スカイビューティ(Sky Beauty)とは、1990年生まれの
アメリカ合衆国の競走馬である。2021年の初版作成時点では最後となるニューヨークトリプルティアラ達成馬。
通算成績21戦15勝[15-2-2-2]
2歳(1992年):メイトロンS(
G1)、アディロンダックS(
G2)
3歳(1993年):ニューヨーク牝馬三冠[エイコーンS(
G1)、マザーグースS(
G1)、CCAオークス(
G1)]、アラバマS(
G1)、レアパフュームS(
G2)
4歳(1994年):シュヴィーH(
G1)、ヘムステッドH(
G1)、ゴーフォーワンドS(
G1)、ラフィアンH(
G1)、ヴェイグランシーH(
G3)
5歳(1995年):ヴェイグランシーH(
G3)
概要
父:Blushing Groom、母:Maplejinsky、母父:Nijinskyという血統。
祖母の父のミスタープロスペクターから始まってニジンスキー→ブラッシンググルームと代々大種牡馬を配合されている上に、母*メイプルジンスキーはGI2勝を含む9戦5勝、祖母ゴールドビューティは1982年のエクリプス賞最優秀短距離馬、叔父デイジュールは本馬が産まれた年にGI3勝を挙げた名スプリンターという超良血馬である。1歳セリで35万5000ドルついたのも至極当然であろう。ヘタしたらそれでも安いかもしれない。
本馬を管理したのは、三冠馬セクレタリアトに勝ったオニオンやプルーヴアウトなどのように時代を代表する馬たちを撃破した馬を多く管理したことから「ジャイアントキラー」と呼ばれたアレン・ジャーケンズ師であったが、成長した彼女は挑戦を受ける側の大物となっていくのだった。
2歳時
デビュー戦と一般競走を連勝したスカイビューティはそのままアディロンダックS(GII)に出走。ここで未勝利戦を8馬身差圧勝してきたミストザストームという馬に1番人気を譲ったが、4角で並びかけてあっさり抜け出し、3着以下を7馬身突き放したミストザストームを更に3馬身半離して圧勝した。ミストザストームはその後短距離路線で大成し、本馬とは再戦することがなかった。
スカイビューティはスピナウェイS(GI・6ハロン)に駒を進めたが、スタートで外に斜行。外側からも1頭内に斜行した馬がいたため間にいた馬がまともに挟まれる形となった。1位入線したが当然審議となり、本馬を含むスタートで斜行した2頭は3位・4位に降着した。後になって「降着で済んでビックリした」とジャーケンズ師が言うほどで、鞍上のエディ・メイプル騎手も少なからず陣営の不興を買った。
この20日後のメイトロンS(GI・7ハロン)はちゃんと勝ったが、脚の腱に炎症を起こして休養入りとなり、BCジュヴェナイルフィリーズにも出走出来なかった。エクリプス賞最優秀2歳牝馬は同レースを勝ったエライザが受賞した。
3歳時
怪我が癒えての3歳初戦はボニーミスS(GII)となり、本馬は1番人気だったが、逃げるディスピュートに粘られて2着に敗退した。前年秋の降着で陣営の心証を害していたメイプル騎手はこれが決定打となって降板となり、新しくマイク・スミス騎手が主戦に据えられた。
現在のニューヨークトリプルティアラはエイコーンS、CCAオークス、アラバマSの3レースだが、当時はアラバマSが対象ではなく、代わりにマザーグースSが第2戦、CCAオークスが最終戦となっていた。
トリプルティアラ初戦のエイコーンS(GI・1マイル)では単勝1.4倍の1番人気となった。ここではメイトロンSで本馬の2着に敗れた後にフリゼットS(GI)を勝ったエデュケイティドリスクが対抗馬筆頭となったが、3角であっさり交わすとそのまま5馬身1/4差で圧勝。続くマザーグースS(GI・9ハロン)では4頭立てながら本馬をボニーミスSで破った後にケンタッキーオークスを勝ったディスピュートが出走してきたが、ここも5馬身差で快勝した。
最終戦のCCAオークス(GI・10ハロン)では遂に単勝1.1倍となり、再びディスピュートの逃げを追走し、マザーグースSのように3角であっさり交わして独走に入るも、直線の末脚に賭けたフューチャープリテンスの猛追を受けた。しかしこれを半馬身差で凌いだ本馬が先頭でゴールし、史上8頭目のトリプルティアラを達成した。
続くアラバマS(GI・10ハロン)でも早めに抜け出すスカイビューティと末脚に賭けるフューチャープリテンスという直線の攻防となったが、スカイビューティが1馬身半差で勝利。短い休養を挟んでのGIIレアパフュームSも勝利し、ブリーダーズカップ・ディスタフへ向かった。しかし中団から追走したのが災いしたのか直線で伸びず、ハナ差で勝利したハリウッドワイルドキャット(ダノンスマッシュの祖母)の5着に敗れた。エクリプス賞最優秀3歳牝馬の座もハリウッドワイルドキャットのものとなった。
4歳以降
4歳時は初戦のGIIIヴェイグランシーハンデキャップを勝ち、続くシュヴィーハンデキャップ(GI・8.5ハロン)では4頭立ての中で1頭だけ12ポンド(約5.4kg)以上重い斤量を背負いながら9馬身半差で圧勝した。次走のヘンプステッドハンデキャップ(GI・9ハロン)では逃げ馬不在の中でペースを握った本馬を前年にGI2勝を挙げていたユードビーサプライズドが徹底的にマークする展開となったが、クビ差で凌いだ。
