スズカフェニックス(Suzuka Phoenix)とは、2002年生まれの日本の競走馬。栗毛の牡馬。
2007年~2008年の短距離戦線で末脚を武器に活躍した、スズカ軍団の短距離代表。引退後のそっくりさんとの仲良しエピソードでも知られる。
主な勝ち鞍
2007年:高松宮記念(GⅠ)、阪神カップ(JpnⅡ)、東京新聞杯(GⅢ)
父*サンデーサイレンス、母*ローズオブスズカ、母父Fairy Kingという血統。
父は説明不要の大種牡馬。
母はアイルランド産で、自身は不出走だが、半兄にイギリスダービー馬*ドクターデヴィアス、全兄に高松宮記念馬*シンコウキングがいる良血。Northern Dancerの2×3という濃いインブリード持ちである。
母父は大種牡馬Sadler's Wellsの全弟で、自身は1戦未勝利だったが、種牡馬としては凱旋門賞馬*エリシオやジャパンカップを含む世界各国のGⅠ8勝を挙げた*ファルブラヴなどを輩出し成功を収めた。
2002年3月29日、平取町の稲原牧場で誕生。オーナーは「スズカ」冠名の永井啓弍。
稲原牧場は永井オーナーの父が所有したスズカコバンや、あのサイレンススズカ・ラスカルスズカ兄弟を生産するなど永井家とは縁の深い牧場である。
サイレンススズカ・ラスカルスズカ兄弟と同じ、栗東の橋田満厩舎に所属した。主戦騎手は武豊。
2004年10月10日、京都・ダート1400mの新馬戦で武豊を鞍上にデビューしたが、単勝1.3倍の圧倒的1番人気に支持されたにもかかわらず、終始後方のままあえなくブービー9着撃沈。
明けて3歳、1月の同条件の未勝利戦は逃げたものの競り負けて2着。1200mに距離短縮した3戦目をハナ差差しきって勝ち上がる。
5ヶ月休み、7月の函館・陸奥湾特別(500万下)で復帰すると、なんと前走ダート1200mからいきなり芝2000mに挑戦。さすがにどうよ?と7頭立て4番人気だったが、蛯名正義を鞍上に4角先頭で危なげなく完勝。以降はダートに戻ることなく引退まで芝を走ることになる。
しかし1000万下の昇級初戦を3着に敗れたあと、また9ヶ月ちょっとの長期休養。4歳となって5月に復帰したが芝1600m戦を3着、2着と勝ちきれないレースが続き、500万下に降級する。
降級初戦の京都芝1600m戦・洛南特別(500万下)はさすがに格の違いを見せて5馬身差で圧勝、続く函館芝2000mのHTB杯(1000万下)も快勝して準OPに昇格。
昇級初戦の1600万下を3着としたあと、朝日チャレンジカップ(GⅢ)で重賞初挑戦したが、最後方から上がり最速の末脚も届かず4着。自己条件に戻って大原S(1600万下)を快勝してオープン入りを果たすと、富士S(GⅢ)では3.5倍の1番人気に支持されたが、また最後方から上がり最速の脚を使うも届かず3着。
重賞制覇には一歩届かなかったが、4歳シーズンは8戦全て上がり最速。ゲートの出が悪いのでどうしても後方からのレースになってしまいがちという弱点はあったものの、それを補う末脚で重賞戦線でも充分に通用する力を見せ、翌年の飛躍を期待されて4歳を終えた。
明けて5歳は京都金杯(GⅢ)から始動。武豊が騎乗停止になっていたので幸英明がテン乗りしたが、後方から追い込むものの5着まで。
続いて武豊に戻って東京新聞杯(GⅢ)。エアシェイディと人気を分け合ったが1番人気に支持されると、直線で外に出して上がり最速タイ33秒3の鋭い末脚で差し切って重賞初制覇。2着はエアシェイディで、馬連400円はレース史上最低払戻金額だそうである。
これで安田記念を目標にしつつ状態次第で高松宮記念も狙おうということになったようで、続いて阪急杯(GⅢ)へ。今回も上がり最速の脚で追い込んだスズカフェニックスだったが、3頭全くの横並びの大接戦となり、長い写真判定の末、結果はプリサイスマシーンとエイシンドーバーの1着同着、スズカフェニックスはハナ差3着。残念賞。
というわけでそのまま乗りこんだ高松宮記念(GⅠ)。昨年のスプリンターズSは海外馬テイクオーバーターゲットに勝たれてしまったということもあって本命不在の混戦ムード。スズカフェニックスは芝1200m初挑戦、芝の重馬場も初体験ながら、最終的に4.5倍の1番人気に支持される。
これだけ見るといかにも危険な人気馬という感じだが、スズカフェニックスはそんな不安を一蹴した。ゲートが苦手な彼としては比較的マシなスタートを切ったもののテンは中団後ろ。しかし武豊は積極的に行かせて3コーナー前から進出し、そのまま外を回って4コーナーでは5番手まで上がっていって先行集団を射程圏内へ。残し150mで先頭に踊り出るとあとは後続を思うまま突き放し、2馬身半差で完勝。
同じ橋田厩舎・武豊のコンビは2年前にアドマイヤマックスでこのレースを勝っているのだが、道中の位置取りから抜け出し方、2着につけた着差までまんまリプレイのような勝ち方。両レースの映像を見れば同じレースにしか見えないレベルで、まるで武豊だけが知る勝利への近道が存在するかのようだった。
武豊はこの勝利で20年連続GⅠ勝利を達成。永井オーナーはサイレンススズカの宝塚記念、スズカマンボの天皇賞(春)に続くGⅠ3勝目。2着に単勝105.5倍の13番人気ペールギュントが突っ込んだため、珍しく1番人気が勝ったにもかかわらず馬連や馬単、三連複や三連単はレース史上最高配当を記録した。
