ブラッシンググルーム(Blushing Groom)とは、1974年フランス生まれの元競走馬・種牡馬である。
2歳GI4勝を含むGI競走5勝を挙げ、種牡馬としても大成し、更にブルードメアサイアーとして顕著な功績を残した。
血統・競走馬時代
父はナスルーラ産駒で競走馬としては今ひとつだったが種牡馬として成功したレッドゴッド、母ラナウェイブライド、母父は平地と障害の両方で活躍し、セントサイモン直系種牡馬として功績を残したワイルドリスクという血統。父はナスルーラ譲りの気性難だったが、本馬は落ち着いた性格だったらしい。
因みに名前のブラッシンググルーム(Blushing Groom)は「赤面する花婿」という意味であり、母のラナウェイブライド(Runaway Bride)、「逃げる花嫁」からの連想である。
競走馬としてフランスでデビューすると、デビュー戦こそ敗北するも以後は連勝街道に乗り、6戦5勝。GIを4勝し文句なくフランス最優秀2歳牡馬に輝く。3歳になり年をまたいでプール・デッセ・デ・プーラン(仏2000ギニー)を含む7連勝を飾る。1番人気でエプソムダービーに向かうも距離が長かったか3着に敗北。フランスに戻りジャック・ル・マロワ賞2着を最後に引退した。通算10戦7勝。
種牡馬時代
1978年から米国で種牡馬入りすると、自身はマイラーだったのに対し、産駒は中長距離でも戦えるタイプを多く輩出。更に産駒が種牡馬としても成功を収め、ブラッシンググルーム系と呼ばれる系統を確立するに至った。現在ナスルーラ系は世界的に衰退傾向にあるが、その中でもブラッシンググルームの系統は米国を中心に未だ活躍馬を輩出し、近いところでは直系の曾孫である*アニマルキングダムがケンタッキーダービーを制した。1988年と1995年に英愛種牡馬リーディングに輝いている。
代表的な産駒はナシュワン(英ダービー、キングジョージ等)やレインボークエスト(凱旋門賞)、スカイビューティ(トリプルティアラ)などが挙げられる。日本では直仔の活躍は見られないが、輸入された*クリスタルグリッターズからアブクマポーロやマチカネフクキタルが、直系孫の*バゴからビッグウィークやクロノジェネシスが輩出され、また持込馬としてサクラローレルが活躍した。
- テイエムオペラオー(皐月賞、古馬王道完全制覇、父*オペラハウス)
- マヤノトップガン(菊花賞、有馬記念、宝塚記念、天皇賞(春)、父*ブライアンズタイム)
- ヤマニンゼファー(安田記念2回、天皇賞(秋)、父ニホンピロウイナー)
- レディパステル(オークス、父*トニービン)
- *ラムタラ(英ダービー、キングジョージ、凱旋門賞、父ニジンスキー)
- オーサムアゲイン(BCクラシック、父デピュティミニスター)
- マッチョウノ(BCジュヴェナイル、父ホーリーブル)
- カヤージ(英ダービー、父*イルドブルボン)
- ゴルディコヴァ(BCマイル3連覇等、GI競走14勝、父アナバー)
- *ストラヴィンスキー(99年欧州最優秀スプリンター、父ヌレイエフ)
といったようにGI馬を多数輩出した。全頭父親が違うのも面白い。母系に入ると驚異的な底力や勝負根性が与えられた。テイエムオペラオーはその最たる例だろう、栗毛の馬体もそっくりである。
1992年に18歳で死没。ブラッシンググルームを父に持つ繁殖牝馬はほとんど引退したが、ブラッシンググルームを血統表内に持つ馬は数多い。現代競馬が続いていく限り、ブラッシンググルームの血は脈々と受け継がれていくことだろう。
逃げた花嫁と赤面する花婿の親族
全兄に日本で種牡馬生活を送った*ベイラーンがいる。この*ベイラーンだが、弟であるブラッシンググルームが1976年に2歳GIを勝ちまくったことで種牡馬価値が急騰。だが翌1977年2月に種付けシーズンを前に急逝。わずか1世代、20頭程度しか産駒を遺せなかったが、そこから中央重賞馬を2頭輩出するなど、急逝が惜しまれる結果となった。
また、半弟の*サイドチャペルもブラッシンググルームの成功を受けて輸入されたが、こちらは地方重賞馬を数頭出したのみで13歳でひっそりと死亡した。
母ラナウェイブライド、祖母エイミー(Aimee)から牝系が広がっており、一族には以下の馬がいる。
- キングカメハメハ(日本ダービー、NHKマイルカップ、5代母にエイミー)
- アイルトンシンボリ(ステイヤーズS2回、3代母にラナウェイブライド)
- アグネスデジタル(天皇賞(秋)等GI競走6勝、3代母にラナウェイブライド)
- エンケ(英セントレジャーでキャメロットの英国三冠を阻止、7代母にエイミー)
血統表
Red God 1954 栗毛 |
Nasrullah 1940 鹿毛 |
Nearco | Pharos |
Nogara | |||
Mumtaz Begum | Blenheim | ||
Mumtaz Mahal | |||
Spring Run 1948 鹿毛 |
Menow | Pharamond | |
Alcibiades | |||
Boola Brook | Bull Dog | ||
Brookdale | |||
Runaway Bride 1962 鹿毛 FNo.22-d |
Wild Risk 1940 鹿毛 |
Rialto | Rabelais |
La Grelee | |||
Wild Violet | Blandford | ||
Wood Violet | |||
Aimee 1957 鹿毛 |
Tudor Minstrel | Owen Tudor | |
Sansonnet | |||
Emali | Umidwar | ||
Eclair |
クロス:Blandford 4×5×5(12.5%)、Phalaris 5×5(6.25%)
関連動画
アブクマポーロ、サクラローレル、マチカネフクキタル、*ファンタスティックライト、クロノジェネシスなどが直系子孫なのでそちらをどうぞ
関連項目
Blushing Groom 1974
|*クリスタルグリッターズ 1980
||アブクマポーロ 1992
||マチカネフクキタル 1994
|Rainbow Quest 1981
||サクラローレル 1991
||*クロコルージュ 1995
|||フィールドルージュ 2002
|Candy Stripes 1982
||Leroidesanimaux 2000
|||*アニマルキングダム 2008
||||プリフロオールイン 2021
|||Zaaki 2015
||Invasor 2002
|Rahy 1985
||*ファンタスティックライト 1996
|Nashwan 1986
||*バゴ 2001
|||ビッグウィーク 2007
|||クロノジェネシス 2016
|||ステラヴェローチェ 2018
|||マルカンハルカゼ 2019
|*アラジ 1989
|Sky Beauty 1990
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