気動車とは、燃料とエンジンを積んで走る鉄道車両の内、動力分散方式のものを指す呼称である。ディーゼルカー(Diesel Car, DC)とも呼ばれている。
電化(電気を供給する架線を設置すること)が進んだ日本の都市部ではマイナーな存在だが、そこまで電化の進んでいない地方や諸外国では電車よりもむしろメジャーな存在である。
概要
架線から供給される電気によって動く車両を電車と呼ぶが、気動車は架線から電気を受けない代わりに自前の動力機関を有している車両である。
機関車との違いは、電車同様に乗客や貨物を載せる設備も併せて備えているという点。
これを電車と呼んで「電車じゃない。気動車だ」と訂正してくる人がいれば、まず鉄道オタクだと見て間違いない。
現在は主に輸送人数の少ないローカル路線などに用いられており、電車と違い電気の供給を必要としない(=架線や変電所などの設備を設置しなくても走れる)事が最大の長所である。
現代においてはディーゼルエンジンを搭載した車両がメインであるが、戦前はディーゼルカーはごく少数でありメインとなっていたのはガソリンエンジンを搭載したガソリンカーだった。しかし、戦況の悪化などで燃料を鉄道に供給出来なった事などが影響しガソリンカーは廃止された(このガソリンカー縮小の影響により坂田駅のように戦中から戦後にかけて営業を一時休止していた駅も存在する)。
ディーゼルカーがメインとなってからは客車列車に代わり日本各地に広まっていくが、幹線を始めとする電化の進行により徐々に活動範囲が縮小されていき、都市圏ではあまり見かけなくなっているが、京阪神地区や名古屋、札幌都市圏など一部の大都市圏と非電化区間を結ぶ一部の優等列車においては電車特急と同等かそれ以上の俊足を誇る特急型気動車などが投入され、頻繁に運行される電車の合間を縫って疾走する姿が少なからず見られる。
なお、現在は環境対策の為の機構が追加されているものもある他、代替エンジンの研究開発も進んでいる。最近では上記の液体式気動車の他、電気式気動車というエンジンで発電してモーターを回す(ついでに蓄電池に溜め込み、停車時にエンジンを止める事もできる)新タイプの気動車(電気で動いてるので電車?)も登場している。JR北海道・JR東日本・JR東海・JR九州に多く導入されており、JR西日本・JR四国でも導入が予定されている。なお燃費は近年の液体式気動車より燃費は悪いが電車と免許を統一メリットが大きい為にJRで導入を行っている。(電車を持たない第三セクターなどでは引き続き液体式気動車を導入している。)
かつて程の車両数はないものの、現在の気動車は電車との共通化を進めた車両や振り子機構を搭載した車両、大人の事情で昔の塗装に戻されてしまった車両、レール上だけでなく道路も走れる車両などバリエーションは豊かである。また、閑散路線向けの車両(所謂レールバスタイプ)も数多く製造されている。
ちなみに、気動車の呼称で『キハ』とは鉄道車両の種別(車両記号)の一つで、気動車(キドウシャの『キ』)の普通車(かつての三等車→二等級制時代のニ等車、イロハの『ハ』)である。ゆえに『ハ』の部分は本来形式名ではないのだが、系列番号だけでは同じ形式番号の電車と混同されてしまうことや、『キ』だけでは語呂が悪く、またグリーン車などの形式が極めて少なくほぼ全ての列車の編成で一般車両が大半を占めていることなどから、JR北海道や、JR発足後にJR四国に投入された気動車を除き公式に『キハ◯◯系』と呼ばれている。(JR北海道では○○系気動車のように呼称する)。電気式気動車の場合JR北海道は「H」(例:H100形)、JR東日本は「GV-E」(例:GV-E400系)、JR東海は「HC」(例:HC85)、JR西日本は「DEC」(例:DEC700系)、JR九州は「YC」(例:YC1系)と各社それぞれ独自に名乗り重複を防いでいる。
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関連項目
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- 苗穂工場(魔改造や魔復元に定評のある車両工場)
- 後藤総合車両所(ディーゼルカーをメインに扱う基地の一つ)
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- ディーゼルエンジン
- 末期色(まっきいろ)
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