も、これと同質のものであるらしい。
なお彼も、削板軍覇と共に作者が「反則級の強さ」のキャラとして設定した最強キャラの一角である。
コラボ小説における描写
作者の作品同士のセルフコラボ小説「とある魔術のヘヴィーな座敷童が簡単な殺人妃の婚活事情」では、アースガルドに存在する主神オーディンの王座として登場している。本作ではオーディン(ヒゲ主神)と、彼と同一存在であることを利用してヒゲ主神の存在に割り込んだオティヌスが座った。
魔神
詳しくは「魔神(とある魔術の禁書目録)」を参照。
彼の至る筈だった「魔神」は複数いることが確認されており、新約10巻では歪んだ位相に「真のグレムリン構成員」たる魔神が存在していた。
かつてオティヌスはデンマーク古城の「ミミルの泉」に肉体の一部を捧げ、魔神に至った。オッレルスが目指したのは厳密には北欧神話ベースの魔神という事なのかもしれない。
オティヌスとの関係は不明だが、新約10巻あとがきによると『理解者』の上条も知らないオティヌスの過去の悪行を知っているらしい。オティヌスが本物のオーディン(オティヌス)であるため、オッレルスも北欧の神話で見られるウル、もしくはオーレルス本人の可能性も否定できない。
もし彼が各種資料に残るウル本人なら、オティヌスが魔神の力を手にし編纂者によって記された時期の関係上、恐らく北欧神話の原型が成立した時代から生きていると考えられる。
ちなみに起源前に誕生した魔神も居るので、魔神級の人物ならそのくらい生きていても不思議ではない。
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