コルト・ガバメント(Colt Government)とは
自動装填式(オートマチック)拳銃の一種である。
ゲーム等においては単純に「M1911」と表記される場合もある。
全長:216mm 重量:1,130g 装弾数:7+1発
銃身長:127mm 使用弾薬:.45ACP弾(45口径)
ジョン・ブローニングの設計に基づき、コルト社によって米軍向けに開発された拳銃「M1911」をその基本形とする。M1911と改良モデルのM1911A1は、1985年にベレッタM92に更新されるまで70年以上制式サイドアームの地位にあった。
ガンマニアは大体ガバメントが「大好きな人」と「好きだけど素直に好きと言えない人」に分別できる。
歴史の長い銃で、第一次世界大戦、第二次世界大戦、ベトナム戦争…他
さらには後継の拳銃が登場した後も、諸事情から軍用として使用されている部分もある。
歴史の長さから、古い戦争映画においても顔を出していることも珍しくない。
軍用拳銃のM1911シリーズを市販する際、「政府使用モデル」(ガヴァメント・モデル)として販売したのが「ガバメント」の由来。その他、ガヴァメントモデルの略で「GM」、「45オート」などとも呼ばれる。軍制式名から「1911」と呼ばれることも多い。
実銃を所持できない日本でもトイガン(遊戯銃)などで人気が高く、マニアからは「ガバ」の愛称で呼ばれる。
ブローニング式のショートリコイル機構を完成させたエポックメーキングな銃であり、ほとんど一世紀前の基本設計にもかかわらず現在でも最前線で通用している。
アメリカの対フィリピン原住民戦争の戦訓から、大口径の45口径(0.45インチ、約11.4ミリ)オートマチック・コルト・ピストル弾を使用する銃器として設計されている。強力な拳銃弾薬を使用するためのブローニング式ショートリコイル(撃発時、一時的にスライドと銃身をロックする)機構を持つ。この機構は現代オートマチック拳銃の基本構造であり、SIG、グロック、S&W、Cz、最近ではへそ曲がり独自技術に定評のあるHKでさえも使用している。
撃発機構はシングルアクションのハンマー式。トリガーを引くことによってハンマーを起こせるダブルアクションと違い、最初の一発目は事前にハンマーを起こしておかないとトリガーを引いても発射できない。
安全装置は撃鉄が起きた状態で固定する(コックアンドロック)機構になっているほか、銃をしっかり握っていないと発射できない機構(グリップセフティ)が組み込まれている。近代的なモデルでは撃針をロックするセフティが組み込まれていることもある。
現代のセミオートピストルでは当たり前のデコッキング(ハンマー戻し)機構はない。安全にハンマーを戻すには、弾倉と薬室の弾を抜いた上で空撃ちする。弾を込めたままハンマーを指で押さえ、トリガーを引いてゆっくりとハンマーを戻す方法もあるが、しばしば暴発事故を引き起こす。空撃ちにしても、撃針を傷めるため好ましくはないが、これ以上の方法がない。
地味な点だが、交換時に空マガジンの固定を解除するためのマガジンリリースボタンがトリガーガード根元部(親指の付け根部分)にあるため、片手で操作可能。…なので迅速なマガジン交換の点ではマガジン底面を固定するヨーロッパタイプよりも有利であった(初期には固定が確実ではなく、気が付いたら抜け落ちていた例もあったとか)。
最近はヨーロッパでもこちらのボタン配置が主流であり、結果的に現在製造されている自動拳銃においてはほとんどが操作・弾倉交換しやすい同様の位置になっているため隙の無い迅速な弾倉交換(マグチェンジ)に一役買っている。
20世紀を代表する傑作銃器のひとつであり、アメリカ人にとってもっとも馴染み深い拳銃であることは確定的に明らか。むしろガバメントが存在したためにアメリカとヨーロッパに異なる銃文化が根付いたのである。
シングルアクションはトリガーを軽く出来るため、銃の操作に慣れた人間にはコックアンドロックのシングルアクションを好む傾向がある。
競技用としてはトリガーの軽さは非常に重要だが、銃の操作に慣れたつもりの人間が暴発事故を起こすことにもつながった。あるいは、長時間ハンマーを起こしたままにされ、バネがへたれて不発をおこした。
そういった操作からくる安全性の問題から、アメリカの州警察では制式化されることはなかった。全米各州の警察の制式拳銃は全て、単純な操作に速射性と安全性を兼ね備えたダブルアクションのセミオートである。また、ほとんどで9mmあるいは40口径が採用されている。
後継のM92(装弾数15発)と比較すると、M1911は装弾数が7+1発と不利なため
弾倉の延長や複列弾倉(ダブルカラム)化させ装填数を増加させたモデルもある。
