ねぇミスター、私はあなたを知らないし、ぼんやりそこに座って何もせずにこれを眺めてる理由も分からないけど、どうかお願い、私を助けて。どうすれば私はここから生きて出られるの?
SCP-5733 - SCP財団
より,2022/08/12閲覧
SCP-5733とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『Knife. Scream. Cut to Black. (包丁。悲鳴。暗転。)』。
| SCP-5733 | |
| 基本情報 | |
|---|---|
| OC | Safe |
| 収容場所 | サイト-73アーカイブ 記憶媒体セクション テープ保管庫A 棚番号HS 箱番号#1984 |
| 著者 | Dysadron |
| 作成日 | 2020年11月7日 |
| タグ | テレパシー 人間型 知性 自我 記憶媒体 適応 録音録画 電子デバイス |
| リンク | SCP-5733
|
| SCPテンプレート | |
『サバーブ・スラッシャーの帰還 (Return of the Suburb Slasher)』というホラー映画が録画されているVHSテープカセット。このビデオテープの外箱には、この映画は1983年に「クリスタル・エルムズ・プロダクション」という制作会社が製作したことが記載されている。この制作会社や出演者に関して、財団はこの外箱以上の情報を突き止められていない (主人公を演じた女優の名前がアリス・ストロードということはクレジットからわかっている)。
内容は典型的なスプラッタ・ホラーであり、主人公の女の子、ヘザー・キャンベルが郊外の袋小路にある自分の家で、両親の留守中にパーティの準備をしている場面から開始する。なお、ヘザーは映画の後半まで気付いていないが、この日は実は同じ袋小路で起きていた連続猟奇殺人事件からちょうど10年目であった。このときの犯人は正体不明であり、住民やメディアは彼をこう呼んでいる――郊外の切り裂き魔、と。
このサバーブ・スラッシャーはヘザーがパーティに招いた5人の友人と、定期パトロールで袋小路を訪れていたお巡りさんを1人殺害する。このサバーブ・スラッシャーの正体は映画が終わるまでなお正体不明であった。サバーブ・スラッシャーは黒い麻袋をかぶり、黒のゆるいオーバーオールを着用し、一切会話を行わない。
SCP-5733の異常性は再生開始から97分後に発現する。この前段でヘザーは居間に飾られた友人たちの遺体を発見する。そして部屋の反対側からサバーブ・スラッシャーが彼女を追いかけはじめ、彼女は命からがら、地下室に逃げ込んでドアを施錠する。その後、ヘザーは突然カメラ目線になり、鑑賞者に冒頭のセリフで話しかけてくるのである [1]。以後、鑑賞者はヘザーに話しかけることができるが、鑑賞者がヘザーを無視したり、サバーブ・スラッシャーからの逃げ方に関係ない話 (「この映画おかしくない?」とか「てかLINEやってる?」のようなもの) をされた場合はヘザーは諦めて地下室の階段を上がり、ドアを解錠し、ドアのそばでサバーブ・スラッシャーが待ち構えているという話の後、画面が暗転してテープが再生機器から吐き出される。
一方逃げ方に関することなら話を聞いてくれる。これによって提案された内容をヘザーは実行するが――。
鑑賞者のDクラスはヘザーに車の所有を尋ねる。持っていることを確認したDクラスは密かに上階に戻り、車の鍵を見つけて脱出することを提案する。
しかし鍵を見つけて車にたどり着くと、彼女の車はタイヤが切り裂かれていた。パニックに陥ったヘザーにDクラスは、隣家の車の窓を割ってドアを開けるように提案し、ヘザーが葛藤の末応じると自動車の点火装置をショートさせ、鍵を使わずにエンジンをかける方法を説明する。
そうして車のエンジンは無事かかる。ヘザーは笑って車を走らせ始める。しかし袋小路から出た時、後部座席に隠れていたサバーブ・スラッシャーが身を乗り出して包丁を振りかざす。ヘザーは悲鳴を上げ、画面が暗転する。
鑑賞者のDクラスはヘザーに彼女の父親が持っていたショットガンを回収して、それでサバーブ・スラッシャーを撃ち殺せと助言する。
彼女は無事にショットガンを回収し、襲いかかってきたサバーブ・スラッシャーを撃とうとするが、弾が出てこない。サバーブ・スラッシャーは右手を開くと、そこからショットガンの薬莢がポロポロと落ちる。そしてヘザーに包丁を振りかざす。ヘザーは悲鳴を上げ、画面が暗転する。
