右方のフィアンマとは、ライトノベル『とある魔術の禁書目録』に登場する魔術師である。
概要
容姿は某ハウルのような髪型に、赤を基調としたスーツ系の服。そして一人称が「俺様」という青年。しかし外見はさわやか且つクセのある美青年(という設定でデザインの発注が出ている)。
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ここから下は原作後期のネタバレ成分を多く含んでいます。 |
司る位置は「右」で、対応している天使は『神の如き者(ミカエル)』。
ここまで書くと読み込んでる人は解るだろうが、ローマ正教暗部である右席の中でも更に圧倒的な力を誇る存在。
独善とも言える独自の正義感と理念を持ち、「全ての人々を平等に救う」という十字教の理念とは食い違っている思考を伺わせる。しかし実際の所、フィアンマは自身を基点として世界中の人を全て「歪んだ形で平等に見て」おり、同時に本気で「全てを救わねばならない」と思っている為、長い事その信念が揺らがずに存在し続けている。
前方のヴェントやローマ教皇から見てもその歪み方は常軌を逸していたらしく、結果として彼らはフィアンマを諌めようと行動を取っているが、魔術師として高位の領域にあるローマ教皇(当時)マタイ=リースが、聖ピエトロ大聖堂の加護を受けながら勝負を挑んだものの、それを力で圧倒している。
彼の持つ右席としての力である『聖なる右』は勿論、通常の魔術師としての能力も恐ろしく高く、後に手に入れた禁書目録(インデックス)の10万3000千冊の力を利用しながら、遠距離で放つ術式なども上条当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)を圧倒していた。この時点での彼の力は、『大天使』すらも凌駕する次元のものに至っている。
結果としてフィアンマは十字教全てを相手取っても、自身の観念に基づく「平等」の為に世界に対する存在となった。第三次世界大戦は彼が『倒すべき敵』を浮き彫りにする為に起こした布石である。そして自らの内にある『本来あるべき力』の覚醒を促す。
聖なる右
別名『第三の腕』とも呼ばれ、フィアンマの右肩から、不恰好な巨人の腕のような歪で禍々しい光の塊として発現し、彼の意思のままに動く。
かつて『光を掲げる者(ルシフェル)』を斬り伏せたミカエルの右手の武器、それを象徴する力である。
この腕は「倒すべき敵や試練や困難」のレベルに合わせて、自動的に最適な出力を行う。そのため、フィアンマ自身には通常戦闘に必要であるはずの、速度・硬度・知能・筋力・間合い・人数・得物が必要なく、全ての敵対存在に対してこの腕を振るうだけで「勝つ」事が可能である。一言でこの腕の特性を象徴するなら「万能」である。
曰く「RPGのコマンドに『倒す』がついてるようなデタラメさ」。他にも水平移動で遮蔽物がなければ瞬時で3000mを移動するなど、特殊な付与効果も高い。
対象は魔術的霊装から近代科学兵器まで問わず、撃破する事が可能。例外的存在である幻想殺し(イマジンブレイカー)に対しても効果は絶大で、常にその効果を封殺出来るレベルでの複雑な術式と出力を続けながら、一度はその腕を切り飛ばし吸収している。しかし…。
デメリットとして、現在ここまでの力を振るいながらも聖なる右は本来の力を発揮してはおらず、不安定な状態で存在し続けている状態であることが挙げられる。更に、「倒すべき相手」のレベルが下がれば下がる程、その力は大きく削がれていく事になる。
神上
『聖なる右』が持つ力を全て解放した結果がこの状態であるらしく、この状態にするためにフィアンマが求めたのは
- 上条当麻の『幻想殺し(イマジンブレイカー)』を「媒介」にする
- 『ベツレヘムの星』の存在によって、第三次世界大戦を引き起こし「世界環境」を整える
- 制御の「知識」を得る為に、禁書目録(インデックス)の持つ10万3000千冊を用いる
- 本物の「天使」を降ろした素体であるサーシャ=クロイツェフの存在
であった。これらすべてを手に入れ、フィアンマは『神上』と呼ばれる存在に至り、世界は彼の為に「天界」そのものへと姿を変えようとした。
なお、『神上』に至った状態であれば、その力は10万3000千冊の内包する破壊力をも容易く凌駕し、惑星を塵に変える事も可能である。実際にフィアンマはこの領域にまでは達していた。
更に『第三の腕』が「第三次世界大戦及びそこに潜む世界中の人の悪夢」という「敵」を、適切に見定めていた場合、世界全ての科学サイドと魔術サイドを一人で葬る事すらできる。単純な破壊力でも一振りで大陸を沈め、一突きで海を干上がらせるレベルのものであった。
また、フィアンマからは『神の子』(簡単にいうと完全な『聖人』、「世界を救済する者」)についても語られており、神上となっていた時のフィアンマはそれと同格の力を得ていた様子。しかし「使い方」の問題で、かつて"実在した神の子"の域には辿りつけていなかった。
テレマ教との関係
アレイスター=クロウリー曰く、フィアンマの目的である神上は「ホルスの時代(アイオーン)」を見定めてさえいれば、クロウリーの計画(プラン)とも近かったらしい。
私の持論は、『法の書』の完成と共に十字教術式の時代は終わった、というものでね。実際、君は良い所まで行っていたと思うよ。『神上(かみじょう)』という着眼点も含めてね。
オシリスの時代……つまり十字教単一支配下の法則ではなく、その先のホルスの時代をフォーマットに定めていれば、私と似たような地点を目指していたかもしれないな。
