フィールドルージュ(Field Rouge)とは、2002年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2007年:名古屋グランプリ(JpnⅡ)
2008年:川崎記念(JpnⅠ)
父*クロコルージュ、母メジロレーマー、母父*リンドシェーバーという血統。
父は1999年のイスパーン賞でエルコンドルパサーに勝利し、モンジューvsエルコンドルパサーの凱旋門賞でも3着に入ったアイルランド産のフランス調教馬。フランスで種牡馬入り後、2001年から日本に輸入されたが、産駒はあまり結果を出せず、2005年のシーズン後にアイルランドに輸出されてしまった。フィールドルージュは輸入初年度の産駒。
母は未出走で繁殖入り。フィールドルージュは第3仔。
母父は1990年の朝日杯3歳Sでマルゼンスキーのレコードを更新したことで知られるアメリカ産馬。母父としての産駒には他にオースミハルカやサルサディオーネがいる。
彼の血統で最も特筆すべきは、2代母メジロリベーラだろう。その血統は、父シンボリルドルフ、母メジロラモーヌ。そう、日本競馬史上初の三冠馬×三冠牝馬の配合、「十冠ベビー」と呼ばれた馬である。結局自身は1戦0勝に終わってしまったが、その配合の価値を証明したのがフィールドルージュであった。
2002年4月27日、三石町の中田英樹牧場で誕生。2003年の北海道セレクションセールに出品され、「フィールド」冠名を用いた地田勝三オーナーに750万円(税抜)で落札された。
栗東・西園正都厩舎に入厩したフィールドルージュは、2004年9月12日、札幌・芝1800mの新馬戦にて酒井学を鞍上にデビューし5頭立ての3着。しかし続く10月の京都・芝1800mの未勝利戦は11着に沈み、その後半年の休養に入ることになって2歳は終了。
明けて3歳となり、4月に京都・ダート1800mの未勝利戦で松永幹夫を鞍上に復帰し5着。以降松永を主戦とし、続く5月の未勝利戦を快勝して勝ち抜けると、6月の函館・ダート1700mの500万下も4馬身差で逃げ切り圧勝。しかし7月の竜飛崎特別(1000万下)を4着に敗れたあと、また半年の休養に入ることになってしまった。
4歳となり、1月の京都・ダート1800mの平場1000万下で復帰すると、2着、2着ときて3戦目の阪神・ダート1800mの平場1000万下にて、後の重賞馬ビッググラスを3馬身半差で蹴散らして3勝目。調教師試験に合格し引退が決まっていた松永幹夫はこれが現役最終騎乗で、名手にラストライドで通算1400勝目をプレゼントした。
相棒がステッキを置いたため、続く韓国馬事会杯(1600万下)では柴田善臣を新たに迎えたが、後方から上がり最速で外からブッ差して快勝、オープンに昇格する。
勢いに乗ってアンタレスステークス(GⅢ)で重賞初挑戦も、最後方から上がり最速で追い込んだが4着まで。6月に降級となったが、そのまま格上挑戦で函館の大沼ステークス(OP)に柴山雄一を迎えて挑むと、3馬身差で圧勝。オープンに復帰し、陣営はジャパンカップダートを大目標に定めた。
というわけで収得賞金を稼ぎにまずはマリーンステークス(OP)へ向かったが、先に抜け出したトーセンブライトに3馬身ちぎられて2着。一休みを入れて10月の武蔵野ステークス(GⅢ)に吉田豊を迎えて挑んだが、道中やや追走に苦労しつつもいい脚を使って追い込んだが3着。賞金を加算できずに終わる。
それでもどうにかジャパンカップダート(GⅠ)に出走は叶い、引き続き吉田豊と臨んだフィールドルージュは15.4倍の8番人気に留まったものの、後方から外を追い込んで3着。GⅠでも通用する実力を示した。
ところが、年末の2006ファイナルステークス(OP)からはクリストフ・ルメールを迎えたものの、ここを断然の1番人気で僅差の4着に取りこぼすと、明けて5歳初戦の平安ステークス(GⅢ)は後方から6着まで。フェブラリーステークス(GⅠ)も後方から5着に終わり、交流重賞に出るにも賞金が足りないので一旦お休み。手が合わなかったルメールも降板となった。
4ヶ月休み、大沼ステークス(OP)で復帰。鞍上には新たに横山典弘を迎えた。ここでは向こう正面から早めに進出を開始し、そのまま押し切って完勝し連覇達成。
続くマリーンステークス(OP)も同様にスタートは最後方から向こう正面で早めに押し上げて押し切り連勝。「気持ちが難しい馬」とコメントしながらもその力を巧く引き出す横山典弘が以降の主戦となる。
というわけで昨年同様、一休みして武蔵野ステークス(GⅢ)に臨んだが、ここは最後方から上がり最速で追い込んだものの4着まで。
本番のジャパンカップダート(GⅠ)は同期のヴァーミリアンが1番人気で、フィールドルージュは16.4倍の6番人気。レースはそのヴァーミリアンの少し前の中団で進め、直線では馬群の中から狭いところを割って力強く抜け出したものの、外からヴァーミリアンにかわされ、食い下がったものの1と1/4馬身差の2着。3着サンライズバッカスは3馬身半突き放したので、毎度の2getな横山典弘も「最後の伸びもしっかりしていたし、それで負けたらしょうがないね」とのコメントであった。
