スマートストライク

スマートストライク(Smart Strike)は、1992年生まれのカナダの元競走馬・元種牡馬。

超一流になりきれない競走生活を送ったが、種牡馬としては超良血に恥じない大活躍を挙げた。

概要

父Mr. Prospector、母Classy 'n Smart、母父Smartenという血統。

父ミスタープロスペクターは説明不要の大種牡馬で、母クラッシーンスマートもカナディアンオークスを勝った活躍馬。
姉には本馬が生まれる前年に牡馬相手のカナダ三冠を勝ちBCディスタフも勝つなどの活躍を挙げた超名牝ダンススマートリーがいる上、母のきょうだいはエクリプス賞最優秀芝牡馬スカイクラシックを筆頭にデビューした6頭全てがステークスウィナーとなっているという、超良血もいいところの血統である。

カナダ・オンタリオ州の名門サムソンファームの生産所有馬として、同牧場の専属であったマーク・フロスタッド厩舎に預けられた。

競走馬として

デビューからいきなりアメリカに遠征し、3歳4月にキーンランド競馬場でデビュー。ここは2着だったが2戦目で勝ち上がり、地元カナダに戻って出走したウッドバイン競馬場での一般競走は1馬身1/4差・6馬身半差で連勝した。しかしこの後に故障を発生したため、夏に行われるカナダ三冠は全て棒に振ってしまった。

休養は1年以上に及んだが、4歳7月にウッドバイン競馬場で迎えた復帰戦を5馬身1/4差で圧勝すると、アメリカ・モンマスパーク競馬場に遠征してサルヴェイターマイルハンデキャップ(GIII)も2馬身1/4差で逃げ切って重賞制覇。翌月のフィリップ・H.アイズリンハンデキャップ(GI・8.5ハロン)も2馬身1/4差で勝利し、初勝利から長期休養を挟みつつも6連勝でGI制覇を挙げた。

しかし、続けて出走したウッドワードS(GI・9ハロン)で時の最強馬シガーにあっさり一蹴され4着に敗れると、この年はウッドバイン競馬場で行われる予定だったBCクラシックへ向けた調教中にまたも故障を発生。そのまま現役を引退した。

通算成績は8戦6勝。唯一勝ったGIのフィリップ・H.アイズリンハンデキャップは本馬が勝った翌年にGIIに降格した(2003年には更にGIIIにまで降格している)レースであり、一流ではあれど超一流には手が届かなさそうな戦績であった。
一応、デビュー3戦目で破った馬に後のGI3勝馬ラングフール(アポロケンタッキーの父)がいたり、フィリップ・H.アイズリンハンデキャップではGI11勝のセレナズソングを倒していたりはするのだが……。

種牡馬として

エーピーインディなどを繋養するケンタッキー州・レーンズエンドファームで種牡馬入りしたスマートストライクは、初年度産駒からジャパンカップダートを勝った*フリートストリートダンサーを出すなど、着実に種牡馬としての実績を積み上げていった。

そして2007年、3歳馬カーリンがプリークネスSを制するなど活躍すると、引退を1年先延ばしにしていた5歳馬イングリッシュチャンネルも芝路線で活躍。年末のブリーダーズカップでは前者がクラシックを4馬身半差、後者がターフを7馬身差で完勝し、種牡馬として史上初めてクラシック・ターフを同一年にダブル制覇するという大記録を打ち立てた。これらの活躍により、この年の種牡馬ランキングでは年間最多獲得賞金記録を約360万ドル塗り替えてリーディングサイアーとなり、エーピーインディと並ぶレーンズエンドファームの二枚看板の地位を確立。翌年もカーリンがドバイワールドカップを7馬身3/4差で圧勝するなどしたことで再びリーディングサイアーとなった。この2008年にはカナダ競馬の殿堂入りも果たしている。

スマートストライク産駒の特徴は、とにもかくにも高い万能性と勝ち上がり率であった。ダートでも芝でもオールウェザーでも対応でき、短距離から中距離まで活躍馬を出したし、いわゆる「くずを出さない」タイプで、勝ち上がり率は約75%に達した。しかもカーリンのような超大物もたまに出るとあっては、生産者からしたら相当ありがたがられる存在であったことは想像に難くない。

近年では母父としてもケンタッキーダービー馬マインザットバード・GI3勝馬デュラハンの兄弟やシェアードアカウント(BCフィリー&メアターフ)、ストロングリターン(安田記念)といった活躍馬を出しているほか、カーリンが種牡馬入りしてパレスマリス(ベルモントS)やヴィーノロッソ(BCクラシック)を出すなど、既に子孫の発展はかなり目立ちつつある。

2015年3月、蹄葉炎のため23歳で安楽死措置が執られた。その時点で産駒の獲得賞金は1億1800万ドルを超え、ステークスウィナーも113頭に上っていた。

血統表

Mr. Prospector 1970 鹿毛	Raise a Native 1961 栗毛	Native Dancer	Polynesian
			Geisha
		Raise You	Case Ace
			Lady Glory
	Gold Digger 1962 鹿毛	Nashua	Nasrullah
			Segula
		Sequence	Count Fleet
			Miss Dogwood
Classy 'n Smart 1981 鹿毛 FNo.23-b	Smarten 1976 黒鹿毛	Cyane	Turn-to
			Your Game
		Smartaire	Quibu
			Art Teacher
	No Class 1974 鹿毛	Nodouble	Noholme
			Abla-Jay
		Classy Quillo	Outing Class
			Quillopoly
競走馬の4代血統表