……たかが十字教程度で、あの右手や幻想殺し……そして『神浄(かみじょう)』を説明しようと考えた事。それ自体が、君の失敗だ
とある魔術の禁書目録22巻 アレイスター=クロウリーの発言より抜粋
ホルスの時代とは、史実のクロウリーが作ったテレマ教のグノーシス的思想である。
- イシスのアイオーン - 十字教(キリスト教)が蔓延る前の原始宗教の時代
- オシリスのアイオーン - 十字教(キリスト教)に囚われ神に隷属する時代
- ホルスのアイオーン - 『法の書』が完成した1904年以降の、人間が神となる新時代
上記の通り、テレマ思想でいう「ホルスの時代」を着地点に見定めていれば、更に『神浄』と呼ばれる存在に触れられていた可能性も示唆されている。
上条当麻との対比
神浄とは事象の中心で「神浄の討魔」の真名を持つ「上条当麻」の事である。
学園都市は上条のためだけに創設された、形を変えた「テレマ僧院」らしい。超能力もかつてテレマ僧院で行われていた事(薬物や暗示を利用した聖守護天使との対話)を元にしている。
そしてクロウリーは意図的に学園都市の警備を緩めてセキュリティに穴を開けたり、非人道的な計画で上条を憤らせる事件を誘発させ、上条(何らかの力?)の成長を促していた。
それを踏まえて旧約22巻のクロウリーの発言を見てみると…
君(※フィアンマ)のやろうとしていた事は、基幹となっていたフォーマットそのものが古すぎたという事を除けば、私のプランと似通っていた。
異形の力で満たされた神殿を用意し、その中で右腕の力を精練し、その力でもって位相そのものの厚みを再調整し、結果として世界を変ずる思想。学園都市というある種の力を封入された小世界とどう違う?
君は自らの行動を別の視点で捉え直すだけで良い。それだけで、あの力(※上条の正体不明の力)の本質を理解できていたはずだ。……もっとも、それが成功できていれば、君は私よりも一足早く目的を達していたかもしれないな
上記のような共通点を見出す事ができる。
この2つの計画は、確かに右腕を精錬するという点で(テレマ要素を除けば)同じなのだろう。
その後
幻想殺しを手に入れたフィアンマは、用済みとなった上条に向けて惑星を消し飛ばし、十字教のあらゆる神話を再現し得る程の力を放つが、上条の内から現れた謎の力によって容易く切り払われている。
現れた謎の力はフィアンマにとっても未知の存在であり『神上』に至ったフィアンマを圧倒する程の力を持っていた。上条の腕は瞬く間に再生し幻想殺しを再び宿す。同時に彼が手に入れた右腕は急速に劣化を見せ、幻想殺しとしての機能が失われていった。
更に彼が『救ってやる』と考えていた世界中の人々の心は弱くはなく、様々な因子が重なり、結果として彼が「倒すべき相手」と定めた「世界中の人々の悪意」は、劇的にそのレベルを下げていく事になる。
上条との戦闘に敗北し、力を失い落下していくベツレヘムの星の中で上条にコンテナに乗せられ脱出。
フィアンマが救おうとした世界を自らの目で確かめる様に言われる。見捨てても誰も咎めない、むしろ称賛される敵である筈の自分をも救った「上条当麻」という人間性に触れる。
脱出した後にアレイスター=クロウリーに遭遇し、力の象徴である「右腕」を切断されてしまう。
本来なら学園都市にいるはずのクロウリーだが、アンナ=シュプレンゲルやエイワス等のシークレットチーフのようにその身はもはや高次的な領域に踏み込んでおり、0と1では表現する事は出来ず同次元に複数同時に存在出来るらしい(これはクロウリーが内に秘めていた10億以上の自分自身の可能性であることが新約18巻で判明している)。
フィアンマは「あの男が命を懸けて救った世界を、これ以上踏みにじらせる訳にはいかない」と、勝利することなど不可能な力の差を理解した上でクロウリーと戦ったが敗北。その場に満身創痍の状態で残され、オッレルスとシルビアに助けられている。
暫く登場はなかったが、新約4巻でオッレルスと共に再登場。『魔神』隻眼のオティヌスを撤退させた事で結果として上条を守る事に。クロウリーに切断された右腕は変わらず、不安定な状態のままであった。
その後も暗躍を続けていたが、グレムリンとの決戦の終局でオッレルスの後に続いて妖精化を放ち、その結果として誤ってオティヌスを完全な『魔神』に導く。つまり、オティヌスが世界を消滅させる最終的な要因を自ら作ってしまった形に……。
その後、世界は消滅し上条は億~兆単位の年月はありそうな地獄のループをオティヌスと共に体験することになる。もはや借りを返すどころの騒ぎではない…。
またまた暫くのブランクを経て、新約13巻で魔神「僧正」に追われる上条に助太刀しようと再登場。かつてオティヌスにも使用した『妖精化』の術式をより磨き上げた上で僧正と激突するも、2ページ後に特に何事も無く吹っ飛ばされてそのまま退場。肝心の僧正はと言えばピンピンしていた。
その後はすぐに僧正と上条の鬼ごっこが再開されてしまったため、救急車こそ呼ばせたものの彼の安否は未だに不明。件のシーンは読者から「何しに出てきた」「噛ませ犬」「高速回転ニキ」など散々な語り草となった。
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関連コミュニティ
関連項目
- とある魔術の禁書目録
- 魔術サイド
- 神の右席
- 上条当麻
- オッレルス
- アレイスター=クロウリー(とある魔術の禁書目録)
- 上里翔流 - 上条やフィアンマと同じく特殊な「右腕」を持つ少年
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