一気に短距離王に駆け上がったスズカフェニックス。続いてもともとの目標だった安田記念(GⅠ)に3.6倍の1番人気で乗りこんだが、ここはスロー前残りの展開になったのも響き、昨年の秋天・マイルCS勝ち馬ダイワメジャーに貫禄を見せつけられて末脚届かずの5着。
秋はスプリンターズS(GⅠ)へ直行。中山の経験がないことや入厩遅れで調整不安が囁かれつつも、武豊が3歳牝馬アストンマーチャン(3番人気)よりもこちらを選択したということもあってか、セントウルSを圧勝した牝馬サンアディユに次ぐ5.2倍の2番人気に支持される。しかし不良馬場となったレースは中舘英二が騎乗したアストンマーチャンの逃げ切りの後ろで全く伸びず9着撃沈。
続いてマイルCS(GⅠ)へ。混戦ムードの中でも8.2倍の5番人気に留まったが、大外を鋭く追い込んで、ダイワメジャーとスーパーホーネットの追い比べに半馬身届かずの3着。
復調気配を見せて向かった12月の阪神カップ(JpnⅡ)では単勝2.5倍の1番人気に応え、スムーズに直線外から脚を伸ばして混戦をゴール前で抜け出し勝利。復活の重賞3勝目を挙げて5歳を終えた。
明けて6歳は高松宮記念連覇を目指して阪急杯(GⅢ)から始動。GⅠ馬ゆえ59kgを背負うことになったが2.7倍の1番人気に支持され、インの狭いところを突いて逃げたローレルゲレイロを追い込み、アタマ差届かず2着。2kgの斤量差を考えれば充分な結果だった。
というわけで本番の高松宮記念(GⅠ)では、前年のスプリンターズS勝ち馬アストンマーチャンが体調不良で回避(後に病死)、2着馬サンアディユに至ってはオーシャンSの翌日に急死してしまっており、連覇を目指すスズカフェニックスは2.9倍の1番人気に支持される。鞍上は武豊がドバイに行っていたため福永祐一がテン乗りとなった。しかしレースはスタートで躓いてしまって後方からになり、上がり最速で追い込んだものの3着まで。
この後は自慢の末脚に陰りが見え始め、京王杯SC(GⅡ)は直線入口でごちゃついてしまい3着、安田記念(GⅠ)はダービー馬ウオッカの復活劇の後ろで5着。秋には馬自身の闘志も衰えてしまったようで、あまり見せ場なくセントウルS(GⅡ)8着、スプリンターズS(GⅠ)4着、スワンS(GⅡ)4着、マイルCS(GⅠ)8着に終わり現役引退となった。通算29戦8勝 [8-3-8-10]。
引退後はアロースタッドで種牡馬入り。初年度こそ59頭の牝馬を集め、その初年度産駒マイネルホウオウが2013年のNHKマイルカップを勝って産駒重賞初制覇をGⅠで飾った。しかし既に飽和状態のサンデー後継でGⅠ勝ちは高松宮記念の1勝だけ、血統的にもさほど特筆すべき要素なしとあっては人気を集めるには至らず、2016年限りで種牡馬引退。
結局産駒の重賞勝ちは地方を含めてもマイネルホウオウのNHKマイルカップのみで、そのマイネルホウオウは種牡馬になれなかったので直系の血は繋がらなかった。母父としてはプリンセスアリー(父キズナ)が2024年の浦和桜花賞を勝っている。
種牡馬引退後は功労馬としてうらかわ優駿ビレッジAERUで余生を過ごすことになったが、ここでは不思議な出会いがあった。2019年から同じ放牧地で暮らすことになった4歳上のダートGⅠ5勝馬タイムパラドックスが、同じ栗毛で流星も顔立ちも双子のようにそっくりだったのである。
スズカフェニックスはタイムパラドックスと意気投合して本当の兄弟のように仲良く過ごし、タイムパラドックスを兄貴分として慕って、常にそのあとをついて回っていた。その様子がAERU公式Twitterなどで紹介され競馬ファンの間で話題となった。
兄貴分のタイムパラドックスは2022年2月に亡くなってしまい、寂しがり屋のスズカフェニックスはしばらく寂しがっていたそうだが、その後2023年から同じ放牧地に今度はオウケンブルースリがやって来て、こちらとも仲良くしている様子。AERUのアイドルとして末永く元気でいてほしいものである。
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
*ローズオブスズカ 1992 鹿毛 FNo.1-t |
Fairy King 1982 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Fairy Bridge | Bold Reason | ||
Special | |||
Rose of Jericho 1984 鹿毛 |
Alleged | Hoist the Flag | |
Princess Pout | |||
Rose Red | Northern Dancer | ||
Cambrienne |
クロス:Northern Dancer 3×4(18.75%)、Hail to Reason 3×5(15.63%)、Almahmoud 4×5(9.38%)
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最終更新:2024/11/08(金) 12:00
最終更新:2024/11/08(金) 12:00
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