7+1発の弾倉では装填可能数は少ないデメリットはあるものの
単列弾倉(シングルカラム)で信頼性が高く、グリップが細いため手の小さい人でも握りやすい。
米軍では、数の上では主力制式拳銃の座を降りたものの、大口径の制圧力と信頼性を評価してM1911系を使い続ける部隊も少なくない(決して海兵隊が貧乏でけちだからではない)。ガバメント自体改造が容易な構造をしているため、カスタムパーツやカスタムモデルも多く、現在でもFBIや海兵隊MEUSOCなどではそうしたカスタムを使用している。
弾薬として使用されている45ACP弾は亜音速弾で音速を越えないため、別途に減装弾を用意・使用せずともサプレッサー(消音機)が効果を発揮できるといったメリットはある。もちろん銃口先端にサプレッサー装着用の延長部分などが必要である。(→サプレッサー)
射撃競技用のカスタムモデルや使用する弾の異なるモデルなど、ガバメント系の製品はそれこそ無数に存在するが、基本設計パテントが切れた現在は、各社が競ってガバメントのクローンやコピーを生産している。ただし当のコルト社は深刻な経営不振に陥り、生産を終了している。同社のMk4シリーズ80やM1991A1の頃から品質低下が囁かれていただけに、特に惜しむ声もなかったが。
かつては日本でも警察や自衛隊でガバメントを使用していた時期があった。
…が、こちらは米軍の影響(お下がり)的な性格が強く、現場では日本人の手には大きすぎて不評だった。特に自衛隊においては独特の作法というか教本での構えが片手という、45ACP弾を扱うには不向きな姿勢のせいで余計に不評だった模様。
その後、日本警察はニューナンブM60を採用し、自衛隊は9mm拳銃(SIG P220)を採用している。
2012年時点で大体、40代後半辺りから上の世代が該当するが、ヤクザや刑事やらが沢山でてくる映画やドラマに慣れた世代は「コルト」といえばコルトM1903(通称「日活コルト」)を思い浮かべるそうだが、ノリや勢いでトイガンを買いに来るお父さん世代は、大抵は銃器には詳しくないため似ているコルトガバメントを買っていく事がある。てか目の前で買ってった(その上、店員さん曰く「大体同じパターン」だそうな)。
ニコ百に記事があるもの。より網羅的なものはwikiと略すと怒りを買う某ネット百科事典の当該項目を参照。
基本構造が優秀で、少し改良を加えられることがあっても長年使われ続けているのは
この拳銃とブローニングM2重機関銃くらい。(戦車・装甲車等に据え付けているあのでかい機関銃)
優れた構造であったことから、ソビエトロシアのトカレフ拳銃(TT-33)も
これを参考にして作られたため若干形状が似ている。安全装置はないが。
そちらは トカレフ拳銃 の項目参照。
自衛隊においてはM1911の後継はベレッタM92ではなく
スイスSIG社製のP220を採用している。(採用名は9mm拳銃)
ただし装填数が少ない、マグチェンジが片手でできないといった欠点がある。
自衛隊がP220を採用したのが1982年。
米軍がベレッタM92を採用したのが1985年、本格的に運用開始したのは1990年のため
採用時期がズレれば自衛隊もベレッタM92が採用されていた可能性も…なくはないかもしれない。
掲示板
172 ななしのよっしん
2023/11/27(月) 19:46:51 ID: tYCNHQdxtU
今は9mmが主流になってるがやっぱり45ACPでコイツって根強い人気があるみたいだな
173 ななしのよっしん
2024/02/28(水) 16:09:45 ID: BmUjbmIoFg
フィクションでも古色蒼然とした、いぶし銀な感じのキャラクターが愛用している印象。重厚な.45口径というパブリック・イメージと、実際に堅牢で手堅い設計が噛み合って、銃としてはある意味王道な、しかし独自路線での人気を博していると思う。
174 ななしのよっしん
2024/03/21(木) 05:01:05 ID: w16J+cVafM
映画ドリームキャッチャーでは「ジョン・ウェインの銃だ!(ニッケルメッキの1911A1を見せながら)」
映画GIジョー2では「パットン将軍の銃ですよね?(パールグリップ付き1911A1を「それは俺のだ」と取り上げられて)」
………………そうはならんやろ
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最終更新:2024/05/13(月) 16:00
最終更新:2024/05/13(月) 16:00
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