その後のゴーフォーワンドS(GI・9ハロン)では定量戦ということもあって強い馬が出てこず、単勝1.1倍に推されたスカイビューティが最初から最後まで先頭を走り続け、そのままハナ差の2着争いを10馬身後方に置き去りにして勝利した。
続くラフィアンハンデキャップ(GI・8.5ハロン)は5頭立てだったが、本馬以外の4頭も3歳時以来の対戦となるエデュケイティドリスク、本馬の前走ゴーフォーワンドSで2着の後にGIジョン・A.モリスハンデキャップを勝ったリンクリヴァー、ヘンプステッドハンデキャップで破ったユードビーサプライズド、CCAオークスで本馬の4着に敗れてからGI2勝を挙げていたディスピュートという実力馬揃いであり、結局スカイビューティのハンデは牝馬ながら130ポンド(約59kg)が設定された。それでもいつも通り抜け出すと追ってくるディスピュートに抜かせず、1馬身1/4差で勝利した。
ところが、雪辱を期したブリーダーズカップ・ディスタフでは中団後方からの競馬になるとそのまま徐々に手応えが無くなり4角で失速。結局ブービー人気馬ワンドリーマーが逃げ切った遥か後ろでシンガリ負けを喫した。
それでもこの年6戦5勝で、エクリプス賞最優秀古馬牝馬を受賞した。
5歳時はヴェイグランシーハンデキャップを連覇したが、次戦のシュヴィーハンデキャップでは前年のアッシュランドSを5馬身半差、エイコーンSを16馬身差という圧勝でGI2勝を挙げていたインサイドインフォメーションの挑戦を受けることとなった。両馬の主戦だったスミス騎手がインサイドインフォメーションを選択したため、本馬にはジュリー・クローン騎手がテン乗りとなった。
しかし、結果的にこの年のBCディスタフを13馬身半差で圧勝することになる馬を7ポンド(約3.2kg)重いハンデで倒せというのも難しい話であり、スカイビューティは3着は16馬身離したものの、インサイドインフォメーションには5馬身半差を付けられて2着に終わった。
続くヘンプステッドハンデキャップでは追走にも少し苦労するところを隠せず、2着から10馬身半離れた4頭立て3着と敗戦。その後2歳時の古傷が再発し、引退した。通算21戦15勝・GI9勝。
とんでもない気性難であったと言われ、その性格が災いしてか地元ニューヨーク州からの遠征競馬では1勝も挙げられず、それを理由に本馬の殿堂入り選考で反対意見を出した者もいたが、逆にニューヨーク州では5歳時の2敗を除けば降着でしか負けなかった(しかも一度130ポンドを背負って勝っている)ように相当のポテンシャルがあったことは間違いない。
繁殖成績
スカイビューティは3頭の仔を産んだ後、セリでクールモアに285万ドルで落札されたが、高値が付いた産駒もいた割にはあまり活躍馬が出ず、出世頭と言えるのはクールモアに移ってから産まれてGIII1勝を含む8戦2勝だった6番仔ハリケーンキャット(牡馬・父ストームキャット)であった。
2004年に7番仔のポートベッロロード(牡馬・父ストームキャット)を産んだ際に脚を痛めて蹄葉炎を発症し、7月に14歳で安楽死措置が執られた。死後は2011年に米国競馬の殿堂入りを果たしたほか、曾孫から2012年のキャッシュコールフューチュリティ(GI)を勝ったヴァイオレンスが出ているように牝系も維持されている。
血統表
| Blushing Groom 1974 栗毛 |
Red God 1954 栗毛 |
Nasrullah | Nearco |
| Mumtaz Begum | |||
| Spring Run | Menow | ||
| Boola Brook | |||
| Runaway Bride 1962 鹿毛 |
Wild Risk | Rialto | |
| Wild Violet | |||
| Aimee | Tudor Minstrel | ||
| Emali | |||
| *メイプルジンスキー Maplejinsky 1985 鹿毛 FNo.1-g |
Nijinsky II 1967 鹿毛 |
Northern Dancerr | Nearctic |
| Natalma | |||
| Flaming Page | Bull Page | ||
| Flaring Top | |||
| Gold Beauty 1979 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native | |
| Gold Digger | |||
| Stick to Beauty | Illustrious | ||
| Hail to Beauty |
クロス:Nearco 4×5(9.38%)、Menow 4×5(9.38%)、Native Dancer 5×5(6.25%)
- 母*メイプルジンスキーは本馬の活躍後に日本のシンコーファームに購入され、1995年から日本で繋養された後、1999年に帰国した。日本で産んだ*サイレンスビューティがアメリカに輸出されてGI2勝を挙げたテイルオブエカティを産んだ他、アメリカで産んだアワーカントリープレイスの牝系にプレザントホーム(BCディスタフ)、ポイントオブエントリー(マンノウォーSなど米芝GI5勝)、パインアイランド(アラバマS・ガゼルS)、バーディバーディ(兵庫CS、ユニコーンS)などがいる。
関連動画
関連項目
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