感染拡大防止特例2020(特例2020)とは、日本プロ野球(NPB)の出場選手登録に関する特例制度である。
概要
新型コロナウイルスの影響を最小限に抑えてシーズンを円滑に進行させるため、感染者や濃厚接触者などが出た場合に柔軟に選手を入れ替えられるようにする特例制度。当初は2020年シーズンに限定して適用する予定だったが、2021年シーズンにも適用される。
選手本人及びその家族が新型コロナウイルス感染や、その疑い、発熱があったり、濃厚接触者となった場合、特例(2020・2021)による登録抹消選手として公示し、代替選手を指名して登録できる。
- 特例対象選手は、体調の回復や感染がなかったことを証明する医師の所見などがあれば、規定の10日間を待たずに再登録が可能。
- 特例対象選手は抹消日から1・2軍の練習に合流する日までの期間が、フリーエージェント(FA)権取得に必要な登録日数と追加参稼報酬の計算に加算される。
- 特例対象選手の再登録によって抹消される選手は、代替選手とは限らない。
- 代替選手が抹消された場合、10日間を経ずに再登録が可能。
- 通常の選手異動で抹消されていた選手が10日間を経ていなくても、代替選手として登録できる。
- 選手数や同一選手の特例適用回数には、制限を設けない。
- 不正な申告が認められた場合は、チーム・選手に制裁を科す。
適用事例(2020年)
阪神タイガース・2020年9月25日~
| 日付 | 特例対象の抹消 | 特例対象選手の再登録 | 代替指名登録 | 代替指名選手の抹消 |
|---|---|---|---|---|
| 9/25 (公示 ) |
無し | 無し | ||
| 9/26 (公示 ) |
無し | |||
| 9/30 (公示 ) |
||||
| 10/1 (公示 ) |
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| 10/8 (公示 ) |
無し | |||
| 10/12 (公示 ) |
無し | |||
| 10/14 (公示 ) |
||||
| 10/21 (公示 ) |
無し | |||
| 10/23 (公示 ) |
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| 10/25 (公示 ) |
無し |
- 阪神タイガースは24日、浜地真澄投手が新型コロナウイルス陽性判定を受けたことを発表した(球団発表
)。浜地の行動履歴を調査した結果、19日の1軍・中日戦に出場後、名古屋市内の飲食店の個室で3選手(小川・岩崎・馬場)と計4名で外食していたことが判明した。
- 浜地の陽性判定を受けて阪神が25日に1・2軍の監督・コーチ・選手・チームスタッフ計147名にPCR検査を実施した結果、選手4名(岩貞・陽川・糸原・馬場)ならびに1軍チームスタッフ2名(A・B)が新型コロナウイルス陽性判定を受けたことを発表した(球団発表
)。これら6名の行動履歴を調査した結果、19日に岩貞・陽川・糸原・スタッフBと4選手(福留・江越・小林・木浪)の計8名が名古屋市内の店舗を貸切って会食していたことが判明した。
- 検査・調査の結果を受けて阪神は25日、1軍登録選手のうち陽性確定者4名(岩貞・陽川・糸原・馬場)、浜地との濃厚接触者2名(小川・岩崎)、ならびに球団が濃厚接触者同様に扱う4選手(福留・江越・小林・木浪)の計10選手を特例2020の対象として出場選手登録から抹消し、代替指名として9選手を出場登録した。
- 阪神は26日、追加の代替指名として尾仲投手を出場登録した。
- 阪神は30日以降、代替指名選手の変更による選手登録・抹消を実施した。この手続きによって抹消された各選手は10日間を経ずに再登録可能となる。
千葉ロッテマリーンズ・2020年10月5日~
| 日付 | 特例対象の抹消 | 特例対象選手の再登録 | 代替指名登録 | 代替指名選手の抹消 |
|---|---|---|---|---|
| 10/5 (公示 ) |
無し | 無し | 無し | |
| 10/6 (公示 ) |
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| 10/7 (公示 ) |
||||
| 10/9 (公示 ) |
無し | |||
| 10/12 (公示 ) |
無し | |||
| 10/13 (公示 ) |
無し | |||
| 10/14 (公示 ) |
||||
| 10/16 (公示 ) |
無し | |||
| 10/19 (公示 ) |
無し | |||
| 10/20 (公示 ) |
無し | |||
| 10/22 (公示 ) |
|
|||
| 10/25 (公示 ) |
||||
| 10/26 (公示 ) |
無し |
- 千葉ロッテマリーンズは4日、岩下大輝投手と1軍チームスタッフ1名の計2名が新型コロナウイルス陽性判定を受けたことを発表し(球団発表