鑑賞者のDクラスは「抵抗したってどうせ無意味だからそこにある園芸鋏で自殺するべきだ」と助言する。鬼畜すぎない? ヘザーはそんなことはできないと泣き出すと、やがて解錠する。そこにはサバーブ・スラッシャーが待ち構えていて――。
今回は研究助手のベイカー博士が実験に参戦。ベイカー博士は袋小路にある家々を訪れて、助けを求めよと推奨した。ヘザーは家を出ると、隣家のルーミス氏宅に向かうが、ドアが半開きになっていて、ベッドでルーミス氏とその妻が寝ているのを見つける。ヘザーはルーミス氏を起こそうとするが、ルーミス氏は喉を切り裂かれて死んでいた。そしてその隣に寝ていた人物が身体を起こす。布団をめくったところ、サバーブ・スラッシャーであることが判明する。ヘザーは悲鳴を上げ、画面が暗転する。
次も研究助手のダスケヴィス博士。ダスケヴィス博士は1983年時点で有効だった財団の秘匿回線番号をヘザーに教え、彼女に電話で助けを求めよと助言する。
しかしヘザーが電話にたどり着くと、そこには破壊された電話と、血液で記されたメモが電話の残骸に包丁で固定されているのを発見する。
SCP-5733 - SCP財団
より,2022/08/12閲覧
そして背後からサバーブ・スラッシャーが現れる。ヘザーは悲鳴を上げ、画面が暗転する。
次に登場したのはフィールドエージェントのふたり、エージェント・プレザンスとエージェント・マクドウェルだ。彼らは、地下室に食料と水があることをヘザーに確認させると、それが尽きるまでの間地下室に籠城させ、プレザンスとマクドウェルが交代でヘザーに戦闘技術基礎入門コースに相当する内容の訓練を行う。また、ヘザーが睡眠中の間もエージェント1名が起きてサバーブ・スラッシャーが現れないかを警戒し続けた。
こうして112時間の籠城を終え、ついにヘザーはサバーブ・スラッシャーと対峙する。ヘザーは23分間徒手格闘を行い、ついにサバーブ・スラッシャーを床に組み伏せる。そして近くにあった燭台を持ちサバーブ・スラッシャーにトドメを刺そうとする。エージェント2人も歓喜するが、背後から、もう一人のサバーブ・スラッシャーが出現し、ヘザーに襲いかかる。そして画面が暗転する。
この回の不自然な点として、112時間の籠城により本来であれば外の世界は午前10:00くらいのはずであるのに、何故か外は午後11時-午前1時のような暗さであった。また、過去のサバーブ・スラッシャーが持ち得ないような格闘技術を今回の両サバーブ・スラッシャーは持っていた。
今回の鑑賞者はエージェント・ベネット。彼女は奇跡論の高度な技術を持つことで今回の実験に参加することになった。奇跡論というのは、平たく言えば魔法である。彼女はヘザーに攻撃・防御目的の簡単な魔法を指導したのである。これにより、保護象形文字を記すことや音韻体系に基づいた低級元素呪文を実行できるようになった。
そしてヘザーはサバーブ・スラッシャーに対峙。彼女は、象形文字を描くことでサバーブ・スラッシャーの持つ包丁を弾き飛ばすと、風の呪文を使ってサバーブ・スラッシャーを吹き飛ばすことに成功した。この隙に逃走を試みたヘザーだったが、突如凍結。そう、サバーブ・スラッシャーが凍結呪文を行使したのである。そしてサバーブ・スラッシャーは召喚呪文を唱えて包丁を手元に引き寄せる。ヘザーは悲鳴をあげることさえできず、画面が暗転する。
――ご覧の通りである。どんなアドバイスをしようと、武術や魔法のトレーニングをしようと、ヘザーは最終的にはサバーブ・スラッシャーに勝利できないのである。
実験主任のカーペンター博士は、今度は自分自身が実験に参加することにした。この実験では、自身が指揮するチームに命じて、「地下室から持ち出すもの」「出てから向かう場所」「家から脱出する手段」「袋小路から脱出する手段」を20種類以上考案させ、これを印刷してそれぞれのカテゴリごとにプラスチックボウルに入れた。これと別に『顔』『身体』『脚』という3枚のカードも作成した。
なお、カーペンター博士自身はカードに何が書かれているかを知らない。カーペンター博士がSCP-5733視聴を開始して95分時点で研究助手たちは4つのボウルと3枚の伏せカードを博士の前に配置した。
