マゼラアタックとは、機動戦士ガンダムシリーズに登場する、ジオン公国軍の戦車である。
概要
1年戦争においてジオン公国軍はモビルスーツ(以下MS)開発に成功し多大な戦果を挙げた。そしてMSは重力下でも運用可能であり、来るべき地球侵攻でも主力となることが期待された。しかし、連邦の領土はそれこそ地球圏全体におよび、またジオン公国自体が資源や生産力といった国力に乏しいこともあり、どうしても初期の地球制圧においてはMSでは数が不足しがちであった。そこで、地球の重力戦線においてMSの支援を行い、戦力不足を補うために開発されたのがマゼラアタックである。
マゼラアタックは当初はMSを支援する自走砲としての役割が強く、そのために車体は戦車としては巨大で背も高く、砲塔部は旋回機能が無い。しかしMSに比べれば安価で配備でき、重力戦線における実質的な主力兵器として活躍し続けた。
ただし、やはり戦車としてみると洗練されておらず純粋な対戦車戦闘は不利であり、連邦の61式戦車と戦闘になると一方的に撃破され後退せざるを得なくなったこともある。そのためか、従来の戦車のスタイルである空挺戦車マゼラアインも開発されている。
武装は砲塔部の175mm長射程無反動砲(通称「マゼラトップ砲」)と車体部の3連装35mm機関砲である。マゼラトップ砲は改造によりMS用の携行兵装とすることができ、狙撃や支援砲撃など多岐に使用された。
ちなみに主砲は無反動砲となっているものの現実の無反動砲とは違い一般的な戦車砲として描写されており、ゲームなどによっては反動があるような描写もあったりする。駐退復座機が進化し車体が反動を受けない砲、程度に見るのが現実的であろうか。
さて、本機でもっとも特徴的なのは、その砲塔だろう。マゼラアタックは砲塔部のマゼラトップと車体部のマゼラベースに分かれている。このうちマゼラベースは無人で運用でき、マゼラトップ側から1人で操作できる。そしてこのマゼラトップには翼と推進器が備え付けられており、垂直離陸と単独での砲撃が可能である(後述のように着陸は難しいため垂直離着陸機(VTOL)ではない)。
これにより、マゼラベースが操縦不能になった際もマゼラトップだけで飛行・砲撃することができる。すわコアブロックシステムかと思われたかもしれないが、残念ながら精度に難があり飛行時間も5分しかない。しかも一度切り離したらその場での再接続は不可能である。そのためこの分離機能はコアブロックシステムのような操手の存命用というよりも、マゼラトップだけを分離して陸空から同時攻撃するための戦闘教義として使われることが多かった。また、飛行時間もあって分離したマゼラトップの乗員が帰還できる確率も高くはなかったようである。
また分離後もマゼラベースは廃用機体ではない。そうしてマゼラトップを失ったが帰還できたマゼラベースは、新たなマゼラトップをつけられる他に下半身部を失ったまま回収されたザクと合体させられてザクタンクとなることもあったという。
なお、いまだ61式戦車と違い主役に抜擢されたことの無いマゼラアタック(マゼラトップ)だが、ガンダムを撃破直前までもっていったり陸戦型ガンダムと互角の勝負をしたりと活躍シーンもある。まぁその分放映初期ジオンがやられ役なだけあって噛ませ犬扱いも多いのだが。
特にMS IGLOO2では全話に渡って登場しているが、必ず何らかの形で撃破されるという悲しい役回りとなっている。対MS誘導弾を撃ち込まれたり、61式戦車に破壊されたり、陸戦強襲型ガンタンクに潰されたり・・・。
余談ではあるが、マゼラアタックの型式番号はPVN.42/4が正しい。ではROBOT魂などに使われているHT-01Bはなにかというと、個人サイトで作られた二次創作がウィキペディアに改変・無断転載され、そこから一部の公式にまで広まってしまったという経緯がある。
ゲーム中での扱い
このように、戦争初期からジオン脅威のメカニズムが搭載されたこの戦車であるが現実で扱えば必ずしも使い勝手がいい機体とはいえないことがお分かりになるだろう。しかしゲーム中では、特に「ギレンの野望 ジオンの系譜」シリーズでは必須を通り越してザクIIと共に、いやそれ以上の「至宝」とさえ呼ばれている。
その原因は2つある。「安価なのにマゼラトップ砲が射程1-2」「分離機能により安価かつノーウェイトで量産できる」という点だ。
マゼラトップ砲と同じ射程1-2持ちの陸戦兵器は大戦初期の連邦軍では高コストかつ単機編成のデプロッグかさらにコストが高いガンタンクぐらいしかないため、MSの半分のコストで中射程の砲撃機を大量に戦線に投入でき、多少時代遅れになっても射程2を生かした支援砲撃で役に立つことができるマゼラはパン籠から砲撃まで何でもこなせる。
そして分離機能によりマゼラトップとマゼラベースに分離し、各ユニットで「補充」コマンドを行えば、ターンごとにで1機が2機、2機が4機と簡単に増殖できる。数が頼みであるこのユニットにとって、そしてユニットの数によって敵(連邦軍)の好戦性が変わる系譜では非常に強力。
ガウ攻撃空母あたりにガルマを乗せて命中率を底上げさせ、マゼラを指揮範囲いっぱいに展開すれば赤い彗星も青くなる強さを見せる…かもしれない。
兵站路を確保しておけば補給も容易であるため、原作での、特にマゼラトップ単体の使い勝手が大幅に向上しているのも見逃せない。
また最新作"アクシズの脅威V"では「マゼラトップ砲の命中率が25(!!)から40になったため捨て駒としては強力な火力を有す」「改造システムにより技術が進めばザクIIと同じ値段でマゼラベース→ザクタンク→ザクキャノンへと改造できる(ついでに車両専門の将官をMSへ載せられる)」といった強化を受けているため、特に高級将官ばかりで初期MS数が少ない新生ジオンでは文字通りの至宝である。
また変態揃いで知られる某勢力ではマゼラベースの改造を繰り返すことでヤクト・ドーガなるサイコミュ搭載MSまで魔改造できるらしい…!
関連動画
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関連コミュニティ
関連項目
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士ガンダム 第08MS小隊
- 戦車
- 61式戦車(機動戦士ガンダム)
- ザクタンク
- ヒルドルブ
- ジオン脅威のメカニズム
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧 - MSでもMAでも無いがこちらにまとめられている
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