)、翌5日に岩下をを特例2020の対象として出場選手登録から抹消した。この時点で代替指名選手の登録は実施しなかった。 - 岩下とスタッフ1名の陽性判定を受けて1軍の監督・コーチ・選手・チームスタッフ計78名PCR検査を実施した結果、新たに選手7名(荻野・角中・清田・菅野・鳥谷・藤岡・三木)と伊志嶺翔大コーチ、1軍チームスタッフ3名の計11名新型コロナウイルス陽性判定を受けたことを6日に発表した。また、岩下の濃厚接触者として選手4名(東妻・小野・和田・山本)を特定した。(球団発表
) - 以上の結果を受けて千葉ロッテは6日、選手11名を特例2020の対象として出場選手登録から抹消し、代替指名として10選手を出場登録した。加えて、5日に特例によって抹消した岩下の代替指名選手として佐々木投手を出場登録した。
- 6日~8日の1軍戦・パシフィックリーグの千葉ロッテvsオリックスバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)は開催予定を維持し、6日と7日は予定通り開催した(8日は雨天中止)。また、6日のコラボイベント「八月のシンデレラナイン presents ハチナイター」も予定通り開催した。
- 一方、2軍戦・イースタンリーグ公式戦のうち、6日~8日に開催予定だった千葉ロッテvs横浜DeNAベイスターズ戦(ロッテ浦和球場)と、9日~11日に開催予定だった読売ジャイアンツvs千葉ロッテ戦(ジャイアンツ球場)は中止された。(球団発表:6日
・7~11日
) - 千葉ロッテは7日、岡外野手が岩下の濃厚接触者として特定されたことを発表し(球団発表
)、岡を特例2020の対象として出場選手登録から抹消し、代替指名選手として三家外野手を出場登録した。 - 千葉ロッテは9日、6日に特例で抹消した選手11名に対する追加の代替指名選手として、古谷投手を出場登録した。
- 千葉ロッテは12日、7日に岡の代替指名選手として登録された三家を出場選手登録から抹消した。三家の再登録には既定の10日間を要するが、他の代替指名選手との変更に限り、10日間を経ずに再登録可能となる。
- 千葉ロッテは13日、前日に抹消された三家からの代替指名選手変更という形で、加藤を登録した。
- 千葉ロッテは14日、6日に登録された代替指名選手のうち1名を、成田からチェンに変更した。
適用事例(2021年)
東北楽天ゴールデンイーグルス:3月27日~4月1日
- 楽天は3月27日、福山博之投手について「近親者が濃厚接触者判定を受けた」ことを理由に、球団独自の判断で自宅待機とし、「特例2021」対象選手として出場登録から抹消し、代替選手として安樂投手を登録した(球団の公示まとめ
)。福山自身は発熱や体調不良等の症状は無く、既定の10日間を経ずに再登録が可能。 - 楽天は4月1日、福山を再登録した。
東京ヤクルトスワローズ:3月31日~
- ヤクルトは3月31日、関係者1名が陽性判定を受けたことに伴って30日にスクリーニング検査(監督コーチ9名、選手31名、球団スタッフ22名)を実施した結果、西田明央捕手と球団スタッフAが陽性判定を受けたことを発表した。この時点で西田とスタッフAの濃厚接触者は特定作業中だったが、濃厚接触の可能性があるとして1軍のアルバート・スアレス投手、山田哲人内野手、西浦直亨内野手、内川聖一内野手、青木宣親外野手の5選手、2軍の山野太一投手とスタッフBを自宅待機とした。(球団発表
) - 上記の判定結果を受けてヤクルトは31日、西田・スアレス・山田・西浦・内川・青木の6選手を特例2021対象選手として出場登録から抹消し、代替選手として嶋捕手、長岡内野手、武岡内野手、松本内野手の4選手を登録した(球団の公示まとめ
)。同日の1軍戦・セントラルリーグのDeNA戦(横浜スタジアム)は開催した。 - ヤクルトは31日、上述の濃厚接触者特定作業に関して、いったん自宅待機としていた6選手とスタッフ1名のうち内川・青木の2選手が濃厚接触者に特定された、と発表した(球団発表
)。残る4選手とスタッフ1名は濃厚接触者に該当しないと判定されたため、4選手は翌日からチームに合流した。 - ヤクルトは4月1日、上述の濃厚接触者特定作業に関して、新たに川端慎吾内野手が濃厚接触者に特定された、と発表した(球団発表
)。これを受けてヤクルトは1日、川端を特例2021対象選手として出場登録から抹消した。一方で特例対象で31日に抹消していた山田・西浦の2選手を再登録した。
- ヤクルトは2日、代替指名選手として歳内投手を登録した。
- 4月3・4日に開催予定だった2軍戦・イースタンリーグの千葉ロッテ戦(戸田球場)は、陽性判定の影響により東京ヤクルトのチーム編成が困難なため、開催を中止した。(スワローズ発表
・マリーンズ発表
) - ヤクルトは4日、代替指名選手の変更により歳内投手を抹消して金久保投手を登録した。歳内は特例により10日間を経ずに再登録可能。
