サザンヘイロー(Southern Halo)とは、1983年生まれのアメリカ生まれの元競走馬・元種牡馬である。
人呼んでアルゼンチンのサドラーズウェルズ(クールモア総帥ジョン・マグナー氏談)、日本では父が同じで侵食度合いもそっくりなことから南半球のサンデーサイレンスと呼ばれる偉大な種牡馬。
父はヘイルトゥリーズン系の大発展をRobertoと共に支えた二本柱・Halo、母Northern Sea、母父Northern Dancerという血統。
母方は遡ると11代前で英三冠馬Ormondeの母Lily Agnesの全妹Lizzie Agnesに行き当たり、サザンヘイローの半妹の産駒にはGI3勝の騸馬General Challenge、孫に日本に輸入されたケイアイレオーネらがいる。
Northern Seaの母Sea Sagaの孫にはエーシンクールディ・スマイルカナ親娘やエイシンヒカリが有名な*キャタリナが、Sea Sagaの三代母からはMr. Prospector初期の傑作種牡馬Miswakiが輩出されるなど、*サンデーサイレンスさん以外なにもないWishing Wellの牝系とは比べ物にならない活発さ加減を誇る優秀なファミリーである。
Northern Dancerを生産したE.P.テイラー氏の所有するウィンドフィールズ牧場のメリーランド支場で生まれた後、最終的に欧州の名物馬主で日本とも関わりがあったニアルコス氏に購買されアイルランドでデビュー。
……したのだが無残に2連敗、欧州じゃ無理なのかということでアメリカに送還され、名門ルーカス厩舎に移る。
しかしなかなか勝ち上がれず、4戦目(合計6戦目)のダート9ハロン(だいたい1800m)の未勝利を圧勝し勝ち上がる。
その後はステークス競走で3敗、一般競走でも僅差の2着とイマイチ感たっぷりであったが、3歳6月の一般競走で4馬身差快勝すると一皮剥けたのか続く一般競走も勝ち3勝目を挙げる。充実し始めた頃であった。
その次に選んだハンデGIIでは当時同世代最強と目されたプリークネスステークス馬Snow Chiefが出走してきたが、なんと彼に4馬身半差付けて先着することに成功する。
……その6馬身半前にMelairという牝馬がいたが。
それはともかくこれに自信をつけた陣営はGIスワップスステークスに彼を出走させる。
Snow Chiefは前走後2歳からびっちり走っていた(17戦)ツケか長期休養に入り出走せずチャンスだったのだが、ここで頭差の2着と敗れ、ビッグタイトル獲得を逃した。
その後は結局重賞級やステークス競走には縁がなく、再度のGIチャンスとなった秋のスーパーダービーではハスケル招待・トラヴァーズステークスを連勝したWise Timesが出走してきて負けたりとろくな目に合わず、一般競走の勝鞍を2つ追加しただけで、4歳の5月下旬を最後に出走せず引退した。通算成績は24戦5勝。
GI2着こそ2回あるが勝鞍はすべて一般競走と、平々凡々もいいところであった。
普通この成績だと種牡馬オファーはあまりないのだが、母系が抜群に良かったのとGI2着2回、そして引退した頃のヘイロー系の好調ぶりのためアルゼンチンからオファーがあり、ニアルコス氏もそれを受諾しアルゼンチンへ渡ることとなった。
その後は日本における*サンデーサイレンス並のスピードでアルゼンチンを席巻。94/95シーズンから01/02シーズンまで8シーズン連続、03/04、07/08の2回と合わせて10度のリーディングサイアーに輝いた。
リーディングBMSでは04/05から18/19までずっと1位と一人勝ち状態であり、もはや良い繁殖牝馬=サザンヘイロー産駒まであるレベルになっている。
産駒の傾向としてはスピードに長け、芝ダート問わない活躍をするのが特徴。サザンヘイロー自身は芝で惨敗続きであったが産駒は全く気にせず走っていた。
一方で距離にやや限界があり、牡馬クラシック競走ではナシオナル大賞(ダート2500m)1勝のみで最大級の国際競走である「南米の凱旋門賞」ことカルロス・ペレグリーニ大賞の勝ち馬も輩出出来ていない。
しかしその代わりアルゼンチンには多い1000mくらいのGIの勝ち馬は非常に多く、概ねスプリント~マイル、長くて2000m、一部の変わり者だけがチャンピオンディスタンスで走るという塩梅。
このへんは2000mあたりにスイートスポットのあったサンデーやSadler's Wellsとは違うタイプと言えよう。
クラシックとは縁遠いタイプであったがステークスウィナーは200頭近くに及び、チャンピオン級も二桁に乗るほど輩出し、アルゼンチンでは英三冠馬Rock Sandの流れを引く1930年代伝説の大種牡馬Congreveを凌ぐ史上最強の種牡馬と讃えられ名声をほしいままにしている。
アルゼンチンでの大成功を見たクールモアグループは彼をシャトル種牡馬として度々ふるさとの北米に招いたが、南米ほどの大成功とは行かず散発的にGI馬を出すにとどまり帰還オファーも届かず、クールモアも招聘を打ち切った。
日本にも*サンデーサイレンス没後の2003年にシャトル種牡馬として今は亡き静内スタリオンステーションで1年間供用されたが、晩年だった上に当時の日本は溢れかえり始めた*サンデーサイレンス牝馬の上手い活用を模索し始める時期であったため、Halo産駒の彼に多数の良質牝馬が集まるわけがなく結果も良いものとはならなかった。*グッバイヘイローだってつける種牡馬に難儀したんだからそらそうよ。
北米シャトル時代の産駒であるタイキバカラが輸入されたが、気性がアレすぎた結果、種牡馬入りこそしたが人気は全然ないまま2015年にひっそりと用途変更となった。*サンデーサイレンス王国に殴り込むには不利だし数が足らんかった。
