ユーフォニアム
ユーフォニアム(euphonium)とは、金管楽器の一種である。
本項では日本で通常使用されるユーフォニアムについてのみ扱う。
変ロ調(B♭管)の金管楽器である。ピストン式のヴァルヴ3つまたは4つを備え、チューバをそのまま半分に縮小したような外観をしているものが一般的。
吹奏楽における常用音域はE2~B♭4(※)程度であるが、楽器設計上の最低音はB0(ピアノの鍵盤で左から3番目の音)、独奏曲などで求められる最高音はF5あたりであるが、B♭5やそれ以上の音が出せる人もいるにはいる。
(※音名表示はA4≒440Hzとしている。)
すなわち音域としてはトロンボーンやホルンと同様であるが、その太い円錐管のため柔らかい音が特徴であり、叙情的なフレーズを歌い上げることが多い。その一方で、後述のように新しい楽器であるため技巧的なパッセージでの使用にも向く。
使用する楽譜は実音譜の場合と移調譜の場合があるが、前者の場合にはファゴットなどと同様へ音記号とハ音記号(テノール記号)が用いられる。後者の場合はテナー・サクソフォーンなどと同様、ト音記号を用いて長9度高く記譜される。
ただし、古い楽譜ではフランス式の表記に習ってヘ音記号の移調譜が用いられている場合もあるので注意。
この楽器を知らない人には名前からよくUFOと勘違いされるが勿論違う。
金管楽器の一種であるが、のみならずアコースティック楽器の中でもっとも新しい部類のものである。
1840年代にヨーロッパ各地で発明された楽器群の中にルーツがあるといわれているが、ユーフォニアムという名称について明確な特許等はなく、現在研究が進められている。
なおユーフォニアムの語源は古典ギリシア語で「よく響く」「良い音色の」という意味の形容詞エウポーノス(εὔφωνος eúphōnos)の語幹に、場所等を表す抽象名詞語尾イオン(-ιον -ion)が付いたエウポーニオン(εὔφωνιον eúphōnion))で「(音が)よく響くもの」「良い音色の出るもの」といった意味になる。これを古典ラテン語化したエウポーニウム(euphōnium)を英語読みしたのがユーフォニアム(厳密にはユーフォウニアムに近いが、テレフォン、スマートフォンと同様に英語の -phon(e)- はフォンと転写されるのが通例)である。
現在、日本で使用されている楽器については、19世紀のベルギーの楽器職人アドルフ・サックスが発明した「サクソルン・バス」(saxhorn basse)からの影響を強く受けていると考えられる。このため「ユーフォニアムを発明したのはサクソフォーン(saxophone)と同じくサックスである」という表現をされることがあるが、名称についてはやや前にヴァイマル共和国で発明されたオイフォーニオン(Euphonion, エウポーニオンのドイツ語形)というよく似た別の楽器という先例があるため、必ずしも正しい表現とは言えない。でもだいたいあってる。
これ以上の詳しい事項についてはwikipedia等を参照のこと。
音楽辞典の項目名は一般的に「ユーフォニアム」。
ヤマハのカタログにおいては2000年、商品名がユーフォニウムからユーフォニアムに改められた。
この違いはヴァイオリンとバイオリンみたいなものであるが、動画のコメント等で名称論争が絶えない。
たまに「ユーホニューム」という表記も見られるが、一般的ではない。
また、トランペットの事を「喇叭(ラッパ)」という感覚がOKであれば、ユーフォニアムも「小バス」といって差し支えない。(大阪小バス倶楽部というプロ集団も長く活動している)。
基本的には(狭義の)吹奏楽、金管バンド、英国式ブラスバンド、マーチングバンドで使用される。
管弦楽においては楽器成立時期の制約もあり、パートの名称にユーフォニアムを指定したものはまず見られない。ただし「テナー・テューバ」等と指定された楽譜を、日本においてはユーフォニアムで演奏することが多い。
この他小編成のアンサンブルにオリジナル曲が多数有り、またジャズで使用しているプレイヤーもいる。
その他、吹奏楽や高校野球を題材にしたドラマにはだいたい映っているもののあまりいい役はもらえていなかったが、2015年に京都アニメーション製作の吹奏楽を題材にしたアニメ『響け!ユーフォニアム』が放送された。このアニメの効果により、楽器の魅力や知名度上昇に期待がかかる。
クラシック音楽番組「N響アワー」においては《展覧会の絵》《惑星》などのレパートリーにより、ごくまれにであるが登場する。
同番組2007年9月26日OAの『N響ほっとコンサート2007』ライブ映像において、フィリップ・スパーク作曲の《パントマイム》が外囿祥一郎の独奏で紹介された。
もちろん、吹奏楽曲や公演そのものを紹介する番組(テレビ・ラジオ)においてはユーフォニアムもしっかり演奏している。
項目末尾の形式番号(YEP- 等)は断りのない限りヤマハの製品を示し、その番号でインターネット検索すれば楽器のカタログにたどり着けると思われる。
(※形式番号末尾、銀メッキを示す"S"は省略した。)
コンペンセイティングシステム付き[YEP-842、YEP-642、YEP-641] | |
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第4ヴァルヴと他のヴァルヴを同時に押さえたときに補正管にも息が流れ、音程を補正するシステムを搭載した楽器。すなわち第4ヴァルヴを操作するとF管となり、実質的にセミダブルの楽器となる。「コンペ付き」などと称される。 | |
サイドアクション(第4)[YEP-621] | |
操作上は上記コンペ付きモデルと同様であるが、補正管がないためB1などの演奏が困難。(息のコントロール次第で演奏できなくはない) とはいえ右手だけで操作する機種に比べ、技巧的なパッセージに向く。 |
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アップライトアクション(4ピストン)[YEP-321] | |
ヴァルヴ操作は全て右手で行う。 | |
アップライトアクション(3ピストン)[YEP-201] | |
ヴァルヴが3つしかないため、B1~E♭2が発音できない。(これより低いE1~B♭1は発音可能。) 部品点数が減るため、安価に供給されている。 |
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(画像なし) | コンバーチブル[YEP-201M](マーチングユーフォニアム) |
座奏と行進演奏の双方で使用できるようになっており、行進演奏時はベルを前方に向け、左肩に担いで演奏する。 | |
(画像なし) | フロントベル[YEP-202M](マーチングユーフォニアム) |
左肩に担いだ状態ではヴァルヴの素早い操作がしにくくなるため、両手のみで身体の正面に構えられるようにした楽器。座奏ではまず使用されない。 | |
(画像なし) | フロントアクション[YEP-211] |
(※現在は海外向けモデル) ロータリー式の低音楽器と同様ベルが奏者の左側をむいており、かつ前方に曲げられている。 |
日本ではヤマハのほか、ウィルソン、ベッソン、ヒルスブルナー、イオ、ジュピター、カワイ、喜望峰などの製品が使われている。
海外で使用されているユーフォニアム(音程補正トリガーつきモデル含む)、バリトン(ロータリー式含む)、サクソルン・バス、ダブルベル・ユーフォニアムなどについての説明は割愛する。
(日本のバリトンについては別に記事を作成してくれる方を募集しています。)
ニコニコ動画においては、サイレントブラスシステムを用いて録音された「演奏してみた(吹いてみた)」動画が多数投稿されている。ただしユーフォニアムのためのオリジナル曲はようつべからの転載やCD音源丸上げがほとんどであり、動画投稿者自らが演奏しているものは他の楽器と同様、アニメ・ゲームやニコニコメドレー、ボカロオリジナル曲などが多い。
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最終更新:2021/03/02(火) 05:00
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