SAKURA TABOO(サクラタブー)とは猫田ゆかり作の漫画である。週刊モーニングで連載中。
概要
第62回ちばてつや賞一般部門入選を果たした、同作者の読み切り作品『黒い紋章』から設定を引き継いだサスペンス作品。
主人公は警察官僚である桜真忍警視正。優秀だが、上司を次々と破滅に追い込んでいることから「失脚屋」の異名を取る人物である。物語は、桜真が警察内部にある腐敗や姦計と権謀術数を使って戦いつつ、事件の真相に迫っていくというもの。
タイトルの「サクラタブー」とは、不祥事など警察に不利な事柄を意味する報道の隠語「桜タブー」のこと。
あらすじ (#001より)
警視庁警務部教養課の五月玲奈巡査部長は、上司の漆原参事官の指示で成田空港を訪れていた。ロンドン研修を終え帰国し、警務部教養課長として赴任する桜真忍警視正を迎えるためだ。桜真は「失脚屋」とあだ名されており、噂によると彼は移動の先々で上司を破滅させているという。
五月が到着ロビーで待っていると、そこに現れたのは異名とは一見不釣合いなほど爽やかな青年であった。挨拶もそこそこに、二人は五月の運転する車で桜田門へと向かう。その時、対向車線で何台もの警察車両とすれ違った。何か大きな事件が起きたのは明白である。桜真がスマホでニュースを調べると、美竹警察庁長官が何者かの銃撃を受け射殺されたという。それはまるで、19年前の同じ日に発生した高松警察庁長官狙撃事件をなぞったような事件だった…。
登場人物
警視庁
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桜真忍
- 警視正。警視庁警務部教養課長を経て調査監察室長(新設)。今まで何人もの上司を破滅に追い込んだことから、失脚屋の異名を奉られている。またその異名に違わず政治的交渉能力に優れ、権謀術数を駆使し、保身に勤しむ者を手玉に取る。
- 実は正義感が強く、真面目に働く警察官が報われるような警察組織にしたいという思いがあり、またそのような者に対する敬意と思い遣りは深い。彼の悪辣な手法も、常にその様な者を守り事件を解決する為に使っている。
- 父親は交番勤務の巡査長で出世とは程遠い人物だったが、正義感が強く市民にも愛されており、忍も尊敬していた。だが彼が子供の頃、通報を受け駆けつけた現場で銃撃され殉職。死亡の直接的な原因は被疑者による銃撃ではあったが、捜査にあたって刑事部と警備部の縄張り争いがあり、救出が遅れたことも間接的な要因となった。
- かなりの辛党。七味唐辛子を携帯し、カップ麺も辛いものを食し、パスタ料理にはタバスコをドバドバかける。
- 五月玲奈
警察庁
用語解説
実際の事件との比較
劇中で発生する事件は架空のものだが、参考にしたと思われる実在した事件がある。尚、以下の括弧内は本作品中で該当する事件。
- 国松警察庁長官狙撃事件 (高松警察庁長官狙撃事件 - 1~2巻)
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北海道警察裏金問題 (田中洋一さん自殺事件 - 読み切り『黒い紋章』)
- 北海道警察が長期に渡り、組織的に裏金を作っていた事件。後に、同様の行為が全国で行われていた事が発覚した。道警の裏金が発覚したきっかけは、生活安全部の稲葉圭昭警部(当時)が覚せい剤取締法違反と銃刀法違反で逮捕されたことである。捜査の過程で稲葉警部が捜査対象である暴力団と癒着し、常習的にやらせ捜査を実施、検挙実績を偽っていたことが分かった。また道警が長年に渡って裏金を作っていたことも発覚。道警は早々に幕引きを図ったものの、元釧路方面本部長の原田宏二氏らによる内部告発もあり、とかげの尻尾切りを目論んでいると世論や報道の指弾を受けた。
- この問題を特に追及をしたのが、北海道新聞とテレビ朝日の「ザ・スクープ」である。だが両社共に、この作品のタイトルでもある桜タブーに触れてしまったために、以後の取材で不都合があったといわれている。
- 事件発覚のきっかけとなった稲葉元警部、内部告発をした原田氏らは健在であるが、捜査初期に稲葉元警部の上司であった警視が自殺をしている。
- また事件発覚は様々な影響を与えており、小説家の佐々木譲はこの出来事をモデルに「笑う警官」を執筆。以後、道警シリーズと呼ばれる作品群を発表している。
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愛知県長久手町立てこもり事件 (桜真巡査長射殺事件)
- 2007年5月17日、元妻を人質に取り銃を持った元暴力団員の男が、愛知県長久手町の自宅に立て篭もった事件。「父親が銃を振り回している」との子供からの110番通報を受け。長久手交番の巡査部長が男の自宅へ向かった。すると男は巡査部長を銃撃し重傷を負わせ、巡査部長は重態になりその場で動けなくなる。さらに男は、巡査部長を介抱しようとする子供も銃撃したが、これは命中しなかった。
- 事件の通報を受け、愛知県警は刑事部の捜査員と警備部の特殊部隊を現場に派遣、刑事部長が陣頭指揮を取った。だがすでに銃撃され負傷者が出ているにもかかわらず、刑事部長は突入及び巡査部長の早期救出を命令しなかった。事件発生から5時間経って救出が実行されたが、男はそれに気づいて警官隊に向かって銃撃。そのうちの一発が特殊部隊の巡査長に命中し、銃弾は防弾ベストの隙間から射入、巡査長は殉職した。銃撃を受けた巡査部長は重態ではあったが一命を取りとめた。
- 事件そのものは、警察の説得に応じた男が投降したため被疑者逮捕で幕を閉じた。この投降の際、交渉担当の警察官は定石どおり丁寧に対応したのだが、「投降してくれてありがとう」という言葉を発したことに対し一部から批難が出た。「仲間が撃たれとんのに、何がありがとうじゃボケェ!」とか、「一人で出てきたんならぶっ殺せ」とか。いや、ああいう態度を取るのは交渉の定石だし、投降して来た者を殺すのは警察の仕事じゃないですから。
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関連項目
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