栗田ターンとは、
のことである。
1944年、フィリピン近海で行われた一連の海戦において、日本側作戦『捷一号作戦』での水上部隊の役割は、ハルゼー大将率いる敵機動部隊を空母部隊である機動部隊本隊 が北方に誘致し、基地航空隊と共にこれを撃滅。栗田健男中将が指揮する「大和」「武蔵」「長門」他高雄型重巡洋艦四隻などを中核とする第一遊撃部隊 が、この間接掩護のもと上陸部隊を輸送する攻略部隊を捕捉殲滅、既に上陸を開始した場合は上陸2日以内に上陸地点(捷一号作戦ではルソン島、レイテ島、ミンダナオ島の3島が候補だった)に突入してこれを殲滅することとなっていた。
なお、詳細な作戦行動についてはこのニコニコ大百科でも「レイテ沖海戦」の記事が非常に詳しく書いてくれているので、必要ならばそちらも確認されたい。
しかし第一遊撃部隊は以下の要因によりレイテ湾入り口近くまで到達しながら反転し北上してしまった。
こうして第一遊撃部隊はレイテ湾突入寸前に反転、北方へ転針。しかし北方の敵機動部隊という情報は誤りで、第一遊撃部隊は再突入の機会を逸し撤退した。結果的に作戦は失敗に終わり、太平洋戦争後期の日本軍に黒星を増やすのみの結果に終わった。また、この敗北により参加した第一遊撃部隊、第二遊撃部隊は戦力が半減、機動部隊本隊と単独で先行突入した西村部隊は壊滅し日本海軍は事実上止めを刺され、この後には組織的行動を取ることが困難となった。
終戦後、第一遊撃部隊の行動について幾多の議論とともに多くの説が囁かれた。栗田中将自身が戦後取材で語った発言などもあるが、その明確な理由は不明のままになったことから、「謎の反転」と呼ばれるようになった。
この「謎の反転」については現代でも研究書が何冊も出版され議論され続けている。反転を決断した栗田を批判するものが多かったが、最近ではそれら批判内容の殆どが資料考証不足、検証不足、客観的でない感情的な批判、勘違い・思い込みによる批判であることが判明してきている。中には映画や書籍で脚色された描写を正しいと思って議論をしていた者がいたほどである。
代表的な事例として映画「連合艦隊」の描写を事実と考えている者が多い
この他にも史実と異なる描写が多くみられる。映画という娯楽作品である訳だから脚色があって当然なのだが、レイテ沖海戦を映像化しているほぼ唯一の作品であり、映画での描写を「事実」と考えてしまっている者が多い。
当時の評価はどうだったかというと、今とは全く逆で栗田は「敵機動部隊の一群を自隊だけで殲滅した」として評価は非常に高かった。この後栗田は海軍兵学校長となり終戦を迎えるわけだが、海軍兵学校長は将来の海軍を背負う人材に海軍の基本を教育する重要な職責の長であり、歴代海軍大学校甲種修了者が務めていて、その出身者がなったことは殆どない。戦力も殆ど失い、多くの将官が予備役入りなどして人員整理がされる中、それに引っかからずに逆に栄転している訳である。この人事を「海軍による暗に左遷人事」という海軍出身者もいるが、海軍兵学校長が左遷人事先であるという考えはなく、他国でも見受けられない。上記のように人材を育てる重要な職責である。
しかしながら実際には海軍兵学校では栗田の他に井上成美が左遷されたと言われており、陸軍の予科士官学校の校長では牟田口廉也が、またドイツではクラウゼヴィッツが士官学校の校長に左遷された人間に該当するとされている。これを栄転とするのは一方的な見方しかできない人間の非常に偏った見識である。
逆に現在では評価の高い西村祥治の方が、当時及び戦後の一時期評価は低かったという。戦後まもなく刊行されたレイテ沖海戦関係の書籍では第一号である「レイテ沖の日本艦隊」では西村の行動を厳しく批判し、ほぼ戦犯扱いである。また西村部隊で唯一生還した時雨艦長の証言として「長官は戦死して良かったと思う」(その後の彼への批判を知らずに死ねてよかったという意味)という発言も掲載している。
この他にもこの問題に対する問題は多くあり、ニコニコ大百科でその内容まで書ききれるはずもないので、最後に、当時の英国首相ウィンストン・チャーチルの回顧録からの言葉を引用して記述を終えたい。
ブラウザゲーム「艦隊これくしょん~艦これ~」の戦闘において、マップ内でのルート分岐時には「らしんばんまわすよー」「えー、らしんばんまわすのー……」などの台詞とともに羅針盤が登場し、プレイヤーが画面をクリックすると高速回転して分岐先が決まるというシステムを採っている。のだが……
「羅針盤のせいでボスに辿りつけない」「ボス手前で羅針盤に引っかかって逆方向に行ってしまった」という問題が頻出し、マップクリアや任務達成に苦労するようになった。また、マップによってはこの羅針盤によって向かう方向が明らかにそれまでの道から180度反転し出撃地点へ戻るような形になることもあり、いつの間にか「栗田ターン」と呼ばれるようになった。なお、分岐の中には艦隊に含まれる艦娘の種類や速力、隻数によって進撃する方向が固定、あるいは特定の方向に向かいやすくなる地点も存在する。
ちなみに、羅針盤は回すものではない。
1の謎の反転によって、栗田提督に「反転キャラ」のイメージが付いて回るようになったため、「提督の決断」などの太平洋戦争海戦ゲームでは「とりあえず反転したがる」といったキャラクターが付与されることがある。
なお、本来の栗田提督は水雷に一家言ある、ゲーム内でも普通に有能な提督である。
別に普段から反転するのが趣味だったりするわけではない。
掲示板
318 ななしのよっしん
2023/06/07(水) 22:33:48 ID: lin48DYb8t
>>316が指摘してた一文、本日行われた編集でこの記事から削除されたのか
319 ななしのよっしん
2023/07/15(土) 18:38:18 ID: VKHtVYttNB
捏造した張本人が消去したのはさすがに悪質だと思う。
もう少し説明を加えた上で再掲載したら?
320 ななしのよっしん
2023/10/26(木) 19:15:03 ID: 7ce4loNc4r
この人物は現場主義の指揮能力も申し分無い車引きだったとは思うものの、ミッドウェーだけに限って言えば少なくとも言葉足らずだった感は否めない。
三隈生存者の証言を纏めた資料によれば、栗田少将は三隈に最上を護衛し離脱を下達した段階で『我その任に堪えず』と三隈艦長に再考を促されているが、それに対し明確に応答せず離脱してしまった点は置き去りにしたと(特に悲惨な末路を辿った三隈生存者側からすると)非難が出ても擁護出来ないと思う。
上の無茶な命令を受けた結果は差し引くとしても、非情な決断でやむを得なかったで全部済ませるのは違うのでは。
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最終更新:2024/04/25(木) 04:00
最終更新:2024/04/25(木) 04:00
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