カーペンター博士はヘザーに、サバーブ・スラッシャーから逃走するためには、自分の命令に絶対に従わないといけないことを命じ、了承させるとまず1つ目のボウル、『地下室から持ち出すもの』から選択肢を見ずに引く。選ばれたのは、園芸鋏だ。続いて2つ目のボウル、『出てから向かう場所』。ヘザーに、上階の寝室に一度入ってからダイニングルームに戻るように伝える。そして3つ目のボウル、「家から脱出する手段」。上階に駆け上って両親の寝室に入り、窓から抜け出して屋根に登り、そこから庭に飛び降りることを伝える。ここまで、一度もサバーブ・スラッシャーは出現していなかった。
カーペンター博士は4つ目のボウル、『袋小路から脱出する手段』を引き、柵を飛び越えて隣家の庭に入ったあと、その敷地の正面に向かい、そして助けが見つかるまで通りを走り下る様に伝える。このときカメラ位置が動き、サバーブ・スラッシャーが家から出てくるところを映すが、サバーブ・スラッシャーはヘザーを探したり追跡しようとはしていない。そしてヘザーは通りに入った。
ヘザーは通りを歩き続ける。最寄りの交番までどれくらいだとカーペンター博士は尋ねるが、ヘザーは知らない模様。だが探せば見つかるはずだと回答したため通りをずっと歩かせる。しかし通りは最初こそ木々が並び、街灯も見えるが、やがて木々はまばらになり、暗闇だけが広がる。道路横には何も見えないというヘザーに、身につけたブレスレットを外して投げるように指示する。通りと暗闇を隔てる境界線を通過するとブレスレットは消失する。
ヘザーは1時間近く歩き続けるが、道路はまっすぐ続いている。そして他の生命が存在する徴候はない。しかしやがて明かりと家並みが見えてきた。ヘザーは歩調を速め、家並みに入ると助けを求めて叫ぶ。しかしヘザーはこの家並みに既視感を覚えていた。それもそうだ、ヘザーが住んでいた袋小路に戻っていたのだから。
パニックに陥ったヘザーは何が起きたのかカーペンター博士に尋ねるが、カーペンター博士がなにか回答しようとする前にサバーブ・スラッシャーが現れ、ヘザーに襲いかかる。カーペンター博士はカードを開くとサバーブ・スラッシャーの「頭」を攻撃しろと伝える。ヘザーが命じられるままに攻撃すると成功。続いて「脚」を攻撃させる。そして最後のカード。しかしこの時カーペンター博士は気付いてしまう。最後のカードは「身体」であることに。そして身体を攻撃させるが、サバーブ・スラッシャーはついにヘザーの攻撃を防ぐことに成功してしまう。そしてヘザーに包丁で襲いかかる寸前、麻袋の切れ目からついにサバーブ・スラッシャーの素顔が見えた。
ヘザーは悲鳴を上げ、画面が暗転する。
サバーブ・スラッシャーがなぜいつも鑑賞者のアドバイス内容に先回りして対応できたのか?それは、サバーブ・スラッシャーが鑑賞者自身だったからである。これから行うことがなにかもわかっていたから隣家やその車に予め忍び込んだり、予めショットガンの薬莢を抜いておくことができたのだ。武術や魔法だって、教えている本人であれば初心者のヘザーよりも詳しいに決まっている。武術回で2人もサバーブ・スラッシャーが出現していたのは、その時の助言者が2人だったから。
カーペンター博士が最後に行った実験では、カーペンター博士は何も考えていない。だから脱出経路に先回りできなかった。そして攻撃箇所もわからないから、防げなかった。しかし最後、身体のカードが残っていることをカーペンター博士は悟ってしまう。その瞬間、サバーブ・スラッシャーも自身の身体が狙われることを予見して防げたというわけだ。
現在、職員によるSCP-5733実験が情報漏洩を引き起こしていないか捜査が行われており、すべての実験は中止されている。
なお、このSCP-5733のビデオテープは97分までしか映像がないことがわかっている。つまり、本来であればヘザーが地下室に逃げ込むところで映像はストップするはずなのだ。また、ヘザーが逃げた後、同じ場所にもどってくるのも不思議である。まるでループしているかのようだが……?
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最終更新:2025/12/17(水) 21:00
最終更新:2025/12/17(水) 20:00
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