コーンフレークとは、とうもろこしを加熱したのち潰し、チップ状にして焼いた食品である。
概要
シリアル食品の一種。日本では虎のキャラクター(トニー・ザ・タイガー)が描かれたケロッグの「フロスティ」や、三角帽の男の子(シスコーン坊や)の絵が描かれた日清シスコの「シスコーン」が有名。朝食として食べられることが多い。
ボウルの中にコーンフレークを入れ、牛乳を注ぐという調理法が一般的。最初はサクサクとした食感だが、時間が経つと牛乳がしみ込んで柔らかい食感になる。コーンフレークには砂糖が練り込まれていることが多いので、甘い味がする。
中には「プレーンコーンフレーク」「無糖コーンフレーク」等と呼ばれる砂糖の含まれないコーンフレークもある。離乳食や健康食、甘い味が苦手な人、調理・業務用などで需要があるようだ。
歴史
世界で初めてコーンフレークを作り始めたのはアメリカのケロッグ社である。ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ博士がコーンフレークを発明し、弟のウィル・キース・ケロッグがケロッグ社を起業した。以下、それぞれ「ジョン」「ウィル」と表記する。
ジョン博士は厳格なベジタリアンの医学博士であった。これは彼が禁欲主義者であったためである。彼は自慰をタブーとし、性欲を抑える方法として菜食主義を唱えた。彼が運営していたサナトリウムの患者にも菜食主義を推奨し、小麦粉を練って薄く引き伸ばしたビスケットのような病人食を食べさせていた。
ある日、機械のトラブルで病人食の生地が放置され、乾燥してしまう。金が無かったためそのままローラーで引き延ばしてみるとフレーク状になったので、せっかくだから焼いて患者に食べさせてみると好評だった。
そこで、この食品に「グラノース」という商標を登録し、弟のウィルとともに会社を立ち上げ販売を始める。その一方でジョン博士は食品の研究を続けた。そして、アメリカで大量に収穫されるとうもろこしがこの製法の食品の原料として最適と判断した。かくして、コーンフレークが誕生した。
しかし、当時のコーンフレークは現在のプレーンコーンフレークと同じようなもので、多くの人にはあまり口当たりが良くなかった。そこで、弟のウィルはコーンフレークに砂糖を混ぜて販売することを提案する。
だが兄のジョンは「そんなことをしたら不健康になる」と拒否。これが原因で兄弟は仲違いし、その結果1906年にウィルが独立し、ケロッグ社を起業した。その後、ケロッグ社のコーンフレークが世界中に広まっていった。
余談・その他
- ちなみに「ジョン博士がコーンフレークを性欲を抑える食事として開発・販売した」と言われることもあるが、その件についてはデマであるとも指摘されている。一部のニュースなどでそのような印象が広まったことでそう受け取られているが、ジョン博士は「消化が容易で、調理も簡単な、美味しくて穀物ベースの健康食品」を方針としてこのコーンフレークを開発しており、(少なくとも)当の本人はそれを目的に開発したとは言及しておらず、公式における商品の特許出願でもそのようには書かれていない。ただ同記事においては、直接的な関係とまではいかなくとも、同時に間接的なつながりとその可能性についても記述している(参考)。
- コーンフレークが開発された19世紀当時の朝食は、脂肪分の凝固した油であげたじゃがいもや塩漬け肉を揚げた料理などヘビーなものばかりで、しかも各家庭のお母さんたちが夜明けに起きて何時間も支度をするというのが常態化していた。これらを解消するためのものとして生み出されたとある。 [1] [2]
- ジョン博士は健康について独自の理念を持っていたようで、熱風浴・電気療法・振動椅子・腸内洗浄など様々な(医学的根拠はない)治療法を開発している。それに加えて先述した徹底的な禁欲主義や本人が残した著書の内容なども相まって [3]、2019年現在、Wikipediaの彼の記事の関連項目には「マッドサイエンティスト」と書かれてしまっている。しかし、ジョンがいなければ私たちがコーンフレークを味わうことができなかったのも事実である。
- 先述の項目では直接的な関係はないとしているが、ジョン博士が性的な観念について嫌悪していたのは事実であり、結婚しているカップルにさえほぼ全ての性的活動や接触を放棄することを奨励していた。彼には妻もいたが、子供は持とうとせず、同じベッドで寝ることもしなかったようである。また、「性行為、特に自慰行為がさまざまな精神病の原因である」という持論を持っていた。自慰行為を「自己汚染」および「孤独な悪」と呼び、「すべての性的虐待の中で最も危険」と説明しており、これらの思想や行動がコーンフレークの意図に結び付けられたのではないかと思われる。 [4] [5]
- ジョン博士は健康のための5つの推奨事項を提示している。本人のアレな思想はともかくコーンフレークと同じく健康面に関する事を考えていたのは事実である。果物・穀物・牛乳・野菜・シリアルなど、刺激が少なく健康的なものを摂取するよう推奨しており、同時にスパイスや調味料、酒やコーヒー、お茶などの(本人の考える)刺激物に該当する物をとらないよう伝えている。
関連動画
関連静画
関連リンク
- satomi「ケロッグ博士の「世にも奇妙な」医療器具15選」(GIZMODO JAPAN, 2012)
- daneko「コーンフレークの起源と歴史とは-ケロッグ博士が開発したのはXXXのため?!」(+雑学, 2019)
関連項目
脚注
- *Were Kellogg’s Corn Flakes Created as an ‘Anti-Masturbatory Morning Meal’? (Snopes.com 16 AUGUST 2019)
- *朝食の大部分は「昨晩の夕食から凝固した脂肪で揚げたでんぷん質のジャガイモ」、たんぱく質については「ハムやベーコンなどの塩漬け肉と塩漬け肉を揚げた料理」、一部の人々は「ココア、紅茶、またはコーヒーのマグカップ、全乳または生クリーム、そしてしばしばシロップ、ミルク、砂糖で風味付けされたご飯と一緒に、肉のない朝食」を食べていた。腹部を満たすために茶色のパン、ミルクトースト、グラハムクラッカーを食べた人もいた」とされている。そして何より良心的で疲労し続けている母親が夜明けの間に目を覚まし、熱いストーブの上に何時間も立ち向かい、大麦、ひびの入った小麦、または麦で作られたマッシュなどを調理してかき混ぜる」とある。
- *本人著書にも「男性のあそこに針金を縫い付けることで、エキサイトしてしまっても、すぐに痛みで元に戻ることができる」「女性の禁欲のために、酸をあそこに塗るのがいい。これでよこしまな気持ちを追いやることができる」など、現代基準的には割とヤバいことを書いている。
- *【仰天】コーンフレークは性欲抑制の為に開発された食品だった! (RocketNews24 2015年8月17日)
- *本人著書「Plain Facts for Old and Young: Embracing the Natural History and Hygiene of Organic Life」(老いも若きもわかりやすい事実:有機生命の自然史とオーガニックライフを抱きしめる) (1887年)より
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