佐藤優とは、元・日本外務省職員、文筆家。外交官としてはロシア情報収集・分析のエキスパートであり、「ラスプーチン」の異名をとった(なお、この渾名は盟友の鈴木宗男氏による)。
現在は外交官・(プロテスタント系)神学者としての経歴・研究や以前の逮捕・起訴された経験を元に文筆家として広く活動している。
思想的な師はヨセフ・ルクル・フロマートカ。
概要
同志社大学神学部並びに同大学院神学研究科修士過程修了後、1985年に外務省に(チェコ語を学び、プラハに神学の研究・留学をしたくて)入省。
なお、プロテスタント系のカルヴァン派クリスチャンであり、主にプロテスタント神学(カール・バルト、J・L・フロマートカ、D・ボンヘッファー、及びその論敵カール・マルクスなど)を専攻・研究した外交官としては異例の経歴の持ち主。
外交官としては始めにイギリスの陸軍語学学校にて語学留学後、ソビエト・ロシア大使館に勤務。ソ連時代にはモスクワ大学に留学したほか、ソ連崩壊以後には日本外交官でありながらモスクワ大学で非常勤講師(プロテスタント神学)として教鞭をとっている(ここにおいて、旧ソ連・現ロシアの各所にわたるロシア正教系クリスチャンとのコネクションを作る)。
帰国後は外務省国際情報局分析第一課に勤務。ノンキャリア職員ではあるが、鈴木宗男を初め、政界やアカデミズムとも広く交流していたとされる。
2002年に鈴木宗男と関連する北方領土支援事業、対ロシア支援事業に絡んだ背任などの容疑で逮捕・起訴。本人は無罪を主張していたが控訴・上告とも棄却され、一審での有罪判決が確定し外務省を失職。
現在、外交官時代の情報活動などの経験から、主にインテリジェンスに関する提言や著作活動を行っている。また、自身が逮捕起訴された「国策捜査」の経緯や収監中の検察とのやり取りを記録・考察した「国家の罠」(毎日出版文化特別賞受賞)を公表している。外務省内部の腐敗・非効率な体質に対し批判的であることでも知られる。
ちなみに、学歴・キャリア主義の外務省でノンキャリアでありながらも優れた外交官として力を発揮したことも含め明晰な頭脳の持ち主のために、「異能の外交官」と呼ばれ、田中眞紀子外相(当時)からも疎まれ「日本のラスプーチン」と呼ばれることもあった。
隔週誌『SAPIO』によれば、現在漫画家・小林よしのり氏と戦争中である。
クリスチャンではあるが、日本の伝統的思想に対する親和性を示しており、尊皇家を自称したりもする。神皇正統記などに言及することも多い。
また、大東亜戦争当時に大川周明(佐藤氏によれば、大川は近代ナショナリズムの父、シュライエルマッハーの神学思想の影響下であると指摘)が発表した「米英東亜侵略史」に対する考察も手がけている。こうした言動が、左翼陣営からは「国家主義的」と非難されることもあるが、一方で佐藤自体は新自由主義に批判的なスタンスをとっており、マルクスを再評価することもある。
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