- ヤクルトは5日、代替指名選手のうち金久保・長岡の2選手を抹消した。2選手は特例により10日間を経ずに再登録可能。
- ヤクルトは6日、前月31日に抹消していたスアレスを特例により10日間を経ずに再登録した。同日に代替指名選手として内山捕手を登録した。
- ヤクルトは8日、代替指名選手の変更により武岡内野手を抹消して奥川投手を登録した。武岡は特例により10日間を経ずに再登録可能。
- ヤクルトは9日、5日に抹消していた金久保を、特例により10日間を経ずに登録した。
- ヤクルトは18日、前月31日に抹消していた内川・青木の2選手を再登録した。
読売ジャイアンツ:4月4日~
- 読売は4月4日、前日に1軍選手、監督・コーチ、スタッフの合計101名を対象に実施したPCR検査の結果、中島宏之内野手、丸佳浩外野手の2名が陽性判定を受け、若林晃弘内野手が再検査を要する、と発表した。また、上記3選手と接触頻度が高かったとして、亀井善行外野手、増田大輝内野手、北村拓己内野手の3選手とスタッフ6名をチームから隔離した。(球団発表
) - 上記の検査結果を受けて読売は4日、中島・丸・若林・亀井・増田・北村の6選手を特例2021対象選手として出場登録から抹消した。4日午前の時点では代替選手として香月内野手、秋広内野手、立岡外野手の3選手を登録した。同日の1軍戦・セントラルリーグの東京ヤクルト戦(14:00開始、東京ドーム)は挙行した。
- 4日に開催予定だった2軍戦・イースタンリーグの東北楽天戦(ウェルファムフーズ森林どりスタジアム泉)は、陽性判定の影響により読売のチーム編成が困難なため、開催を中止した。(楽天の発表
) - 読売は4日の1軍戦の試合後、同日朝に実施したPCR検査の結果、午後1時過ぎにゼロス・ウィーラー内野手が陽性判定を受けた、と発表した。前日の検査で陰性だったウィーラーは同日ベンチ入りし「5番・レフト」でスタメン発表されていたが、試合開始直前に立岡と交代し欠場した。(球団発表
)
- 読売は5日に、隔離していた亀井・増田・北村の3選手とスタッフ6名について、濃厚接触者に該当しないと判定された、と発表した。3選手は近く再登録する予定。一方、前日に陽性判定を受けたウィーラーを特例2021対象選手として出場登録から抹消した。(球団発表
)
- 読売は6日、亀井・増田・北村の3選手を特例により10日間を経ずに再登録した。同日に代替指名選手の変更により秋広内野手を抹消して大江投手を登録した。秋広は特例により10日間を経ずに再登録可能。
- 読売は7日、代替選手として岸田捕手を登録した。
北海道日本ハムファイターズ:4月30日~
- 日本ハムは4月30日、中島卓也・西川遥輝・清水優心の3選手がPCR検査の結果、新型コロナウイルス陽性判定を受けたこと、また淺間大基が濃厚接触の可能性があることを発表した(球団発表
)。同日に4選手を特例2021対象選手として出場登録から抹消し、代替指名選手として鶴岡慎也・杉谷拳士・宇佐見真吾・平沼翔太の4選手を登録した。その上で同日の1軍・埼玉西武戦(札幌ドーム)は開催した。
- 日本ハムは5月1日、今川優馬が再検査対象になったため、同選手を特例2021対象選手として出場登録から抹消し、代替指名選手として万波中正を登録した(球団発表
)。1日の1軍・埼玉西武戦(札幌ドーム)は開催した。同日に行ったPCR検査の結果、新たにロニー・ロドリゲス・高濱祐仁・今川優馬・郡拓也の4選手、飯山裕志内野守備コーチ、チームスタッフ2名が陽性判定を受けたこと、また淺間大基が濃厚接触者に特定されたことを発表し、2日に開催予定だった1軍・埼玉西武戦(札幌ドーム)の延期(代替日程は未定)を発表した(球団発表
)。 - 日本ハムは2日、30日と1日に実施したPCR検査の結果、選手・コーチ・チームスタッフの計10人が新型コロナウイルス陽性判定を受けたため、保健所の指示を受けてチーム全体での活動を停止した。3日~5日の1軍・千葉ロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)は延期(代替日程は未定)となった。(球団発表
) - 日本ハムは4日、PCR検査の結果、荒木大輔投手コーチ、高橋信二打撃コーチ、スタッフ1名が新型コロナウイルス陽性判定を受けたこと、また渡邉諒・石川亮の2選手、スタッフ3名の計5名が濃厚接触者に特定されたことを発表し(球団発表
)、渡邉・石川の2選手を特例2021対象選手として出場登録から抹消した(球団発表
)。 - 日本ハムは6日、5日と6日に実施したPCR検査で新たな陽性者が確認されず、札幌市保健所から活動再開が認められたことを発表した(球団発表
)。7日の1軍・東北楽天戦(札幌ドーム)から試合を再開した。
関連項目
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- 0pt

