ジャングロ(Jean Gros)とは、2019年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の牡馬。
オーナーはサイバーエージェント社長・藤田晋。主戦騎手は武豊。
主な勝ち鞍
2022年:ニュージーランドトロフィー(GⅡ)
概要
父More Than Ready、母Goodbye Stranger、母父Broad Brushという血統のアメリカ産馬。
父モアザンレディは2000年のアメリカGⅠキングスビショップステークスの勝ち馬で、シャトル種牡馬としてアメリカ・オーストラリアの双方で合計30頭ものGⅠ馬を輩出している大種牡馬。日本ではカフェファラオの母父。
母グッドバイストレンジャーはアメリカで3戦未勝利だが、繁殖牝馬としては第9仔ジャングロまでの8頭中6頭が勝ち上がり、ジャングロの全兄Tom's Readyが重賞3勝と優秀な成績を残す。
母父ブロードブラッシュはGⅠ4勝、種牡馬としても1994年に北米リーディングサイアーを獲得するなど成功した。日本で走った産駒にブロードアピールやノボトゥルーがいる。
2019年3月2日、アメリカの生産牧場Nursery Place & Partnersで誕生。2021年3月のアメリカ・OBSマーチセールで、藤田オーナーの依頼を受けた森秀行調教師によって26.5万ドルで落札された。
馬名意味は単に「人名より」となっているが、直接の由来はワイン生産者のジャン・グロからだろう。藤田オーナーの2019年産馬は全てワインが馬名の由来である。
ピノ・ノワールの黒鹿毛
2歳
栗東・森秀行厩舎に入厩し、2021年8月22日の小倉の新馬戦(芝1200m)でウマ娘おじさん武豊を鞍上にデビュー。好スタートを切ったが集中力を欠いてハナを切れず直線入口ではだいぶ前に差をつけられ、直線ではいい脚を見せたが3着。
続いて連闘で未勝利戦(小倉・ダート1000m)に浜中俊を鞍上に挑んだが、逃げた1番人気ケイティソルジャーを捕らえきれず2着。それでも3着は7馬身突き放してみせた。
2ヶ月弱休んで10月24日、鞍上が武豊に戻った阪神の未勝利戦(芝1400m)ではハナを切ったが、2番手でマークしてきたママコチャに直線でかわされ2着。
11月13日の同じ阪神芝1400mの未勝利戦では、単勝1.8倍の支持に応えて悠々と逃げ切り勝ち。4戦目でようやく初勝利を挙げ、藤田オーナーの2021年デビューの所有馬5頭では4番目の勝ち上がりとなった。
続いて中1週で11月28日、1勝クラスのベゴニア賞(東京・芝1600m)でマイル初挑戦。逃げて8頭立ての6着に敗れたが、混戦の中で1着とは0.2秒差なので内容としてはまずまず。
年内ラストは12月18日、1200m戦に戻って中京2歳ステークス(OP)。好スタートから悠々とハナを切ると、直線で後続を突き放して3馬身半差をつけるレコード圧勝。藤田オーナーの馬はデビュー2連勝で2歳GⅠ朝日杯FSにも挑んだ5億円ホースのドーブネが最も注目されていたが、この強い勝ち方でジャングロも一躍短距離戦線の注目株となる。
3歳
明けて3歳はサウジダービーの招待を受けていたが辞退し、5月の葵ステークスを目標に、阪神の1200m戦、2月27日のマーガレットステークス(L)で始動。このレース、ジャングロ自身を含めて前走を逃げて勝った馬が5頭、負けた馬も含めると出走13頭中9頭が前走を逃げた馬という逃げ馬大集合祭りだった。
こんなメンバーではさすがにハナは切れずに4番手でのレースとなったが、好位から直線で力強く伸びて逃げるショウナンマッハを並ぶ間もなくかわし1馬身半差をつける快勝で2連勝。結果的に逃げ馬祭りのおかげで控える競馬を覚えさせる格好にもなり、森師も「この競馬ができれば距離は伸びても大丈夫そう」とコメント。
というわけでマイル適性の見極めを兼ねて4月9日のニュージーランドトロフィー(GⅡ)で重賞初挑戦。単勝7.0倍の3番人気だった。
レースは抜群のスタートでハナを切ると悠々と単騎逃げに持ち込む。直線に入ると外から1番人気、横山典弘騎乗のマテンロウオリオンが猛然と追い込んできて並ばれ、誰がどう見てもマテンロウオリオンが差し切る勢い。公式実況のラジオNIKKEI小林雅巳アナウンサーすら完全にマテンロウオリオンが勝つ流れで実況していたにもかかわらず、最後にアタマ差で差し返して1着でゴール。藤田オーナーに重賞初勝利をプレゼントした。
藤田オーナーは「やった!!初重賞です😭」とツイート。『ウマ娘』のCMに出演している武豊は「これでCMのギャラをアップしてほしい」とジョークを飛ばし、ネットではともに50代の武豊と横山典弘の熾烈な叩き合いという平成1桁のような光景にオールドファンが喜んでいた。
次走は優先出走権を得たNHKマイルカップ(GⅠ)。重賞を制覇した実力馬が集結し、オッズも割れて混戦模様。NZT勝利馬の成績が良くないのもあってか、ジャングロは6番人気にとどまる。
レースが始まり、さあいつものように逃げ……と思いきや、ゲートで思いきり突進して痛恨の出遅れ。これでは勝てるレースも勝てない。
実際、レースで勝つことはできなかったが、上がり3Fは2位タイの33.8を記録し、結果は7着。ゲートで体をぶつけて好走しなかった馬は数知れないのを鑑みれば、上々の結果と言えるだろう。「後方から進んだらかえって折り合うことができたので、収穫はあったと思います」と武豊は語っており、今後に期待といったところ。
その後、夏場は休み、秋はセントウルステークスから始動予定だったが、右前脚捻挫のため回避。森師は当初「年末に復帰できれば」とコメントしていたが、その後長らく音沙汰がなくなってしまった。
4歳
明けて4歳となってもなかなか復帰の話が出ないまま、気付けばNHKマイルカップから1年以上経ってしまったが、6月になってようやく7月のアイビスサマーダッシュ(GⅢ)で復帰予定という情報が出てきた。森師と直線レースといえば、欧州G1を2勝したアグネスワールドが想起されるところ。雌伏の時を越えて、ジャングロの物語は新潟の直線から再始動する。
血統表
More Than Ready 1997 黒鹿毛 |
*サザンヘイロー 1983 鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Northern Sea | Northern Dancer | ||
Sea Saga | |||
Woodman's Girl 1990 鹿毛 |
Woodman | Mr. Prospector | |
*プレイメイト | |||
Becky Be Good | Naskra | ||
Good Landing | |||
Goodbye Stranger 2003 鹿毛 FNo.1-w |
Broad Brush 1983 鹿毛 |
Ack Ack | Battle Joined |
Fast Turn | |||
Hay Patcher | Hoist the Flag | ||
Turn to Talent | |||
Prime Investor 1996 黒鹿毛 |
Deputy Minister | Vice Regent | |
Victoria Regina | |||
Starushka | Sham | ||
What a Treat |
クロス:Turn-to 5×5×5(9.38%)、Northern Dancer 4×5(9.38%)、Cherokee Rose、Sequoia 5×5(6.25%)
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関連項目
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