( `ハ´)<蘭州級駆逐艦とは、中華人民共和国人民開放海軍が誇るミサイル駆逐艦(DDG)アル!
ちなみにわが中国国内での正式名称は052C型、NATOでは旅洋(ルヤン)Ⅱ型と勝手に名づけているアル。ここでは蘭州級の前のモデル、052B型こと広州級と052Cの改良型、052D型こと昆明級についても説明するアル。
1980年代より中国は自分の国の艦艇が他国に対し劣りすぎていることに危機感を抱いていた。特に対空能力が周辺諸国に対しあまりにも劣っていた。というか1980年代って多数の航空機に対する対処能力を持ったタイコンデロガ級やらソヴレメンヌイ級やらスラバ級やらキーロフ級が出現した時代なんですが。
で、とりあえず1996年にソ連崩壊後金がないロシアからソヴレメンヌイ級駆逐艦を2隻買い求める(後にもう2隻追加購入)。その後ソヴレメンヌイの対空兵装を搭載した国産駆逐艦、広州級(052B型)を建造した。
が。
実はソヴレメンヌイ級&広州級の対空ミサイルは射程50kmの『9M38M2シュチーリ』。西側諸国で言えばスパローに毛が生えたくらいの射程であり、余裕で100km越えのスタンダードミサイルにはかなわない。そもそもソヴレメンヌイ級は防空駆逐艦といっても艦隊の近距離防空を担当する艦。そこで長距離対空ミサイルを運用できる本格的防空艦を広州級の船体をベースに建造することにした。こうして蘭州級、昆明級は建造された。
| スペック | 052B型(広州級) | 052C型(蘭州級) | 052D型(昆明級) |
| 全長 | 154m | 156m | |
| 全幅 | 16.5m | 17m | 18m |
| 排水量 | 6,500t | 7,000t以上? | |
| 乗員 | 280人以上? | ||
| 武装 | |||
| レーダー | |||
| ソナー | |||
| 主機 | |||
| 速力 | 30ノット | ||
| 搭載機 | 対潜ヘリ×1機 | ||
| 同型艦 | 2隻 | 6隻 | 18隻建造予定 (2018年現在) |
乱暴な言い方をするとソヴレメンヌイ級駆逐艦のコピー、正確には『中国既存の駆逐艦の延長になる船体にソブレメンヌイ級の兵装を乗っけたもの』。
とまぁ、20年ぐらいかけて段階を踏みつつ最新の技術を徐々に掌中に収めていったのである。
広州級はロシア製対空ミサイルシステム『3K90』を導入。前述の通りソヴレメンヌイ級の対空システムそのもので、9M317対空ミサイルは射程50㎞まで対応する。ソヴレメンヌイ級との最大の差は対艦ミサイルで、対艦ミサイルは狂気の超音速SSM 『3M80モスキート』ではなく国産の『YJ-83』。射程180㎞はハープーンに劣る(220㎞)が、その搭載数、実に16発(日本の護衛艦のちょうど倍)。その背中にドーンと乗った4連装SSMランチャー4基は壮観である。
広州級は2隻建造されたが、3K90対空ミサイルシステムをフリゲート級にのっけた054型、更に兵装を改善した決定型ミサイルフリゲート、054A型ミサイルフリゲートの建造が決定したため以後はより強力な052C型へ建造を移行した。
052B型の船体の設計を丸々流用し、対空システムをウクライナの企業と共同開発した346型アクティブ・フェーズドアレイレーダーを四基搭載し対空ミサイルをロシアの対空ミサイルS-300をバラして参考に開発したHHQ-9Aに変更。射程120㎞、正確な性能は不明だが地上型SAMであるHQ-9が6つの目標を同時攻撃が可能とのことなので、4面のレーダーで単純計算するなら最大24目標を攻撃可能ではないかと思われる。ちなみにイージスシステムは10個以上の目標を同時攻撃が可能(※正確な数は非公開らしい)。
対艦ミサイルは広州級と同じくYJ-83.ただし搭載数は8発に減った。
戦闘システムはイージスシステムと同様対空・対水上艦・対潜水艦を一つのシステムにまとめた『H/ZBJ-1』を採用。分散コンピューティングを用い光ファイバーを艦内に巡らせるという極めて近代的な代物である。データ共有システムも西側の統一規格『リンク16』相当の物を搭載し、戦闘システムはもはや西側諸国の第一線艦同等どころか凌駕しているかもしれない。
蘭州級はほぼすべて中国国内生産の装備でできており使い勝手もよかったのか6隻建造された。それでも不都合はあったようで更なる改良型、崑明級に建造が移行した。