クロス：Nasrullah 4×5(9.38%)

• 半姉ウィスパードシークレットの孫に全日本2歳優駿を勝った南関東二冠馬ハッピースプリントがいる。また、同じく半姉のシアトルクラシックの孫には外国産馬として走ってダートグレード競走7勝を挙げたラヴェリータがいる。
• 母父スマーテンは現役時代重賞4勝。ヘイルトゥリーズンもサーゲイロードも経由しないターントゥ系という現代から見ると割と珍しい父系を持つ。

主な産駒

1998年産

• Fleetstreet Dancer (騙 母 Street Ballet 母父 Nijinsky)
  • 2003年ジャパンカップダート(GI)

1999年産

• Soaring Free (騙 母 Dancing with Wings 母父 Danzig)
  • 2004年アットマイル(加GI)
  • 2003年ソヴリン賞最優秀短距離馬、2004年ソヴリン賞年度代表馬・最優秀芝牡馬

2001年産

• Shadow Cast (牝 母 Daily Special 母父 Dayjur)
  • 2005年パーソナルエンスンS(米GI)

2002年産

• English Channel (牡 母 Belva 母父 Theatrical)
  • 2006年ターフクラシックS(米GI)、2006・07年ユナイテッドネイションズS(米GI)、2006・07年ターフクラシック招待S(米GI)、2007年ブリーダーズカップ・ターフ(米GI)
  • 2007年エクリプス賞最優秀芝牡馬

2003年産

• Fabulous Strike (騙 母 Fabulous Find 母父 Lost Code)
  • 2007年ヴォスバーグS(米GI)

2004年産

• Curlin (牡 母 Sheriff's Deputy 母父 Deputy Minister)
  • 2007年プリークネスS(米GI)、2007・08年ジョッキークラブゴールドカップ(米GI)、2007年ブリーダーズカップ・クラシック(米GI)、2008年ドバイワールドカップ(ドバイGI)、2008年スティーブン・フォスターH(米GI)、2008年ウッドワードS(米GI)
  • 2007・08年エクリプス賞年度代表馬、2007年エクリプス賞最優秀3歳牡馬、2008年エクリプス賞最優秀古馬牡馬

2005年産

• Furthest Land (騙 母 Flagrant 母父 Rahy)
  • 2009年ブリーダーズカップ・ダートマイル(米GI)
• Never Retreat (牝 母 Lisieux 母父 Steady Growth)
  • 2011年ファーストレディS(米GI)

2006年産

• Square Eddie (牡 母 Forty Gran 母父 El Gran Senor)
  • 2008年ブリーダーズフューチュリティ(米GI)
• ブレイクランアウト (牡 母 *キュー 母父 *フレンチデピュティ)
  • 2009年共同通信杯(GIII)

2007年産

• Lookin at Lucky (牡 母 Private Feeling 母父 Belong to Me)
  • 2009年デルマーフューチュリティ(米GI)、2009年ノーフォークS(米GI)、2009年キャッシュコールフューチュリティ(米GI)、2010年プリークネスS(米GI)、2010年ハスケル招待S(米GI)
  • 2009年エクリプス賞最優秀2歳牡馬、2010年エクリプス賞最優秀3歳牡馬

2008年産

• Swagger Jack (牡 母 Lyrical Prayer 母父 The Minstrel)
  • 2013年カーターH(米GI)

2009年産

• Centre Court (牝 母 Let 母父 A.P. Indy)
  • 2013年ジェニー・ワイリーS(米GI)
• My Miss Aurelia (牝 母 My Miss Storm Cat 母父 Sea of Secrets)
  • 2011年フリゼットS(米GI)、2011年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(米GI)、2012年コティリオンS(米GI)
  • 2011年エクリプス賞最優秀2歳牝馬

2011年産

• Crown Queen (牝 母 Delta Princess 母父 A.P. Indy)
  • 2014年クイーンエリザベスII世チャレンジカップS(米GI)
• Minorette (牝 母 Silk and Scarlet 母父 Sadler's Wells)
  • 2014年ベルモントオークス招待S(米GI)
  • エイシンアポロン(マイルCS)の半妹
• Streaming (牝 母 Teeming 母父 Storm Cat)
  • 2013年ハリウッドスターレットS(米GI)
• アムールブリエ (牝 母 ヘヴンリーロマンス 母父 *サンデーサイレンス)
  • 2015・16年エンプレス杯(JpnII)、2015・16年名古屋グランプリ(JpnII)、2015・16年ブリーダーズゴールドカップ(JpnIII)

2013年産

• Tom's d'Etat (牡 母 Julia Tuttle 母父 Giant's Causeway)
  • 2019年クラークS(米GI)

2014年産

• Battle of Midway (牡 母 Rigoletta 母父 Concerto)
  • 2017年ブリーダーズカップ・ダートマイル(米GI)

2015年産

• Cascanueces (牝 母 *アルムデナ 母父 Silver Planet)
  • 2017年クラシコ・ポージャ・デ・ポトランカス(ペルーGI)、2017年クラシコ・エンリケ・アユロ・パルド(ペルーGI)

関連動画

本馬自身の動画はないので、日本でも有名な産駒のレースを紹介。

日本でも重賞馬が出てます。

関連コミュニティ

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