コールドスリープ(cold sleep)とは、
のことである。この記事では1について記述する。
概要
人体を低温に保つことで生命活動を一時的に停止させ、老化を防ぐ技術、または装置である。肉体を人工的に冬眠させる装置として、多くの人はカプセル状のものを思い浮かべると思われる。「冷凍睡眠」と日本語表記されることもあるが、実際に「凍結」されているとは限らない。
コールドスリープする理由としては長期移動の際のコスト削減や現代の医療技術では不可能な病気の治療法が発見されるまでの延命などがある。
SF作品には頻繁に登場する。
宇宙船でのコールドスリープ
太陽系外を舞台にしつつ、ワープ航法などの長距離移動に関しての技術が未発達の場合、コールドスリープの技術はほぼ必須なものになる。
これらの作品では宇宙船が目的地に到達するまでに数年、時には数十年の航行が必要になることが普通である。その間の食糧や燃料の問題もさることながら、乗組員にとっては長期間の航行は心身ともに負担が大きく、場合によっては一度の航行だけで人生が終わってしまう。それを避けるために、乗組員や乗客は必要な時以外はコールドスリープで眠るのである。
このタイプのストーリーではコールドスリープによる時間経過のずれがネタとされたり、コールドスリープ中は無防備になることによる悪意や悲劇などが描かれたりする。時間経過のずれについては、『エイリアン』シリーズにおいて主人公のリプリーがコールドスリープから目覚めると、自分より年上になっていた娘が亡くなっていたことを知らされるシーンなどで描かれている。無防備さについては、特に『2001年宇宙の旅』において冬眠状態のまま機械に生命維持装置を切られていくシーンは有名。
宇宙空間以外でのコールドスリープ
宇宙空間以外でもコールドスリープが使われることはある。この場合、コールドスリープは未来への一方通行のタイムマシンの役割を果たしており、時間移動による悲喜劇を描くきっかけとなる。
例えば、上でも書いたが、現在では治療不可能な病気などに対して、未来でその治療法が確立されることを期待してのコールドスリープはよく題材として扱われる。コールドスリープに入った時点で物語が終了すれば未来への希望を託すエンドになる。
しかし、コールドスリープから覚醒したあとのストーリーが語られる場合は、未来で目覚めた人間の元の時代への憧憬や、過去にすべてを置いてきて孤独となってしまった哀愁などが描かれるビターなストーリーになることが多い。
別のパターンとしては、特別な地位についている人間がコールドスリープと覚醒を繰り返して長期間にわたって長として集団を導き続けるストーリーや、過去に迷い込んでしまった人物がタイムマシンを使わずに現代に戻るための手段としてコールドスリープが使われると言ったストーリーも存在している。
ポストアポカリプスものでは、平和な時代に生きていた主人公を暴力で満たされた世紀末の世界に投げ込むための手段としても使われる。コールドスリープから目覚めたら破局後の世界だった、という導入を経ると主人公と周囲の価値観に無理なく大きなギャップを与えることができ、物語を展開させるのにはちょうどいいのである。
現実でのコールドスリープ実現に向けて
2019年の現実世界においては精子バンクは実用化されているが人体を長期的に冬眠させる技術は確立していない。NASAが出資しているスペースワークス社は短期間であれば冬眠状態にさせることに成功している。
また、人体を死後冷凍保存して未来の技術での蘇生を目指す人体冷凍保存(クライオニクス)という処置もある。「クライオニクス研究所」や「アルコー生命延長財団」といったアメリカの非営利団体が有名だが、他にも様々な団体によって実施されている。ただし冷凍の過程で脳の構造がかなり損なわれてしまうことから、おそらく未来においても蘇生は不可能であろうとして疑問視する声も少なくない。
ちなみに「コールドスリープ」(cold sleep)という表現は英語圏ではさほど使われない。全く使われないというわけではないようだが、「suspended animation」「artificial hibernation」「human hibernation」「induced hibernation」などの用語で表現される事の方が多い。
コールドスリープを扱った主な創作物
- 2001年宇宙の旅
- Fallout4
- HALOシリーズ
- いばらの王
- インターステラー
- エイリアンシリーズ
- F-ZERO ファルコン伝説
- グノーシア
- 猿の惑星
- 装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端
- ∀ガンダム
- トライガン
- 夏への扉
- バニラ・スカイ
- 火の鳥(漫画)
- ライブ・ア・ライブ
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
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