ともあれ賞金も確保したので、年末の名古屋グランプリ(JpnⅡ)へ。ここでは単勝1.6倍の断然人気に支持されると、2番人気ロングプライドが2周目向こう正面で早めに仕掛けたのを慌てず追走、きっちり直線で捕まえて1馬身半差で差し切り勝ち。待望の重賞初制覇を飾った。地田オーナー、そしてメジロラモーヌ牝系の重賞制覇も初である。
明けて6歳となり、初戦は川崎記念(JpnⅠ)。陣営はヴァーミリアンにJCダートのリベンジを誓っていたが、そのヴァーミリアンが右飛節炎のため出走取消。結果、フィールドルージュは船橋の4歳馬フリオーソと人気を分け合って1.8倍の1番人気に支持されることになった。
1枠1番から課題のゲートを決めて先行したフィールドルージュは、逃げるフリオーソを3番手で追走。3コーナーからフリオーソとの一騎打ちとなったが、直線で力強くフリオーソを振り落とし、最後は2馬身半差をつけて完勝。待望のGⅠ級初制覇を飾り、三冠配合の牝系にGⅠの称号をもたらした。
横山典弘騎手はユートピアで勝った2004年MCS南部杯以来、3年3ヶ月ぶりという久々のGⅠ勝利。西園師は「本当はヴァーミリアンに勝ちたかったですがね。いないなら負ける訳にはいきませんでした」と、改めてフェブラリーSでのヴァーミリアンへのリベンジを誓った。
かくして充実期を迎えたフィールドルージュは、現役ダート最強となった、父同士の因縁もある同期に府中で真っ向勝負を挑む、はずだったのだが……。
迎えたフェブラリーステークス(GⅠ)。ヴァーミリアンに次ぐ5.0倍の2番人気に支持されたフィールドルージュだったが、スタート直後に躓き、自身の左後脚と左前脚をぶつけてしまい負傷、落鉄。最後方からずるずる引き離されていき、異変を察知した横山典弘騎手は3コーナー前で競走を中止。レース後に左肩跛行と診断された。
結局、このアクシデントから全てが暗転してしまう。8ヶ月ちょい休み、園田のJBCクラシック(JpnⅠ)で復帰したものの、ヴァーミリアンのはるか後方で5着。続く浦和記念(JpnⅡ)は3歳馬スマートファルコンにぶっちぎられて4着に敗れ、レース後に屈腱炎が判明。なんと2年半に及ぶ長期休養を余儀なくされる。
9歳となった2011年、アンタレスステークス(GⅢ)でようやく復帰したが、スタート直後につんのめって落馬競走中止。続く東海ステークスは右肩跛行で出走取消となり、帝王賞(JpnⅠ)に挑んだが、覚醒したスマートファルコンには全くついていけず5着。JBCクラシック(JpnⅠ)も同様に6着に終わり、このレースを最後に現役引退となった。通算30戦9勝 [9-4-3-14]。
引退後は残念ながら種牡馬オファーはなく、函館競馬場で乗馬となった。その後、馬事公苑、大学馬術部と転々としたのち、2014年12月から引退名馬繋養展示事業の対象となり、高知県の土佐黒潮牧場で功労馬として余生を過ごすことになり、2024年現在も存命。土佐黒潮牧場ではヘッドライナーやナムラコクオー、ダノンヨーヨーに喧嘩をふっかけたりしていたそうだが、最近は性格が丸くなってきたそうである。
*クロコルージュ 1995 鹿毛 |
Rainbow Quest 1981 鹿毛 |
Blushing Groom | Red God |
Runaway Bride | |||
I Will Follow | Herbager | ||
Where You Lead | |||
Alligatrix 1980 鹿毛 |
Alleged | Hoist the Flag | |
Princess Pout | |||
Shore | Round Table | ||
Delta | |||
メジロレーマー 1995 黒鹿毛 FNo.9-f |
*リンドシェーバー 1988 鹿毛 |
Alydar | Raise a Native |
Sweet Tooth | |||
*ベーシイド | Cool Moon | ||
Polondra | |||
メジロリベーラ 1990 黒鹿毛 |
シンボリルドルフ | *パーソロン | |
スイートルナ | |||
メジロラモーヌ | *モガミ | ||
メジロヒリュウ |
クロス:Raise a Native 5×4(9.38%)、Nasrullah 5×5(6.25%)
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最終更新:2024/11/08(金) 15:00
最終更新:2024/11/08(金) 15:00
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