アルゼンチンで伝説を作り上げた彼だが、国内では後継種牡馬にはあまり恵まれていない。Sebi Haloが気を吐いているが…
というようなメンツに押し込まれ大苦戦している。
*サンデーサイレンスにおけるディープインパクト、Sadler's WellsにおけるGalileoのような活躍を見せる後継種牡馬はアルゼンチンではついぞ生まれることはなかった。
生産規模とBMSリーディングの独占具合からして、アルゼンチンはサザンヘイロー後継種牡馬には不利な環境となってしまったのだろう。ちょっとした血の閉塞に子孫は入り込んでしまったのかも知れない。
なんならサンデーがいるのでなるべく避けてるであろう日本輸入の繁殖牝馬にも母母父で入ってるサトノダイヤモンドの母マルペンサがいたりするので
向こうではサザンヘイローフリーの名牝を探すのは大変だろう。
しかし、セントサイモンの悲劇はあくまでイギリス国内の話で、広い視野で見ればセントサイモン系はイギリス国外に向かった種牡馬が発展させ、1960年代まで世界の中枢にいる大勢力であったように、彼にも期待できる後継種牡馬はいる。
北米シャトル時代に出たMore Than Readyである。スプリントGIを勝ちケンタッキーダービー戦線でもしぶとく走り抜いた彼はアメリカで種牡馬入りするとシャトル先のオーストラリアで大活躍。
その後はアメリカでもBCマイルを勝った牝馬のやべーやつUniやBCスプリントを連覇したRoy H、欧州遠征を敢行したVerrazano、芝ダート問わず活躍したCatholic Boyらを輩出。
サザンヘイローの悲願?でもある北米再上陸・再侵攻を果たすに至った。衰退したDevil's Bagの流れやSaint Liamの夭折で非常に苦しいSaint Balladの流れを差し置いて北米Haloの主流に成り代わる勢いである。
オーストラリアでも一番格の高い2歳GIゴールデンスリッパーステークスを勝ったSebringが年度代表馬Dissidentや香港に度々遠征して日本でも多少名が知れたCriterionを輩出するなどMore Than Readyの血統は大活躍している。
アルゼンチンのサドラーズウェルズ、*サンデーサイレンスと讃えられたサザンヘイローの血はHalo系の中心として、YoshidaやSaxon Warrior、アグネスゴールド、ハットトリックらが世界進出を開始しているサンデーサイレンス系とともにしばらくの間世界で残っていきそうである。
サザンヘイローは2009年の種付けをもって引退したが、その直後に老衰の合併症で急死した。24歳であった。
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason 1958 黒鹿毛 |
Turn-to | Royal Charger |
Source Sucree | |||
Nothirdchance | Blue Swords | ||
Galla Colors | |||
Cosmah 1953 鹿毛 |
Cosmic Bomb | Pharamond | |
Banish Fear | |||
Almahmoud | Mahmoud | ||
Arbitrator | |||
Northern Sea 1974 鹿毛 FNo.16-g |
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic | Nearco |
Lady Angela | |||
Natalma | Native Dancer | ||
Almahmoud | |||
Sea Saga 1968 栗毛 |
Sea-Bird | Dan Cupid | |
Sicalade | |||
Shama | Bold Ruler | ||
Lea Lark | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Almahmoud 3×4(18.75%)、Nearco 5×4(9.38%)、Native Dancer 4×5(9.38%)、Blue Larkspur 5×5(6.25%)
産駒の勝ちレースがないのが悲しいところ、タイキバカラのバカ逃げ轟沈をご覧ください
オマケで母父サザンヘイローの牝馬*ウォッチハー(日本輸入)のレース
掲示板
3 ななしのよっしん
2022/04/09(土) 19:59:19 ID: m4LthkdcUs
さぁ日本に帰ってきたサザンヘイローの孫ジャングロがマイルG2を制覇
モアザンレディはマジで凄いな サンデー系列がスプリントクソ苦手だからこの系統日本短距離界に普通に根付きそう
4 ななしのよっしん
2022/08/27(土) 15:54:31 ID: VGQkEI5OGb
モアザンレディも亡くなってしまいましたね
これから直仔であるジャングロにかかる期待も大きくなるでしょう
5 ななしのよっしん
2023/07/08(土) 04:36:42 ID: m4LthkdcUs
そこら編はモアザンレディ産駒のカトリックボーイとかに期待しよう
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/02(月) 08:00
最終更新:2024/12/02(月) 08:00
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