一言でいえばパーフェクト蘭州級。蘭州級を運用する上で見つかった不都合を克服した決定版というべき船である。
後述する346型レーダーの不都合を改善した346A型レーダーを搭載。ミサイル発射機は各ミサイル専用発射機をやめ統一規格VLS『GJB 5860-2006』を64セル搭載。これにより悲願の対潜水艦ミサイル(USM)『YU-8』の搭載が可能になった。YU-8は射程30㎞以上と言われており、日本の07式VLAに匹敵する高性能USMである。また対空ミサイルも改良型『HQ-9B』に変更、対艦ミサイルも新型の『YJ-10』を搭載したとのこと。GJB5860-2006の採用によりこれらの数を増減しながら混載が可能になり非常に柔軟な運用を可能にした。
近接対空能力も進歩した。CIWSを従来の730型2基から艦首側の1基に減らし、艦尾側はアメリカ艦が搭載するRAMに相当するHQ-10の発射機に変更した。空母『遼寧』にも搭載されたこれは一つの発射機に実に24発(※RAMの発射機は21発、簡易型のSeaRAMなら11発)ものミサイルを搭載している。CIWSについては9番艦以降は珍兵器狂気の11連装ガドリング砲、1130型に変更されている。
中国が急速に近代化した海軍のいわば顔というべき蘭州級&昆明級。しかし知られてる限りのお話しでも結構不都合が漏れ聞こえている。
ミサイルの少なさとかは艦艇の数でカバーする気満々のようで、前述の通り蘭州級と昆明級で24隻も配備して運用するつもりのようだ。
対潜水艦能力は中国海軍の泣き所で、長らく対潜ヘリと近接防御用短魚雷の間を埋める兵器の所有が叶わなかった。おまけに空母建造と対潜水艦戦とどっちに予算を振り分けるかという話になったとき『対潜水艦戦技術の開発進めたら日米を本気にさせるやろが、余計な刺激は無用や!』という話になったらしくさらに対潜水艦戦対応が遅れたらしい。
しかしベトナムとインドが最新型潜水艦の購入をロシアから進めておりそんなことも言ってられなくなったのか、近年対潜水艦戦の充実を図っている。
その最たるものが大型対潜ヘリ『Z-18』の開発成功、配備である。フランスの大型ヘリ『SA-321シュペルフロン』をSH-60J→K並みに魔改造をかました対潜ヘリで、能力はイギリスの現行対潜ヘリ『AW101 HM.1』に匹敵という驚異の性能を持つ……、まではよかった。
ところがこいつ、サイズもAW101並みのメタボ野郎で052型シリーズはどれも搭載できないという大問題を抱えてしまった。当然054型シリーズも無理。というか、SH-60のあのサイズに兵装やらソナーやらレーダーやらを詰め込みまくった日米の頭がおかしいのであって中国は悪くない。
現在Z-18は空母遼寧のみで運用されているが、あの巨大駆逐艦である055型の艦載機として運用予定だそうである。で、052型どうするねんという話であるが、現在建造中の052型はZ-18が運用できるよう設計変更を行ったという噂がある。しかし既存の船の改修は
という艦体レイアウトの都合上難しいのではないかという話である。やろうと思ったら格納庫のあるあたりの構造物を丸ごと撤去する大工事がいるため改造は行わないと考えるのが自然だろう。というか055型や空母が増えたら無理して載せる必要性薄れるし。
掲示板
18 ななしのよっしん
2018/01/31(水) 18:15:04 ID: srXCMFywuD
36隻だと…他国のことながら維持費用が凄いことになりそう。
※15,16
やる気も金も有る国が本気になると恐ろしく進歩が速いよな。
19 ななしのよっしん
2018/04/29(日) 19:25:30 ID: +2ETsaGFad
上海で建造中の052Dと思われていた1隻のヘリ甲板が拡大されているらしい。この艦が055型並みに重武装の052Eなんだろうか。
20 ななしのよっしん
2019/10/25(金) 18:25:02 ID: Ks91ic9Qzd
>>16 いまや兵器に関してもナチスと同じような感じだと思うべきだな。
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最終更新:2025/12/21(日) 09:00
最終更新:2025/12/21(日) 09:00
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